08年02月定例会代表質問(2月29日)

◎議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。議案に対する質疑、並びに一般質問を続行いたします。

◎30番(坂本茂雄君) お許しをいただきましたので、県民クラブを代表いたしまして、順次質問をさせていただきたいと思います。
 格差社会の中で、あらゆるしわ寄せは相対的に、持たざる階層にあらわれていることが今や世の常となっています。例えば、アメリカに見られるサブプライムローンにおける差し押さえ世帯や脆弱な公的医療保険制度のもとでの医療破産世帯。そして、民営化による人災だったとも言われるハリケーン・カトリーナが襲ったニューオーリンズの棄民復興のあり方などは顕著な例だと思います。
 日本においても、生活保護世帯に対する水際作戦による餓死・病弱死、後期高齢者医療制度や障害者自立支援法など保険や支援の対象となる当事者が、求めようともしない制度の改悪が進む医療や福祉、そして、阪神淡路大震災の被災後13年たって「復興格差」が生じていると言われる神戸を中心とした阪神間のありよう、さらに、自治体間格差は、中学生まで全ての医療費が無料となっている自治体と乳幼児の医療費無料化においても四苦八苦している本県のような財政状態の厳しい少子高齢化先行自治体などの姿から目を背けることはできなくなっていると思います。
 そこで、知事はこの4年間で本県を上向きにしていくという基本姿勢を示されていますが、その際、このような格差を解消しようとする意欲と姿勢を根底に据えた県政運営に臨んでいただきたいと思うのです。その意味でも、知事が年頭、働くものを前にした労働組合や団体の旗開きという場所で、たびたび口にされていた「勝ち組のためだけの政治を続けていてはいけない」という言葉の基本的な考え方をお伺いしておきたいと思います。
 次に、知事の基本的県政運営方針である「対話と実行」のあり方についてであります。
 物事を実行に移す前に十分に対話をして、施策に反映させて実行に移すというごく当たり前の手法でありますが、今ではすっかりこの手法とフレーズが尾崎知事を象徴するものとなってしまいました。
 知事は、組織改正の中でも「地域との対話の推進」ということで「組織的に地域の情報を把握しながら、適切に政策に反映していく」とされていますが、地域以外にも対話をしなければならない県民の方はいます。例えば、この月曜日に女子大学の学長と対話をされていますが、大学改革一つをとってもさまざまな方がさまざまな御意見をお持ちです。そういった方々との対話をどういう形で行おうとするのかということもあろうと思いますので、「対話」のあり方についてお聞きします。
 まずは、地域における対話の場に参加したくても、一定の制限のもと参加できない方との対話のあり方はどうされるのか。また、地域以外の少数の声とはどのように対話するつもりなのでしょうか。
 さらに、今後、県政を進めていく上で、さまざまな課題にぶつかることもあると思いますが、その場合に異なる意見を対話せずに切り捨てるのではなく、まず、聞く姿勢が必要だと考えますが、そのような姿勢を持たれるつもりかお伺いします。そこで、対話あるいは県政運営の際の目線の置き方についてであります。前知事が「私自身が県民の皆さんの方を向いて仕事をしている限り、職員が私の方を見ることは、そのまま県民の皆さんを見ることにつながる。だから、私の方を見ることと県民の皆様を見ることとは、何も矛盾をすることではない」と、この議場で答弁されたことがありましたが、尾崎知事は職員が自分の方を向いていれば、県民を見ていることになるなどとはおっしゃらないと思います。そこで、知事自身「私もできる限り県民の目線で、県政運営に当たるが、時としてその目線がぶれたりしないようしっかりと職員の皆さんや議会にもチェックしていただきたい」というぐらいのお気持ちで臨まれるのか、お尋ねします。
 次に、今後の財政運営見通しと来年度予算案について、お尋ねします。
 昨年は、地方財政健全化法や女子大の池移転をはじめとした大規模事業との関係で今後の財政運営見通しについて随分議論をしてきました。昨年12月には財政健全化基準の指標が示されて、県としてはそれぞれにクリアしていると述べられてきましたが、今後の財政運営見通しについては、相当変更せざるを得ない来年度の予算編成になっているのではないでしょうか。
 例えば、前提として県税収入見込みは毎年2%増としていたものが、4.6%減と見込まざるを得ないこと。そして、来年度から2012年までの間の経常的経費は、前年比15%の減額としていたものが2.7%の減額。普通建設事業費は前年比5%減額としていたものが1.1%の減額となっています。これらのことが、将来見通しの前提条件を揺るがすことになっているのではないかと思いますので、お尋ねします。
 まず、今後の財政運営見通しの前提条件は、予算編成では生かされなかったのでしょうか。また、来年度予算案を踏まえた今後の財政運営見通しは、今議会中に本来示されるべきではないのでしょうか、あわせてお聞きします。
 さて、地方再生対策費について、本県分の41億円を指して「これは四国4県の中でも一番大きい金額であるとともに、日本全体で見ても上位のレベルに属する金額である。国に対して、高知県の厳しさを率直に訴えてきた成果のあらわれの一つではないかと考えている。しかし、もう少し時間があれば、もっとできたことがあるのではないかと考えているところもある」と記者会見で述べられていますが、「厳しい財政事情を克服するため、私の経験を生かし、あらゆる方策を総動員する」と言われてきた尾崎知事としての「私だからこそ」の効果と成果を示していただきたいと思います。また、「地方交付税等の確保については、いわゆる地域間格差の問題として、より本格的に取り組んでいかなければならないと考えているところである」とのことですが、どのような手法で取り組まれようとするのか、お聞きします。
 次に、急浮上した工科大学の公立大学法人化議論についてであります。午前中、副知事がるる述べられましたが、私は、このことについて「開学時に公立大学法人制度があればちゅうちょなく選択していた」というのは後づけ議論であって、本当に求めていた話なら、制度がスタートした4年前から議論がされているはずではないかと思っています。それもなしに、ここへきての議論は、入学生の定員割れに危機感を持たれたがゆえのものだと思っていますが、ここでは財政面からのみお聞きしたいと思います。「県の持ち出しは不要」だと、とらぬタヌキの皮算用的な地方交付税を当てにした議論の根拠を明確にしてほしいと思います。また、交付税の見直しも予測される中、学費の半減や公立大学というブランド、学校経営の安定化などいいことずくめであるかのような構想を振りまいていますが、今後の財政運営見通しとの関係をどう推しはかるのかお聞きします。
 次に、本県の財政状況悪化のしわ寄せの一つとしての職員の給与カットなどについてお聞きします。知事は「県庁職員もまた生活のある人間である。しかし、この厳しい財政状況と県民サービス確保の必要性にかんがみて、皆さんの御理解を得て給与カットを続けることとした」と説明されていますが、昇給制度の見直しや地域給導入によって、職員給与は、全国でも最低レベルの水準となっている一方で、子供は成長し、養育費・教育費などはかさむばかりであり、厳しい生活状況も強いられています。その意味では、いつまでも給与カットを強いることにはならないと思います。今朝、議場に配布された26日付の人事委員会からの「地方公務員法第5条第2項の規定に基づく意見」の中でも、「特例措置が継続されることはまことに遺憾であり、給与の減額は、職員の生活に大きな影響を及ぼすものであることから、早期に解消されることを期待する」と述べられています。そのためにも、来年度で終結させるためには、どのようなことを講じるべきと考えられるのか、知事にお尋ねします。
 また、この4月から本格実施が行われる査定昇給制度についてであります。民間企業においても、行き過ぎた成果主義が労働者や職場のモラルハザードをもたらしたり、職場組織を疲弊させている状況にあることは、先進導入事例から多く見受けられるところです。本来、このような査定昇給制度を設計する際には、当該職員の意見、声をできるだけ取り入れることが肝要だと思いますし、実際民間では従業員代表や労働組合の意見を聞き、手直しをしています。試行を踏まえて、県はそのような取り組みは行ったのか。また、職員の意見を聞くことは考えられているのか、あわせて総務部長にお尋ねします。そして、どのような評価がなされたか職員にはブラックボックスとなっていることが、不信感を招くことにもなりますので、人事考課結果の本人開示は必要不可欠だと言わざるを得ません。昨年の決算特別委員会の私の質問に答えて、人事課は「人事考課については、本人への開示に向けて検討を始める」と言われましたが、どのような形で検討し、いつから開示するのか。査定昇給をどうしても本格実施するというのであれば、少なくてもその年度から開示すべきでないのか。また、評価に対して職員が苦情を申し立てることができるよう公平・公正な苦情処理機関が設置されるべきだと考えますが、総務部長にお尋ねします。
 次に、民間活力利用の形態と課題について、お聞きします。
 「官から民へ」ということが言われる中、県の場合、以前から民間委託という手法はとられていました。それが、「民間でできることは、できるだけ民間で行う」という骨太方針に沿って、民間移管、指定管理者、PFI、アウトソーシングと手法は姿形を変えて、公共サービスの担い手を民間に移転させようとしてきました。16日付の高知新聞には「尾崎知事は、各部署に事業の根拠や効果の明確化を求め、目的化してしまった感のあるアウトソーシングのあり方にも再考を促す」と記載されており、課題が多くなり過ぎていることを自覚されているのかとも思いますが、そこでお尋ねします。
 まず、アウトソーシングと公契約条例について、お聞きします。アウトソーシングと行革プランの断行の中で、この三年間における非常勤職員の雇用打ち切り者が164名に及びましたが、各年度における再就職希望者の再就職比率と今年度の再就職斡旋状況はどうなっているか。また、「再就職に向けた最大限の努力」の決意の内容と、どこまで責任をとろうとしているのか。さらに、12月議会で危惧をした試験研究機関などのアウトソーシングの落札率はどうなっているか、あわせて副知事にお尋ねします。
 昨年、決算特別委員会で業務改革推進室は、83業務の5分の1の企業を抽出して、雇用状況を把握していきたいと答弁されていましたが、どのような状況になっているのか。さらに、先日の2007年度雇用対策本部では「県のアウトソーシングがワーキングプアを生み出しているとの主張は否定できない」との問題提起があったと報道されていましたが、そのような状況になってないのか、総務部長にお尋ねします。
 次に、公契約条例についてであります。欧米では、PFI、民間委託、民営化、エージェンシー化などの導入に当たって、既存のサービスの提供に当たっている公務員の雇用条件等を犠牲にすることがないように様々な取り組みがなされています。例えば、「あらかじめ、当該公共サービス提供に従事している公務員の継続雇用の取り扱いなども入札評価要素として落札者を決定する。なお、受注者に対して、雇用する公務員について従来と同等の雇用条件を最低限補償すること」を求めるなど、「公務員時の給与・雇用条件を保障する協約」が法で定められなど委託先に働く労働者の雇用条件に配慮がされています。また、アメリカにおける120を超える自治体がリビング・ウェイジ条例を制定し、自治体委託や補助金事業体の労働者に対して、1,000円を超える賃金を保証しているのです。これは地域市民のコンセンサスとして、「税金で低賃金労働者をつくってはならない」というものです。
 そういうことを真剣に、日本でも、この高知でも検討しなければならない時期に来ていると考えるのです。それは、これまでにも提起してきた公契約条例であります。アウトソーシングをした公共サービスの品質を確保するとともに、県の事業で、低賃金・悪労働条件にあえぐ、いわゆるワーキングプアをつくり出すことのないよう社会保険・雇用保険などの労働福祉の状況、生活保護を上回る月額賃金の支給、退職金の制度化、労災の発生頻度などで一定基準を満たし、低劣な労働条件を押しつけないためにも、これらを義務づけ、委託予算策定時にそれらに見合う額を予算化するなどして、公正労働基準を確立するため公契約条例を制定するお考えはないか、知事にお聞きします。
 次に、県立身体障害者リハビリテーションセンターの民間移管について、健康福祉部長にお尋ねします。
 県は、これまでに県立養護老人ホームに始まって、知的障害児施設であった「南海学園」を知的障害者入所更生施設として民間に移管してきました。そして、いよいよ県立身体障害者リハビリテーションセンターをこの4月から、民間法人に移管しようとして、第58号設置管理条例の廃止議案の提案と、3億1,372万円の関連予算が計上されています。
 私たち県民クラブでは、2005年12月定例会でも質問をさせていただいたり、昨年2月定例会においては、「県の障害者福祉施策の充実及び身体障害者リハビリテーションセンターの県直営堅持と機能充実を求める請願」を、1万6,000余名の署名を添えて提出させていただきましたが、残念ながら採択されませんでした。
 これまで、県は身体障害者リハビリテーションセンターについては、「今後のあり方を考える会」からの、運営主体について、県直営という意見と民間移管が適当であるとの両論併記の報告を受けて、障害者自立支援法による新たな施設体系への移行については、県立よりも民間の方が、柔軟に対応できると考え、運営を民間に移管することが適当であると判断しました。そして、移管先の法人の募集・選定に当たっては、地域生活への移行や一般就労に向けた支援などに加えて、利用者のニーズに応じた、幅広い支援が展開されるよう、取り組んでいくとの答弁をされてきました。さらに、身体障害者リハビリテーションセンターの民間移管については、この間の議会審議や存続の請願への対応においても、現状のサービスを後退させないことが、移管の条件として確認されてきたはずであります。しかし、この間の移管先・ファミーユ高知の説明ではそのことが不明確であると、利用者の方からの声が出されています。
 そこで、移管の条件として、次のことが確保されようとしているのかお尋ねします。ファミーユ高知の説明では、福祉ホームは自炊であり、浴槽は普通タイプとされており、移管後の高知リハビリテーリングセンターは、入浴全介助の者は利用対象とならないとされているようだが、このことが障壁となって、利用できない事態ということは認められません。現在の授産部門利用者はもちろん、新規の利用希望者が重度の障害を持つ場合でも、新体系移行後も施設利用が保障されるのかどうか、お聞きします。
 次に、更生部門の利用者について、1年6か月を超える場合については、市町村と協議して適切な対応をするとのことですが、これは1年6か月を超す入所を認めるということの理解でよいのでしょうか。また、重度障害のある方は、他の施設との調整を図るとのことですが、一般就労に結びつくことが困難ということの判断で、受け入れを拒否するということはないとの理解でよいのか、確認させていただきます。
 さらに、新施設に移管しても、以上のことなどサービスの質については、執行部や議会としても検証できるスキームを講じておくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、高知医療センターにおけるPFI手法についてお伺いいたします。
 県は、来年度、高知医療センター運営支援事業費として25億3,100万円を予算化していますが、特に来年度から割賦金元金をはじめ企業債等元利償還金が7億円ほど増額するなど、構成団体負担金が多くなろうとしています。病院企業団議会では、2月補正予算で、高知医療ピーエフアイ株式会社いわゆるSPCに対する材料費抑制額見返りの特別損失を1億5,540万円計上することについて、了承が得られず、修正して提出し直すという一幕があったことは御承知のことだと思います。このことからも、来年度中には「公立病院改革ガイドライン」に沿った改革プランを策定することとしていますが、議会からは、その中で経営改善のためSPCに対するマネジメント料を始め、委託料にも踏み込んだ検討をすることが求められています。
 そこでお尋ねしますが、医師を始めとした病院スタッフが過酷な勤務実態のもと、身を粉にして、拠点病院としての医療機能を果たそうとされている中、幾ら頑張っても意欲を削ぐような経営状況では、医師確保策どころか、退職者をとどめることが精一杯なのではないでしょうか。今年見込まれている80名を超す退職者のうち、定年退職率は約4%程度などという状況を防ぐためにも、働き続けたい、頑張り続けたいという意欲を高めるような経営改善のための何らかの支援ができないか、健康福祉部長にお聞きします。
 本来、一義的には、企業団が事務局内に経営改革を進める組織を立ち上げ、経営改善に向けて全力で取り組むこととなっていますが、資金ショートが生じた場合に、県としても、県民の拠点医療、高度医療機関を放棄することにはならないと考えますが、構成団体でもある県として、責任ある対応をとる決意はあるのか、知事にお尋ねします。
 企業団は、2005年度、2006年度とそれぞれ17億円、21億円という赤字を出しながら、SPCはそれぞれ1億7,000万円の黒字と3,868万円の赤字となっています。06年度もSPCは自らのマネジメントのお粗末さで返上した2億3,641万円がなければ、1億9,773万円の黒字だったことになります。前社長はこの現象への批判を指して、経済誌の取材に応えて「鉄道が赤字だから車両メーカーに半分値引きさせろ」というのと同じ論理だと切り捨てるような発言をされています。このようなSPCは対等なパートナーシップにあると言えると思いますでしょうか。
 また、企業団は6年目には契約内容の見直しということを言っていますが、もともと財政状況が厳しく変化の早い中で、30年という長期契約によるPFI手法そのものが、妥当だったのかどうか、知事にお考えをお伺いいたします。
 次に、トータルな視点でのまちづくりについて、お伺いします。
 知事は、第一次産業の活用を始めとした県経済の活性化により県政浮揚を図ろうとされていますが、その一方でインフラ整備もあれば、環境立県をめざす課題もあります。県政運営に当たっては、さまざまな課題を一体的にとらえて整合性のある施策が講じられるべきだと考えます。しかし、これまでのまちづくりは、その辺がちぐはぐだったように思いますので、そのような視点を持った施策の打ち出し方ができないものかということでお尋ねします。
