2017年9月定例会一般質問(10月2日)

◎31番(坂本茂雄君) 議長の御指名をいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。
 まず、南海トラフ地震対策における地区防災計画について、危機管理部長にお尋ねします。2013年度の災害対策基本法改正において制度化された、市町村内の一定の地区の居住者及び事業者が行う自発的な防災活動に関する地区防災計画について、昨年2月定例会においても質問をさせていただきました。当時の危機管理部長は、計画策定をきっかけとして、地域の防災をテーマに皆様が話し合い、防災活動を実践していくということは防災力の向上はもちろんのこと、コミュニティーの活性化にもつながるものとの認識を示された後、地区防災計画の取り組みは、地域で機運が醸成され、自発的に取り組むことに意義があるとの考えを示されました。
 しかし、自主防災会やその連携組織が地区防災計画の仕組みや取り組み方、その取り組みにどのような行政支援があるのか周知されないまま、機運の醸成、県民の意識の高まりを待つだけの行政であってはならないと思います。行政は、自助共助の大切さを説くだけでなく、自助共助が進むようによい制度やツールを考え、全力で試行錯誤を繰り返し奮闘する姿を市民県民に見せなければならないと思います。第3期南海トラフ地震対策行動計画にも、共助を強化する取り組みを目的とした取り組み内容が多々あり、自主防災組織の設立、活性化など地域で互いに支え合う仕組みや体制づくりを進めることを真っ先に掲げています。
 しかし、組織を作ってどう機能させ、どのような活動に取り組むのかなど、具体的に議論していくことこそ組織の主体性の強化、地域防災力の向上につながるものと考えます。
 そこで、県として、共助の取り組みとして、津波避難行動計画の策定や避難所運営マニュアル作成の支援をしてきましたが、地域の防災力や共助力を高めるための地区防災計画策定のための啓発を行うべきではないかと考えますが、どのような取り組みを図るのかお聞きします。

◎危機管理部長 地区防災計画、この計画でございますが、地区住民による自発的な防災活動に関する計画ですので、地域の防災力の向上や地域コミュニティーの活性化、それにつながるものだと考えてまして、この計画広がりますように、全戸配布いたしました「南海トラフ地震に備えちょき」や自主防災組織に配布しております活動事例集に、地区防災計画に関する情報を掲載し、幅広く啓発をしてまいりましたし、今後も引き続きさまざまな機会を捉えて啓発をしていきたい、そのように考えております。

◎31番(坂本茂雄君) それらのパンフレットに掲載されたことは存じ上げておりますけれども、あれだけでは、とても各防災会や地域が取り組もうというような、言えば、機運の醸成にはなかなかつながらないと思うんですね。ですから、それをいかにして具体的に取り組めるようにしていくのか。そのための啓発をやっていただきたいというふうに思うわけです。その辺については、どうですか。

◎危機管理部長 さまざまな機会、先ほど申し上げましたが、実践的な訓練、ハグ訓練とか、県政出前講座、あと防災イベントの冊子配布、そういうとこな具体的なところで我々が直接こういう制度があります、そういう啓発を今後していきたいと思っております。

◎31番(坂本茂雄君) 例えば、昨年の質問のときにも紹介しましたが、兵庫県などでは防災リーダーに、そのカリキュラムの中に入れている。愛媛県でも、先日そういったことがされています。そういう具体的な、ぜひ取り組みを今後強化していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 そのためにも、本来ならば、もっともっと県として位置付けていくために、南海トラフ地震対策行動計画に位置づける必要があるのではないかというふうに思うのですが、その点はどうでしょうか。

◎危機管理部長 この計画ですが、地域の住民の皆さんが自発的に行う防災活動をとりまとめるという、その趣旨から言いますと、県が具体的な策定目標を定めまして進行管理行う行動計画に、この計画の策定を位置づけることというのは、私はなじまないと考えておりますが、計画づくりは、地域で命を守りつなぐためなどに重要な自助共助の取り組み進めていく上で非常に有効な手段の1つであると考えておりますので、既に行動計画に位置づけてある啓発活動、その中で引き続き計画づくりの周知、取り組んでいきたいと思っております。


