2017年2月定例会一般質問(3月6日)

◎30番(坂本茂雄君) それでは、南海トラフ地震対策などから、順次お尋ねさせていただきたいと思います。
 9月定例会の質問の際、地元の高知市立昭和小学校の先生方と東日本大震災の被災地で、避難所となった学校関係者を訪ねて学んだことを述べさせていただきましたが、その後、昭和小学校では、その学びを防災学習の中で実践し、実際避難生活を送るために、何をどのように備えておくべきかを研究し、その内容を「減災対策新聞」として作成、学校新聞づくりコンクールに応募し、見事、教育長賞を受賞させていただきました。
 また、その教育内容の実践の場としての12月18日の訓練には、生徒たち、保護者、地域住民、約1,200人が参加されました。そして、当日の午後には、地域の防災訓練も行われ、97歳の方を最年長とする後期高齢者や乳児連れのお母さんや発達障害の子供さんたち要配慮者が参加者のうち15%を占めた要配慮者対応の避難所開設訓練も行いました。
 その訓練内容を報じた年末特番「みんなの高知2016」の南海トラフ地震対策のコーナーをスタジオでごらんになられていた知事も「非常に進んだ訓練ですね」とコメントしてくださったこと、御記憶にありますでしょうか。
 さらに、新聞などマスコミ報道でも、県下のさまざまな学校の防災教育と地域の防災活動の連携による取り組みが取り上げられることが多くあります。中でも、1月30日付け高知新聞にあったように、四万十町での調査を行った矢守克也京大教授は「児童と同居している住民の防災意識は高かった」という記事が、学校と地域、子どもと大人の防災意識を高め合うことを明らかにしています。
 そこで、小・中学校と地域が連携した訓練のシステム化について教育長にお尋ねします。
 学校の防災教育と地域の防災活動の連携によって、大人も子供たちからの刺激と学び合いを得ることができます。日ごろ、地域の防災活動への参加実績の少ない20代から40代の皆さんに参加を促す方法として、地域の防災訓練への児童の参加を促すことと、学校での訓練に地域の方の参加を促す工夫とシステム化を図ることが求められていると考えますが、今まで以上に具体化することについてお聞きします。
◎教育長(田村壮児君) 防災教育を推進するには、地域の関係機関や自主防災組織などと日ごろから情報交換なり、協議を行うなど、学校と地域、家庭が連携した取り組みというのは大変重要だと思っております。
 そのため、県では、各学校に対しまして、参観日などの機会を捉えた防災に関する講演会ですとか、避難訓練の実施、児童生徒の地域での防災訓練の参加など、日ごろから保護者や地域との連携に努めるよう指導しているところでございます。学校が実施する防災参観日や防災キャンプに保護者や地域の方々が参加したり、地域の避難訓練に児童生徒と保護者、教職員が参加したりすることもふえてきておりまして、こうした地域では学校と自主防災組織などが連携し、情報の共有が図られております。このような学校、家庭、地域が連携した取り組みを周知をし進めていくことが20代から40代の方々も含めまして、より多くの地域の方々の参加を促すことにつながるものではないかと考えております。
◎30番(坂本茂雄君) ぜひ周知をしていただくということを、まさにシステム化しておくと。だから、学校によってはそういうことがされている、地域によってはそういうことはされておるということじゃなくて、そういったことが当たり前のようにできるようなシステムをつくっておいていただきたいというふうに思います。
 文科省の通知文書、大規模災害時の学校における避難所運営の協力に関する留意事項について、その6には、地域との連携・協力体制の構築というのがございます。それは、もう各市町村の教育委員会にも通知されていると思いますけども、それらを含めて、事前にそういうことができておってこそ、顔の見える関係になっておってこそ、運営は実際のときにできると思いますので、そこのシステム化していくということについて、もう一度決意をお聞かせいただけませんか。
◎教育長(田村壮児君) まず、学校安全プログラムであったり、あるいは、児童生徒の防災の副読本、この中には地域との連携とか、そういったことは書かさせていただいておりますし、そういったことに基づいて、指導もさせていただいているということでございます。また、そういった地域と連携をするための事業も構えさせていただいておりますので、そういったことをぜひ活用もしていき、さらにその取り組みを周知をしていくと、そういうことを進めていきたいというふうに思っております。