 26日に、JR土讃線高知駅周辺連続立体交差事業高架完成という新しいスタートを切りましたが、私は関連街路事業の都市計画道路はりまや町一宮線事業のあり方については、様々な視点から見た時に、中心市街地の活性化につなげる上でのターニングポイントになるのではないかと思っています。これまでにも、06年9月定例会での私や谷本議員、昨年6月定例会では大石議員のそれぞれが、シオマネキを始めとした希少動植物が生息できるという自然環境保護の視点や江戸期の工法による階段護岸、明治維新の息吹の残る歴史文化遺産を守ることからも、この工事の見直しを求める提言をさせていただきました。橋本前知事は、この工事に関して、雑誌で、「例えば新堀の開発の話だって、やめたらいいと思う。もう少し早く気づけばよかったし、気づくのが遅かった」と述べた上で、この場所を活用した新たなまちづくりへの可能性まで含めて言及をされていました。しかし、本会議においては、高知駅周辺の都市整備という効果を早期に発揮させるために、はりまや町一宮線を目に見える形にするため、高知市が整備されている追手筋弥生町線から北側は、早期の完成を目指すとしています。そして、そこから32号線までの南側は、水辺や掘り割りという歴史的な資産を生かしたまちづくりの視点から、広く県民・市民の意向も伺いながら、今後の方向性を検討してはどうかと答弁されました。
 さて、ガソリン税の暫定税率の存廃が国民的議論になっているとき、今まさに道路整備事業のあり方については、今まで以上に県民の合意が必要となっています。このことについての賛否の議論はさまざまあろうかと思いますが、これまでにも、そして、これからも未来永劫に続くのであれば、それは暫定とは言えません。本来、例えば当面3年程度の真の暫定期間を設け、その間に今後の道路整備計画の国民合意をどのように図るのか、そのために必要な財源はどうなるのか。その後は、暫定税率を廃止し、揮発油税等の税構造の見直しも検討する中で、道路整備に真に必要な財源の確保と内訳を明確にするなどの検討がなされるべきだと、私は思います。そんな考え方の前提を踏まえて、知事に提言したいのは、同じ暫定税率の維持を訴えるのであれば、このはりまや町一宮線事業の見直しを行い、新堀川という水辺空間を生かしたまちづくりに転換する。そこまでの決断をした上で、高知県は真に必要な命の道路路線確保のために、暫定税率は維持されるべきだと主張される方が説得力があると思いますが、いかがでしょうか。
 続いて、環境立県との関係でお尋ねします。県では地球温暖化防止対策を先進的に取り組むために、排出権取引など全国にも先駆けて取り組まれていることや、「温暖化防止高知県民会議」を立ち上げ、県民参加の省エネ活動の推進や都市構造を活かした公共交通の利用促進なども進められています。パークアンドライドも各所に取り入れられ、さらに来年度は、環境省の事業として土電・県交通の共通カード開発でエコポイント制度も導入されようとするなど、単に公共交通を利用しようというだけではなくて、温暖化防止対策として事業展開をされています。
 また、河川の持つ冷却効果も考えれば、わざわざ道路でふたをしてしまうことが、どうなのかと考えてしまわざるを得ません。先日、韓国大統領となったイ・ミョンバク氏が、ソウル市長時代に市内を流れるチョンゲチョンの流れを復元したことによる冷却効果は、ソウル市政開発研究院によれば、周辺の気温は近隣都心より平均3.6度程度下がるという調査結果が出て、ヒートアイランド現象を緩和し、ソウル都市部の気温を押し下げるものと期待されると、東亜日報でも報じられていました。これらのことから、環境立県を目指すのなら、地球温暖化防止のためにとる施策とはりまや町一宮線事業は矛盾するのではないかと思いますが、知事はどうお考えでしょうか。
 次に、土木部長にお尋ねします。新堀小学校北東側の地点の現状と追手筋弥生町線までの開通後の県独自の車両通行量の調査や、CO2排出量の測定比較などを行う予定はないのでしょうか。さらに、追手筋弥生町線の南側で、桜井橋と新堀橋の間の駐車場の一部を撤去するとのことですが、その区間の暗渠を可能な限り、できるだけ早く撤去し、その上で、水辺周辺の温度比較などを行う予定はないのか、お尋ねします。
 次に、自然環境保護との関係では、このはりまや町一宮線事業を進めるに当たって、昨年、希少動植物のコアマモとシオマネキを移殖するという方法を採られたわけですが、その後の現状を見た場合、移殖先を明らかにできないと言うことから、充分な検証が行われていません。ただし、「都市計画道路はりまや町一宮線生態系(動物類)調査移殖委託業務」報告書では、「死亡による減少があったことも確か」と述べ、「鳥もしくはイワガニ類に食害を受けた可能性が高い」と指摘されており、結果的な生残率はある地区では44%、もう一方の地区では67%と報告されています。そこで、お尋ねしますが、第三者による検証すらできない事業に282万円もかけて行って、100%保護される担保が得られない事業が適正なものだと考えられているのか。また、単なる業者の報告だけでなく、第三者による検証システムをつくる必要があるのではないかと思いますが、土木部長の考え方をお聞きします。
 この項の最後に、中心市街地活性化とまちづくりの関係でお尋ねします。先日、知事もパネラーとして出席された経済産業省主催の「中心市街地活性化シンポジウムin高知」では、高知市も目指そうとしているコンパクトシティーについて議論がされました。横森豊雄・宮城大学教授からの基調講演「コンパクトでにぎわいあふれるまちづくり」を聞いてみて、知事はどのように受けとめられたのでしょうか。私は、講師が紹介した「金太郎飴の地方都市の衰退プロセス」が今の高知市を指し示しているようで、コンパクトシティーを目指すのなら、早く軌道修正を図らなければと思ったところです。今のままでは、資金を投入し切った上で、はりまや町一宮線の四車線化が中心市街地におけるストロー効果を発揮し、衰退プロセスに拍車をかけてしまうのではないか。そして、衰退プロセスをたどり終えてから、軌道修正するという矛盾をはらんでいるように感じました。将来に向けたコンパクトな町をつくり、中心市街地の活性化を図るということが県・市の目標であるならば、そこをしっかりと見きわめてほしいと思うのです。その際には、パネリストでもあったまちづくりの仕掛け人の西郷さんが、高知のまちづくりの視点の一つとして「すばらしい歴史・文化資源を生かす。とりわけ江戸初期のブラッシュアップを図ること」とアドバイスされましたが、私は、これに幕末から明治維新期を取り込んでこそ高知らしさが加わるのだと感じたところです。そのためにも、新堀川界隈の幕末から維新期の息吹をまちづくりに生かすことだと思います。そして、それが歴史文化遺産を活用した町歩きの観光コースにもなり、今まで同様はりまや地区と菜園場地区のつながりを維持することにもなり、賑わいをとりもどすことにもなるのではないかと思います。
 そこでお聞きしますが、以上のようなまちづくりのために「新堀川をシンボル川に」とでも言うべきまちづくりの一つの象徴にするため、新堀川を活用するつもりはないのでしょうか。
 また、18日には、県・市・JR四国・JR貨物の四者で新高知駅の周辺を再開発するまちづくり協定を締結し、中心市街地全体の回遊性を創出する土地利用を盛り込むこととされたようですが、新堀川周辺を町歩き・滞在型観光の一角として位置づけ、新堀川に生息する希少動植物や、ゆかりの歴史・文化遺産の説明プレートなどが各所に設置されていれば、誘客効果にもつながるものだと思いますが、いかがでしょうか。
 いずれにしても、新堀川を四車線道路で塞いでから、取り返しのつかないことになったと言わないようにするため、前知事が言った「32号線までの南側は、水辺や掘り割りという歴史的な資産を生かしたまちづくりの視点から、広く県民や高知市の意向も伺いながら、今後の方向性を検討してはどうかと考えている」といったことを尾崎知事はいつまでに、どう具体化するつもりか、お聞きします。
 次に、南海地震対策について、危機管理部長にお尋ねします。一昨年5月にスタートした南海地震条例づくり検討会の開催も18回に及び、最終的に「高知県南海地震による災害に強い地域社会づくり条例案」をまとめ上げられ、今議会に提案されました。執行部の皆さんはもちろん、検討委員の皆さんの御苦労にも敬意を表したいと思います。私も5年前の初登壇で、当時の橋本知事に条例制定を迫ったことを考えれば、やっとここまで来たのかという思いがいたします。私自身、計10回にとどまりましたが、可能な限りの検討会傍聴を心がけるとともに、節目で開かれたワークショップやシンポジウム、骨子案説明会などへと精一杯参加してきたつもりです。
 その意味では、検討会会長としての岡村高知大学教授が締めくくりに「100年に一度何故高知県民が1万人も死ななければならないのか。人生80年の間の揺れの3分間、津波の6時間の間に奪われてしまうのか。そのことを何としても防ぎたい。地震災害は防げないわけではない。諦めてはいけない」という言葉で結ばれましたが、この言葉を県民へのメッセージとして、この条例が伝えられるものになればというふうに思います。そして、多くの委員が、今回の議論を通じて学んだ「防災文化」が、この高知に育まれることを期待したいと思いますし、この条例をもとにした計画や施策の具体化をどう図っていくかが、今後の県の大きな責務となろうかと考えているところです。
 そこで、条例の実効性を求めて、「条文をどのようにして県民の血肉とするのか」が問われると思いますが、新年度予算には啓発のための事業が予定されていますが、「条例をわかりやすく解説した啓発パンフレットなどの作成・活用の考え方」、また、「行動計画の作成、実施状況の点検と公表、実施効果の検証への専門家や住民参加のスキーム」はどのようになっていくのか。さらに、地域や社会における参加面で十分とは言えない企業・事業主に対する周知と意識啓発をどういうふうにされていくのか、お尋ねします。
 次に、「防災文化」についてでありますが、このことの理解と根づきがどのように図られるのか。大人社会では、企業・職場・地域・自主防災会などの活用となると思いますが、危機管理部長は、そのためにどのような手立てを講じるつもりでしょうか。また、子供たちについては、教育と一体となった理解と根づきが必要ではないかと思いますが、教育長として、今後の防災教育のあり方と防災文化についてどのように考えているか、お聞きします。
 先ほど、中内議員が質問されましたのでできるだけ重複しないように、別の視点から、県消防の広域化推進と消防救急無線のデジタル化について、お尋ねします。先ほどるる答弁がありましたけれども、広域化による体制の整備充実が必要との前提はあるとしても、一元化を軸にした広域再編の方向性を打ち出した報告書が取りまとめられようとしている中、このまま方向性をまとめてしまってよいのかという疑問の声も聞こえているのは事実です。というのは、仮称、高知広域消防組合設立協議会で組合規約や規程を協議し始める前に、報告書の中で触れられている「第五章 広域化後の消防の円滑な運営」の「2 基本的な体制の整備」に指摘された「構成市町村ごとの負担金の額又は負担割合などに係る基本的なルール」「職員の任用、給与」「中長期的な整備費用の見通しを含めた消防力の整備計画」「部隊運用、指令管制などに関する計画」などなどの7項目について、「可能な限り組合規約や規程等において定めておくことが適当」とされていますが、これらのことが、一ブロック案、または、三ブロック案、六ブロック案のいずれを採用するかによって、どうなっていくのかが、現時点では何ら明らかになっていないからであります。
 そこで、お尋ねしますが、一ブロック案における72名の再配置可能人員についても、「一定条件のもとで各案の効果を測定するために算定した人数であり、実際に配置できる人数を表したものではありません」と注意書きが付されていますが、来年度の事前協議の場において、再配置可能人員のスクラップ箇所と、ビルド箇所が示されるのか。また、一ブロックにした場合の部隊運用や指令のあり方の一元化の可能性は、体制などの面から可能なのか。もし、可能とした場合、想定される体制や導入経費及び維持経費分担などはどのようになるのか。さらに、消防団については、従来どおり各市町村ごとに設置し、広域化の対象としないとしていますが、指令業務が一元化された場合の、消防団の招集方法はどうなるのかなどは、初動を現場の消防団に頼っている地域にとっては、不安材料になると思われますので、これらも具体的に示されるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 いずれにしても、「全市町村を対象に県内全域を一つとする消防本部体制」を目指すことが必要と判断した計画について、計画に言う「掘り下げた検討」をした結果一ブロック化に全市町村の合意が得られなければ、計画の変更はなされるのか。その検討のための事前協議の場における情報提供を始めとした、県の役割を改めてお聞きします。
 次に、消防救急無線のデジタル化についてであります。平成28年を目途にデジタル化に移行するに当たって、県や市町村、消防本部で構成する消防救急無線のデジタル化等検討会を立ち上げ、先ほど、中内議員が申されたような経緯をたどり、現在に至っております。整備に当たっての事業主体は、市町村及び消防本部であるわけで、県としても効率的な運営方法や、費用の軽減策などについて、十分に調整、協議を行うこととされていますが、県が防災行政無線中継所の更新などに莫大な費用を予算計上されている現在、それらも共同利用しようとする消防救急無線のデジタル化の現状がどうなっているのか、お尋ねします。
 まず、当初計画では、来年度には「基本設計、整備・運用主体及び費用負担方法の決定」が行われることとなっていますが、現状は計画どおり進んでいるのでしょうか。さらに今回の更新整備される県の防災行政無線中継所を共同利用することで、費用を大幅に削減することとしていますが、それらの影響額は市町村に対していつ頃お示しできるのか、お聞きします。
 最後に、児童虐待と発達障害支援について、健康福祉部長にお尋ねします。午前中に武石議員が指摘されたように、2月4日に発生した南国市大篠小5年生の藤岡和輝君の虐待死という痛ましい事件は、私たちの教育や子育ての支援のあり方に対して大きな波紋を投げかけました。学校、行政機関がSOSを察知してからおよそ1年間、何度か防げるチャンスはあったのに、なぜそれができなかったのかということで、徹底した背景と原因の究明がなされなければなりません。また、その間も、在宅している14名の要保護虐待児に何らかのことが起きてはなりませんので、関係機関との連携を十分に図りながら見守り、最善の措置を講じていかなければなりません。
 ところで、私が、06年9月定例会で、本県児童相談所の対応件数の増加率の多さに対して質問した際、部長は「受付件数の伸びに比べ、対応件数の伸びが高くなっているということの背景としては、虐待の相談や通報があった場合には、できるだけ虐待を予防する観点から、虐待かどうか判断が微妙な場合には、虐待として積極的に対応し、子供と親の見守りを行い、事故の防止につなげるという取り組みを進めていることによる。虐待問題は、重要な課題なので、2005年4月から児童相談の窓口が市町村に拡充されたが、本県ではすべてのケースを、児童相談所で初期対応することとして、児童虐待に積極的に対応している」と答弁されていました。しかし、そのことが返って児童相談所の負担を増大させるとともに、市町村相談窓口の専門性が高められず、要保護児童対策地域協議会が十分機能せず、学校との連携などにそごを来していた面があるのではないでしょうか。今後、児童虐待死亡事例検証委員会による検証もしっかりと行っていただかなければなりませんが、その際に考慮すべきことについて、お尋ねしておきたいと思います。
 これまで、文化厚生、総務の各委員会などに報告された中で、今後、市教委と小学校で一定期間内に取り組むものとして、要保護児童対策地域協議会による対応というふうにありますが、現在の市町村における設置状況と運営状況はどうなっているのか。今回の事件をきっかけに各市町村の現状をとらえ直すため、開催されたりしたところはあるのでしょうか。また、当該南国市では、昨年9月時点ではこの会は設置されていなかったと思いますが、いつ設置され、どのような運営状況となっていたのか、お聞きします。さらに、来年度の県の組織改正では、「児童虐待等への適切な対応を図るとともに、要保護児童対策地域協議会や虐待防止ネットワークの円滑な運営を支援するため、児童相談所の体制を強化する」となっていますが、市町村の相談窓口の強化への支援はどのようになされていくのか、お尋ねします。知事は、午前中の答弁でもありましたが、平成20年度においては、児童虐待等への適切な対応を図るために、中央、幡多ともに増員による体制強化を図るが、委員会での検証結果を受けて、体制が不十分であれば、さらに児童相談所の体制の充実を行っていきたいと述べられていますが、単に人数だけではなく、どう専門性を高めていくのかということも含めて、年度途中の体制強化の決意を知事にお尋ねします。
 また、発達障害と虐待について研究されている、あいち小児保健医療総合センターの保健センター長、杉山登志郎さんは、軽度発達障害が虐待の主な要因になっていると指摘されています。受診した被虐待児の実に53%に何らかの発達障害が診断され、受診された親子そろってアスペルガー症候群だった25例のうち、19例で子供に親の虐待があったことなども紹介されています。また、「高知県における発達障害児・者の支援について 審議のまとめ」が発表されていますが、その中にも「児童虐待や非行、いじめ、不登校などにかかわる問題に発達障害が関係するケースが相当数あると考えられる」との記載があるなど、発達障害児童に対する支援も児童虐待防止の課題として、早急に取り組んでいただきたい課題だと思っております。今後、県としてこの「審議のまとめ」に沿った支援施策の充実や高知県立療育福祉センターの機能を十分発揮するためのあり方を検討する「高知県立療育福祉センターのあり方を考える会」での議論に当たって、踏まえていただきたいこととして、幾つかお伺いします。
 まず、発達障害者支援法によって「国及び地方公共団体は、発達障害者の支援等の施策を講じるに当たっては、医療、保健、福祉、教育及び労働に関する業務を担当する部局の相互の緊密な連携を確保する」ことが求められている中、発達障害児童にとっては教育的な支援のみならず、医療的観点からの支援も必要不可欠であります。その意味でも、医療面における連携が十分に図られる中で、学ぶ機会の得られる通級指導教室などを設置することが望ましいと思いますが、この件につきましては、教育長にお尋ねします。
 また、発達障害児を持つ親・家族を一時的に、一定の期間その児童の療育から解放することによって、日頃の心身の疲れを回復し、ほっと一息つけるような援助をすることで、暴力や虐待への抑止効果を持つものと考えられます。そこで、発達障害者支援センターにそのようなレスパイトサービスが受けられるような発達障害児童の通所及び一時入所の機能を確保することの検討も必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、発達障害のある児童・生徒が義務教育を終えてからの支援の場所がなく、高校における中途退学の要因となっている面も見受けられ、転職を繰り返したり、職に就けないために、ひきこもりや家庭内暴力等の二次障害を発生させている場合があります。このようなことを起こさないための支援も必要不可欠な課題であり、そのため、義務教育を終えて、就労・自立を目指す発達障害者の職業訓練機能を持った、発達障害者職業訓練教室などを検討すべきではないか思いますが、御所見をお伺いして、第一問といたします。