◎31番(坂本茂雄君) ぜひ、県下の自治体間、また現在取り組まれている自治体の中での地域間の横展開をしていけるような、そんな取り組みの支援につながる取り組みを今後お願いしておきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 続きまして、憲法改正における緊急事態条項について、知事にお伺いします。10日公示の総選挙では、自民党の9条3項改憲を始め、緊急事態条項改憲など、改憲が争点の1つとなることもありますので、今回も憲法に緊急事態条項は必要ないとの立場で知事にお尋ねします。
 本来、憲法とは、権力の乱用や暴走を防ぐため、国民が権力を縛っておくためのもので、それが立憲主義の考え方であろうかと思います。ところが、安倍政権のもとでは、そのことに逆行する解釈改憲や憲法53条に基づく臨時国会召集要求たなざらしなど、憲法がないがしろにされ、麻生副総理は撤回したとは言え、改憲論議に絡めた「ナチスの手口に学ぶ」発言などを行ってきました。そのナチスの手口こそが、ヒットラーはワイマール憲法を無効化し独裁体制に道を開くために乱用した大統領緊急措置権が、自民党を憲法改正草案の緊急事態条項に相当するものだと、東京大学の石田勇治教授は著書の『ナチスの「手口」と緊急事態条項』の中で指摘しています。そのような政権がいつ生まれるかわからない中、危機に当たって一時的にせよ首相が全権を握ることになると、憲法の基本原理は崩されてしまいます。緊急事態条項を設けるということは、憲法によって縛るはずの権力を逆に縛りから解く方向に書き改めることになるのです。その意味でも、災害と緊急事態条項との関係で言えば、災害対応で大切なのは、憲法に緊急事態条項を位置づけるのではなく、入念な被害想定や訓練を含めた事前の準備であり、被害を最小限に抑えるために、今の法律を熟知して、十分に使いこなすことであろうかと思います。
 昨年9月本会議でも取り上げさせていただきましたが、広田一元参議院議員が昨年の3月30日の参議院災害対策特別委員会で、防災対策推進検討会議最終報告に言及して、「東日本大震災の教訓に基づく、今しなければならない法改正は全て終わっている。言い換えれば、積み残しは課題ではないということか」との質問に対して、当時の河野内閣府特命防災担当大臣は、「検討した結果やらないというものもあるが、それらも含め必要な措置を講じた」と答弁されていました。さらに、「最終報告の提言の中には、緊急措置の範囲を拡大する必要があるのではないか、それを検討すべきだという提言もあったが、これらも含めて、いわゆる緊急事態条項を法改正して追加する必要はないということか」との質問に対して、「これらについては、検討の結果、やる必要はないということです」と大臣は答弁されています。
 このことからも、発災直後に緊急事態宣言を発して、政府に権限を集中したときに、現地現場のことはわからないまま発する指示、指令によることの弊害、リスクが懸念されます。その意味でも、県は東日本大震災に学んで、南海トラフ地震対策行動計画の取り組みを226項目にふやし、さらに、熊本地震に学んで、256項目にふやしていますが、そのように想定されることを全て行動計画の中で備え、知事がかつて言われた、想定外を想定内にすることに注力し、法的に整備しなければならない問題は法制度化していくことが重要であって、憲法における緊急事態条項は必要ではないと考えますが、知事に御所見をお伺いします。