◎30番(坂本茂雄君) ぜひ、学校での防災学習の実施状況がどうなっているかとか、あるいは、訓練が年間1回以上されているかとかいうのは、南トラの第3期行動計画の進捗状況で調べられてますけども、地域との連携がどういうふうにされているかということなどについても、今後は実態把握をしていただくようにお願いしておきたいと思います。
 続きまして、県立高校への防災関連科の創設についてお尋ねします。
 昨年、兵庫県立舞子高校環境防災科に学ばせていただく機会を得て、先生方のお話を聞かせていただくとともに、1年生の授業を見学させていただきました。兵庫県では、阪神・淡路大震災以降、命の大切さ、助け合いのすばらしさなど、震災の教訓に学ぶ、新たな防災教育を推進してきましたが、それを高校の専門学科で展開すべく着手されてきました。当時、防災教育を専門に行う学科は全国の高校に先例がない中、2000年から2年間の教育課程の編成における試行錯誤を重ねて2002年4月にスタート、この4月で15年目を迎えようとしています。そして、2011年3月11日、東日本大震災の被災地には、昨年4月、宮城県立多賀城高校災害科学科がスタートしました。
 私は、この両校が行っている防災教育によって、災害リスクと向き合い、生きるということ、命を守るということを学んでいる生徒たちと、そのような学びの機会を与えている教職員の皆さんに敬意を表しています。私は、被災してから災害・防災と向き合える人財を育成するだけでなく、近い将来に向けて、必ず向き合わなければならない本県にこそ、防災関連科の県立高校への創設が求められているのではないかと考えています。
 ぜひ、本県では、全国に先駆けて、被災する前に、災害リスク、被災地、被災者に学び、失う命を少なくしていくための学びの場として、県立高校に防災関連の科を創設する方向を示していただきたいと考えますが、教育長にお尋ねします。
◎教育長(田村壮児君) 本県の若者に防災について関心を持ち、そのことについての意識を高めてもらうということは大変大事だと思っております。特に、南海トラフ地震がいつ起きてもおかしくない本県において、防災の副読本を活用しながら、授業の中で避難訓練など防災教育に取り組んでいるところでございます。さらに、リーダー的な生徒にも育ってもらうために、須崎高校のような地域と連携した防災教育ですとか、高校生津波サミットなどの取り組みを継続していくことで、生徒には防災への意識を高めてもらいたいと考えております。
 防災に対応する人材を育てるために、お話にもありましたような高校に防災関連科を設置するという考え方もあろうかと思いますが、本県といたしましては、特定の学校にそういった科を置くという方法よりも、幅広い生徒が防災に関心を持ち、さらにその中から防災に関する専門家やリーダー的な人材が生まれるような、そういった取り組みを行ってまいりたいと。また、そういった中から防災に関する専門的な知識ノウハウについて、高校卒業の次の段階で学び、地域、地域で核となる人材が育っていくといったことを期待しております。
◎30番(坂本茂雄君) 特定の学校にそういう科を設けてということよりも、広くあまねくというような考え方かのように受けとめたんですけども、それだったら、今、高校で行われている3時間以上の防災に関する授業、それで事足れりというふうに思っていますか。
◎教育長(田村壮児君) それに加えて、先ほど申しました高校生津波サミットであったり、あるいは、先ほど申しました地域との連携した防災への取り組みだったり、そういったことも含めて、そういった対応をさせていただくということかと思っています。
◎30番(坂本茂雄君) 高知県で数年後に南海トラフ地震が来た後で、やっぱり高校に防災関連の科を設置するというようなことは、そしたら、高知県はしないですか。事後にそういうことをするという考えはないですか。
◎教育長(田村壮児君) 起こってからということは、どういった事態になるか、今なかなか想像がしづらいですけれども、今の時点では、そういったことは考えていないということかと思っています。
◎30番(坂本茂雄君) 国際バカロレアに取り組む目的は、グローバル社会の中で力強く生きる人材育成をするためだというふうに言われています。その以前に、失いかねない県民の命を守る人材を育てることこそが求められているのではないかというふうに思うんですけれども、知事にお伺いしたいと思いますが、こういった防災関連の科を創設して、県下から広く、小中で積み重ねてきた防災に関する教育をさらにもっとここで発展的に学ばせていく、そんな科を創設するような考え方はございませんでしょうか。