◎知事(尾ア正直君) 坂本議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、私が取り組みます、勝ち組のためだけでない政治についての基本姿勢についてお尋ねがございました。私は、選挙戦を通じて、また、知事就任後もできる限り多くの時間をかけるよう心がけて、県民の皆様と対話する中で、多くの方々のお声をお聞きしてまいりました。商工業しかり、農林水産業しかり、県都の多くを占める中山間地域の方々からの不安の声などもいただいたところでございます。そうした皆様の声にお答えすることが、私の責務であると考えております。
 そのためにも、例えば、来年度、産業別・地域別の振興計画を策定することにしておりますが、その際には、単に先進的な企業や地域のみを対象とするのではなく、地域地域の経済の底上げを図るといった視点を基本に据えて取り組んでまいりたいと考えております。
 また、現在検討しております教育の問題にしましても、有名大学への進学率を上げることを目的としているなどということでは決してなく、すべての子供たちが、将来、それぞれの進路で、自分たちの個性を生かし切れるよう、基礎的な学力を十分に身につけさせてあげたいというのが、私の思いであります。
 このように、厳しい状況下でございますが、県民の皆様の切実な思いを胸に、その幸せのために、皆様が将来に希望の持てる高知県づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
 対話の場に参加できない方や、地域以外の小数の声との対話のあり方について、お尋ねがございました。対話と実行というのは、私の県政運営における基本姿勢であります。知事就任以来、地域地域、及び、団体など、多くの県民の方々から呼びかけていただいた場合や、集会があります場合には、時間の制約がある中でも可能な限り出席させていただいております。この4月からは、さらに、庁内の体制を整備して、県内各地域へ計画的に伺い、できるだけ多くの皆様と対話する機会を設けることとさせていただきたいと考えております。しかしながら、それでも私の身は一つであるという物理的な限界によって、そうした私が直接対話をさせていただけない県民の方々も当然いらっしゃることと思います。私は、前々から申し上げておりますように、対話と実行とは、知事一人が行うにとどまるものではなく、県庁組織として、全体として、これもまた行うべきものだと考えております。
 そこで、そういった方々との対話を県庁組織としても進めるために、地域支援企画員の役割と体制の充実を図ることとしております。さらに、県の職員一人一人が誠意を持って耳を傾け、対話する姿勢で仕事を行う、こうしたことを県庁全体として、組織的に取り組むことで、県民の皆様としっかりと対話していく県政を着実に推進してまいりたいと思っております。いずれにしても、大切なことは、声なき声にも耳を傾けるという姿勢を忘れないことではないかと考えております。
 次に、異なる意見を対話せずに切り捨てるのではなく、聞く姿勢が必要ではないかとのお尋ねがございました。私自身も、議員と同じ考えでございます。今のような厳しい状況だからこそ、そういった意見にも真摯に耳を傾け、しっかりと対話を重ねて、県民の皆様にも、関係者の方々にも、それぞれ納得を得られる政策をつくっていこうとする、そういう姿勢が大切だと思っております。
 次に、県民の皆様の目線に立った県政を進めるための心づもりについて、お尋ねがございました。私は県民の皆様の声に謙虚に耳を傾け、県民の皆様の目線に立って、仕事をするよう、絶えず自戒をしてはおりますが、12月に知事に就任してから、まだ日も浅いこともあり、自分の思いだけでは、判断を誤ることもありますので、議員の皆様方やまた職員にも厳しくチェックをしていただきたいと思っております。言うまでもないことですが、私一人の力で県政を運営できるわけではございませんので、県民や議員の皆様から御協力をいただき、また、職員とも力をあわせて県政浮揚に向けて頑張ってまいりたいと考えております。
 次に、今後の財政運営の見通しについて、お尋ねがございました。平成20年度の予算編成においては、昨年6月に行った収支見通しで前提としていたものと同様のシーリング率を設定して取り組んだところでございますが、その後の予算編成過程における歳入確保や歳出効率化の取り組みにより、結果的に昨年6月の収支見通しよりも、健全な財政の見通しを確保できたものと考えております。
 ただし、財政運営は先々の健全性を精緻に確認しながら行っていくべきものでありまして、今後の財政運営を見通していくために、議員御指摘のとおり、新年度の予算に基づく試算を改めて行う必要があると考えております。
 現在、昨年6月に行った財政収支の試算について、新年度の予算などをもとに、単純に歳入歳出額や基金残高などの発射台の置きかえを行い、試算上の各種の前提条件については、前回の試算との比較が容易になるよう、前回と同じものを用いた、暫定的な試算を行っております。
 今後、この内容を精査するとともに、今年度末に、県債等の額が確定することに伴う基金残高等の増減を反映させるほか、試算の前提条件についても再度検討を行った上で、今後の財政収支の試算を確定してまいります。
 現時点での暫定的な試算では、昨年6月の試算と比べて、平成20年度末の基金残高が、100億円程度増加することが見込まれますことから、昨年6月の試算時に想定された、平成21年度に基金が底をつくという事態は回避できるものの、依然としてここ数年は毎年多額の財源不足が生じることが見込まれており、緩和されたとはいえ、今後も引き続き、厳しい状況が続くことに変わりはございません。
 このため、予算の重点化、効率化や財源の確保に向けて、知恵を総動員することにより、県民サービスを維持しながら、中期的に収支の均衡が達成できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、新年度予算編成を私が手がけたことによる効果と成果、あわせて地方交付税等の確保の手法についてお尋ねがございました。現在の厳しい状況を克服し、本県を将来に希望の持てる県としていくためには、今後の財政運営において、県民サービスの確保と財政健全化の両立を図ることが不可欠であります。
 このため、私自身が直接かかわった年明け以降の予算編成においては、個別事業を吟味することはもとより、節目節目において、その時点での歳出全体の規模や財政の不足額などについてもきめ細かく確認しながら、編成作業を進めてまいったところでございます。
 最後に1回だけ見通したというわけではなくて、編成過程においては、議員が先ほど御指摘になられたとおり、先々の財政収支の見通しというのを見通しながら、行ってまいったということであります。
 この結果、新年度予算では、人件費や公債費を除く県民サービスに直接かかわる歳出の規模を前年度比に比べて微減にとどめた上、普通建設事業費については、例年10%を越える削減がついてきた中で、事業効果の早期発現のために実施する2月補正予算への前倒し分を含めて、前年度比でプラスに転じさせたほか、中山間対策を大幅に拡充するなど、県民サービスの確保と県経済への配慮に最大限務めた内容としております。同時に新年度の財源不足額を、当初の見込みに比べて、20億円程度改善させたほか、県債残高についても引き続き減少さし、また、基金残高についても、一定の確保を図れたと考えており、厳しい状況にある県財政を将来を見通して着実に改善させていると考えております。
 今後とも県財政は、厳しい状況が続くことから、県民サービスの確保と県財政の健全化をともに実現するため、国の予算編成に携わった経験を生かし、知恵を総動員して取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、今後の地方交付税等の確保につきましては、これまでの国への働きかけが実を結び、地方再生対策費の創設によって、財政状況の厳しい地域に配慮が行われたことは、評価できるところでございますが、依然として大きな財政力格差は、残ったままでありますし、引き続き格差是正を強く求めてまいりたいと考えております。そのためには、国に対して、高知県の実情をしっかりと理解させるとともに、現行制度の問題点を分析し、本県のような厳しい地域の財政需要が的確に反映され、財源がより傾斜的に配分されるしくみとなるよう、説得力ある提案を行っていく必要があります。こうした提案を具体的に検討していくとともに、新年度から抜本的な体制強化を図る東京事務所に、機動的な対応を行わせることにより、国の制度改正、もしくは配分における配慮につながるように取り組んでまいりたいと考えております。あわせて、全国知事会等の場においても、本県の考えをしっかりと主張し、地方全体の意見に反映させていきたいと考えております。
 次に、高知工科大学の公立大学法人化に関連しまして、交付税の議論の根拠と今後の財政運営見通しに関しますお尋ねがございました。あわせてお答えをいたします。高知工科大学が公立大学法人として認可されれば、県が支援していくべき大学として、国から認められることになり、その結果、地方交付税が措置されます。
 具体的には、県立大学と同様に、交付税の算定の基礎となる基準財政需要額に参入されることになりますが、平成19年度の高知工科大学の学生数をベースに試算してみますと、およそ38億円の基準財政需要額となり、現在の私学助成金およそ10億円に比べますと、大幅に伸びることになります。高知工科大学では、これまでの私学助成金以上に、交付税が確保され、それが大学に交付されることとなれば、その分、現在の授業料を低く抑えることが可能となり、また、国公立大学への指向が強い中で、公立大学法人となって、公立大学の仲間入りをすれば、信頼度や知名度が高まり、学生募集も有利になるとしているところであります。
 高知工科大学の公立大学法人化は、午前中副知事からお答えしましたように、県内産業の振興や人材育成など、公設民営の大学として、これまで高知工科大学が果たしてきた役割を引き続き担ってもらうために必要と考えております。このため、今後手続き上の課題や作業スケジュールなどについて、国や大学と検討をしてまいります。
 次に、職員の給与カットを来年度で終わらせるため、どのようなことを行うのかとのお尋ねがございました。職員の皆さんの日頃の御労苦や、職員もまた家族を持つ生活者であるということにかんがみますと、できれば給与カットは避けたいと考えておりましたし、人事委員会の勧告に基づかない給与カットは、異例のことだと認識をしております。しかしながら、厳しい財政状況や県民の皆様こそ非常に厳しい状況に置かれているという状況を勘案し、給与カットをさらに1年間継続するという苦渋の決断をさせていただいたところであります。
 来年度以降につきましても、できる限り給与カットはしたくないと思っておりますし、回避に向けた努力をしたいと考えております。このため、歳出面では、予算の重点化、効率化や公債費負担の平準化などに一層取り組むとともに、歳入面では、県有財産の処分などによる財源確保などに務めるほか、国に対して地方交付税等の充実確保に向けた働きかけを強化するなど、財政状況の改善に向けて、あらゆる手だてを講じてまいりたいと考えております。
 次に、公契約条例について、お尋ねがございました。わが国おいて、労働条件は、労働基準法や最低賃金法など、労働関係の法律を遵守しなければならないことは当然のことであります。労働条件が労働者の能力や技術などにより、労働者と使用者との間で契約で決定されるものでありますことや、経営資源を活用した企業間の適正な競争性の確保といったことなどを含めて考えますと、条例の制定は、両者にどういったメリット、デメリットがあるのか、また、本当に効果につながるかどうかという判断の難しい面もございます。このことから、国の法整備の状況や全国の動向も見きわめたいと思っております。
 他方、県の契約につきましては、平成18年度に専門家に委託して、契約書や仕様書の見直しを行い、法令上の責任や法令遵守について、明確に規定いたしましたので、その適正な運用に努めてまいりたいと考えております。
 次に、高知医療センターの運営に関し、構成団体として責任ある対応をとる決意はあるかとのお尋ねがございました。高知医療センターの経営改善につきましては、議員御指摘のように、一義的には企業団が自らの責任で取り組むべきものであります。高知医療センターの経営改善については、先の12月議会で決議をいただいておりますので、その決議を踏まえまして、企業団と構成団体である県・市の3者で、医療センターの今後の運営について定期的に協議を行うこととしており、第1回の会合を1月に開いたところでございます。
 経営改善に向けましては、まず、企業団において、平成18年11月の経営改善推進委員会の中間提言や、国から示されました公立病院改革ガイドラインを踏まえ、平成20年の早い段階に、経営改善計画を策定することとしております。経営改善計画の策定に当たりましては、先ほど申し上げました県・市・企業団の3者の協議の場を活用し、構成団体としての意見を述べ、計画に反映されるよう取り組んでいくとともに、その成果が上がるような支援をしていきたいと考えております。
 ただ、経営改善につきましては、繰り返しになりますが、まずは、企業団の責任で職員が一丸となって取り組み、高知医療センターが県下の基幹病院として、良質で高度な医療を提供し、県民の期待にこたえることのできる病院となるよう、全力で取り組んでいただくことが必要であると考えております。
 次に、高知医療センターのPFI事業を運営する上でのSPCのパートナーシップについて、お尋ねがございました。高知医療センターの整備、運営事業に当たりましては、病院の建設、維持管理、及び運営などに、民間の資金や経営運営面でのノウハウを活用するというPFI手法を全国で初めて導入し、官民協働による望ましい整備や効率的かつ効果的な公共サービスの提供を目指し、事業を進めてまいりました。PFI事業の導入に際しては、PFI事業者、つまりSPCへの包括委託とその専門的マネジメント能力から、サービス提供等、最適の医療環境の整備や材料の効率的調達や業務管理等経費の経済的な執行などについて、相当の効果を期待していたところでありますが、材料費等委託業務の一部やSPC自身のマネジメント面などについて、課題が指摘されており、当初期待していたほどの効果は上がっておりません。このため、現在、企業団では、SPCの提案業務を検証するとともに、材料費の圧縮や経費の削減に向け、SPCと一体となって経営改善の取り組みを進めているところでありますが、病院企業団、ならびにSPCには、県民に対し、高度で良質な医療サービスを提供するという同じ目標に向かって、取り組んでいただきたいと思います。
 いずれにしても、両者は、病院運営のパートナーとして、それぞれが役割を果たし、高度医療や高次の救急医療など高い評価を得ている医療面とあわせて、経営面でも徹底した経営改善を行い、安定した病院運営に向けた取り組みを進めていただきたいと考えております。
 次に、高知医療センターのPFI事業に関し、30年間の長期契約、これについてのお尋ねがございました。病院事業のPFI事業契約は、先ほど申し上げましたように、民間の弾力的な資金調達や経営・運営面でのノウハウなどを活用することにより、官民協働による望ましい施設整備や効率的かつ効果的な医療サービスの提供を促進しようとするものであります。30年間のPFI事業契約は、高知医療センターが長期にわたって効率的かつ安定的に運営がなされることを目的として、PFI法第11条において、債務負担する場合の契約の最長期間である30年間を契約期間としたものと聞いております。先ほど申し上げましたとおり、PFI事業の運営状況に関しまして、病院事業開始後、3年が経過し、経営面では当初計画以上の厳しい状況にあり、現在、企業団においてSPCの提案業務の検証や経営改善計画の検討を行っているところであり、現段階では、その検証状況を見守りたいと考えております。
 いずれにいたしましても、県・市・企業団3者で、医療センターの今後の運営について、定期的に協議を行うことになっており、その協議の場を利用しながら、適切に対応をしてまいりたいと考えております。
 次に、はりまや町一宮線の整備についての一連の御質問にお答えをいたします。
 まず、はりまや町一宮線の事業の見直しを行った上で、道路特定財源の暫定税率維持を主張する方が説得力があると思うがどうかというお尋ねがありました。武石議員、中内議員の御質問にお答えしましたように、県内にはまだまだ整備が必要な道路が残っており、道路特定財源の暫定税率の維持が、今後とも必要であると考えております。はりまや町一宮線は、高知市の都市環状機能を有する道路であります。渋滞を緩和するとともに、高知市中心部を通過する交通を排除することにより、人が中心で、高齢者などにもやさしいまちづくりにつながる、中心市街地の活性化のためにも重要な道路でありますが、一方で水辺空間が大切であるといった県民の御意見もございます。このため、追手筋弥生町線から南の区間につきましては、水辺や掘り割りという歴史的な資産を生かしたまちづくりの観点から、広く県民や関係者の皆様の御意向も伺いながら、今後の方向性を検討してまいります。
 道路整備においては、それぞれの箇所ごとに解決すべき課題はありますけれども、個別の事情と本県の将来を左右する県全体の道路整備にかかわる暫定税率維持の問題とは、直接には関係がないものと考えております。
 次に、地球温暖化防止の施策とはりまや町一宮線の4車線化が矛盾するのではないかというお尋ねがございました。平成17年4月に閣議決定された京都議定書の目標達成計画では、交通の流れを円滑化することによる走行速度の向上が、自動車からの二酸化炭素排出を減らすことから、環状道路などネットワークの整備や連続立体交差事業などによる踏切の除却などを推進することを定めているところであります。はりまや町一宮線を整備することによって、高知市中心部で渋滞する交通の流れを円滑にする効果がございます。このことは、京都議定書目標達成計画に定められた地球温暖化防止のための施策と矛盾するものではないと考えております。
 次に、新堀川の活用とはりまや町一宮線の南側の整備の今後の方向性をどう具体化するのかについて、お尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。はりまや町一宮線は、高知駅周辺都市整備の一環であり、連続立体交差事業の効果を生かすための重要な道路として、都市計画決定し、整備を行っております。高知市中心部の交通渋滞の緩和や、先ほど申し上げましたとおり、人が中心で高齢者の方々にもやさしいまちづくりに向けた、今後の中心市街地の活性化のために必要な道路であると考えております。
 このため、追手筋弥生町線から北側は、平成21年度末の完成を目指して、整備を進めてまいります。整備に当たりましては、もともと道路上にあった兆民通りの碑のほかに、新堀川にかかっていた5つの橋や、生息する希少動植物などの説明板も道路の植樹帯などを利用して、新たに設置する予定であります。さらに、北側の区間の中にある階段護岸につきましては、現在、地域住民の皆様とワークショップなどにより、具体的な保存方法について、検討しているところでございまして、年度内には、保存の方向性を定める予定であります。
 また、追手筋弥生町線から南の区間の整備につきましては、先ほどもお答えしましたように、水辺や掘り割りという歴史的な資産を生かしたまちづくりの視点から、広く県民や関係者の皆様の御意向も伺いながら、今後の方向性を検討してまいります。具体的には、平成21年度末の北側区間の完成以降に、実際の交通の流れや、新堀川の自然環境の復元の推移を県民の皆様にお示ししながら、検討したいと考えているところであります。
 次に、児童虐待への適切な対応を図るための職員の専門性と年度途中の体制の強化について、お尋ねがありました。今回の事件を受けまして、来年度の児童相談体制を強化することといたしたところでございまして、具体的には、中央児童相談所相談課の3班13人体制を、4班17人体制、幡多児童相談所の相談サポート班の4名体制を、5名体制に強化することにしておりますが、先に設置しました、児童虐待死亡事例検証委員会で、体制につきましても検討いただくこととなっておりまして、その結果を受けて、体制が不十分であれば、さらに児童相談所の体制の充実を行ってまいりたいと考えております。
 また、この検証委員会においては、関係する職員、教員などが子供たちを守るために、より積極的にそれぞれが主体性を持って、行動をするようになるにはどうすればよいのかということなど、現場におけるルールのあり方も含め、具体的、実践的な再発防止策を提言いただくことにしており、検証結果は6月中には明らかにしたいと考えているところでありますが、これにより、現在の人員がより効果的な動きができるよう、即効性のある体制整備を図ってまいりたいと考えております。
 さらに、こうした体制、ルールなどの強化とあわせまして、議員御指摘のとおり、職員の専門性を高め、実質的な充実を図ることが重要となると思います。相談業務に携わる児童福祉士の専門性を確保するには、5年から10年程度の経験が必要であり、さらに指導的立場に立てる職員を育成するためには、より多くの経験が必要だと言われております。このため、職員の人事配置や異動については、こうしたことを考慮し、できるだけ長期の配置を行うなど、研修と経験を重ねることで、指導的な立場に立てる人材の育成等を通じ、児童相談所に求められる専門性を確保したいと考えております。
 また、職員のモチベーションや専門性を高めるため、相談業務にかかわる児童福祉士や児童心理士、一時保護職員に対し、虐待問題等対応機関職員の研修や相談研究を行う、子どもの虹情報研修センターでの研修など、初任、中堅、スーパーバイザーそれぞれに応じた全国レベルの研修の受講や所内での研修の充実に努め、より専門性を持った職員の育成を図り、児童相談所の相談体制を質的にも充実することとしたいと考えております。
 私からは、以上であります。