◎知事 まず第1に、今想定していかなければならないのは、東日本大震災の約16倍の想定死者数、これが考えられるかもしれないというような南海トラフ巨大地震、大変な大規模災害、こういうものにどう備えていくかということの議論をしているわけであります。でありますので、東日本大震災でどうだったから、もってして、今後必要ないということにはならない。それが第1です。
 そして、第2点目、法律上の備えをしっかりしておくべきだというのはそのとおりだと思います。でありますので、政府においても災害対策基本法さまざまな見直しを積み重ねてきました。南海トラフ地震対策特別措置法この制定もされました。現在は、大震法の見直しも行われてまして、私もワーキンググループの委員として参画もさせていただいてきているところでありますけれども、こういう対応はしっかり講じていかないといけない。これは言うまでもありません。
 ただ、その上においてもなお、憲法上この超大規模災害に対して対応すべきことを考える事項があるのではないかということを提起させていただいているということです。衆議院が任期が4年とはっきりとされていることなどについて、やはりしっかりとした対応を講じておくべきではないのかと。参議院の緊急集会さえも開けないというときに、そのときにおける備えというのをしかなくていいんだろうかと。そして、超々大規模災害において、現在の災害対策基本法ではさまざまな人権制限について、人命の危険があるときということだけに一定限定をされているわけでありますけれども、やはり、超大規模災害であるがゆえに効果的な救助活動行うためにも一定、例えば、居住移転の自由について制限をさせていただくとか、そういうことも必要なシーンというのも出てくるのではないかとか。そして、そのような人権制限ということも考えていかなければならないのであれば、それを法律でやってしまというのは危険ではないのかと。憲法上、明確な歯どめを講じておくべきではないか。ときの政府における乱用防ぐためにも憲法上明確に位置づけておくべきではないのかと、そういう問題提起をさせていただいているということでございます。私は、やはり、緊急事態条項は必要ではないかという立場でありまして、このことはしっかりと国民的議論をしていくべきだとそのように考えます。

◎31番(坂本茂雄君) 議論すべき課題は多々あろうかと思います。ただ、私、先ほど言いましたように、やはり災害事態のときに、政府が権限を集中してしまってやることの弊害というのはあるんだと。例えば、今回の熊本地震でも、昨年の4月14日ああいった被害があり、政府はいわば屋外避難をしている方たちに対して、屋内避難を指示したわけですね。しかし、そのことに対して、ある自治体の職員はその避難所の天井が危ないかもしれんと。だから、屋内避難させることをやめようというふうにしていた。その矢先、本震でその屋上が落下するという事態もあったわけです。それは、まさに現場の職員がわかっていたから、そういう危険性あることを察知したから、そういう国の指示対して従わなかったというふうなこともあったりします。そういうことも含めて、やはり災害における場合には、現場できちんと対応できることを保証していく意味でも、この緊急事態宣言によって、全て、例えば、この自民党の改正草案の99条3項にあるような発せられる国、その他公の機関の指示に従わなければならないというようなことになってしまうと、いろんな意味での弊害が起きてしまうんでないかというふうに考えたりもしています。どうぞ、さまざまな課題はあろうかと思いますけれども、十分慎重に議論をしていくということを引き続き申し上げさせていただいて、また今後機会があれば取り上げさせていただきたいというふうに思います。
 続きまして、原発の問題について質問をさせていただきます。私、7月に福島県飯舘村などの避難指示解除の区域を視察させていただきました。除染作業による除染土を詰めたあの真っ黒なフレコンバッグが、福島県内11市町村267カ所775万個が保管され、そのうち最も多い飯舘村は233万個、そのうち搬出されたのは5%に過ぎず、運び出すのに10年はかかるだろうと言われていました。また、老人ホームでも介護職員が確保できず、帰還した人たちが入所したくてもできない状況で、生活環境が整ったから帰還してくれと言っているのではないことも明らかになっています。あまりに人の暮らしをないがしろにしてはいないのかということを感じました。6年経っても将来が見えてこない状況をつくり出しているのが原発事故です。
 そんな中で、県内で上映会が開催されていた映画「日本と再生」を見て、世界の趨勢は明確に脱原発に向かっていることを確認できました。ぜひ、知事にもこの映画「日本と再生」を見ていただきたいとの思いでサンプルDVDもお渡しさせていただきました。映画を見てみますと、世界的には風力と太陽光を加えた再生可能エネルギー導入量が原発の発電可能量の2倍を超えて、さらに急拡大中で、日本よりも福島原発事故に学んでいることが伺えます。日本でも太陽光、風力、地熱、それぞれ各地の特色を生かした発電施設が多数建設されており、エネルギーの地方分散が進み、自然災害などに対するリスク分散がはかられており、国内において実際の発電量がまだ追いついていない原因は、送電網を電力会社が握っている点にあり、ここを変える必要があることも明らかにされています。この映画によって、私などは、高知県がとるべきエネルギー政策はおのずと方向性が決まるのではないかと思いますが、映画「日本と再生」の感想も踏まえて、高知県はあくまでも伊方原発の稼働を前提としたエネルギー政策をとり続けるのかどうか、知事にお伺いします。

