2015年09月定例会代表質問(10月1日)

◎30番(坂本茂雄君) お許しをいただきましたので、県民の会を代表いたしまして、質問をさせていただきます。
 知事の2期目は、3.11東日本大震災の年にスタートされました。この震災による福島第一原発事故によって、この国が、哲学者高橋哲哉氏が言う「或る者(たち)の利益が、他のもの(たち)の生活を犠牲にして生み出され、維持される。犠牲にする者の利益は、犠牲にされるものの犠牲なしには生み出されないし、維持されない」という「犠牲のシステム」の上に成り立っていることが明らかになった年でもありました。
 そして、2期目の仕上げの今年は、戦後70年、私たちの先人が戦後の廃墟の中から、大切に育て上げてきた立憲主義・平和主義・民主主義、基本的人権を尊重する社会を突き崩そうとする強権的な政治手法が横行し、民意を切り捨ててまで安保関連法が強行成立させられるという中で、知事の政治姿勢について順次お尋ねします。
 知事は、4年前の12月定例会の提案説明で、「本県は、人口減少、高齢化の波に真っ先にさらされ、経済規模の縮小や過疎化の進展といったさまざまな課題に直面し、災害が多発する県でもある。しかしながら、私は、本県がいわば課題の先進県であるからこそ、本県を人口減少や災害に負けない課題解決の先進県としていきたい、そうすることで県勢浮揚につなげていきたい」と述べられていました。
 そして、今回の提案説明では、課題解決先進県という切り口よりも、「本県が抱える二つの根本的な課題」つまり、「人口減少のもたらす負のスパイラル」と「南海トラフ地震を始めとする数々の自然災害から県民の命を守る」戦いということが強調されています。
 そこで、「平成20年当時、あまりの県政課題の困難さに、深くため息をついたときもあったが、今は、まさに、やればできる、との思いを強くしている」中で、「やればできると」実感されている解決課題は、何なのか具体的に示していただきたいと思います。
 そして、課題解決の先進県として「時代を生き抜く処方箋を全国に先駆けて示すことで、高知を後続の県に頼られる、時代に必要とされる県」となった分野には、どのようなものがあるかお聞きします。
 次に、憲法と安保関連法について、お尋ねします。
 知事は、「これまで集団的自衛権については一定容認すべき」との見解を示されてきました。
 その理由の一つとして、政府見解と同様、我が国を取り巻く安全保障環境の変化を挙げられていましたが、パワーバランスの変化や技術革新の急速な進展、大量破壊兵器などの脅威等というものでは、十分な根拠とは、なり得ないと思っています。
 我が国を取り巻く安全保障環境が、本当により厳しい、深刻な方向に変化しているのであれば、限られた我が国の防衛力を地球全体に拡散するのは適当ではないことが指摘されています。
 そして、集団的自衛権の行使を容認することで抑止力を高めることが安全保障に寄与する保障も存在しないし、我が国が抑止力を高めれば、相手側はさらに軍備を強化し、安全保障環境は悪化する可能性も少なくとも同じ程度に存在すると思われます。安保関連法が日本の安全に資することがあるとは考えにくいということが明らかになった国会審議の末に、安部政権が強行採決を行ったということを踏まえて、知事の見解をお伺いいたします。
 知事は、高知新聞9月6日付「県内首長へのアンケート」の中で、「集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案を成立させることについての賛否」を問われ、その時点では、「わが国の平和と安全を確保するために新たな安全保障関連の法整備が必要であると考えているが、他方で、この法案が合憲でなければならないことは当然で、その合憲性について徹底審議を望む」と答え、18日の記者会見では、マスコミ報道によると「政府は集団的自衛権を実質的に自衛のものに限るという方針を示した」とか「法案は合憲になり得るものだと思っているが、本当に合憲なのかどうかは、個別的事例の議論を積み重ねてほしい」と附帯条件をつけられています。
 ということは、現時点では合憲になり得てないということなのではないか、そのとこについてお伺いいたします。
 そして、問2に関しては、「この合憲性や歯どめについて、個別事例に照らした徹底審議を行っていく必要があるものと考える」と答え、問3では、わが国の安全保障環境の改善に資することとともに、合憲であることを両立させることがポイントであるとして、この点についても、個別事例に照らした徹底した議論を求めていました。
 ところが、18日の記者会見においても、いまだ、個別具体的な議論によって恣意的な運用に歯どめをかける必要性を訴えられています。
 ということは、わが国の安全保障環境の改善に資することとともに、合憲であることを両立させることが立証されるほど、個別事例に照らした徹底した議論がなされなかったと受けとめられているのかお聞きします。
 また、成立後の世論調査でも、いまだ法案の成立に反対・評価しないが5割を超え、審議不十分が8割近いものであります。知事も、国会議員による質問主意書を通じ、個別事例の合憲性の確認などを積み重ねていけば恣意性の排除につながるとの考えを示し、「将来にわたって禍根を残さないようにしてほしい」とまで、注文をつけなければならなかったにもかかわらず、採決したということをどう評価するのか、お伺いします。
 そして、この項の最後に、重要影響事態法に変わった周辺事態法の第9条、国以外の者による協力等で、地方公共団体の長に対し、その有する権限の行使について必要な協力を求めることができるとなっていますが、知事は、これは強制されるものと解釈しているでしょうか。
 また、衆議院での審議中に新たな日米軍事協力の指針、いわゆる新ガイドラインで、日本が集団的自衛権を行使する事態、いわゆる存立危機事態の後方支援に、民間空港や港湾を含む施設の利用も含まれるのかという質問に対して、外務省の鈴木秀生大臣官房参事官は「地方公共団体や民間の協力が得られる場合にはそういう場面があり得る」と答弁していますが、知事は、これらの場合に協力をするつもりがあるのかどうかお伺いします。
 次に、災害と緊急事態条項の憲法への追加規定についてお尋ねします。
 今朝の報道にもありましたが、本音は9条だが、リスクも考えないといけないと本音を隠しながら、自民党が賛同を得やすいところから憲法改正の課題にするとして、災害を理由に憲法を改正して緊急事態条項、すなわち国家緊急権を憲法に規定しようとしています。
 まさに、お試し改憲のターゲットとされたこの条項は、本来基本的人権を大きく侵害しかねない極めて危険な条項であり、6月15日開催の衆議院憲法審査会高知地方公聴会において、知事が緊急事態条項の規定の検討を求める意見陳述されたときに、私は大変違和感を覚えました。
 5月1日被災地の弁護士さんたちが「被災者をダシに改憲するな」との声明を出されていたことから、改めて自民党の改憲草案や日弁連災害復興支援委員会緊急時法制PT座長の永井幸寿弁護士の講演や論文をひもとく中、知事には、災害をダシにした改憲議論にくみするのではなく、本来災害対策としてやるべきことを知事の言う「やればできる」の思いで事前に行うことこそが求められているのだとの立場で質問をさせていただきます。
 そもそも、国家緊急権とは戦争・内乱・恐慌ないし大規模な自然災害など、平時の統治機構をもってしては対処できない非常事態において、国家権力が、国家の存立を維持するために、人権の保障と権力分立という立憲的な憲法秩序を一時停止して非常措置をとる権限であり、平常時と異なる行政権への権力の集中及び人権の強度の制約を容認するものです。
 そして、この条項がなぜ、明治憲法には存在し、現在の日本国憲法にはうたわれていないのか。それは、国家緊急権は、行政府は、緊急事態の宣言が正当化されないような場合でも、宣言を行う傾向があることや、戦争その他の危難が去った後も緊急措置を延長しがちであること。そして、緊急事態に対処するため、国民の人権を過度に制限しがちであるということなどにおいて、行政府によって、濫用されやすいということは明らかであるし、過去の歴史における事実に学んだからです。
 知事も、そのことをご承知の上だとは思いますが、憲法第45条の衆議院議員の任期規定などから、長期間選挙が行われない場合、長期間に渡って議員不在という状況に対する特例検討、国会の迅速な開会が不可能な場合など、緊急時における政府への法律制定や補正予算決定と同等の効果を有する権限の付与や国会の事後承認の規定検討、緊急時に名を借りた過剰な人権制限が長期間継続することを防ぐことも踏まえた緊急時の権利制限に関する規定の検討などについて、意見を述べられていました。
 しかし、それらの見解は、自民党の憲法改正草案の「第9章 緊急事態」にある「98条 緊急事態の宣言」において、緊急事態の発動要件を法律で定められることなど「措置の正当の理由」の面から問題があり、緊急事態の期間を100日を基準に継続が認められるなど制限がないことから、措置の期間にも問題があります。
 また、「99条 緊急事態の宣言の効果」では、内閣は法律と同等の効力を有する政令を制定し、事後承認なしでも効力を失う旨の規定がなく、政府の立法と財産処分に対し、国会の統制が及ばない。さらに、政令で規定できる対象の限定がなく、全ての人権の制限、全ての事項についての政令制定が可能など過度な権力の集中と人権の制約という問題ある立憲主義否定の自民党憲法改正草案が準備されていることを承知の上で、述べられたのか知事にお尋ねします。
 被災自治体におけるヒアリングも重ねられている永井幸寿弁護士によると「被災自治体からは、復旧復興過程において現行憲法が障害になったことは思い当たらず、むしろ内閣に権力を集中させたり、人権を制限するのではなく、最大限に人権を尊重し、自治体に権限と財源を持たせて、主体的に復旧・復興に当たれる制度を事前につくっておくことこそが求められている」ということが共通して出されているようであります。
 永井弁護士は、「災害対策は、準備していないことはできないのが原則である。しかし、国家緊急権は非常事態が発生した後に、いわば泥縄式に強力な権力で対処する制度である。想定できない事象に対してはいかなる強力な権限をもってしても対処し得ない。最も効果的な災害対策は平常時から法制度などで準備を行うことである」と述べられています。
 知事も3.11東日本大震災から学ぶとすれば、事前の南海トラフ地震への備えに生かすことは何なのかであって、緊急事態条項の憲法への規定の必要性ではないと考えますが、御所見をお伺いします。
 次に、伊方原発の再稼働についてお聞きします。
 知事が提案説明で言われたように、四国電力伊方発電所は、本年7月、原子力規制委員会により発電用原子炉の設置変更が許可され、資源エネルギー庁長官から愛媛県と伊方町に対し再稼働の要請がされました。
 これを受け、愛媛県知事が国に対し8項目の要請を行うなど、再稼働の可否に関する動きが進んでいます。
 しかし、2011年3月の東京電力福島第一原発事故の収束に向けた対応策において、原発の事故原因の究明もできず、13万人もの住民が避難したままの福島第一原発事故の教訓が何ら生かされていないどころか、9月の集中豪雨で貯まった高濃度の汚染水が放出され、海をさらに汚し続けていること。
 さらに、基準地震動1,000ガル耐震工事を終了したからと言っても、岩手・宮城内陸地震では4,022ガルを記録していることなどから、大地震・大津波、そして伊方原発周辺の活断層など想像できる大災害に対して決して十分な対応策がとられているとは言えないこと。
 大災害に伴う伊方原発事故の際の住民の避難計画は現実には不可能であり、30キロ圏内自治体での避難計画は、全く現実性のないものとなっており、本県の原子力災害対策行動計画も十分なものであると言えないこと。
 伊方3号機はウランよりさらに危険なMOX燃料が使用され、事故が起きれば放出するプルトニウムは、ウランに比べて放射能の毒性が20万倍も高く被害を拡大するものであり、使用済み核燃料の処理問題も未解決なままであること。
 そして、伊方原発で、福島第1原発と同規模の事故が起きた場合、高知県にも生活に影響を及ぼしかねない放射性物質が風向き次第で飛散するという結果を、民間シンクタンク「環境総合研究所」がシミュレーションをされたこと。
 などを踏まえたとき、「やむを得ず原子力発電所を再稼働せざるを得ない場面が出てくる可能性も否定できないものの、仮にそうした場合であっても、安全対策が万全であることが大前提である、との考え」に立つ知事は、現時点における四国電力との勉強会の到達点として、伊方原発の安全性については確保されたと評価しているかお聞きします。
 これまでにも、本県も愛媛県並みの四国電力との協定締結を求めてまいりましたが、それよりも勉強会で実効性をあげるとしてきました。
 協定はなくても、県としての態度表明は可能なわけですから、四電との勉強会だけではなく、知事自身が県民との公開勉強会を行い、県民の声と四電との勉強会の到達点を踏まえた、県の態度表明を行うべきではないかと考えますが、知事にお尋ねします。
 また、知事は、移住政策に大きなウエイトを置かれていますが、福島から高知に移住している避難母子は伊方原発の再稼働が始まったら、高知から再避難をする方もおられると伝え聞きます。伊方原発が再稼働されたら移住政策に大きな影響を及ぼすことになると思われますが、そのような影響はないと思っているのかお聞きします。
 さらに、第一次産業を軸とした産業振興計画における影響も含め、高知県の課題解決を大きく後退させることにもなるからこそ、再稼働には、明確に反対すべきではないかと思いますが、知事の御所見を伺います。
 次に、12年前の初登壇以来、質問の機会には必ず取り上げさせていただいてきた、南海トラフ地震対策について質問いたします。
 今回は、6月20日から23日にかけて、地域で防災活動に取り組まれている皆さんと東北の被災地を訪ね、4年が過ぎ、いまだ復興の兆しの見えない現状と震災直後の課題について、調査交流をさせていただいたことに基づき、質問をさせていただきます。
 まず、事前復興の必要性についてであります。
 訪問した石巻市雄勝地区での復興議論のあり方の中で、復興過程で人の暮らしは、その街の中心部に戻らないのではないかということ、住民の意見がどのように位置づけられるべきなのか、中心市街地は区画整理事業で進められているのに、半島部などは高台移転のみの選択肢しかないという復興政策のあり方。また、東松島市矢本立沼地区集団移転事業は、行政主導ではなく、住民側が移転先も含めて、提示しながら決めたことが迅速な移転につながった事例や名取市閖上地区での復興のための議論をする上で、避難者の連絡先を確認する際の御苦労などを聞かせていただいたり、見せていただくにつけ、事前の復興議論の大切さを学ばせていただきました。
 そのためにも、平時から、発災後の復興のまちづくりについて、行政側と地域住民が良好な協働関係を築き、議論しておくことが重要ではないかとの思いで、お尋ねします。
 発災後、「地区の復興まちづくり計画」などを策定する段階では、計画案を行政側が上から押しつけるのではなく、あくまでも被災住民が主体で議論されなければならないと考えますが、被災住民と行政との関係性はどのようにあるべきと考えられているか、危機管理部長にお尋ねします。
 また、今年3月に策定された「高知県震災復興都市計画指針(案)【手続き編】」の「地区の復興まちづくり計画の策定」の「地区における被災住民との合意形成の取組」の項では、触れられていないが、発災後、地区の復興に関する協議の場づくりにおいて、参加対象となる地区の被災・避難者に参集呼びかけをするための調整や連絡については、市町村が責任を持った対応をすることで、早期の合意形成につなげていくことが求められるのではないかと考えますが、土木部長にお尋ねします。
 次に、石巻市の渡波地区を中心にお伺いした在宅被災者及び災害関連法の課題についてお尋ねします。
 私たちは、岩波新書「被災弱者」の著者である東洋経済新報社の岡田広行記者のコーディネートで、在宅被災を経験した方のお話を聞かせていただきました。
 在宅被災者とは「震災直後、『自宅が残っている』『避難所が満杯』などの理由で避難所に入ることができず、やむを得ずに全・半壊した自宅の2階などで、電気、水道などのライフラインが途絶した状態で長期間の生活を強いられた被災者」のことで、支援対象外の被災者として食料や支援物資も行き届かず、日赤の生活家電6点セットの配布でも対象外とされるなど、在宅被災者と避難所避難者・仮設入居者の処遇における扱いなどの格差が浮き彫りになっていました。
 石巻市では当初から在宅被災者を明確に支援対象として位置づけた数少ない自治体でありましたが、それでも厚労省通知における支援の方策が不明確であったため、市町村の対応が大きく分かれていたとのことです。
 その意味でも、在宅被災者が、支援の網の目からこぼれ落ちないようにするため、在宅被災者の支援のあり方について、避難所避難者と格差のない支援を行うようあらかじめ位置づけることが必要と考えますが、知事にお伺いいたします。
 また、石巻市大街道地区での全壊家屋の天井を避難所にあった仕切り用の段ボールで、修繕し、在宅避難生活を送っている方が、道路整備工事にひっかかり、いつ買い上げてくれるのかもわからない状況で、二重ローンと向き合いながら移転しようにも、踏み出せないままで暮らしている実態や「残地補償問題」など災害復旧に関するさまざまな制度の不備や硬直性による復興のおくれも目の当たりにしてまいりました。
 災害関連法に詳しい岩波新書「大災害と法」の著者津久井進弁護士によると「現行法で、災害について言及している法律は1,150以上もあり、主要な法律だけでも100を超える」と言われる中、災害対策基本法、災害救助法などの被災者の生活に関係が深い法律や、「住宅応急修理制度」や「残地補償問題」など災害復旧に関して、次への災害への備えとして改善が図られるべき課題があまりにも多いと思いますが、復旧・復興過程の制度改善は十分図られたと考えられているのか、知事にお聞きします。
 次に第2期の最終年度を迎え、来年から第3期に入る「南海トラフ地震対策行動計画」について、いくつかの課題でお尋ねします。
 まず、津波火災対策について、危機管理部長にお聞きします。
 これまでにも、何度か質問をしておりますが、昨年の2月定例会で津波火災については「消火や救出方法も含めて、苛酷な状況に至る被害の連鎖をどこかで断ち切るための具体的で現実的な対策を探り、平成27年度までに取りまとめを行っていく」と答弁されましたが、補正予算案にある「浦戸湾内の石油施設の状況等を監視できる被害状況監視システムの整備」による「火災の延焼、拡大リスクの軽減」の効果をどのように考えられているのかお聞きします。