◎知事(尾ア正直君) 県民の命を、それぞれの命を、そして、回りの人たちの命を守ることのできるような人材を育てていくということは極めて大事なことだと、そのように思います。そのための手段として、どういうことがあるのかということは、またそれぞれいろんな考え方があるんではないかと思いますね。防災関連科を創設をしてスペシャリストを養成していこうという考え方もあるかもしれませんが、全ての子供たちにそれぞれ防災についての深い知識を持ってもらうように教育をしていこうと、そういう考え方もあるんだろうと思います。
 そして、また、いずれスペシャリストも確かに必要でしょう。ただ、そのスペシャリストを養成する段階というのが、果たして高校なのか、大学なのか、さらにその先なのか、そこもまたいろいろ考えがあるんではないかと思います。実際、私ども、今、防災関連の仕事をしていて、防災対応の仕事をしてきて、一言で言えば、社会全般の事象に関わるようなことを考えて対応をしていかなければ、防災対応というのはできないのだということをつくづく実感をしております。さまざまな科学技術、さらに言えば、社会の成り立ちもよくよく考慮しなければならん。保健、医療、福祉の知識というものも必要になってくる。いろんなことを考えましたときにね、やっぱり防災関連の技術というのは非常に、防災関連のしっかりとした知見をつけるということは、総合対応が必要なんだろうと思います。高校ぐらいの段階では、しっかりと一般教養を身につけさせる方向で行き、その上でもって一定の段階で専門教育として、防災教育を施していくというのが一般としての方向としては望ましいのではなかろうかなと思われるところであります。
 あらゆる子供たちに、防災教育をしっかり施したいという観点と、やはり高校の段階では、やはりまだまだ総合的な教養というのを身につけさせていく、そういう方向感というのを大事にしていく。そういう中で、防災関連のみという形に絞るというのは、やや絞り過ぎではないかという観点からも、私は、高校の段階では、防災関連科を創設するということについては、1つの御見識ではありますけれども、今の高知の現状からいけば、ややまだそういう段階には至ってないのではないかなと、そう思います。
◎30番(坂本茂雄君) 防災関連の科を創設することだけで、防災の専門のことだけを学ぶわけではなくて、そこの中で基礎的な知識も含め、何よりも、人が人らしく生きる、人のことをきちんと思いながら育っていって、地域の中でも活躍できる人材、そういう人たちが育っていく場所として、私はこの防災関連の科を県立高校に創設するということは、ぜひ今後も検討をしていただきと思いますし、2013年10月には、県議会として南海地震対策再検討特別委員会から、最終報告で、高等学校における防災科の設置を検討する必要があるというふうに県議会の特別委員会の総意として申し入れてありますので、ぜひそのことも含めて、今後御検討いただきたい、いうふうに思っております。
 時間がありませんので、続いて、緊急防災減災事業債のあり方について、お尋ねします。
 先日お会いした「人と防災未来センター」の研究員の方から、緊急防災・減災事業債について調査した内容について、教えていただく機会がありました。2011年から13年度の緊急防災・減災事業支出の人口割りの多い額、上位50市町村のうち、高知県が北海道に次いで8自治体がランクインしており、全国2位とのことでした。それは、市町村の3割負担を県が翌年度に交付金措置する「高知県津波避難対策等加速化臨時交付金」が影響しているというふうに分析されておりました。
 そんな中、ある沿岸自治体からは、来年度以降は、緊急防災減災事業債が2020年まで延期されたとはいえ、津波避難対策等加速化臨時交付金がなくなれば、そうそう使えないとの声も聞こえてきます。緊急防災減災事業債に対して、県が市町村負担分の3割を県津波避難対策等加速化臨時交付金で措置してきた取り組みは、市町村が平成27年度までに予算化したものを対象としていますが、今後も、地域における津波避難対策の実効性の確保の取り組みを進めることで、新たな避難路の確保や避難場所の必要性が生じることも想定されるだけに、津波避難対策等加速化臨時交付金の措置を継続する考えはないのか、危機管理部長にお伺いします。