◎知事 「日本と再生」DVD、1時間半、きのうですね、見させていただきました。大変興味深い。正直、大変興味深く見させていただいたところでございます。やはり、特に北欧などにおいて、この自然エネルギーの普及促進ということに真剣に取り組まれているということについて、この方向性自体は世界の大きな趨勢だろうと、そのように思います。日本においても原発の依存度を徐々に徐々に低減させていくべきだという方向性というのは、全体として一致しているんではないか。ただ、そのためのスピード、行程などについて、考え方のさまざまな差があるという状況ではないかと思ってます。本県も原発への依存度というのは軽減させていかなければならない、そういうふうに思ってます。ですから、これ決して、私、口先だけで言っているわけじゃなくて、例えば、四国電力の株主総会において、高知県の代表は、原発事故の甚大な被害を考えれば、原発に依存しない社会を目指して原発への依存度を徐々に減らしていくべきであると、そういうことを明確に発言もしているところです。
 他方で、この自然エネルギーの普及促進ということにも真剣に取り組んでいかなければなりません。23年度末から28年度末まで、6年間、この高知県における新エネルギーの発電設備の出力容量というのは、約4.8倍ぐらいまで拡大をしてきているということでありまして、この新エネルギー普及は進んできてるだろうと思います。
 ただ、確かに、この映画にもありましたようなこの3つの壁と言いますかね、これ3つ全てどうかということは議論はあろうかと思いますけれども、少なくとも送電網に接続できないという問題は、本県においても生じているところでございます。でありますので、私どもも資源エネルギー庁に対して、この送電網の拡大についてより真剣に取り組んでもらいたいということを政策提言してまいりましたけれども、この点は、今後の日本の行く末にとって、非常に大事なことではないのかなと、そのように考えているところです。
 また、地域地域にとってもさまざまな未利用地を新エネルギーの発電の場所に変えていくという形でもって、地域に一定の経済的利益をもたらすという観点からも、そういう事例が、いただいた「日本と再生」というこの映画の中にも、たくさん日本の先進事例、紹介されておりましたけれども、ああいう形で地域を潤すということにもまたつながっていくという観点もあろうかと思いますので、ぜひ送電網の脆弱性の打開という点については、これは国を挙げて取り組んでいただきたいとそういうふうに思います。引き続き政策提言していきたいと、そう考えています。

◎31番(坂本茂雄君) 非常に熱心にごらんいただいたということがよくわかる御答弁だったと思いますが、あの映画の中で、知事もごらんになったと思いますが、長野県知事が、発電設備容量で見るエネルギー自給率、これを2017年度中、今年度中ですけども、100%にするというようなお話があってました。で、ちょっと調べてみますと、実は、去年度2016年度は、93%が目標だったそうです。ただ、それが、2ポイントほど下回って91%になったということで、結果としては残念ですが、まだ2017年度に向けて頑張られているということだろうと思いますが。
 これも去年質問させていただいたんですが、やっぱり高知県としても、もっともっとそういう自然エネルギー、あるいは再生可能エネルギーの自給率を高めていくという方向性、今のビジョンだけではなくて、さらにそれを高めていくというようなことなども、この映画を見る中で感じられたというようなことはないでしょうか。

◎知事 阿部知事とも、私、よくお話をしますけれども、一言で言えば、長野はまだいろいろ送電網にしても余裕があるということなんでしょうね。残念ながら、高知の場合というのは、やはり全体としてそこの余裕というのが少なくて、やや頭打ちになりつつあると、そういうところが非常に大きな課題です。ですから、私どもが明確な数値目標を設けてこれ以上の拡大をはかっていこうとしていこうとするときに、やっぱりこの送電網問題というのは、何としても解決してもらいたいものだと、この点は、引き続き、強く訴えなければならない、それが前提だろうと、そう思ってます。