 また、先ほど述べたような昨年の執行部答弁を受けて、改めて、津波火災の消火方法の研究結果や国の動向の情報収集の進捗状況についてお尋ねします。
 次に、津波避難場所の確保についてです。
 第2期行動計画では、津波避難ビル300カ所指定の目標に対して、高知市だけでも276カ所の指定と、今、なっておりますが、地域の偏在は否めません。
 高知市内中心部でも、要件を備えた民間ビルがない場合の避難空間確保に向けて、あらゆる方策を駆使されるよう高知市と連携を図っていただきたいと考えています。
 2013年3月定例会で、「大量に避難可能な、人口浮体構造物を公園内に設置すればとか、さまざまな避難手法や避難場所・施設への御提言をお持ちの県民や企業の方など、広く県民の意見を聞く場を設けて、知恵をお借りして、その避難手法や避難場所の選択肢を検討していくこと」を求めた質問に対して、「最終取りまとめに際しても、地域の住民の皆様とともに、避難計画づくりに取り組んでいる市町村の御意見も、改めてお聞きをし、反映をさせていきたい」と答弁されましたが、日の目を見ることはありませんでした。
 そのような中、先日、本県で開催された、日本学術会議市民公開講座でも東京大学目黒公郎教授が垂直避難の困難な災害弱者向けの自己浮上式避難施設の提案をされておられましたが、まさに3年前から私たちの地域で提案しているものと同様の発想であると感じたところですが、ぜひ、その可能性について検討すべきと考えますが、危機管理部長にお伺いします。
 あわせて、津波避難ビルへの支援拡充を図り、機能強化をすべきではないかということで、お尋ねします。
 沿岸部19市町村で、「津波避難タワーは、計画総数115カ所に対して103カ所が本年度末までに完成する見込みとなるなど、整備について一定のめどが立った」と言われているが、危機管理部からいただいた資料に基づく私の試算では、試算可能な66カ所の津波避難タワーの総事業費を避難可能収容数で除した一人当たりのコストは安価なもので14万円、高価なもので140万円、平均では64万円となっています。ましてや、室戸の避難シェルターは553万円となります。
 私は、命にかえがたいものとして、これだけの費用がかかっても守れる命は守ろうとする県の姿勢は、大いに評価いたしております。しかし、その一方で、民間のビルを利用した津波避難ビルは個人・企業などの財産の提供によって避難空間をつくるというもので、簡易トイレ・ゴムボート・アルミーシートの備蓄品以外の公的負担はほぼゼロなのです。
 先日、防災学習で津波避難ビル巡りを行った昭和小学校の6年生に、津波避難ビルの11階にある防災倉庫の前で、私は「何が備蓄されていると思いますか」と問いかけたとき、彼らは「食料、お水」と答えられました。それは、備蓄されていて当然だと、彼らは思っているのですが、それが備蓄されていないというふうに答えざるを得なかった私は、大変残念に思いました。
 長期浸水地域などの津波避難ビルは、直後は孤立し、食糧などの支援が届かないことが想定されるので、現在の備蓄品に加えて、避難者用の食糧・水は一定必要であると考えますが、いかがでしょうか、お伺いします。
 次に、災害時要配慮者対策について、地域福祉部長にお尋ねします。
 災害時要配慮者対策は、さまざまな取り組みによって加速化を図られているとは思うのですが、どうしても地域での実際の共同の取り組みにおいては、難しい面があるのではないかと思います。そこには、個人情報保護の問題などもあって共有化されにくいと言うことがあるのだと思います。それをどのように克服しながら、支える仕組みをつくっていくかということが、問われているのではないかと思います。
 そこでお尋ねしますが、行動計画の「災害時要配慮者の避難対策の推進」の各取り組みの内容にある項目で、避難支援プラン(個別計画)の策定や福祉避難所の指定支援について、どのような進捗状況で、その情報が、当該地域で共有されているのかお尋ねします。
 また、福祉避難所の収容可能者数は、自治体内で充足が可能なのか。そうでない場合の広域的受け入れのための対応の体制づくりはどのようになっているのか、搬送手段も含めてお尋ねします。
 この項の最後に、災害時要配慮者の支援の項の市町村の要配慮者台帳への高度な医療を必要とする方の登録への取り組みを支援することについて、計画期間以降も、取り組みの継続となっているが、目標の達成によって得られる効果にある、発災時に迅速に必要な医療が受けられることによる患者の安全確保の達成は、次期計画で可能なのか、健康政策部長にお尋ねします。
 続いて、子供の貧困の解消についてお尋ねします。
 昨年来、子供の貧困対策について、お尋ねをしてきたところですが、県は、今年度から教育の分野における、厳しい環境に置かれた児童生徒に対する学習支援や子供たちの育ちを支援するための学校と地域が連携した取り組み、さらには不登校などといった課題を抱えた子供たちへの支援、修学前の子供には、保護者に対する子育て支援策の強化、そして、いじめや少年非行、児童虐待の問題などを含め、総合的な取り組みを進め、子供の貧困に関する指標の改善につなげることで、貧困の世代間連鎖の解消を目指してこられました。
 その上で、提案説明の中でも「厳しい環境にある子供たちへの支援については、今後、県民世論調査やひとり親家庭の実態調査の結果を分析し、子供たちが置かれている現状をしっかりと把握した上で、本年度中に「こどもの貧困対策計画」を策定し、子供たちへの教育や保護者に対する就労支援、さらには生活や経済面での支援を行うなど、より総合的な支援に取り組んでいく」決意が示されました。
 そこで、取り越し苦労かもしれませんが、県民世論調査の「子供の貧困対策について」の設問の選択肢となる施策は、結果によって優先順位がつけられることになってしまうのだろうかとの懸念が生じています。本来、それぞれの施策がトータルで取り組まれてこそ、貧困の連鎖の解消へとつながる支援ではないかと考えているところです。
 知事の考える「子供たちへの教育や保護者に対する就労支援、さらには生活や経済面での支援を行うなど、より総合的な支援」を行うに当たって、県民世論調査にある施策をどのように講じていこうとしているのか、知事にお尋ねします。
 次に、2月定例会で、質問させていただきましたスクールソーシャルワーカー、いわゆるSSWについて教育長にお尋ねします。
 8月には高知新聞の連載記事『子育ち支縁』で、SSWの仕事について丁寧にレポートされていたことからも非常に関心を持って読ませていただきました。
 「きょうも机にあの子がいない」1950年に長欠・不就学対策として全国で初めて高知県に配置された福祉教員の仕事は「人間関係を築く。専門機関を活用する」など今のSSWに共通する仕事の源流が高知にあったことも改めて確認させていただきました。
 しかし、そのSSWの制度故の矛盾のために、年度末と年度はじめの間に「仕事の切れ目」が生じており、さまざまな困り感との向き合い方に、切れ目が生じることになっているとのことです。市町村によっては、切れ目が生じないような予算措置を行っているとのことですが、まだ半数以下であると記事にはありました。
 まずは、こういうできることからやってこそ、高知県の厳しい環境にある子供たちへの支援の本気度が示されるのではないでしょうか。この切れ目をなくすための配置を県の判断でできないのか、お尋ねします。
 次に、高齢者の生活困窮支援についてお尋ねします。
 これまで、子供の貧困問題が注目される中、県を挙げての取り組みも徐々に広がりつつありますが、高齢者の貧困に目を向けざるを得ない事態になっていることにも注視することが必要です。
 2013年以来続くNHKスペシャルの老人漂流社会や、生活困窮者支援に取り組む社会福祉士の藤田孝典さんの著者『下流老人』に描かれている高齢者の貧困の実態と可能性は、誰もがなり得るものとして突きつけられました。
 下流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者及びそのおそれがある高齢者」と定義されており、高齢者が貧困に陥るパターンとして、本人の病気や事故により高額な医療費がかかる、高齢者介護施設に入居できない、子供がワーキングプアや引きこもりで親に寄りかかる、認知症でも周りに頼れる家族がいないなどという事例を挙げていますが、決して他人事ではないと思わざるを得ない実態があると思われます。
 内閣府の『平成22年版男女共同参画白書』によれば、65歳以上の高齢者の相対的貧困率が22%、高齢男性のみ世帯では38.3%、高齢女性のみ世帯では52.3%という状況は、看過できない実態だと思います。
 これから、都市部のアクティブシニア層をターゲットとした高知版CCRCの実現に向けて取り組まれようとしていますが、誰でもが可能性のある高齢者の貧困という事態を招くことのないよう、少しでも安らかな人間らしい、老いを迎えられる備えのための支援が求められていると言えます。
 著者の「下流老人の問題が、人間のつくった社会システムの不備から派生しているものであるなら、その社会システムを変革できるのもまた、人間である」という言葉を知事にもしっかりと受けとめていただきたいとの思いで、お尋ねします。
 まず、生活困窮者自立支援事業の県所管の相談者中、高齢者はどれだけを占めているのでしょうか。高齢者の主な相談事例にはどのようなものが多いのか、あわせて地域福祉部長にお伺いします。
 そして、高齢者の貧困化を予防する施策を講じていくために、できることからやっておくということで、生活困窮者自立支援事業やそこからつながる生活保護などの支援制度をわかりやすく理解できる冊子配布や、住まいの貧困をなくすための「民間借家の入居者に対する家賃補助制度」の創設などあらゆる施策を講じていくことが必要ではないかと考えますが、知事にお伺いします。
 次に、県内の出産可能な医療機関の適正配置と助産師確保などについてお伺いします。
 8年前議論となった県立総合看護専門学校の廃止の際、私はこの議場で修正案まで提出し、県内における助産師の安定的な養成及び確保を図るため、高知県立総合看護専門学校の助産学科の廃止を平成27年度末までとするよう延期を求めました。
 その平成27年度という今年度、幡多けんみん病院では昨年度の15人から6人が定年前退職をするという事態を招き、あき総合病院などから職員派遣の応援をもらうという苦肉の策を講じています。
 知事にも、幡多けんみん病院の助産師の現状を憂う声は届いているかと思います。「幡多けんみん病院で勤務する助産師は心身ともに疲弊しており、個人の人生への悪影響でしかない。現状に精一杯努力している助産師にもっと目を向けて、職員を大事にしてほしい」との声が挙がっています。その姿勢が県当局にない限り、人材の確保は難しいのではないかと思います。
 県は、助産師確保対策の一つとして、「助産師緊急確保対策奨学貸付金制度」を実施していますが、奨学金の貸与を受けて助産師免許を取得した後の県内医療機関における勤務の状況については、今年4月時点で、これまで奨学金の貸与を受けた41名のうち38名が県内で勤務しているにもかかわらず、現在県立病院に勤務する者は2名に過ぎません。
 就業助産師数も、平成18年末で人口10万人対比17.9人と全国下位から9番目だったのが、平成24年には23.3人と下位から17番目と、県内全体の助産師養成に関しては、一定の効果はあるのかもしれませんが、こと県立病院における助産師確保については、功を奏しているとは言えません。
 知事は提案説明で「今後はより多くの結婚、妊娠、出産、子育ての希望をより早くかなえていく」と言われましたが、出産に関しては、その条件が県内で保障されていないことをどう改善するのかが問われていると思います。
 そこで、知事にお尋ねしますが、県内における分娩を取り扱う産婦人科の偏在をいかに改善するのかということは、この少子化対策の中でどのように位置づけられ、具体策をどのように考えられているのかお尋ねします。
 さらに、欠員状況の続く、助産師確保の面で、幡多けんみん病院での助産師確保のため、どのような抜本策を図ろうとされているのか、公営企業局長にお伺いします。
 また、県立大学の実習医療機関として学生実習受け入れの検討をされているということでありますが、幡多看護専門学校の助産師養成の可能性について、健康政策部長にお伺いします。
 そして、この項の最後に、県立病院における助産師の継続的な確保のため、勤務条件の改善などの検討についても、公営企業局長にお聞きします。
 今朝の高知新聞では、発足1年を迎えた、とさでん交通の課題について、多方面から評価されていましたが、私も県民の公共交通機関として、継続的に発展することを願いつつ、知事にお尋ねします。
 さて、今日から、路面電車とバスの運賃を精神障害者は半額、65歳以上は第3日曜日に限り半額にするなどの新サービスを行い、増便を図る一方、1便当たりの平均利用者が1人未満の6区間は運行を休止するなど路線の効率化が図られようとしています。
これまでは、一部の路線の効率化やダイヤ改正でありましたが、来年10月の抜本的な路線再編が予定される中、十分に当該自治体や地域の声を聞きながら、切り捨てられ感を生じさせることのないように、利用者の立場に立った慎重な対応を要請しておきたいと思います。
 ところで、昨年来、高知市中心部のバスターミナルの候補地の検討がされていることと思われますが、高知市でも2015年度中に方向性を決めたいとされていましたが、先送りとの話もある中、議論過程が可視化されていないので、候補地域間の誘致合戦などが利用者とかけ離れたところで議論されているのではないかとの懸念も聞こえてきます。
 議論過程を可視化した上で、その方向性に利用者の合意形成が円滑に進められるよう期待しておるところでありますが、現状はどうなっているのか、副知事にお聞きします。
 昨年、6月議会で集中議論をした際に、知事は私の再質問に対して、「とさでん交通の経営については、できる限り透明性の高い経営を行っていただく。ただ、あくまでも民間会社なので、一定限界があることは確か。やはり民間の経営としては、ほかの会社並みにやっていただくという点も出てこようか。いずれにしても、できる限り透明性を確保するべく取り組みを進めていくべき」と答弁されました。
 そのような中、株主総会が非公開であることに対して、情報の開示が求められたり、知事に対する公開質問状が提出されるなど、透明性の高い経営のあり方について疑問が呈されています。
 「県民が最大株主」と言ってきた以上、そして、昨年の知事答弁に見られるような姿勢を堅持する以上、可能な限りの情報を公開すべきだと思います。公文書の不存在を理由として、公開を拒むのは、いかがなものでしょうか。公開するに値するものであれば、取り寄せてでも公開することが、最大株主に対する責任ある対応ではないでしょうか。
 そこで、一年もたって公開の基準がなぜ明確にされていないのか、この項は知事にお尋ねします。
 また、情報公開を求められ、公文書不存在を理由に非公開とした「とさでん交通の損益計算書内の特別損失(構造改革費用)についての契約内容、支払先、仕様書等及び成果物」などは情報提供すべき内容だと考えますが、どうか、あわせて知事にお伺いします。
 社長が24日の記者会見の場で、明らかにした「社内改革や退職者の再就職支援に関する複数の外部機関への委託」というのは、新会社統合というスキームを描いた国内大手の弁護士事務所と監査法人グループへの委託費用なのか。また、この監査法人との契約は、どのような形で行われていたのか。そして、これは、いつまで続くのかあわせて、副知事にお伺いいたします。
 最後に、これまでにも何度か取り上げてまいりました都市計画道路はりまや町一宮線の工事にかかわって、土木部長にお尋ねします。
 県は、ホームページで、「平成23年3月に、はりまや橋小学校までの北側が整備されましたが、残る区間については、新堀川に生息する希少生物の扱いや、新堀川を覆うことへの反対意見などから、工事を一時中止して、整備後の交通量の調査や新堀川の自然環境の復元状況を県民にお示しし、高知市のまちづくりに沿った整備を検討することにしています」として、これまでの調査結果やアンケート結果などを公表しています。
 2013年2月定例会でも、私の質問に対して、前年11月に行った周辺住民に対するアンケート結果を用いた答弁をされていましたが、以来、このアンケートや「新堀川駐車場の一部撤去による新堀川環境変化の調査結果(詳細版)」の内容においてデータの統計処理が施されていないことや調査結果の解釈に誤りがあることなどについて、新堀川界隈ネットワーク、浦戸湾を守る会などから陳情が出され、土木部との間でやりとりがされてきましたが、陳情者の皆さんが納得のいくような回答が得られていないというのが現状です。
 この調査結果の問題点を詳細に説明することは、時間の制約で不可能ですが、アンケートの前提として強調された「光が当たることにより、藻類の活動が活発になっています」ということで、光が当たっているにも関わらず数値が低下したことには触れず、道路建設により暗渠になっても、一部光が当たる場所を設ければ、失われた環境が簡単に回復できるかのような印象を与え、調査結果の詳細版を見れば、光がなく藻類が繁殖していないはずの駐車場下から葉緑素が検出されたことが、記載されています。
 さらに、この詳細版の原版である県の「新堀川感潮域における現地調査と底質分析調査結果報告書」には、「駐車場下は藻類が増殖するのに十分な光量は得られない。浮遊藻類の堆積による影響が強く表れている可能性が高い」との記載があるものの、そのことには全く触れられていないことからも、調査した藻類がもともと干潟に生息していたものか、浮遊藻類かわからないにも関わらず、「光が当たることにより、藻類の活動が活発になっています」とは言えないのではないかと思われます。
 にもかかわらず、「アンケート調査へのご協力のお願い」には「交通量および新堀川の環境調査をとりまとめた資料を添付しています。内容をご確認いただき、アンケート調査へのご協力をお願いいたします」とあり、その意味では、添付された「新堀川駐車場を一部撤去したことによる新堀川の環境変化の調査結果」の内容は、アンケート調査実施の前提として重要な部分であると考えます。
 この添付された調査結果は、検証委員会によるものでもなく、県と委託業者によるこのような断定的な文章で、誤った情報を市民に提供し、ミスリードを行ったと思われるのですが、県はどのようにお考えか、お聞きします。
 また、報告書原文の19ページには「駐車場下では駐車場の被覆によって底生微細藻類が増殖するのに十分な光量が得られないと判断され、このことからも、駐車場下で検出したクロロフィルa量は前述したとおり底生微細藻類の光合成によるものではなく、浮遊藻類の堆積による影響が強く顕れていた可能性が高い」とあるにもあっかわらず、なぜこれが詳細版には載せられていなかったのか、土木部長にお伺いいたしまして、私の第一問とさせていただきます。