◎危機管理部長(酒井浩一君) この交付金は、津波から命を守るために避難路、避難場所や避難タワーなどの津波避難空間の整備を加速化するために、期限を定めて設けた支援制度でございます。津波避難空間の整備は市町村においておおむね完成し、交付金の目的は達成されましたことから、この制度をそのまま継続することは現段階では考えておりません。現地点検の結果、新たな避難路、避難場所の整備が必要となる場合は、南海トラフ地震対策特別措置法に基づく、財政上の特例措置や緊急防災、減災事業債といった有利な国の制度を活用していただきたいと考えております。
◎30番(坂本茂雄君) 今までは、この緊急防災減災事業債の使ってきた、それぞれの自治体で、やはり県が後々交付金措置をしてくれるということで加速化されてきたというのは、それはもう大きな成果だと思います。
 で、やはり、これが今後言われるように実効性を確保するために、いろんな検証をしたときに、改めて避難路の整備が必要だとか、あるいは、被難場所を確保しなければならないという事態になったときに、やはりそのことがこの交付金措置がないために、ちゅうちょされるというようなことがあってはならないんではないかなと。
 ただ、けど、そうは言っても、今までそれだけのことはやってきたんだからということはいうのはあるかと思いますけども、ぜひそういった点について、これから検証していく中で、どうなるのかということも見きわめた上で、また、新たな支援策が必要となれば、検討するとかいうことは考えられないでしょうか。
◎危機管理部長(酒井浩一君) これから、いろんな津波避難計画できましたけど、検証いたしますので、新たな問題が出てきましたら、それにどう支援していくかっていうのは、具体的にどういう対策をしなければいけないかということを見きわめて考えるべきだと思っております。
◎30番(坂本茂雄君) 先ほど、私が冒頭に述べました、地域で訓練をする中で、訓練で指定されてる避難先まで避難をする。そして、その避難先の学校の屋上まで登ってみる。そういうことを行った高齢者の方が、その訓練中に心臓に負担を来しまして、救急車を呼ぶという事態になりました。ですから、それは、事なきを得たんですけれども、訓練をしたり、実証、検証をしたりすればするほど課題は明らかになってくることもあろうかと思います。
 そういう意味で、ぜひ、先ほどのことについては、今後もご検討をいただくというようなことをお願いしておきたいというふうに思います。
 時間の関係がありますので、若干はしょらせていただきます。
 次に、長期浸水対策と広域避難の検討についてお尋ねします。
 避難所の確保と運営体制の充実の課題として、広域避難の検討がありますが、危機管理部長が中内議員に答弁されましたように、県内4ブロックにおける検討も安芸・高幡・幡多は、圏域ブロック内での合意には至っているが、その内容の具体的な事項は、来年度高幡地区をモデルに進めようというものであります。中央ブロックに関しては、今年度内には合意というものでありますが、平成25年に始まったこの取り組みのスピード感に若干の疑問を感じています。
 長期浸水地区が事前に避難場所を長期浸水域外に確保することを求めるために、平成24年には広域避難のための事前交流を求めた際、「地域間で災害時には支え合えるような仕組みづくりと、あわせて中山間地域と都市部の交流の活性化策や支援策について検討をしていきたい」と当時の部長は述べられました。しかし、その後の「結プロジェクト推進事業」というものも、この支援の面では充分には機能しなかったことも、当時、指摘させていただいております。
 そこで、広域避難が必要と感じている地域の者が、いつまでも不安を抱えることなく過ごすことができるような取り組みの加速化は図れないのか、危機管理部長にお伺いします。
◎危機管理部長(酒井浩一君) 全ての避難者を県内の避難所で受け入れができるように、広域避難の検討は平成25年度から進めております。これまで避難所の確保に力を入れてきた結果、収容人数は当初約18万人から平成27年度の時点で約21万人分にまで拡大し、不足分は約7万人から4万人まで減少しております。今年度末には全ての市町村において、応急期機能配置計画が策定されますので、改めて避難所として活用できる施設の整理ができるものと考えております。