◎総務部長(中澤卓史君) 査定昇給制度の設計について、職員の意見を聞いて取り入れるべきとのお尋ねがございました。
 まず、平成17年度に査定昇給の基礎資料となります人事考課の大幅な改訂を行いました。その際には、職員アンケートをもとに、評価の項目や着眼点のたたき台を作成し、職員で組織する検討委員会での意見を取り入れ、取りまとめした最終案は、ステージ別期待人材像、考課要素、考課表、考課基準、しくみなどを全職員に公表し、意見照会を行うという手順を踏みました。平成18年度には、年度当初に全職員を対象とした説明会を実施し、質疑応答やアンケートも行った上で、新しい考課表での人事考課を実施しました。その結果は、今年度の前半に分析を行い、分析を踏まえた対応方針とともに、8月に職員団体に説明ののち、全職員に公表し、意見の申し出の機会も設けました。この間、職員団体には、申し入れに対する回答や昇給内申等の方法についての説明などを行っていますほか、交渉の場での議論を行ってきました。
 こうした中で、新しい仕組みを導入したり、見直しをしたものもございます。例えば、昇給についての苦情に対応するための審査会を新たに設けることといたしました。また、原則として、課長、チーフといった役職段階ごとに昇給区分を決定していくことや、導入の初期には、昇給区分の運用を特に慎重に取り扱うといった運用を行うことにもいたしました。公務員の給与制度は、民間企業とは異なりまして、人事院、人事委員会の勧告に沿って定められるものですので、職員団体との話し合いによる裁量の範囲にはおのずと限界がございますが、今後とも、職員からの意見も聞きながら、この新しい昇給制度の熟度を高めていきたいというふうに考えております。
 次に、人事考課の本人への開示と苦情処理について、お尋ねがございました。人事考課の結果を本人に伝えることは、人材育成を進めていく上で、重要なことの1つであり、これまでも口頭で本人にその内容をフィードバックしていますが、査定昇給との関係において、人事考課表そのものを開示することも納得性を高める方法の1つだと考えていますが、現在の考課制度は、非開示を前提に設計をしております。そのため、来年度から開示を行うことを前提としまして、考課表のあり方や開示することのデメリットへの対処方策、開示の方法など、具体の検討を行うことにいたしました。本人への開示は、こうした検討と準備作業が終わった後となります。
 昇給区分に対する苦情に関しては、人事委員会の苦情相談制度や労働委員会の労働相談制度がありますが、さらに職員が申し立てをしやすいように、任命権者としても、異議の申し出を審査する中立的な審査会を設ける予定でございます。
 次に、アウトソーシングによる雇用状況の調査やワーキングプアについて、お尋ねがございました。昨年10月から11月にかけて、本年度にアウトソーシングを行いました業務の中から、16の業務を抽出して、アウトソーシングによる雇用状況の調査を実施しました。ただ、この調査は、平成20年4月から実施する調査を試行的に行ったものでございます。
 その結果、有効回答のあった14の業務では、それまで県にあった35人役に対しまして、アウトソーシング後は、31人役で実施をしており、そのうち、新たな雇用は、3分の1程度になっております。ただ、今回の調査では、新たに雇用された方々の雇用形態が十分に把握できませんでしたので、来年度からは、調査の方法も改良し、雇用の調査に関する規定をあらかじめ仕様書に盛り込みまして、雇用の効果の正確な把握に努めることといたします。
 また、今回の調査は、雇用状況の調査ということで、個々の従業員の労務費の調査までは行っておりませんので、ワーキングプアとの関連には言及できませんが、いわゆるワーキングプアと呼ばれる低所得者層の増加につきましては、経済社会構造や雇用形態の変化が主な要因であると考えております。
 以上でございます。