◎知事(尾ア正直君) 坂本議員の御質問にお答えをいたします。まず、やればできると実感している解決課題は何なのか、また、課題解決の先進県として後続の県に頼られる、時代に必要とされる県となった分野にはどのようなものがあるのかとのお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをさせていただきます。
 私は、これまで人口減少のもたらす負のスパイラルと南海トラフ地震を始めとする数々の自然災害から県民の命を守るといった、本県が抱える二つの根本的な課題に、困難を避けることなく、正面から向き合ってまいりました。そして、これらの課題に立ち向かうために、経済の活性化を始めとする五つの基本政策と中山間対策の充実強化など、基本政策に横断的にかかわる二つの政策に積極的に取り組んできたところであります。
 こうした中で、経済の活性化では、例えば、地産外商公社が仲介、斡旋した成約件数が、平成21年度の約25倍の4,393件、成約金額が平成23年度の約4.7倍の約16億円、また、ものづくり地産地消・外商センターの外商支援による受注金額が、平成24年度の約11倍の27億1,000万円になるなど、各分野で地産外商が大きく前進をしております。
また、観光分野でも400万人観光が定着しつつあるなど、一定の進展が見られるなどしているところであります。
また、日本一の健康長寿県づくりでは、小規模多機能で日常生活を支える福祉サービスなどを提供する、あったかふれあいセンターが、本年7月末現在で41カ所。サテライトを含めますと、228カ所で設置運営されるなど、高知型福祉のネットワークも県内に広がってきております。さらに、南海地震トラフ対策の抜本強化・加速化でも、避難場所は計画総数1,445カ所に対して1,361カ所が、津波避難タワーは、計画総数115カ所に対して103ケ所が、今年度末までに完成する予定であるなど、地震対策も広範に進展してきておるところだと考えているところであります。
 二つの根本的な課題に逃げずに取り組んできた結果、例を挙げさせていただければ、まさにこうした取り組みが着実に成果が上がっていることにより、私は、やればできるとの思いを強くしたものであります。県民の皆様や議員の皆様、また、市町村の皆様に、多大な御尽力を賜りましたことが実を結んだものと感謝をしているところであります。
 また、全国に先駆けて、人口減少や高齢化が進んでいるからこそ、課題解決の先進県として取り組んできた、取り組まざるを得なかった施策もございます。例えば、先ほども申し上げた、あったかふれあいセンターは、中山間地域で弱まってきている地域の支え合いの力を、官民協働で意図的、政策的につくり出していく取り組みでございます。集落活動センターは、特に厳しい状況にある集落の維持、活性化に向けて進めてきたものでございます。
 こうした本県の取り組みが一定モデルとなって、国のまち・ひと・しごと創生総合戦略の中に、小さな拠点の形成として盛り込まれ、全国規模での取り組みが進められることとなり、まさに、お話にございました全国に先駆けてお示ししてきた処方箋ではないかと考えております。
 また、他県に先駆けて、官民協働、市町村との連携協調のもとで取り組んでいる移住促進につきましても、地方創生に関わる一連の政策提言を通じて、国による移住交流情報ガーデンの設置など、移住促進策の推進につながっているものと考えており、これも、全国に先駆けたものではないかと考えております。
 さらには、国が総合戦略を策定する際に、本県が取り組んでおります産業振興計画を始めとする、五つの基本政策とそれらに横断的に関わる二つの政策の構造そのものを、国に詳細に説明し、その後押しとなるような政策体系となるよう、政策提言を重ねてまいりました。本県のように、人口減少と戦わなければならない県は、今後、日本にたくさん出てくる。ゆえに、本県のような政策体系を、ぜひ、国が後押しをするべきであるという話を申し上げてきたところであります。その結果、国の総合戦略が本県の提言の方向に沿った形で策定をされ、本県の政策体系と比較的親和性の高いものとなり、結果、本県の政策を力強く後押ししていただけるものとなりました。
 こうしたこともあり、この3月、全国の都道府県に先駆け、地方版の総合戦略を策定できたということにもつながったものと考えているところであります。
 しかしながら、移住促進の取り組みは、全国的なものとなったがゆえに、地域間での競争がさらに激しくなってまいりますし、あったかふれあいセンターや集落活動センターにつきましても、中山間地域におきまして、依然として人口減少、高齢化といった極めて厳しい実態があることも確かであります。経済につきましても、本格的な拡大の再生産のループに乗せていくためにやるべきことはまだまだ多いとそのように考えているところでありました。しっかりとPDCAサイクルを回しながら、さらなる施策の展開が必要だと、そのように私は感じているところでございます。
 次に、安全保障関連法の合憲性の認識と、国会における個別事例に照らした徹底した議論についてお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをします。
 私は、従前より安全保障環境の変化を踏まえれば、新しい安全保障に関する法制度が必要だと考えてまいりました。他方で、平和主義を掲げる憲法に適合できないといけない。すなわち合憲でなければならないことは当然だと考えております。
 政府においても、安全保障関連法において行使する集団的自衛権は、実質的に自衛のものに、厳に限るという方針を示されるなど、合憲であることを目指して取り組んできたものと考えますし、こうした考えのもとで法律も組み立てられているものと認識しております。
 しかしながら、どうしても条文は一定抽象的とならざるを得ないという側面を有しております。政権は、先々において変わっていきますが、この法律が将来のある政権のもとで、恣意的に運用され、結果として暴走が起こり、戦争に至るというような不幸な事態に陥ることは絶対にあってはならないと思っております。だからこそ、しっかりと個別具体例に則した議論を積み上げ、恣意的な運用の余地をできる限り排除すべきだと申し上げてきたわけであります。
 そして、国民の皆様の中にも、法律が恣意的に運用され先々において暴走してしまうことを心配しておられる方も多いのではないか、だからこそ、恣意性を排除するための議論を積み重ねることで、国民の皆様の理解も得られるようになってくるのではないかとも主張させていただいてきたところでございます。
 今回、国会での審議が積み重ねられ、審議時間は衆参合わせて200時間以上となり、長い時間議論されているのは確かだと思います。また、一定、個別の議論も行われ、これが結果として、より具体的な制限などにも触れた参議院の附帯決議にもつながったものと考えております。
 ただ、残念ながら、法律が成立した後の世論調査を見てみますと、議論が尽くされていないとのお答えが7割を超えておりますし、また、総理御自身が、残念ながらまだ支持が広がっていないのは事実だともおっしゃっており、まだまだ議論を深めるべきところはあるのではないかと考えております。
 こうしたことから、安全保障関連法は成立しましたが、先々における恣意的な運用につながらないように、今後も個別具体的な議論をぜひ積み重ねていただきたいものだと考えているところであります。
 次に、国会における採決の評価について、お尋ねがございました。
 今国会において、安全保障関連法案が採決されたことにつきましては、さまざまな議論を展開していく必要性とともに、会期末が迫っているという現実の国会運営上の課題の双方の中で、葛藤があり、そういう苦悩が与野党ともにしみ出していた、にじみ出していた国会運営だったのではないかと思います。法は成立しましたが、こうした議論は、何年もかけて積み重ねていくべきものかとも思います。今後も引き続き、個別具体的な議論を、国会で積み重ねていっていただきたいと考えております。
 次に、重要影響事態法第9条の解釈と、同法及び存立危機事態の後方支援への協力についてお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。
 重要影響事態法第9条では、重要影響事態に際し、関係行政機関の長が、地方公共団体の長に対し、公共施設の使用など必要な協力を求めることができることとなっております。その際、地方公共団体の長は、所管する個別の法令に照らして、使用内容が施設の能力を超える場合など、正当な理由がある場合には協力を拒むことができるとされています。したがいまして、許可を行う義務が生じるものではないと理解しています。
 重要影響事態においては、関係行政機関の長が協力を求める場合の手続きは法に明記されており、協力の種類や内容等について、閣議決定を行った上で要請することになっています。一方、存立危機事態においては、日米地域協定に基づき、米国から政府に施設の使用についての要請があった場合、政府が地方公共団体に対し、施設使用の協力要請をすることとなります。しかし、この手続きについては、法に規定されておらず、具体的なことについては、今後検討していくと国会で答弁されているところであります。
 いずれの事例にしましても、現時点で、どのような協力が求められるか想定できませんが、仮に本県が協力を求められた場合は、法令に基づき、協力の種類や内容を踏まえて判断することになるものと考えているところであります。
 次に、緊急事態条項について、自民党の憲法改正草案を承知の上で意見陳述したのかとのお尋ねがございました。
 6月15日に開催された衆議院憲法審査会高知地方公聴会では、南海トラフ巨大地震が発生した場合の防災対応上の必要性、地方自治の保障や地方分権の推進という観点、参議院議員の都道府県代表としての性格、これら3項目について、憲法に深く関わる点を、憲法審査会で大いに議論いただきたいとの趣旨で意見を申し上げました。
 特に、南海トラフ巨大地震が発生した場合の対応については、防災担当大臣も経験されている古屋圭司委員と中川正春委員が出席されていましたので、ぜひ防災という観点から、憲法についていろいろと議論いただきたいと考え、3点の中でも、最初に具体的な論点を掲げて問題提起させていただきました。南海トラフ巨大地震が発生した場合に、東日本大震災をはるかに上回る被害が見込まれ、極めて重大な緊急事態となります。この場合、国民の生命や財産を守るために迅速な対応、具体的には、速やかな特別法の制定と予算措置が必要となります。特別法の制定と予備費を越える規模の補正予算の決定には、国会が正常に機能することが前提となりますが、最悪の事態を想定する危機管理上の視点から考えると、南海トラフ巨大地震が衆議院の解散中、または、任期満了前の選挙期間中に発生した場合に、そもそも選挙ができるのか、また、参議院の緊急集会を含め、定足数を満たす国会の開催が可能なのか、憂慮しております。このため、国会議員の任期や選挙期日の特例、さらには、緊急時に政府に法律制定や補正予算決定と同等の効果を有する権限を付与するための根拠規定を憲法に規定する必要がないか、また、緊急時には憲法上の財産権、居住移転の自由といった私権を制限してでも、国民の生命や身体を守らなければならない事態が想定されます。諸外国のように、緊急時の権利制限に関する規定について、あらかじめ憲法に規定する必要はないか、また、緊急時に名を借りた過剰な人権制限を防ぐためにも、大規模災害時に及び得る人権制限を憲法に限定的に規定する必要がないか、そういった緊急事態において必要となり得る規定、いわゆる緊急事態条項について、あらかじめ考えておくべきではないのか、憲法審査会で大いに議論していただきたいとの趣旨で発言をしたところであります。
 以上の発言については、私が、内閣府の南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループやナショナル・レジリエンス懇談会などの委員を務めている中での経験や、何と言いましても、東日本大震災の教訓などを生かしながら、南海トラフ地震対策を進めている経験を通じて、私自身、日ごろから問題意識を持っていたことを踏まえて発言させていただいたもので、自民党の憲法草案を念頭に発言したということではございません。
 次に、私が、東日本大震災から学ぶとすれば、南海トラフ地震への備えに生かすことは何なのかであって、緊急事態条項への規定の必要性ではないとの御指摘を受けました。本県は、東日本大震災に多くを学んだからこそ、平成23年度以降、南海トラフ地震対策を抜本強化、加速化してきたものであります。事実、南海トラフ地震対策行動計画は、平成21年度に策定した行動計画での取り組みが111項目だったのに対して、東日本大震災後に見直しを行い、現在226項目へと大幅にふやしております。全面的に東日本大震災の教訓を取り入れて、南海トラフ地震対策を進めているところであります。
 次に、伊方原発再稼働に関する一連の御質問にお答えをいたします。
 まず、四国電力との勉強会の現時点における到達点として、伊方原発の安全性は確保されたと評価しているのかとのお尋ねがありました。
 伊方発電所3号機につきましては、原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査の結果、今年7月15日に設置変更許可となりましたほか、愛媛県の伊方原子力発電所環境安全管理委員会、原子力安全専門部会におきましても、新規制基準への適合状況の審議が行われ、今年9月1日に原子力規制委員会の審査結果を妥当と判断するとの報告書が、愛媛県知事に提出をされました。このように、二つの機関において、専門家による最新の知見に基づく厳格な審査が行われた結果、新規制基準に適合していると判断されたものと受けとめております。
 他方、本県では、勉強会において、県民の皆様が、日ごろ心配されている疑問を四国電力に投げかけ、具体的な数値を用いるなど、わかりやすい回答を求めてまいったところであります。これまでに得られました安全対策に関する四国電力の回答に対するさまざまなご意見をいただくため、9月18日に開催されました商工農林水産委員会で報告し、公表をさせていただきました。この報告に対する本議会の御議論や県民の皆様の御意見を踏まえて、必要に応じて四国電力にさらに説明を求めてまいりたいと考えております。愛媛県での安全対策などの議論も進んでおり、その動向も注視していく必要がありますことから、安全性につきましては、引き続き確認を行う必要がある段階にあると考えているところでございます。
 次に、再稼働されたら移住政策に大きな影響があると思うが、そのような影響はないと思っているのかとのお尋ねがありました。
 仮に、伊方原発が再稼働することとなった場合に、移住政策にどのような影響を及ぼすかは定かではありませんが、これまでの本県への移住相談の中では、対応に当たったスタッフの記憶によれば、伊方原発が話題に挙がったケースは数件ありますものの、伊方原発の再稼働を強く懸念する声は確認できていません。ただ、いずれにいたしましても、移住政策への影響にかかわらず、再稼働については、従来から申し上げていますとおり、安全対策の徹底が大前提であります。こうしたことから、本県では、四国電力との勉強会などを通じて、これまで安全対策の確認をしてきているところであります。
 次に、産業振興計画における影響も含め、本県の課題解決を大きく後退させることにもなるからこそ、再稼働には明確に反対すべきではないかとのお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、原発事故の被害の甚大さやその影響が長期間にわたって広範囲に及ぶことに鑑みれば、脱原発を目指して原発への依存度を徐々に減らしていくことが必要であると考えています。しかしながら、安全性の確保を大前提とした電力の安定的な供給は、県民の皆様の社会生活や経済活動を維持、発展していくために不可欠なものでもあります。こうしたことから、本県では、四国電力との勉強会等を通じて、安全性に加えて、原発の再稼働の必要性についても確認をしてきているところであります。勉強会の内容については、先月報告させていただいたところですが、報告に対して、本議会で十分に御議論をいただきたいと考えております。
 順番が前後いたしまして、失礼いたしました。
 県民との公開勉強会を行い、県民の声と四国電力との勉強会を踏まえた上で、県として態度表明を行うべきではないかとの御質問にお答えをさせていただきます。
 四国電力との勉強会は、伊方原発に対して多くの県民の皆様が不安に感じておられるからこそ、その疑問について四国電力に説明を求め、伊方原発の安全性を確認し、徹底するよう求めるために始めたものでありました。公開の場で行い、一般の方にも傍聴していただいております。7月には、勉強会の中間取りまとめを公表し、その際にいただいた県民の方からの御意見、御質問も含めて、8月に開催した勉強会にて、四国電力に説明を求めております。そうしたこれまでの勉強会での内容について、改めて取りまとめ、9月18日に公表をいたしました。県民の皆様には、この資料を参考にもしていただき、県に御意見や御質問をお寄せいただきたいと思います。県民の声としていただきました御意見、御質問は、今後も四国電力に対して、勉強会などで説明を求めてまいります。
 次に、南海トラフ地震対策に関し、在宅被災者の支援のあり方についてお尋ねがありました。
 東日本大震災においては浸水区域の3分の1の方が、また、阪神淡路大震災でも1週間後で約半数の方が、避難所以外の場所に避難されています。これは、避難所まで自力で移動ができない場合や、ペットの同伴、避難者自身の健康状態への不安などの個別の事情で、共同生活が難しいと判断されたことによると言われています。また、在宅など避難所以外の場所にいる避難者を全て把握することはできなかったため、安否の確認や食料、物資等の支援が抜け漏れるなどの課題があったとお聞きをしております。
 本県においても被災1週間後で、避難者のうち約35%の方が在宅を含め、避難所以外の場所で避難されると想定しており、同様の事態になることが考えられます。こうした避難所以外の場所に避難されている方も被災者としてしっかり支援していく必要があると考えております。
 そのためにも、まずは、それぞれの避難所が地域の拠点となって、地域でサポートする仕組みづくりが大事だと考えているところです。このため、県では、現在、避難所を住民の皆様に運営していただくための取り組みを各地域で進めておりますが、その中で、それぞれの避難所が周辺の在宅避難者を支援する拠点ともなるよう取り組んでいるところです。具体的には、在宅避難者の情報収集、在宅避難者への情報提供、食料や水などの配給物資の受け渡しについて、地域でサポートする体制について定めることとしており、今後、各避難所でこうしたマニュアルが作成されるよう、取り組んでまいります。
 次に、復旧復興過程の制度改善は十分図られたと考えているのかとのお尋ねがありました。
 大規模災害による被災からの復旧復興を行う際には、これまで既存の制度に特例措置を適用することや特別措置法の施行により、被災状況に応じた措置が取られており、阪神淡路大震災や東日本大震災においても同様の措置がとられてきました。こうした中で、事前に制度化し、備えることが望ましいものについては、適用範囲の全国への拡充や特措法の一般法として法制化が行われており、これまでにも被災市街地復興特別措置法の適用範囲が全国に拡充されたことや、東日本大震災復興特別区域法が一般法化されたことなど、数は少ないながらも、こうした改正がなされたものがあります。
 一方で、例えば、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律に基づく、被災者への就業支援を行うための制度がありますが、1世帯1人限りと制約があるため、2人以上の求職者がいても2人目からは給付金の受給の対象外になるなど、実態を踏まえた制度とはなっていないと、東北の被災地で指摘されています。
 また、マンション等の所有者の権利を定めた建物の区分所有等に関する法律がありますが、現行法では、被災したマンションの解体や敷地売却に関する規定がなく、所有者全員の賛同が得られなければ、被災による建てかえや売却が行えないといった課題も挙げられています。
 こうした改善すべき既存の法制度のほかにも、倒壊家屋の解体費用を国庫補助の対象としていた特例措置を恒久化すべきといった指摘もあるなど、適用範囲を全国に拡充すべき法律や制度はこのほかにもいろいろあるものと思われます。
 今後、これらの東日本大震災における復旧復興の支障となった事例としっかり研究し、本県の南海トラフ地震対策に生かしていくとともに、制度改善や適用範囲を拡充していただく必要があるものについては、他県と連携して政策提言も行ってまいりたいと考えております。
 次に、子供の貧困対策の施策についてのお尋ねがありました。
 本県では、厳しい環境に置かれた子供たちへの支援策を県政の重要な政策課題と位置づけ、子供たちの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、教育や福祉の分野を中心に就学前から高等学校までの各段階に応じた切れ目のない支援策に取り組んでいるところであります。
 こうした中、8月には、県民世論調査において、県民の皆様の子供の貧困の問題に関する意識や特に力を入れるべき施策などについての調査を行いますとともに、1人親家庭、約5,000世帯を対象といたします詳細な実態調査も行ったところです。
 今後は、こうした結果なども分析の上、子供たちが置かれている現状をしっかりと把握した上で、今年度中に子供の貧困対策計画を策定してまいります。その際には、国の子供の貧困対策に関する大綱で示された指標の改善に向けた重点事業なども参考に、県民世論調査で選択肢としてお示ししました事業なども含め、子供たちのライフステージに応じたきめ細やかな切れ目のない支援が行き届く施策体系の構築に向け、十分な検討を重ねた上で、総合的な施策となるよう、計画づくりに努めてまいります。
 今後とも、厳しい環境に置かれた子供たちの将来や貧困の連鎖を通じて決して閉ざされることにならない県づくりに向けて、取り組みの更なる強化を図ってまいります。
 次に、高齢の生活困窮者への支援策についてのお尋ねがありました。
 高齢者を含めた生活困窮者を対象に、生活保護に至る前の早い段階からの相談に応じ、関係機関の連携による自立に向けた包括的な支援を行うことを目的に、本年4月から、生活困窮者自立支援法が施行されております。こうした支援制度につきましては、支援を必要とされる方が早い段階から相談に来ていただくことが、何よりも重要なポイントとなりますことから、県では、住民に身近な市町村などを通じまして、その広報、周知に努めてきたところであります。
 4月からの制度施行に伴い、生活困窮高齢者などからの相談を受け付ける窓口では、さまざまな相談をワンストップで受けとめ、迅速かつ適切な支援の提供に努めておりますが、相談を受ける中で、生活保護制度の適用が必要と判断された方につきましては、福祉事務所に的確につなぐ対応がなされているものと承知をいたしております。
 県としても、これまで高知型福祉の実現に向け、独自に取り組んでまいりました。地域福祉活動の拠点となります、あったかふれあいセンターの運営などによる地域における支え合いのネットワーク活動などを通じまして、支援が必要な方の早期発見へとつなげ、深刻な状況に至らない早い段階からの自立に向けた相談支援が提供されるよう、取り組みを進めてまいります。その際には、今年度から取り組んでおります、低所得などの配慮を必要とする高齢者向け住まいの整備なども有効に活用していただければと考えております。
 いずれにいたしましても、日本一の健康長寿県構想の取り組みを進める中で、高知型福祉の実現に向け、高齢者の貧困化を予防するための施策についても、さらなる充実強化を図ってまいりたいと考えているところであります。
 次に、分娩を取り扱う産婦人科の偏在改善についての位置づけと対応策について、お尋ねがありました。
 日本一の健康長寿県構想では、周産期医療体制の確保を重要な柱として位置づけ、これまで医療従事者の確保などに取り組んでまいりましたし、県の総合戦略の中でも少子化対策の柱の一つとして位置づけております。県内の産婦人科医師の増加と定着を図るため、県の奨学金制度に産婦人科に関する加算制度を設け、卒業後は、高知医療再生機構を通じて、専門医の資格取得を支援し、また、分娩に従事した産婦人科医への手当支援の補助などを行ってまいりました。
 現在、在学時に奨学金を受け、卒業後、産婦人科医として勤務している医師が3名、産婦人科に関する加算を受けている在学生は6名に上っております。キャリア形成への支援策とも相まって、高知大学医学部産婦人科教室に入局した産婦人科医は、この10年で11名となっており、一定明るい兆しは見えつつあります。
 しかしながら、県内基幹病院は、産婦人科医の数に余裕がなく、宿日直が多いなど厳しい勤務環境にあること、若手産婦人科医に、女性医師が多く、出産や育児のため、常勤勤務が難しい場合があること、分娩の安全性確保の観点から、少なくとも複数の産婦人科医師による分娩対応が必要と学会等がしていることなどから、分娩施設のない高幡保健医療圏での分娩再開は難しい状況にあります。
 こうした状況を踏まえ、高幡圏域の市町村では、保健師や助産師による妊婦教室の開催や育児相談、母乳相談などの取り組みに助成を行っております。また、今年度より、分娩施設まで時間を要する地域にお住まいの妊婦の方の安心安全な出産を支援するため、分娩待機等を行うことができるドナルドマクドナルドハウスこうちに、常時居室を確保しております。
 引き続き、産婦人科医師などの医療従事者の確保とともに、こうした取り組みを進め、県内の各地域で妊婦の方が安全で安心して妊娠出産を迎えることができるよう、周産期医療体制の充実に取り組んでまいります。
 次に、とさでん交通の株主総会の公開に関してお尋ねがありました。
 とさでん交通は、県民生活に不可欠な公共交通を維持するために、県と関係市町村が全額出資して設立された、いわば、県民の皆様の会社であります。事業再生計画を目標どおり達成し、持続可能な公共交通を維持していくためには、広く県民の意見が反映される透明性の高い事業運営がなされる必要があります。
 とさでん交通は、会社設立の経緯もあり、情報公開を基本に置いて、できる限り丁寧な説明をするという考えに立っており、事業再生計画の進捗状況等を四半期ごとに報告するモニタリング会議や、株主総会を開催した折には、別途に記者会見を行い、議事、会議内容についての説明、意見交換の場を設けるなど、経営情報や事業再生の進捗状況などの情報提供がなされております。また、利用者にとって、真に使い勝手のよい公共交通を形づくるとの考えのもと、中央地域公共交通改善評議会の場においては、広く県民からの意見を募り、利便性向上策やバス路線の再編、ダイヤの適正化などについて、公開で議論がなされるなど、県民に開かれた取り組みがなされていると受けとめております。
 会社からは、株主総会も含め、情報公開のあり方については、今後とも課題意識を持って検討していくお考えだとお聞きをしておりました。県といたしましても、引き続き、とさでん交通から可能な限りの情報の提供がなされ、広く県民の意見が事業運営に生かされるよう、さらなる努力を期待しているところであります。
 最後に、とさでん交通の契約内容等に関しての情報提供の考え方について、お尋ねがありました。
 県が所有する公文書については、情報公開条例に基づき公開していくことが原則であり、条例の解釈運用基準に照らし、適切に対応していく必要があります。そうした中で、個人に関する情報や法人等の事業活動に関する情報の取り扱いなど、非開示情報に当たるか否か、具体的な個々の情報の内容や性質によって慎重に判断されるべきものもございます。
 お話にありましたケースは、企業間の契約内容に関するもので、内容によって個別に判断されるものと思われますが、関係する書類を県は所有していなかったことから、公文書開示請求に対して、公文書不存在決定通知を行ったものと承知いたしているところであります。
 私からは、以上でございます。