 来年度は、高幡圏域をモデルとして、受け入れ避難所の選定、避難者の移送手段のマニュアル化、避難所の運営方法など、広域避難に関する具体的な検討を進めていきます。他の安芸、中央、幡多の3圏域においては、平成30年度には高幡圏域と同様に具体的な検討に入れるよう、来年度中に受け入れ避難所の洗い出しや避難者の移送手段の確保などについての検討をするといったスケジュールで取り組みます。
 これが、現時点で、スピード感を持った進め方と考えております。
◎30番(坂本茂雄君) 平成25年に始まって平成30年、これだけの期間がかからざるを得ないという、いろんな自治体間の調整とか、そういうことがあるんだろうと思います。あるんだろうと思いますけれども、やはり、そういう調整に県がリーダーシップを発揮して取り組んでいく、少しでもやはりスピード感を持ってやっていくことで、地域の皆さんに不安を感じていただかないような、そんな対応をされていくべきだというふうに思いますので、ぜひ、少しでも早くこれを取り組んでいただきたいということをお願いしておきたいと思いますが。
 続いて、事前にこういった広域避難に備えて、地域間交流を行う地域や集落、自治体間の取り組みについて、支援する仕組みを構築することができないのか、危機管理部長にお尋ねします。
◎危機管理部長(酒井浩一君) 広域避難、まずは、それぞれの圏域内で避難が完結できるように進めております。今後、検討が進み、仮に圏域内でどの地域の方が他の市町村のどの避難所に行くのかが市町村間で決まれば、地域間交流にいたしましても、県としても応援していきたいと考えております。
◎30番(坂本茂雄君) 市町村間でそういったことが仕組みができればということですので、そういった意味でも、前段で言われた圏域ごとの取り組みの加速化というのが大事になってこようかと思いますので、そのこともあわせて、よろしくお願いしておきたいというふうに思います。
 続きまして、バリアフリーツーリズムの関係でお尋ねします。
 昨年の2月のこの定例会でも取り上げさせていただきました。その後、県は、「観光みらい会議」でバリアフリー観光について2度の研修を行われました。しかし、来年度は、観光みらい会議の関連予算が今年の約3割に減額されていること、来年度のおもてなし観光の新規取り組みとして、バリアフリー化を進めるための事業が盛り込まれたりはしていますが、障害者サポート研修の回数は減っていること、そんなことを考えたら、少々私としては残念に感じているところです。
 昨年の第1回会議での日本バリアフリー観光推進機構の中村理事長の講演「集客売上10倍を実現した、バリアフリー観光の秘密」やクラブツーリズム株式会社やJTB中国四国の事例紹介をどのように県は学んだのかと首をかしげたくなります。
 私たち県民の会では、「日本一のバリアフリー観光県推進宣言」を行っている、三重県は鳥羽市の伊勢志摩バリアフリーツアーセンターへ調査に行き、ますますバリアフリーツーリズムの可能性について学ばせていただきました。
 そこで、バリアフリーツアーセンターの開設についてお聞きします。バリアフリーツアーセンターは、全国には21拠点設置されているものの、四国には新居浜市にしかありません。本県のバリアフリーツアーへの取り組みの本気度を問う意味でも、さまざまな問い合わせや観光施設、宿泊施設のバリアフリー化への助言などができる機能を持ったものとして、高知にこそ設置するべきではないかと考えますが、観光振興部長にお尋ねします。
◎観光振興部長(伊藤博明君) バリアフリーツアーセンターの整備につきましては、高齢者、障害者を含め、全ての人が安心して快適に高知県観光を楽しんでいけるための有効な手段の1つだと考えております。バリアフリーツーリズムの受け入れ拠点を整備するにあたっては、まず、宿泊、飲食、輸送、福祉など、事業者ごとの一定の規格に基づいたバリアフリー情報やバリア情報を収集し、相当量のデータを蓄積すること、次に、障害に対する知識や理解がありかつ地域の観光資源の情報に入っても詳しい人材を育成すること、そして、そのセンターの運営体制の検討、整備などが必要となってまいります。
 そのため、まずは、来年度、県版のわかりやすいバリアフリー評価ツールを作成しまして、事業者の自己点検を促すことで、バリアフリーツーリズムへの理解を深めてまいりたいと考えております。また、あわせて、この自己点検をしていただくことを通じて、センターの活用に必要となる各施設のバリア情報、バリアフリー情報の収集や蓄積の準備にもつなげていければと考えております。