◎副知事(十河清君) 雇いどめとなった非常勤職員の再就職と、試験研究機関等のアウトソーシング業務の落札率について、お尋ねがありました。
 非常勤職員の雇用は、1年を原則としていますが、非常勤職員の職が継続する場合には、引き続き、雇用している方々が多いことも事実です。このような経緯を踏まえますと、業務のアウトソーシングなどで、職が失われる非常勤職員の方々の再就職につきましては、県としても、できる限りの努力を行っていきたいと考え、これまでも取り組んできています。
 お尋ねの非常勤職員の再就職の状況につきましては、この3年間で言えば、17年度には、66の職が廃止となり、その中で、県による再就職の支援を希望された33人中、お二人の再就職が決まりませんでした。また、18年度には、29の職が廃止となり、その中で、再就職の支援を希望された12人中、お一人は、再就職が決まっていません。さらに、19年度につきましては、69の職が廃止となる予定で、その中で、再就職の支援を希望される46人中、39人の方の再就職が決まっておらず、まだ、多くの方が残っている状況でございます。この中には、アウトソーシング先への再就職を考えている方も多くおいでますので、アウトソーシングの相手方に対して、条件面も含め、できる限りの雇用をお願いしていきたいと考えています。そのほか、県自ら、非常勤職員の空きポストができれば、紹介をしたり、国、市町村や関係団体などから、職の情報を集め、雇用のお願いをしていくなど、できる限りの汗をかいていきたいと考えています。
 なお、今月25日に、競争入札を行いました産業技術部所管の7件の試験研究機関業務の予定価格に対する落札価格の割合は、70%台が3件、60%台が3件、50%台が1件となっております。
 以上でございます。