◎危機管理部長(野々村毅君) 南海トラフ地震対策に関し、復興まちづくり計画を策定する段階における被災住民と行政との関係性について、お尋ねがありました。
 被災後の市町村の復興については、東日本大震災以降に成立した大規模災害からの復興に関する法律に基づき、被災の状況も踏まえ、土地の利用も含めた街の復興や応急住宅の建設も含めた暮らしの復興、農林水産商工業の事業再開といった産業の復興など、市町村全体の復興の青写真を示す復興計画を各市町村が策定することになります。この復興計画に基づき地域ごとの復興を進めるためには、議員からお話のありました復興まちづくり計画を策定しておく必要があります。この復興まちづくり計画は、地区ごとにどのような街にしていくのかといった、具体的なハード、ソフトの取り組みを実施するための計画であるため、策定に当たっては住民と行政が連携協働しながら合意形成を図っていくことが重要となります。
 一方、この計画の策定には、相当の時間を要することから、発災後取りかかったのでは、その分復興がおくれることになりますので、事前に住民の皆様と行政側が被災後のまちづくりについて話し合いを進めておくことや、そうした活動を通して顔の見える関係を築いていくことが地域の迅速な復興につながると考えております。
 次に、補正予算にある浦戸湾の石油施設の状況を監視できる被災状況監視システムの整備と、火災の延焼拡大リスクの軽減の関係性について、お尋ねがございました。
 南海トラフ地震が発生した場合には、浦戸湾沿岸域においても揺れや津波によって、防潮堤の被災や市街地への浸水といった大きな被害が発生することが想定されています。最悪の場合には、タナスカの石油基地の被災により、流出した石油と浮遊する瓦れきが混ざり合うことで、津波火災が発生し、さらに市街地に向けて延焼し、住民の方々が避難している津波避難ビルに迫るといったことも想定されます。そうした場合でも、火災が迫っているビルに避難されている住民の方々の命は何としても守らなければなりません。そのためには、正確な被害状況を早期に把握し、ヘリやボートを活用した救助活動を迅速かつ効果的に行うことが必要となると考えられますので、石油ガス基地だけでなく、浦戸湾内への油や瓦れきの流出状況、さらには、火災の発生や拡大といった浦戸湾全体の被害状況を常時監視できるカメラを設置することが有効であると考えています。この監視カメラを設置することは、火災の延焼拡大リスクの軽減に直接つながるものではありませんが、最悪の場合でも、津波火災から避難者の命を守るという被害の軽減には大きな役割を果たすものと考えております。
 次に、津波火災の消火方法の研究結果や国の動向に関する情報収集の進捗状況について、お尋ねがございました。
 津波火災に関する消防庁や専門家の調査研究の状況は、その発生や延焼のメカニズムに関しては一定解明されておりますが、消火につきましては、まだまだ抜本的な対策が見出せていないところであります。
 そうした中、消防庁の消防研究センターでは、水陸両用の小型消防車両に関する研究を行っており、平成25年度には、救助用の車両が実用化され、本年度には、これをベースに消火機能を持つ車両が実用化されております。この車両は、津波火災の現場まで近づくことが可能ですが、小型ポンプを搭載しているものの、通常の消防車ほどの消火能力がないことから、津波を消火することまでは困難ですが、延焼をおくらせることは可能ではないかと考えております。そのため、津波避難ビルから避難者を救助しなければならないケースで、津波火災が近づいているような状況においては、この車両がその能力を発揮することができるのではないかと期待しております。この車両は、津波火災を消火することについて、抜本的な対策とはなりませんが、先ほど申し上げたケースなどで活用することを検討してみたいと考えています。
 なお、専門家の調査研究の状況や国の取り組みの動向などについては、今後もしっかり情報収集に努めてまいります。
 次に、垂直避難が困難な災害弱者向けの自己浮上式施設の整備の可能性について、お尋ねがございました。
 津波からの避難につきましては、まずは高台などの津波浸水区域内の避難場所へ避難していただくこと、次に、それができない場合は、浸水区域内の避難ビルや避難タワーにいなしていただくことが原則であり、高齢者などの要配慮者につきましても、共助の取り組みにより、同様に避難していただきたいと考えております。
 しかしながら、繰り返し、繰り返し訓練を実施しても、津波が到達するまでに指定された避難場所まで逃げ切れない地域については、新たな避難施設の整備を検討する必要があり、このような場合は、県としても支援していかなければならないと考えています。こういった施設の整備について、市町村が自己浮上式施設を選択した場合、県としても支援の検討はしなければならないと考えていますが、全く新しい発想の構造物となるため、導入に当たっては技術的にしっかり検討をしていただくことが必要になってくると考えております。
 次に、津波避難ビルへの避難者用の食料や水の必要性について、お尋ねがございました。
 長期浸水区域にある津波避難ビルに避難されている方で、干潮時においても浸水深が深いため、自力で脱出することができない方につきましては、救助することが必要となりますので、孤立地域と同等とみなさなければならないと考えています。しかしながら、こういった方々は、高知市で約6万人に上ると想定しており、救助には相当の時間が必要となります。そのため、例えば、マンションが避難ビルになっている場合などでは、住民の方々には、水や食料の備蓄をしていただくとしても、不足する分や外部から避難してきた方々の分は、行政が手当てをしなければなりません。このための対策としては、津波避難ビルに、市町村の公的備蓄を分散配置することが確実な方法と考えておりますので、現在、高知市と協議を行っておるところでございます。
 いずれにしましても、高知市の長期浸水区域内における津波からの避難、津波避難ビルに残る避難者の支援、また、ビルからの避難者の救助から避難場所までの移動、これらの対策については、南海トラフ地震対策の中でも大きな課題と考えておりますので、今後も、高知市と連携して取り組んでまいります。