 バリアフリーツアーセンターの開設、あるいは、バリアフリーツアーセンターの機能の付加については、膨大な情報収集などが必要となりますので、段階的に進めてまいりたいというふうに考えております。
◎30番(坂本茂雄君) 段階的にと言いますが、ことしがいわゆる自己評価ツールを予算化したということで、来年はじゃあどうなのか、一体いつのことを想定されているのか、そういう間には、もう例えば、後ほど御質問もさせていただきますけれども、パラリンピックの事前合宿の誘致の問題なんかも本格化してくるわけですし。さらに、さまざまな方々が高知へ来てもらうと、435万観光をさらに発展させていくということを考えたときに、段階的というのがどういうことをイメージするのか、もう一度お答えいただけますか。
◎観光振興部長(伊藤博明君) バリアフリー情報を収集する、または、評価システムを使っていくという部分に、実は、一定、事業者の皆さんのまず理解を深めるというのが必要になってまいります。来年度は、そういった評価シートを使いながら理解を深めるとともに、先程言いましたバリア情報それからバリアフリー情報ともに、これをセンターにずっと集めて蓄積していって、それを紹介する必要がありますので、そういった情報収集に向けてつなげていきたいと。
 また、今年度、国におきまして、バリアフリーのモデル事業、全国5カ所で実施をしております。そうしたモデル事業の成果なども来年出てくると思いますので、そういったものも参考にしながら取り組みを進めていきたいというふうに考えております。
◎30番(坂本茂雄君) これも、やっぱりスピード感を持ってやっていただかなければならないことだというふうに思います。県も本当に昨年やっと1歩踏み出したところですけども、これをもっと本格的に取り組んでいくためには、バリアフリーツアーセンターというのは、どうしても必要な施設ではないかというふうに思いますので、そのことを要請しておきたいというふうに思います。
 続きまして、「バリアフリー・モニター会議」の機能的再開について、地域福祉部長にお尋ねします。
 先週末4日に、志国高知幕末維新博が開幕しました。そのメイン会場の近世史の発信拠点として高知城歴史博物館がオープンとなり、県内外から多くの皆さんに訪れていただくことを期待するものです。
 また、来年には坂本龍馬記念館のリニューアルオープン、今後の県市新図書館オーテピアも急ぎ建設中ですが、これらの公的施設のユニバーサルデザインの状況やバリアフリーの状況が利用者にとって担保されているのか、どのようにチェックされているのか気にかかります。盛り上がりに水を差すわけではありませんけれども、今回の高知城歴史博物館もオープン1カ月ほど前になって、一部当事者の皆さんの御意見を聞いてはいるようですが、完成間近では、その意見は充分に反映できていない面があるようです。
 以前は、県の障害保健福祉課が所管する「バリアフリー・モニター会議」があり、そのようなことが事前にチェックされていたようですけれども、現在は解散しているようにお伺いしております。改めて、基本設計段階、詳細設計段階、工事段階できちんと意見反映ができる組織として、障害種別ごとの当事者の代表も構成者とする「バリアフリー・モニター会議」を機能化して、再開できるようにするべきだと考えますが、どのようにお考えか、お伺いします。
◎地域福祉部長(門田純一君) 公的施設の建築の際に、障害のある人、当事者の皆さんから御意見をお伺いすることは大変重要なことだと考えております。その意見を聞く手法といたしまして、お話のありましたバリアフリー・モニター会議の再開がいいのか、新図書館等複合施設オーテピアのように、その建物を所管するところが主体的に当事者の方に集まっていただき、お話をお聞かせいただく方法がいいのか、また、このときもどういう方に集まっていただくかなどについて、障害者の方も関与しておりますけれども、それを一般化をいたしまして、常時アドバイザー的に名簿をつくっておき、それぞれの建物を所管するところが助言をいただく、そういう方法がいいのかなどを検討してまいりたい、そのように考えております。
◎30番(坂本茂雄君) 確かに、方法論はあろうかと思いますが、ただ、それぞれの所管課任せにすると、そこが言えば、きちんと聞いて、アドバイスを聞くようなことが事前にできるのかどうか。聞き忘れてたというようなことがあってはならんわけですよね。そういう意味では、きちんとそれをシステム化して、こういった県が公共施設を新たにつくるとか、改修するとかいうときには、そういったことを聞くことにするというふうなことでシステム化しておくいうことが必要ではないかというふうに思いますので、その手法については、ぜひ、そういった抜かりのない、まさに、機能的な形で動かしていける、そういうものにしていただきたいということを考えますが、その点についていかがでしょうか。