◎健康福祉部長(畠中伸介君) 身体障害者リハビリテーションセンターの民間移管に関して、福祉ホームの利用についてのお尋ねがありました。今回の民間移管に当たっては、まず、平成20年4月に、現行の身体障害者リハビリテーションセンターの更生施設と授産施設の移管を行い、その後、移管先の法人が施設の改築整備を行った上で、自立支援法による新たな事業体系に移行することとしています。新たな事業体系の福祉ホームの利用についてですが、現在、授産部門を利用されている方は、ホームヘルプサービスなどの在宅支援サービスを利用することで、福祉ホームでの生活は十分可能であると考えていますので、希望する方は、利用できるものと考えています。ただ、現在、授産部門を利用されている方や新たに福祉ホームの利用を希望される方の中には、障害の程度によっては、生活介護といったサービスの方が適切に対応できるといったケースも考えられますので、そうした方に対しては、本人の希望も踏まえた上で、市町村として、協議し、その方に最もふさわしいサービスが提供されるものと考えております。
 次に、機能訓練事業における施設の利用期間と重度障害のある方の施設利用について、お尋ねがありました。現在、更生部門の利用者の多くは、脳血管障害による肢体障害のある方で、施設が新体系事業に移行いたしますと、リハビリや歩行訓練などの身体機能の向上のための訓練を行う、機能訓練事業のサービスを利用することになります。機能訓練事業は、厚生労働省令において、標準的な利用の期間が1年6カ月とされていますが、標準利用期間を越えてさらにサービスの利用を必要とする場合には、市町村の審査会の個別審査を経て、最大2年6カ月までに利用が可能となっています。また、機能訓練事業では、リハビリなどの身体機能の向上のための訓練が必要とされる方を支援の対象としておりますので、重度の障害であるからと言って、また、一般就労に結びつくことが難しいといったことを理由に、利用できないということはございません。
 次に、移管後のおけるサービスの質を検証する仕組みについて、お尋ねがありました。今回のリハビリテーションセンターの移管については、移管協議先法人となりましたファミーユ高知から、施設の社会的な役割を十分に理解された上で、意欲的で質の高い運営や施設整備計画の提案をいただき、それが選定委員会で評価され、選定されたもので、県としても、施設の移管後の運営は、より質の高いサービスが提供されるものと考えています。この4月に移管し、民間法人の運営となりますが、施設の運営状況については、提供されるサービスの内容の把握に努めますとともに、法人から提案のあった内容やこれまでの移管協議の中で、利用者に対し説明してきたことが、適切に行われますよう、法人の指導を行ってまいります。また、他の障害施設と同様に、法に基づく施設の監査を実施することになりますので、その際にもサービスの提供内容や支援の体制などについて、適切に指導をしてまいります。
 次に、高知医療センターに関し、定年前の退職を防ぐためにも、何らかの経営改善の支援ができないかとのお尋ねがありました。高知医療センターに、本年度の職員の退職状況をお聞きしますと、議員御指摘のとおり、定年を前に退職される方が大変多い状況にあります。職員がやりがいを感じ、安心して勤務できる環境を整えることは、病院運営にとって、重要なことであり、そのためにも安定した経営を行うことが必要です。現在の高知医療センターの経営状況は、非常に厳しく、資金ショートも危惧される状況にあり、早急な経営改善が求められています。医師、看護師を始めとする職員の方々は、高度医療や救急医療などを担って、厳しい勤務環境にありますが、高知医療センターが県の基幹病院として、県民の期待にこたえることができる病院として、安定的に運営できるよう、職員が一丸となって全力で経営改善に取り組んでいただきたいと思います。
 県としましては、平成20年度の予算で、新たに外部医師の応援を得て、産科や小児科の医師の勤務環境の改善を図り、負担を軽減するための事業を計画しており、今後ともこうした支援を検討していきたいと考えています。
 次に、要保護児童対策地域協議会の設置状況と運営状況、また、南国市の設置と運営状況についてのお尋ねがございました。
 まず、要保護児童対策地域協議会の設置状況についてですが、平成20年1月末現在で、18市町村となっています。法定の協議会ではありませんが、虐待防止ネットワークを加えると、27市町村で設置されています。来年度中には、全市町村で設置され、そのほとんどが法定の協議会となる予定となっています。
 次に、協議会の運営状況についてですが、学校、警察、児童相談所、民生委員等の関係者が集まり、定期的に情報の共有や意見交換がなされている市町村もありますが、多くの市町村では、要保護児童対策地域協議会への移行設置も含め、これから具体的な取り組みを進めていこうとしているところです。今回の事件を受けまして、事件後、8市町村で、協議会の実務者会議を開催しております。また、協議会を開催していない市町村においても、虐待を受けているおそれのある事例の掘り起こしと再点検を実施し、児童相談所との情報の共有を図っています。
 南国市の要保護児童対策地域協議会は、平成19年11月に設置されていますが、事件が起きるまで、具体的な会議は開かれていませんでした。南国市では、事件発生後、協議会の実務者会議を開催し、虐待通告や相談があった場合の連絡体制等について、協議を検討し、情報共有を行っています。
 今後は、市町村に設置される要保護児童対策地域協議会において、虐待ケースの進行管理台帳の作成や関係者との情報共有、処遇方針の確認などを行い、地域の実情に即して、協議会が実際に機能するよう、児童相談所として積極的にかかわり、学校などの関係機関との連携を強化し、児童虐待防止に全力で取り組んでまいります。
 次に、市町村窓口の強化について、お尋ねがありました。平成17年4月から、児童福祉法の改正で、より住民に身近な市町村に児童相談の窓口が設置されることになりましたので、市町村の相談窓口の強化は重要な課題だと認識しています。市町村の児童相談の担当職員は、児童福祉士と同様の資格と能力を有する専門職員を専任で配置していただくことが望ましいと考えていますが、厳しい財政状況の中、専任職員を配置すること自体が難しく、平成19年4月の配置状況では、担当職員は73名ですが、専任の職員は27名となっています。また、児童福祉士と同様の資格と能力を有する専門職員は、5名という状況です。
 県としましては、市町村に児童家庭相談業務の重要性を認識していただき、まずは専任職員の配置に努めていただくよう、働きかけを行っているところです。一方、市町村職員の児童虐待などへの対応能力を向上させる取り組みとしましては、市町村職員の専門性や資質の向上を図る研修会や市町村職員も加えたケース検討会議を開催するなど、実例を通じた児童相談への対応力の強化にも努めています。さらに、来年度は、これまで以上に児童相談所の児童福祉士や児童心理士が、直接市町村に出向き、具体的なケースへの対応の支援を通じて、市町村の相談窓口の対応力の強化に取り組んでまいります。
 市町村の児童相談部署は、要保護児童対策地域協議会の調整機関として、協議会の活動のかなめとなることが期待されますので、県としましては、今後とも市町村職員の児童虐待への対応力の向上に力を入れ、専門性の強化を図るとともに、専任職員の配置について働きかけてまいります。
 最後に、発達障害のある人の支援に関して、療育福祉センターにおける一時入所などの機能や義務教育終了後の職業訓練機能の整備について、検討すべきではないかとのお尋ねがありました。あわせて、お答えいたします。
 発達障害のある人の支援のあり方につきましては、今年の1月に、保護者を含む有識者の方々による検討委員会から報告をいただいたところです。この報告の中では、発達障害のある子供を育てる家庭をサポートするシステムの整備とともに、引きこもりやニートと言われる若者の中には、発達障害がその背景にあるケースも多いことから、学校卒業後の就労や生活を支援する取り組みの充実が求められています。
 いずれも、発達障害のある人とその家族にとりましては、切実な問題であると受けとめています。しかしながら、現行の制度では、知的障害などが伴わない発達障害のある人は、福祉サービスの対象となっておりませんし、また、自閉症やアスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害といった発達障害の特性に応じた支援の方法も、確立されていない状況にあります。
 このため、国においては、障害者自立支援法の抜本的な見直しの中で、発達障害のある人に対する福祉サービスの適用について検討を行うとともに、適切な支援方法を開発するためのモデル事業が行われています。本県では、全国に先立ち、この国のモデル事業を導入し、療育福祉センターが高知大学や香美市などの関係機関と連携しながら、家族を地域でサポートする仕組みや就労支援のあり方について、実践検証を行い、その成果を取りまとめることにしています。
 御指摘のありました、保護者の方の休息を目的とした施設の利用や就業訓練の機能につきましては、児童虐待の防止や就労、自立に効果があると思われますが、先ほど申し上げましたように、発達障害のある人の支援策については、国においても検討の途上にありますので、まずは制度として、きちんと位置づけされることが大切であると考えています。
 今後、国に対しましては、モデル事業を通じて、保護者の皆様の切実な声を伝えますとともに、御指摘のありました点を含めまして、早期に支援の体制が確立されますよう、働きかけてまいります。
 以上でございます。