◎土木部長(福田敬大君) 地区の復興に関する協議の場への被災者、避難者の参集呼びかけについては、市町村が責任を持って対応し、早期の合意形成につなげていくことが必要ではないかとのお尋ねがございました。
 高知県震災復興都市計画指針は、南海トラフ地震等による大震災発生後の迅速な都市の復興を図るため、県、市町村連携による復興体制の強化、復興まちづくりを進める職員の対応力の向上を目的として策定に取り組んでいるものでございます。
 この指針の中の地区における被災住民との合意形成の取り組みには、市町村と住民が同じ目標に向け主体的に取り組めるように、地区住民との合意形成の進め方を具体的に記載しております。復興まちづくりは、被災避難者の意見や希望を踏まえ、常に協議をしながら、復興手法を検討していく必要があり、地区住民との協議の場づくりは大変重要だと考えております。
 しかしながら、被災後においては、被災者、避難者に協議の場に参加していただくよう呼びかけを行うことが困難な場合も想定されます。そのため、被災者、避難者の参集呼びかけを行うための調整や連絡方法について、具体的に検討する必要があり、指針に基づく訓練などを通じて市町村を支援していきたいと考えております。
 次に、はりまや町一宮線はりまや工区で実施したアンケート調査の添付資料の内容が断定的であり、誤った情報を市民に提供し、ミスリードを行ったのではないかとのお尋ねがございました。
 このアンケートは、はりまや橋小学校から駅前通りまでの4車線整備が完了した後、約1年半が経過した平成24年11月に、周辺地域にお住まいの方々を中心に、4車線整備における周辺環境の変化をどのように感じているかを把握するために実施したものでございます。また、このアンケートの実施に際しましては、平成20年度から継続的に実施しております周辺道路の交通量調査結果と、新堀川駐車場を一部撤去したことによる新堀川の環境変化の調査結果をあわせて添付いたしました。
 このうち、御指摘のございました新堀川駐車場を一部撤去したことによる新堀川の環境変化の調査結果につきましては、駐車場を撤去した後の3年間の観測データを藻類の増殖状況、干潟の土の汚濁状況、干潟の動物の生息状況に分け、駐車場下の数値を基準にその差を相対的に比較した結果をお示したものでございます。この中で、藻類の増殖状況につきましては、平成21年度に開催した第2回新堀川自然環境観測検証専門委員会時点におけます調査結果と同様な傾向を示したことから、第2回検証専門委員会での検証結果を踏まえた内容を記載したものです。なお、その後も調査を継続し、平成25年度に開催した第3回検証専門委員会において同様の評価をいただいていることからも、アンケート時に添付した資料の内容は、客観的かつ適正なものであり、誤った情報を提供したものではなかったと考えております。
 最後に、平成25年度に実施した都市計画道路はりまや町一宮線環境調査委託業務の成果報告書に記載されております浮遊藻類の影響に関する記述を、公表資料の詳細版に載せなかった理由について、お尋ねがございました。
 県では、平成20年8月に新堀川駐車場の一部を撤去し、撤去部における新堀川の環境変化を継続的に確認するため、5年間にわたり調査を行い、その蓄積したデータを取りまとめ、専門家で構成する新堀川自然環境観測検証専門委員会で検証を行ってまいりました。その検証結果を都市計画課のホームページで公表しております。公表資料は、閲覧していただく方にわかりやすく情報提供するために、概要版とそれを補足する詳細版に分けて掲載をしております。概要版は、調査目的と検証結果を1枚に取りまとめたものであり、詳細版は、成果報告書の調査データや調査結果とその評価を取りまとめたものでございます。ご指摘のございました浮遊藻類の影響に関する記述については、成果報告書の中の補足的な考察であり、主たる検証結果に影響を及ぼすものではないと判断し、詳細版に記載しなかったものです。