◎地域福祉部長(門田純一君) そういうことも含めて、検討させていただきたいとそういうふうに考えます。
◎30番(坂本茂雄君) この項の最後に、東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿の誘致を契機とした宿泊施設や移動サービスのバリアフリー対応について知事にお伺いします。
 ちょうど1年ほど前の第9回バリアフリー推進四国地域連絡会議の議事録を見てみますと、「香港では2008年の北京オリンピックの際に、イギリスの選手団からの観光がしたいとの要望に対して、最大8から10人の車いす利用者が乗れるマイクロバスを導入して、オリンピック終了後も持続的に運行していると。日本でもオリンピック・パラリンピックを契機にリフトバスの導入が進められることが求めらている」というような発言などがされていました。
 パラリンピック選手団チームの事前合宿の可能性を求める以上、宿泊施設や移動サービスのバリアフリー対応は、急がれるべきだというふうに考えます。その対応があってこそ、誘致の可能性があるのではないかというふうに思いますが、このことを契機に、宿泊施設や移動サービスのバリアフリー化の拡充を図るべきだと考えますが、知事にお伺いします。
◎知事(尾ア正直君) 宿泊施設それから移動サービスのバリアフリー化、確かに急がれる課題だろうと、そのように思います。急ぐためにも大事なこととして2つあると思っていまして、1つは、非常に財源がかかります。でありますので、国も含めてこの点についてしっかり支援制度を創設していただくよう、強くまた政策提言もして、そういう財源も確保していきたいとそのように思います。
 そして、もう一つですが、さっきのバリアフリーツーリズムセンターのお話でもありました、これにも関連することと思いますけれども、やっぱり、このセンターの機能、例えばでありますけど、このセンターの機能の中核は、核心は何かと言えば、一言で言えば情報だと思うんですね。各機関がどのような対応ができるかということが、情報がどうなのかと。いわゆるソフト面というのも非常に大事だろうと。だから、その情報収集をしっかり蓄積していくということは段階的ではあるかもしれませんが、ある意味核心に直接触れることを来年度からしていこうとしているわけであります。私どもとして、このようなハード整備しっかりしていくための財源の確保のための努力とともに、こういう核心であるところのソフトの情報をしっかり収集して蓄積していくという取り組みをあわせて両方していくことでもって、宿泊施設そして移動サービスのバリアフリー化、もしくは、それを事前におわかりいただいて、次善に使っていただくような仕組みづくり、そういうことを進めていければなとそのように考えております。
◎30番(坂本茂雄君) やはり支援制度については重要なことだと思っています。例えば、私どもが調査した際に、鳥羽市のある宿泊施設は、改修のために投じた費用を5年間で回収する予定だったと。それが3年間で回収できるほどの稼働率に高まったということからしても、ニーズがある。その一方で、伊勢市では、改修費の2分の1を上限として400万円まで補助するということを単独でやってたりとかしております。
 ですから、自治体でもその気にならなければいけないでしょうし、国に対しても、今言われたような支援制度を求めていくということも重要だろうというふうに思いますので、ぜひそういったところもあわせて、取り組みを急いでいただければいうふうに思っています。
◎30番(坂本茂雄君) 続きまして、時間がなくて申しわけありませんが、この間ずっと質問をし続けておりまして、一昨年の9月定例会からずっとこの質問、たびごとに取り上げさせていただいております、緊急事態条項の問題で、これも、通告したものを全てお聞きすることには時間的にならないかなというふうに思いますが、1月15日付けの高知新聞社説で「災害対応などの充実が目的というのであれば、現行法の問題点を洗い出し、必要な改正をするのが先だろう。運用の改善などで対応できることも少なくないはずだ。自民党の改憲草案にあるような緊急事態条項を新設すれば、政府の一存で法律と同じ効力を持つ政令を出せるようになる。立憲主義という縛りから権力を解き放ち、独裁へと暴走する政権が現れかねない。大災害や戦争を持ち出されると、その方向につい引きずられがちになる。緊急事態条項の危険性を知り、本当に必要なのかをしっかりと考えていかなければならない」と結ばれていました。そういうことも踏まえて、これまで質問をしてまいりましたが、先の9月定例会で、改憲草案の中にある98条と99条の問題で知事に御見解をお伺いしましたが、そのうち、いくつかお尋ねします。