◎土木部長(宮崎利博君) はりまや町一宮線の整備についての一連の御質問にお答えします。
 まず、はりまや町一宮線の交通量やCO2排出量の測定比較を行う予定はないのかとのお尋ねがありました。屋外におけるCO2濃度を測定することは不可能ではありませんが、測定結果をCO2の排出源ごとに評価する手法が確立されておりませんので、はりまや町一宮線でのCO2濃度の測定は現実的ではないと考えています。
 交通量につきましては、はりまや町一宮線の追手筋弥生町線から南側の区間の整備のあり方について検討するためにも必要ですので、北側の整備が完了した後で調査を行う予定です。
 次に、駐車場を撤去し、水辺周辺の温度比較を行う予定はないのかとのお尋ねがありました。駐車場を撤去するに当たっては、詳細な構造を確認してから全体の撤去方法を検討する必要があります。このため、この4月に新堀橋上流の一部の区間について調査を行いながら、撤去をする予定です。この調査を踏まえ、桜井橋と新市橋の間の駐車場については、今年の夏ごろから行う予定の、桜井橋の撤去工事やかけかえ工事に影響がある範囲を同時に撤去する予定です。
 なお、駐車場の残りの部分の撤去については、専門家に相談して、どれだけオープンスペースを確保すれば干潟再生が検証できるのか、その検証方法について検討することを予定しております。その際には新たな検討組織を立ち上げることを考えております。そこでの検討結果に基づいて必要な駐車場の撤去を行います。駐車場撤去した区間の中で、この検討組織の主導のもと、干潟の状況の変化を確認してまいりますが、その際、水辺周辺の温度測定を同時に行いたいと考えています。
 次に、現在行っているシオマネキの移植が適正なものであると考えるか、また第三者による検証システムをつくる必要があるのではないかとのお尋ねがありました。平成13年度の新堀川生態系検討委員会で、シオマネキ等については、施工中の被害を及ぼさないよう、事前に移植をしておくことという提言をいただきました。
 シオマネキの移植はこの提言に基づいて行っています。移植に際しては、この生態系検討委員会の委員で、高知県レッドデータブック動物編の編集委員でもあり、シオマネキについても数多くの研究業績を有している専門家の御指導のもと行っており、シオマネキの移植は適正に行われたと考えています。シオマネキの移植後も、この専門家の委員に御指導をいただき、生息調査を来年度以降も実施することとしております。調査結果の検討につきましては、先ほどお答えしました検討組織を活用したいと考えております。
 以上でございます。

◎危機管理部長(中村文雄君) 南海地震対策に関する御質問にお答えをいたします。
 まず、条例の啓発の方法や行動計画の作成などのスキーム、さらには企業、事業主に対する周知と意識啓発の方法についてのお尋ねがありました。南海地震の被害を軽減するためには、県や市町村などの公助の取り組みのみならず、県民の皆様や、自主防止組織、事業者の方々などの自助や共助の取り組みが重要となりますので、条例の基本理念や責務、役割などを理解していくために、しっかりと周知や啓発をしていくことが大切と考えています。このため、条例制定を記念した講演会の中で、自助、共助の取り組みを進める上で参考となる実践事例を紹介するとともに、条例の内容を周知するための冊子を作成し、出前講座や各種の講演会などで活用していきたいと考えています。
 こうした取り組みは息の長い取り組みとして続けていくことが重要と考えますので、市町村などの防災関係機関などとも連携しながら、効果的な周知や啓発に努めていきます。
 また、企業、事業主についてのお尋ねがありましたが、最近では建築物の耐震化や、防災担当者の配置、地震防災の勉強会を行うなど、南海地震対策への取り組みが見られます。県としましても、さらに商工業の団体などと連携して、条例の周知や啓発とあわせ、地震防災に対する研修会の実施や、南海地震の備えを進めるためのパンフレットの作成配布、すぐれた実践事例の紹介などにより、その取り組みの支援に努めます。条例に基づき作成します行動計画につきましては、その期間を平成21年度からの6年間とすることや、前期、後期、各3年に区分して、目標を設定することなどの方針を決定し、この2月から作業に着手をしました。今後、庁内での作業と平行して、有識者などで構成する検討会や、パブリックコメント、市町村への説明会などを行い、来年度中に作成したいと考えています。
 また、作成した行動計画は毎年度、県の南海地震対策推進本部で実施状況を点検し、ホームページなどで公表をしていきます。
 次に、どのように防災文化の理解を深め、根づかせていくかについてのお尋ねがありました。条例の基本理念とする防災文化は、例えば家庭では、危ない場所を子供に教えることや、水や食糧を備蓄すること、さらにはスムーズな避難のために、靴や懐中電灯をまくら元に置くなど、南海地震への備えが日常生活の一部として定着していることと思います。そのためには、家庭や地域、職場などで、南海地震にいかに備えるかを考え、実践し、習慣としていくことが重要となります。こうした取り組みを全県的に広げていくためには、お話にもありました、企業や職場、地域などが主体となって、啓発や備えの呼びかけを行ったり、県内各地域で、地震防災に関する交流や連携が行われることなども重要と考えます。このため、その一つとして、条例では、県民の皆様や自主防災組織、事業者の方々などの南海地震対策への理解を深め、活動の一層の充実が図られるように、毎年8月30日から9月5日までを南海地震対策推進週間と定めています。県としましては、この週間を中心に市町村と連携も図りながら、自主防災組織や事業者の皆さんに訓練の実施を呼びかけますとともに、備えの点検や、充実が図られますようにチェックシートを載せた冊子を作成、配布するなど、周知や啓発を行い、その習慣の定着にも努めていきます。
 今回の条例を契機に、県内各地域で、さまざまな主体によって自助、共助の取り組みが進み、全県的な広がりとなりますように、県としてその環境づくりや、活動の支援などにしっかりと取り組んでいきます。
 次に、消防広域化再編と消防救急無線のデジタル化についての御質問がございました。そのうち、再配置可能人員に関すること、部隊運用や指令のあり方に関すること、消防団の招集方法に関することの三つのお尋ねにつきましては、関連いたしますので、一括してお答えをいたします。
 消防の広域化の効果を十分に発揮させるためには、広域化後の消防の円滑な運営が重要であり、本年度中に策定をします消防広域化推進計画の中で、費用負担のルールや、職員の処遇、消防に関する計画、地域との連携、住民の意見の反映などについて、可能な限り、組合規約や規定等において、定めておくことが適当と明記することにしています。消防広域化推進計画は今後の本県消防の目指すべき方向性を示したもので、坂本議員の御質問にありました再配置可能人員のスクラップ箇所やビルド箇所、部隊運用や通信指令のあり方、さらには消防団との連携などに関しましては、来年度の事前協議の中で、市町村、消防本部と一体となって検討し、具体的な姿を描いていくことにしています。その際には、現在の消防力は低下させないことや、消防力の発揮に欠かせない部隊の運用や通信指令のあり方、さらには、地域の消防団との円滑な連携の確保を基本に検討協議を行うこととあわせて、経費面でも理解の得られる費用負担のルールづくりなどを念頭に置く必要があると考えています。
 次に、推進計画の変更と事前協議における県の役割に関するお尋ねにお答えします。事前協議を進めるに当たりまして、県としては十分な協議が行えますよう、各消防本部の業務内容の詳細な分析や、市町村及び消防本部間のさまざまな調整、さらには先進事例の情報提供などを積極的に行い、広域化への合意が得られるように取り組んでいきます。本年度中に策定をします、消防広域化推進計画は、先ほど知事から中内議員にお答えしましたとおり、広域化の議論のスタート台ですので、これから議論を深めていく中で、消防本部の組み合わせを含めた消防広域化の姿が明確になりますので、その際に新たな選択肢が出てくることも考えられます。
 最後に消防救急無線のデジタル化の計画、整備費用に関するお尋ねにつきましては、関連しますので一括してお答えをいたします。このことにつきましても、先ほど、中内議員の御質問にお答えしましたけれども、消防救急無線のデジタル化につきましては、消防救急無線のデジタル化等検討会で検討を重ね、昨年3月に今後の移行計画や、県の防災行政無線の中継所の共同利用などによる経費抑制策などを盛り込んだ、高知県における消防救急無線のデジタル化等整備計画を策定しました。この整備計画の具体化について、本年度、県内の消防本部で組織しています、消防長会で検討が行われましたが、全国の進捗状況などから、平成20年度に計画していましたデジタル化の基本設計は見送られることとなりました。
 また、消防救急無線のデジタル化に要する整備費用については、この基本設計で算出することになりますので、県の防災行政無線中継所施設などの共同利用など、経費の抑制効果は、基本設計の後で明らかになります。消防救急無線は、消防救急などの業務を行う上で欠かすことのできない通信システムですので、県としましては、消防救急無線のデジタル化への移行が円滑に進みますよう、今後とも市町村や消防長会とも十分連携しながら取り組んでいきます。
 以上でございます。