◎地域福祉部長(井奥和男君) まず、個別計画の策定や福祉避難所の指定促進に向けた支援の状況と、各地域での情報共有についてのお尋ねがありました。
 個別計画の作成につきましては、本県では、平成27年3月末までに全市町村で避難行動要支援者名簿の作成が完了し、8月末時点で、高知市を始め24の市町村において、個別計画の作成に向けた具体的な取り組みが進められております。県としましても、現在個別計画の早期作成に向けまして、今年度から新たに導入した補助制度の活用などとあわせて、福祉保健所などとも連携した市町村への個別支援に取り組んでいるところです。
 次に、福祉避難所の指定状況につきましては、本年8月末現在で、全ての市町村において174の施設が指定され、約8,400人の受け入れが可能となっております。県といたしましても、昨年度作成をいたしました福祉避難所運営訓練マニュアルを活用した、地域住民の皆様の参加による運営訓練を実施していただくなど、福祉避難所の役割や運営などへの正しい理解が深まるよう、支援に努めているところです。あわせて、福祉避難所の指定の促進と機能強化を図るため、今年度から新たに備蓄倉庫を補助対象に加えるなど、取り組みを強化しているところです。
 また、こうした情報の地域での共有につきましては、地域本部、福祉保健所、市町村などが連携を強め、地域への積極的な情報提供に努めますとともに、その際には各市町村の取り組み状況や課題などをしっかりと把握しておく必要があるものと考えております。
 次に、福祉避難所の収容可能者の充足見込みや広域的な受け入れ体制の整備についてのお尋ねがありました。
 福祉避難所の収容可能者数の見込みは、先ほど申し上げましたように、約8,400人となる一方で、県内の避難行動要支援者数は約6万1,000人に上っております。このうち、避難行動要支援者の避難行動支援に関する取り組み指針の中で例示された要介護認定者などの範囲に限りましても、28市町村で約1万7,000人となるなど、大幅に不足する見込みとなっております。
 こうした状況を踏まえますと、さらなる指定の促進に向けた取り組みを進める必要がありますが、一方で、施設の立地条件などの問題から、指定が難しいといった状況もあり、中央東福祉保健所管内や中央西福祉保健所管内では、障害者自立支援施設や特別支援学校などとの広域的な福祉避難所の協定を締結いたしております。県としましても、地域本部や福祉保健所などとも連携し、福祉避難所の指定促進に向けた市町村支援の取り組みを継続いたしますとともに、既に災害時の総合応援協定を締結している社会福祉施設などとのブロックごとのネットワークの構築に向けた情報交換なども踏まえ、議員のお話にもあります、搬送手段を含めた広域避難のあり方などについて検討を深めていく必要があるものと考えております。
 最後に、高齢の生活困窮者への支援に関するお尋ねがありました。
 県が所管をいたします町村におきまして、生活困窮者自立支援制度が本格施行となりました本年4月1日から8月末までの間に、相談窓口で受け付けました相談件数は515件で、そのうち、高齢者からの相談は288件となっており、約56%を占めております。また、高齢者からの主な相談内容につきましては、病気、健康、介護に関する相談に加えて、住まいのことや収入、生活費に関する相談などが主な内容となっております。