 98条1項に「内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震などによる大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態」とありますが、緊急事態要件を憲法に限定的に定めず、法律で定めようとしていることにこそ、緊急事態の適用を容易に拡大でき、不当な目的での行使を可能とする危険性があると思いますが、知事はどのように考えられますか。
◎知事(尾ア正直君) まず、自民党の憲法改正草案について、私の意見はどうかという話でありますけれども、自民党としてこの憲法改正草案をつくられた。さらに、総理もおっしゃっておられますように、最終的には国会の憲法審査会において、各党がそれぞれの案を持ち寄ってしっかり徹底して議論をしていこうと。その自民党さんとして出された草案ということなのだろうと思います。ですから、これから徹底していろんな意味で各党で議論を重ねていく、1つの案として提示されているものです。ですから、これからいろんな方がそれぞれいろんな御議論をされるということだろうと思います。
 ですから、私としてもこの自民党の改憲草案について、賛成なところもありますし、私はもっとこういう点を改善したらいいんじゃないかなと思う点もありますし、当然そういう議論に付される出発点としての案が今出てきているということかと思います。ぜひ活発な議論を望むものであります。
 緊急事態条項について、緊急事態に備えるしっかりとした法制があるということは極めて大事だと思います。そして、あわせて、それは明確に立憲主義のもとになければならんと、そのように思っています。その両者を相並び立たせるために、どうあるべきなのかと言うことをしっかり考えていくということが大事だろうと思いますね。緊急事態ということについて、どういうものが緊急事態かということは、できる限り限定列挙すべきだと私は思っています。ですから、恐らくいろいろな事態が想定されるでしょう。だから、いろんな事態、どういう事態が想定されるかということをできる限り見切って、できる限り限定列挙する方向で対応していくべきだ、そのように考えています。
◎30番(坂本茂雄君) おっしゃられたように、極めて立憲主義に基づいたものでなければならないということと、限定列挙されるべきであると。その意味では、この改憲草案の中で限定列挙されていない、人権規制の問題も含めて、そのことは知事も指摘をされておったと思いますけれども、そういったことを含めて問題点はあろうかと思います。ぜひ、そのことを含めて、今後議論がされるべき内容かと思いますが。ただ、基本的にはやはり大変危険なものであるというふうに私は捉えておりますので、そのことを述べておきたいと思います。
 時間がありませんので、ほかのことについては、今回若干飛ばさせていただきます。最後に、どうしても知事に聞いておきたいことがございますので。
 昨年のこの場所で、動物愛護教室のことをお伺いしました。その際、知事は、「教育委員会とも連携してしっかり進めていきたい。私も、一度お伺いして見させていただきたいと思う」というふうにお答えになられました。先日、浜田豪太議員の動物愛護センターの質問に答えて「県民が動物愛護について学び、動物と触れ合うなどの愛護の機能が不足している」との課題も指摘されております。そういったことを含めて、この動物愛護教室は、動物愛護について学び、動物と触れ合うそういう機能を持つものだというふうに思いますので、ぜひ、見学をしていただきたいと思いがありましたが、今年度は機会がなかなかなかったようであります。来年度について、実行に移したいのかどうか、その決意をお伺いして、一切の質問とさせていただきます。
◎知事(尾ア正直君) 今年度、どうしてもスケジュールがあわなくて、見学できなくて大変申しわけなく思っております。来年度、必ず見学させていただきたいとそのように思います。