◎教育長(大崎博澄君) 地震対策に関する御質問のうち、防災教育のあり方と、防災文化についてのお尋ねがございました。教育委員会としましては、子どもたちが自分で自分の命を守ることができるように、発達段階に応じた防災教育を進めています。内容としましては、土佐の防災学習プログラムなどの教材を用いた防災学習や、実際に災害が発生したときに対応できるための避難訓練などを行っており、またそのために指導者となる教職員を対象に、南海地震に備えての基礎知識や、実践発表などを交えた研修会も行っております。また、これらの研修会などに地域の方々にも参加していただくとともに、地域と連携した避難訓練や防災学習となるよう、地域の実態に応じた学校防災マニュアルの作成に向けた取り組みも進めております。
 宮地教育委員長はしばしば、文化とはよい習慣だと申しております。より実践的で地域の実情を踏まえた防災教育を行うことによりまして、子供たちの防災意識を高めるとともに、人と助け合うことの大切さや、水や食糧を大切にすること、こういったことが子どもたちの日常生活の中に根づき、よい習慣として定着する、そういった防災文化を育てていきたいと考えています。
 次に、児童虐待と発達障害の支援に関する御質問のうち、医療面の連携が図られる通級指導教室などを設置することについてお尋ねがございました。発達障害の子どもの教育については、医療機関と連携して障害の状態を正確に把握し、必要な助言をいただきながら、障害の特性に応じた指導を行うことのできる環境が望ましいことは、御指摘のとおりでございます。発達障害の子どもの多くは、まだ通常の学級に在籍しています。その中で、医療機関などと連携した指導を行っても、教科指導等で著しい困難を生じる子供には、障害の状態に応じて特別の指導を行う通級指導教室が有効であると考えています。通級指導教室の開設にはLD、ADHDや自閉症など、障害種別ごとの一定数の対象児童生徒や専門性のある教員の配置が必要でありますため、対象となる子どもがいても、開設が難しいのが現状でございます。そうした中で、県内ではLD、ADHDを対象とした通級指導教室を3つの小学校と1つの中学校に設置しています。設置している通級指導教室の状況を見てみますと、子どもが在籍する通常の学級と通級指導教室が連携した専門的な指導は、発達障害の子どもの抱える生活や学習上の困難を改善するために効果が上がっています。そのため、今後必要な学校に通級指導教室を開設することができますように、国に対して教員定数の改善など、制度の拡充を積極的に要望してまいります。
 以上でございます。

◎30番(坂本茂雄君) それぞれに御答弁ありがとうございました。
 知事には、当初通告してない分を知事にお尋ねしたのが一問あったようで、申しわけございませんが、その分答弁いただきました。
 幾つか再質問をさせていただきたいと思いますが、工科大の財政的な試算の話がありました。ただこれ、率直に言いまして、基準財政需要額への算入がされるという意味での交付税としての入り口はそうなっても、出口の段階でどうなるのかというのは、やっぱりこれからの議論になってくると思うんですね。とりわけ交付税の見直し等が今、されている中で、今試算しているような形できちんと見込めていくのか、本当に県の持ち出し部分はなくて済むのかというようなことなど、課題はまだ多くあるだろうというふうに思います。そういう意味では、今後の財政運営見通しとの関係をどう推しはかるかということで、私、あわせてお聞きしておりましたけれども、今後の財政運営見通しの中で、県として、この工科大を公立大学法人化することによる財政運営見通しが大きく変わるとか、そういうふうなことは思われていないのかどうか、その点について、まず工科大関係でお伺いしておきたいと思います。
 それと、総務部長に、人事考課の本人開示のあり方について、現在の考課表の見直しをしていると、本人開示が前提でないということで、本人開示を前提にした形への見直しということになるんだろうと思いますけれども、具体の検討が終わった後にということですが、今年から査定昇給を入れるということですので、そういう意味では今年度中から、この4月からですね。ですから、来年度中にはそのシステムがつくれるようにしておかんと、見直しに随分時間がかかったんで、スタートはしたものの、本人開示はまた来年以降になりますとかいうふうな話になってしまってはいかんと思うんですけれど、そこのところの思いはどんなふうに思われているのかということです。
 次に、副知事に、アウトソーシングによる非常勤の職員の皆さんへの再就職のあっせんに汗をかかれているということですが、今年度につきましては、大変、まだまだ年度が終わってないということもあるんですけれども、39人の方が未定というふうな状況で、なおかつ、試験研究機関について、今、御報告があった落札率が70%3件、60%3件、50%台1件というふうなことで、今、例えば50%台で落札するとなったら、予定価格の50%台、そのしわ寄せ、一体どこへ行くのかと。結局それは、そこで働く方の賃金にしわ寄せが行ってるという状況があるだろうと思うんですね。そういう中で、そこへ再就職してください、いうふうな汗のかき方をしても、なかなかそれは、具体的に再就職につながるんだろうかというふうな疑問を持ちます。中には、再就職先のアウトソーシング先から条件提示をされた方が言っているのは、結局今までは自分で保険も払ってた、全部やっていたんだけれども、この賃金で生活するようになれば当然、配偶者らの扶養親族になる、その程度の金額だというふうな話さえあります。そういう意味で本当にこの状況の中で、まだ三十数名が再就職が決まっていないという中で、どういう、最後までの汗のかき方をするのか、ちょっと副知事の決意をお伺いしておきたいというふうに思います。
 それと、はりまや町一宮線の事業の関係です。知事は、これについて、いろいろ交通渋滞の緩和だとかいろんなことをおっしゃられてます。ただ、交通量全体でいったときに、当初、都市計画決定をされたときの推定の交通量よりも随分減少しつつあるいうふうな状況です。それはもう御存じのとおり、高知県は昨年来ずっと自動車保有台数は減少傾向にあります。少子高齢化の中で、その傾向は今後も続くだろうというふうに思います。それと、もう一方で、温暖化防止対策のためにも市内中心部への乗り入れを抑制しようとしてるというのは、事実だろうと思いますね。そういう意味でいきますと、1年前の道路交通計画調査委託業務の報告書にこういうふうに書いてあるんですが、「部分的に現道路を活用しても、南北交通需要の分散に対して一定の効果は見込まれるものの、すべての交通需要に対応するためには4車線での整備が必要」と書いてある。すべての交通需要に対応するためには4車線の整備が必要と。そしたら道路というのはすべての交通需要に対応するために、これからずっと高知県というのは、道路整備を図っていくかというと、決してそういうふうにはなかなかなりにくい。やっぱり、その中で優先されるのが、午前中からずっと知事が言われている、まさに高知県としての命の道路をどう整備していくかということだろうと思いますので、そこのところがやっぱりもう一遍、一たん立ちどまった議論というのは必要じゃないかというふうに思います。
 それと、追手筋弥生町線から南側について、32号線までの間は平成21年度、それまでの区間の工事が終わってから議論をしていくということですが、ただそれが終わっても、次の事業に進んでいくというふうなことになれば、その話し合いをしている間、工事そのものが一たん21年度末でとまってしまうのかどうかですね。それがとまらずにずっと続くということであれば、それまでに十分な話し合いもしていかなければならないんじゃないかというふうに思いますので、その点は部長が答えたいようですので、部長にお伺いします。その前段の部分は、知事にお答え願いたいと思います。
 いずれにしましても、先日、高架の完成があったときに、新聞記事の特集がありました。そのときに、前の久保田土木部長が、腹を割って住民の要望を聞き、説明をやり切れと指示されて、それで臨んだということを書かれてます。このはりまや町一宮線もさまざまな意見ありますんで、ぜひそういうふうに、腹を割って住民の要望を聞き、説明責任を果たしていく、そんな思いでやっていただきたいということ、この点は要望しておきたいと思います。以前の部分については答えていただいて、私の質問を終わります。

◎知事(尾ア正直君) 工科大の関係で、公立化した場合の先々の財政に与える影響についてということでありますけれども。工科大学が公立大学法人化いたしますと、この場合、交付税は確実に財政需要には算入はされます。これはもうルールでありますから、そのとおりに算入されるわけであります。ただ御懸念の点は、それは基準財政需要であって、その出口の部分ではどうなるかというお話かと思いますが、それは出口の部分が削られるか、結果として38億円とその他の部分を合わせた後で、その他の出口の方を見たときに、その他の部分が今までよりも38億円、純粋にふえるのかどうかということを懸念しておられるんだと思いますけれども、それは交付税措置されるものとは別の部分について、これは一般的な他の要因によって増減したりするわけでありまして、これは工科大学を公立大学法人化するかどうかとは関係のない話だと、私は思っております。いずれにしても、基準財政需要額に確実に反映されることは間違いありません。他を所要とすれば、確実に交付税措置がその分されますので、その点においては、先々の財政収支に見通しが影響を与えることはないと思います。ただ問題は、その他の部分が所要であるかどうかということであります。その他の部分が所要であるかどうかということについては、これは工科大学を公立大学法人化するかどうかとは全く別の問題として、見通しをつけていかなければなりません。19年6月の財政収支の見通しにおきましても、4年間で60億円の減少という前提を置いて、試算を行っておりました。今後の財政状況を見通していくに当たっても、一定の試算を行っていくべきであるということについては、私もそのとおりだと思っております。それが、一番目でございます。
 それから、はりまや町一宮線の問題でございますけれども、当初の見込みよりも減少しつつあるとか、人口減少もあるのでそういうことかとも思いますけれども、また一方、この道路につきましては、今回の連続立体交差事業が完成したことに伴いまして、高知市の南側と北側の一体感を醸成するためにも、必要な道路ではないかと考えております。すべての市内への乗り入れを、済みません、全体的な需要に対応するためには4車線が必要だというところについて、ちょっと私、資料の詳細を承知しておりませんので、詳細なコメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、他方、今おっしゃられた、命の道路を優先するべきだと、1.5車線などについて、優先すべきじゃないかという御指摘については、それはそれで、私も1.5車線道路については、今度の20年度当初予算において、整備を大幅に加速することといたしたところであるわけであります。
 中心市街地の活性化と今後のまちづくりにとって必要な部分については、私は道路整備は進めていかなければならないと考えております。ちなみに、南部分につきましては、21年度末において、一たんとめて、工事を。そこで、交通の流量と動向とを新たに判断をするということであります。ですから、工事、21年度末に一回とめるということでありますから、そこから調べるということでありますので、そこのところはそういう事実関係であります。

◎総務部長(中澤卓史君) 本人開示を前提とした考課表の新しい制度設計が、いつごろまでにできるかといったような御主旨の御質問だったと思いますけれども、まだ実務的にいつまでにできそうかといった詰めた議論をしてございませんので、はっきりとしたことは申し上げられませんが、制度設計そのものは、20年度中にはつくらなければならないのかなといったような、私の思いでございます。
 以上でございます。

◎副知事(十河清君) 再質問にお答えをいたします。
 先ほどお答えをいたしましたように、本年度雇いどめとなる職員のうち、再就職が決まっていない職員が39名おいでます。その中でアウトソーシング先への再就職を希望している方が17名おいでます。そういうアウトソーシング先に就職を希望したい方々につきましては、これまでの県における賃金だとか、休暇制度などを説明をし、これに準じた勤務条件で雇用をお願いをできないかといったことを、アウトソーシング先にお願いしていくというのが、まず一点でございまして。そしてなかなか、先ほども落札率の問題等がありまして、なかなかそうはいかないというようなことになりました場合は、取り組みも精いっぱいやらさせていただきますが、その次の段階で、なかなかアウトソーシング先に就職が決まらないといったような場合につきましては、次の段階として、また本人の希望も聞きながら、県における非常勤職員だとか、臨時的任用職員などの情報提供、あるいは別の県や国や市町村や関係団体の情報提供なども行っていくなど、精いっぱいの取り組みを行っていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

◎土木部長(宮崎利博君) 知事が答えたとおりでございます。失礼しました。

◎議長 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。