◎健康政策部長(山本治君) まず、南海トラフ地震対策行動計画の高度な医療を必要とする災害時要配慮者対策について、患者の安全確保は次期計画で達成可能かとのお尋ねがありました。
 在宅で人工呼吸器の使用や酸素療法をされている患者さんについては、発災時には停電による機器の使用不能や、避難時に医療機器が持ち出せないなどの医療継続に向けた問題が生じるおそれがあります。こうした問題への対応は、患者さんごとに個別性がありますので、平時からの備えや、発災時の対応については、市町村が個別支援計画を策定し、対応を進めることになっています。特に、人工呼吸器使用の患者さんについては、人工呼吸器の作動が生命に直結しますため、福祉保健所において市町村の個別支援計画の策定を支援し、近隣の協力者や介護サービス事業者などと、安否確認も含めて支援体制を構築しているところです。
 また、酸素療法の患者さんについては、これまで把握が十分にできていませんでしたが、高知県医師会や、酸素ボンベ取扱業者に御協力いただき、患者さん約1,050名の同意を得て、県から市町村に名簿提供を行っているところです。この名簿を基に、市町村において備えを進めていただくよう、福祉保健所において支援に当たることにしています。
 市町村における個別支援計画は、24市町村で順次取り組みが進められている状況ですが、第3期計画においては、県内の全市町村で、高度な医療ケアが必要な患者さんについて、個別支援計画を策定していただけるよう、取り組みを進めてまいります。
 次に、幡多看護専門学校での助産師養成の可能性について、お尋ねがありました。
 県内での助産師養成に関しては、以前は、総合看護専門学校が県内唯一の養成機関でしたが、平成17年に高知女子大学において、入学定員の増員も含めた看護学部の拡充にあわせ、助産師の養成に必要な課程が設置されることになりました。また、高知大学においても、助産師の養成を始める方向で検討されていました。このような状況を受け、総合看護専門学校のあり方について検討を行う中で、各大学及び総合看護専門学校の助産師養成数を考えた場合、県内の実習施設が少なく、学生一人につき10例の分娩介助実習を確保することは困難であり、3校が併存して助産師を養成することは難しいと判断し、平成20年度末をもって総合看護専門学校を廃止することにしたものです。
 現在、県内の二つの大学では、毎年13名の助産師の養成が行われています。また、助産師養成の大学への移行にあわせて、平成20年度から、助産師緊急確保対策奨学金制度を開始し、県内で就業する助産師を確実に確保するよう取り組んでまいりました。その結果、この5年間で県内2大学の卒業生と奨学金制度を利用した40名が、県内の医療機関に就職しています。このような状況ですので、大学での現在の助産師養成に加えて、幡多看護専門学校で新たに助産師養成を行うことは考えていません。
 なお、県内の医療機関等で就業している助産師数は、平成16年当時から増加し、おおむね充足の方向にありますが、就業場所は県中央部の医療機関に集中しており、議員が懸念されているとおり、地域間での偏在が課題となっています。
 このため、本年度末で条例の期限が失効する助産師緊急確保対策奨学金は、期限を延長するともに、郡部の医療機関での就業の動機づけとなるよう、内容の見直しも検討していきたいと考えています。

◎教育長(田村壮児君) 子供の貧困対策に関連して、スクールソーシャルワーカーの切れ目のない配置ができないかとのお尋ねがございました。
 現在、スクールソーシャルワーカーは、27市町村と九つの県立学校へ、延べ69名を配置し、課題を抱える子供や家庭への支援活動を行っております。そのうち15名は、本年度の子供の貧困対策の一つとして、支援の必要な子供たちが多い七つの支部に、県単独事業により重点配置をしております。
 スクールソーシャルワーカーの配置に係る財源の多くは、国の補助事業によるものであり、補助金交付手続きの制約上、配置は4月中旬から翌年3月中旬までの期間となっております。スクールソーシャルワーカーの配置が切れることとなる春休み期間は、進級や進学など、新たな年度へのつなぎの時期であり、誰もが不安と期待を抱く期間です。特に不登校などの課題を抱える子供やその家庭には、丁寧な支援が必要な時期でございますので、本来は切れ目なく配置することが望ましいものと考えております。
 県といたしましては、これまでスクールソーシャルワーカーをできるだけ、4月の早い時期から配置できるよう、事務手続きを急ぐなど、未配置期間の短縮に努めてまいりました。また、お話にもありましたように、市町村の中にはこうした切れ目のある状況が生じないよう、独自の予算により、春休み中に配置できるようにしているところもございます。
 今後、県といたしましては、スクールソーシャルワーカーの配置期間の改善について、国への要望を行うとともに、春休み期間中も含めた切れ目のない配置に向けて、県として何ができるのか、市町村とも十分に協議をしてまいりたいと考えております。

◎公営企業局長(門田純一君) 幡多けんみん病院の助産師の確保策、また、継続的な助産師確保のための勤務条件の検討などについて、お尋ねがございました。関連いたしますので、あわせてお答えをさせていただきます。
 幡多けんみん病院は、年間に400件を超える分娩を取り扱うなど、幡多地域の周産期医療に対しまして大きな役割を担っているところでございます。こうした中で、お話にもございましたように、その業務の担い手である助産師について、今年、さまざまな事情で定年前に退職する職員が、想定外に増加したため、その人数が大きく減少いたしました。
 このことに伴い、夜勤回数が大幅に増加するなど、職員にも大きな負担をかけているところであり、これまでどおりの役割を病院が担っていくためには、助産師の確保が急務となっているところでございます。
 このため、短期的な対策といたしまして、安芸総合病院からの派遣に加えまして、現在、中央地域の幾つかの公的病院と、助産師の応援をいただくための協議を進めているところでございます。長期的な対策といたしましては、採用試験の受験者数をふやし、採用者数を増加させること、県立病院の看護師の中から、養成している助産師を増加させること、そして、就職した職員が、モチベーションを維持し、勤務し続けられる職場環境づくりが重要になってまいります。
 一つ目の採用試験の受験者数をふやす取り組みといたしまして、まずは、経験豊富な助産師など、幅広く応募がいただけますよう、これまで39歳までとしておりました年齢制限を59歳まで引き上げるとともに、試験回数もこれまでの2回からさらにふやすこととし、今月末にも臨時の採用試験を行うこととしております。
 また、助産師養成機関の実習施設として学生を受け入れることが、当該病院への就職の動機づけの一つとなると言われておりまして、幡多けんみん病院の実情も踏まえました上で、実習の受け入れも検討してまいりたいと考えております。
 さらに、知事部局における奨学金制度の見直しの検討の際には、郡部における助産師の確保に効果的な制度となるよう、提案もしていきたいと考えております。
 次に、看護師から助産師の養成につきましては、これまでも県立病院に勤務する看護師を助産師養成機関に派遣し、助産師資格を取得する取り組みを進めてまいりましたが、今後は採用予定者にまで派遣する候補者の範囲を広げるとともに、これまで以上に掘り起こしを行うことで、派遣人数をふやしていきたいと考えております。
 最後に、職員が継続して勤務できる環境づくりについてでございますが、このことにつきましては、現場や病院だけに任せるのではなく、本局としてもこれまで以上に職員の意見をくみ上げてまいりますとともに、助産師確保に資するよう、待遇面の改善などについても検討しているところでございます。
 こうした取り組みを積み重ねることで、助産師の確保、そして、職員がモチベーション高く働き続けることができる環境整備に努め、幡多、安芸の保健医療圏において、妊婦の皆様が安心して出産できる病院づくりに努めてまいります。

◎副知事(岩城孝章君) とさでん交通についての御質問にお答えをいたします。
 まず、路線バスターミナルの候補地検討の現状について、お尋ねがございました。
 路線バスターミナルの設置場所の選定などにつきましては、昨年来、高知市が中心となって検討を進めてまいりましたが、本年5月に開催された高知市地域公共交通会議において、高知市から市中心部への一極集中型ターミナルの整備については、大規模な敷地の確保が極めて困難との認識が示され、それにかわる案として、当面は高知駅、県庁前、はりまや橋ターミナル、とさでん交通本社、この四つの拠点で、分散型ターミナルとしての機能を確保するという提案がなされたところです。
 現在のところ、一極集中型ターミナルの整備についての具体的な進展は見られておりませんが、高知市からは、本年度中にその方向性を見出していくとの考えが示されておりますので、今後につきましては、まずは、中央地域公共交通改善協議会において、分散型ターミナルの考え方を取り入れた形でのバス路線の再編に関する検討が、公開でなされていくべきものと考えております。
 次に、とさでん交通の社内改革等に関する委託先や契約関係について、お尋ねがございました。
 とさでん交通に確認をしたところ、お話のあった複数の外部機関とは、一つ目には再構築スキームの立案に携わった弁護士事務所と、二つ目には監査法人の系列企業である、事業再生を専門とするコンサルティング会社、三つ目には、退職者の再就職支援などを請け負う会社であるとお聞きをしております。お話のあった監査法人ととさでん交通との間に契約関係はなく、系列のコンサルティング会社との間で契約が締結をされておりまして、人事、給与制度や諸規定の整備など社内改革に関する業務のほか、データ経営の確立やバス路線の再編に関する支援業務を委託をしているとのことでございます。委託先であるコンサルティング会社は、経営統合に関する一連の業務に関わってきておりまして、事業再生を着実に進めていく上でのパートナーとして適任であると判断したものとお聞きをしております。
 今後につきましては、事業再生計画の進捗や社内体制の整備状況を見る中で、判断していくこととなるというふうにお聞きをしております。

◎30番(坂本茂雄君) それぞれに御答弁、ありがとうございました。
 幾つか、再質問をさせていただきたいと思います。一つは、知事にお伺いしますが、憲法と安保関連法案の関係で、幾つか、お話があったんですけど、結論として、結局、今回の法案は合憲であったという判断はしてるということなのかどうか。そこは、一応、明確に言ってください。というのは、あまりにも多くの法学者、あるいは、これまで最高裁判所の長官を務められた方たちが、この法案は憲法違反であるというふうに、法の専門家たちが言ってるにもかかわらず、知事は、これは合憲であると。ただし、合憲であるけれども、いつ何どき、その法が、そのときの政権によって恣意的に運用されるかわからないので、そこを、言うたら、そうならないために、いろんな個別の事例の議論の積み上げや、あるいは、国会議員の質問主意書によって、たがをはめていくとか、そういうことで、そういった恣意的運用をさせないための積み上げをしてもらいたいんだと。しかし、その前提として、この法律は合憲なんだという判断をされてるのかどうかっていうことを、明確にお答えをいただけたらというふうに思います。
 それと、もう1点は、自治体が、いわゆる必要な協力を求められた場合について、例えば、正当な理由があれば拒むことができるとか、あるいは、協力の種類によって判断されるというようなお答えがあったわけですけれども、それは、その場面に遭遇してみないとわからないということなのか。あるいは、その場面に遭遇してみて、知事としては、高知県は、これは正当な理由があるというふうに判断すれば、協力するんですよと。あるいは、協力の種類によって、県が判断すれば、今後は協力していきますというふうな方向性を持たれているのかどうか、そこについてお聞かせいただきたいと思います。
 そして、災害と緊急事態条項の憲法への追加規定の問題ですが、先ほど、なぜ、地方公聴会で、ああいうふうな意見陳述をされたかという経過などがお話ありました。その中に、古屋委員のお名前があったわけですけれども、まさに、今朝の新聞の記事は、その古屋委員が自民党の憲法改正のメンバーの一人として、お試し改憲で結構じゃないかと。本音を言わずに、9条改正という本音は言わずに、これから進めましょうということを、新聞記事で、今朝、載っていたわけですね。そういう意味で行けば、やはり、これ、知事も調査会の中でも発言されてるんですが、例えば、他国において、こういった緊急事態条項というの、あるじゃないかというようなことも言われてますが、ただ、災害のみに関して、国家緊急権、緊急事態条項を定めている国は、ほとんどない。やはり、いわゆる軍隊との関係とか、軍による関係との中で、そういったことを定めているのが多いんではないかというふうに、私は理解してるんですけれども。例えば、極めて、どう言うんですか、軽微と言ったらおかしいですけれども、制限を加えるような部分は確かにあろうかと思います。ただし、それなんかも、法律でまた定めておるもんとか、そういった部分も他国にはあろうかというふうに思いますので、いえば、結局、法律できちんと整備をしておけばいいものが多いのではないか。わざわざ、あえて憲法にそういった条項を規定しなくても、対応できるのではないかということを、私は思っています。そういった意味で、本当に、どうしても憲法に緊急事態条項がなければ、災害対策、復旧、復興のための災害対策はできないのかどうか、そのことを改めてお伺いしたいというふうに思います。
 それと、これは、危機管理部長にお尋ねいたしますけれども、例えば、浮上式の自己浮上式避難施設の関係で、市町村がそういった方法を選択した場合には、県も検討するということなんですけど、例えば、市町村が、こういった施設の検証作業とか、そういったこというのは、なかなかできないと思うんですよね。県が一緒になってやらなければ、例えば、市町村が選択をしたいけれども、一緒に研究してくれというふうに言われたら、そのときは、県としても一緒に研究をしていくのかどうか。市町村独自でそのことも検証した上で提案をしてもらわなければ、県としては応じられないのかどうか、その辺についてお聞かせいただきたいというふうに思います。
 そして、助産師の養成の関係で、先ほど、健康政策部長が、今回の奨学金の条例が一旦切れるけれども、それ、延長していくと。その際に、内容を見直すことによって、いえば、県立病院での就職につながるような、そんな動機づけにもつながるような内容に検討したいということですけれども、ひょっと具体的にそういう方法があるのかどうか、ちょっと、私、思いつかないんですけども、場合によっては、卒業後はそういうことを附帯条件にするとかいうことになると、ちょっと、これもまた、いろいろあろうかと思うんですけども、その辺について、どのようなことをお考えになってるのか、お聞きしたいというふうに思います。
 いずれにしても、南海地震対策の関係は、まさに先ほど、先ほどと言いますか、この間、知事が言われておりますように、やればできる。このやればできるということについて、その姿勢を南海地震対策の中で貫いていただきたいと。いろんな困難な課題、あると思います。しかし、さっき言うような、危機管理部長を責めるわけじゃないですけれども、そういった自己浮上式の施設についても、まさに知事が提案して、今、室戸で進んでいる、ああいったシェルターなんかも実現にたどり着いたわけですから、そういった意味で、やればできるということを、この地震対策の中では、逃げずに、ぜひ、やっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。そのことについての決意もお聞かせいただきまして、2問目とします。それ、知事です。

◎知事(尾ア正直君) まず、第1問目について、この法案は合憲であったと判断しているのかどうかという話であります。先ほど、私、御答弁させていただいたとおりなんですけれども、条文の組み立てとしては、あくまで自衛のための目的ということに貫かれている限りにおいて、憲法9条の範囲内に入るという形で組み立てているものだと私は思っています。
 ただ、ここは多分、言葉が、私、先ほど、御説明が足りなかったのかもしれませんが、税法と安全保障関係の法律っていうのを比べてみるとわかりやすいと思うんでありますが、税法上の法律というのは、細かい要件をびっちり書き込んで、いわゆる、解釈の余地がないぐらいに細かく書き込むという形で作られているものであります。しかしながら、安全保障法政上の条文というのは、どうしても、いろんな事態に対応しないといけなくなる可能性があって、一定、文言が抽象的になってしまうという側面が、やっぱりあるだろうと。だから、合憲性、合憲であるように組み立てている条文であったとしても、合憲性の補強をしっかりとしていくことというのを、個別具体の議論を通じた、いわば解釈判例みたいなものを積み上げていくことで担保していく必要があるだろうと、そういうことを私は申し上げてきたわけであります。
 この点について、いろいろ、まだまだ、相当議論をされてきているとは言いながらも、国民の皆様方から、やっぱりアンケート調査をとると、まだ議論をしてもらいたいというお声が出てきてるということ。やっぱり、このことを踏まえた対応というのが必要ではないのかなと、そのように考えているわけでありまして。やはり、私は、今後とも、しっかりと国会においての議論というのを期待を申し上げたいと、そのように思います。
 2問目が、ちょっとよくわからなかった、御指摘がよくわからなかったんですが、その場面に応じて判断するのか、それとも、法令に従って判断するのかと、そういうことでございますか。申しわけありません。

◎30番(坂本茂雄君) その場面において判断するということと、もう一つは、いえば、どういう場面であろうが、判断すれば、もう協力はしますよということなのかどうか、そういう姿勢なのかどうかですね。

◎知事(尾ア正直君) 基本的には、法令に基づいて対応させていただくということであります。しかしながら、法令に基づいて対応していく中においても、法令に基づいて断る理由というのがしっかりあります。正当な理由があれば断れるというふうになってまして、断るべき正当な理由があるのであれば断ります。断るべき正当な理由がないのであれば断りません。そういうことだと、そのように考えております。
 そして、災害と憲法の話についてでありまして、この点、今後も、さらに議論、深めていく必要があるんだろうと思いますが、ただ、一つだけ申し上げておきたいと思うんですが、憲法の改正というのは条文ごとに行われますので、災害についての議論をしたからといって、これをもってして、他の条文に、どんどん、どんどん、波及していくということには、それはならないはずでありまして、1条ごとに国民審査、国民における選挙が行われていくものだと、まず、その大前提のもとでお話をさせていただきたいと、そのように思いますけれども。やはり、災害と憲法の問題について、私も、いろんな危機管理上最悪の事態というのを想定して、ずっと検討を重ねてまいっているわけでありますが、例えば、日本国憲法では、衆議院議員の任期は4年間とはっきり書いてあります。ですから、4年間を超えてしまったら、憲法上、衆議院議員は衆議院の身分にいられなくなってしまう。しかし、果たして、災害が起こったときに、ずっと、そういうさまざまな任期切れの状況で本当にいいんでしょうかとか、いろいろと、やはり考えないといけない側面があるんではないのかなと、そのように考えています、制度上。
 そして、もう一つ。先ほど、軍隊に絡めてとおっしゃいましたけれども、やはり、諸外国の憲法、やはり、いろいろ調べてみますと、ドイツ連邦共和国基本法でありますとか、さらには、ロシア連邦憲法、ポーランド共和国憲法などなど、自然災害に対応した部分というのをしっかり切り分けて、その自然災害が発生した場合において、どのように対応すべきなのかということについて明確に定めてあります。一定、どうしても移動制限とかを課さしていただかなければならない場合も出てくるかもしれません。それを、果たして、法律でやってしまうという、法が最後の根拠ということでいいのだろうかと。人権制限にかかわることについては、不当なことにならないように、やはり憲法上、逆に言うと、制限できるものを制限するとか、そういう限定をかけておく必要がないのだろうかと。やはり、私は、これは憲法上の問題として議論をしていただかなければならない課題ではないのかなと、そのように思っておりまして、やはり、制度の問題、そしてまた、人権の問題、いずれの観点からも、憲法上の議論を積み重ねていっていただきたいと考えております。ただ、これは、あくまでも、災害対応上、そういう議論をしていただきたいということを言っておるわけでありまして、あくまで、災害対応上の議論の話であって、これは9条の話とは関係ないと、そのように私は思っています。
 そして、最後、南海トラフ地震について、やればできるという決意で頑張るべきだという話であります。これは、南海トラフ地震対策において、さまざまな、やはり課題が残っております。議員が、今、御指摘されましたような、長期浸水区域における避難ビルの住民の皆様方の対応をどうするのかとか、こういう課題なんかも非常に重要な課題だと、そのように思っております。やればできるという気持ちでもって、いろいろ困難はありましょうけれども、それを乗り越えていくように、一生懸命、対応していきたいと、そのように考えておるところであります。

◎危機管理部長(野々村毅君) 津波避難場所の選定と、基本的に先ほども御説明いたしましたが、高台へ逃げてください。それから、津波浸水区域外の高台へ避難してください。次は、避難ビル、それから、タワーといったものに逃げてください。というのは、高知県津波避難計画策定指針ということで、どういう避難場所を選択したらいいのかっていうのは、一定、ガイドラインを示してございます。その中には、タワーでございますとか、先ほどからお話のある津波避難シェルターでございますとか、津波避難艇みたいなものが書いてございます。これは、一応、一定、技術的な基準というのがないものについては、県が定めて、これで市町村の皆様にこうやって整備してくださいってことでお示ししてます。
 その中に、今、言われました浮上式の施設につきましては、当然、入ってございません。先ほどから言っておりますように、訓練して、訓練して、どうしても逃げれない地区があって、そういった、今、我々が御提示していただいておる施設、避難場所の施設で、どうしても整備がすることができないということであれば、我々も、それしかないというものであれば、当然、御協力していかんといかんと思っております。そこは、市町村さんが、それしかないよってことを、しっかり御説明いただければ、我々も協力いただくと思います。していきます。

◎健康政策部長(山本治君) 助産師の奨学金については、中央部に、ほとんどの産科があるということで、今は県下一律の条件になってます。ただ、除外はできないんですけども、例えば、償還期間について、郡部の病院に行けば償還期間をちょっと短く、免除ですね。償還免除期間を短くするとかっていうようなこともあるんじゃないかということで、今、内部で議論をしておるところです。また、条例改正も必要ですんで、議会でも御議論をいただきたいと思っております。

◎30番(坂本茂雄君) もう時間ありませんので、最後に。知事、やはり原発の問題は、知事が言われている、いわゆる戦うべき二つの課題に私は反するものだというふうに思ってます。結局、原発が事故を起こしたときには、まさに知事が言う、戦うべき二つの課題を大きく後退させることになるんではないかというふうに思っておりますので、先ほど、知事自ら、県民との勉強会ということについては、あまりはっきり言われませんでしたけれども、ぜひ、知事がそういう場へ出ていって、自らの腹をくくっていくということもやっていただきたいということを最後にお尋ねしておきたいと思います。
 そして、はりまや橋‐一宮線の問題、あるいはとさでんの経営の問題、ぜひ、透明性を明らかにして、県民に情報をきちんと開示しながら、今後も進めていただくということをお願いしておきたいと思います。
 最初の知事の御答弁。

◎知事(尾ア正直君) 私は、今、原発の問題について、勉強会方式で対応させていただいておることについて、これ、やっぱり、いろいろ、多くの皆様の御意見をいただきたいという思いで、こういう取り組みを進めさせていただいているんだと、そういうつもりであります。勉強会、すべて公開させていただいておりますし、そして、また、その結果を取りまとめたものにつきましても、6月の段階で、1回、公開をし、御意見を伺い、その御意見をさらに勉強会の場で問いただし、そして、また、もう1回、今回、9月の段階で公開をし、御意見を募り、その御意見を踏まえて、また問いただすと。そういう取り組みを、2回、繰り返していっているわけでありまして、これほど、あまねく広く、多くの皆様方の御意見を伺う、そういう仕組みというのは、ないのではないかと。ぜひ、公開させていただいておるわけでありますから、これにつきまして、多くの皆様から御意見を賜りたいものだと、そのように考えております。これを、このやり方を、私はさせていただきたいと、そのように考えておる次第です。