◎31番(坂本茂雄君) 続きまして、この間、「原発をなくし、自然エネルギーを推進する県民連絡会」から、県に対して公開質問状などが出されています。それの回答への再質問に対する9月22日付の県の回答を踏まえてお伺いします。
 電力不足論の質問に対する回答にある、四国電力の2015年夏と2016年夏の供給力の違いについて、四電は最大電力を生じる夏場には、原発の定期点検はしないと説明しているのに、なぜ、この時期に「火力は定期点検」をして、阿南4号機の定期点検分を減少させる必要があったのか。また、設備容量69万キロワットの揚水発電について、そのうち48万キロワットは供給力574万キロワットに含まれているとしていますが、日常どれだけ使っていて非常時にどれだけ使えるのか。なくす会からの「病院・学校などには非常用電源が義務づけられており、社会生活には支障は起こらない」との指摘に対し、「消防設備や非常用電源設備以外の電力供給まで義務づけられているわけではなく、大規模停電の際に、病院では医療機器が使えない可能性がある」と回答されていますが、では、例えば、福島事故以後にも本県において、相当回数の停電はありましたけれども、それで人命にかかわるような事態はあったのかなど、これらのことも検証した上で、四国電力の電力不足に対応するための原発再稼働の説明が合理的であると考えられているのかどうか、お伺いします。

◎知事 一言で言いますと、回答書で詳しく御説明したとおりということでありますけれども、やはり私は、伊方3号基については、その現状においてやむを得ないということかとそういうふうに考えてます。電力の安定供給をしていくためにさまざまな努力が行われているところでありますけれども、あの発電所がなければ、残念ながら火力発電所の大規模被災とかそういう事態に対して対応できないと、そういう危険性というのは残り続けるということなのだろうと思っています。
 まず、今御指摘の個々の点についてお話させていただければ、阿南4号基の定期点検ということについて、これをしたじゃないかと、大丈夫だったじゃないかというお話でありますけども、伊方3号基が動いているので定期点検繰り延べすることなく今年は実施することができたということです。そして、この揚水発電について、これはもう何度もお話をしていますけれども、いざというときに十分な水量があるとは限りません。さらに、継続的に発電できる時間というのは揚水発電の場合、この高知の場合は約9時間と限られていると、そういう問題もあるわけでございまして、この揚水発電所によって全てが解決できるということでは決してないということであります。
 また、病院においては非常用電源、これが設置されているというお話ですが、これ実際統計がありましてね、県内病院の自家発電設置率っていうのは85.4%であります。で、設置している111の施設のうち、平常時の電気量の6割あるかないか。災害拠点病院などは6割以上確保するようにというふうに義務づけられているそうでありますけれども、6割ないと答えたところが81あるということであります。短期間の停電ならまだしも、長時間にわたって停電がずっと続き続けるということは極めて危険なことであります。そして、また御案内と思いますけれども、県内の1,000人を超える人工呼吸器や酸素濃縮器が必要な在宅患者の皆様は、停電に対する不安を抱えていらっしゃるということであります。万々が一の事態に対処していくためにも必要な、やむを得ない、そういうところではないかとそのように考えてます。でも、だからと言って、従前より申し上げておりますように、原発への依存度は低減させていかなければならない。その方向性はしっかり堅持していくと、これもまたあわせて大事だろうと、そう考えてます。

◎31番(坂本茂雄君) そういう危険な状況があるとしたときに、やはり逆に言うと、今の原子力発電所だと、映画の中にもありましたように、そこがもし電力発電ダウンしてしまうと、それが全体に影響を及ぼすわけですね。その意味でもいわゆる災害時などのリスク分散をはかるためにも、いわゆる地産地消的なそういう発電形態をとっておくことのほうが望ましいというようなことがあの映画の中にもあったと思うんですけども、そういうことを本来高知県は目指しておく、そういうことを目指しておく中でどうしてもここまでの期間は対応できないからその分原発の稼働を認めざるを得ないというんであれば、まだ私は納得できる部分があるんですけれども、そこのところなしに、今の状況の中で再稼働はやむを得ないということではちょっと理解ができないわけです。ぜひ、そういう方向性を目指すような考え方が示せれないかどうかお伺いします。

◎知事 主要電源を集中させておいて1つの施設に頼って対応していくということは危険であるという考え方、それはよくわかりました。できる限り分散配置しておくことでもっていざというときにレジリエントと言いますか、強靱なそういう対応ができるんではないかと。それはおっしゃるとおりで、あの映画にかかれているとおりだろうとそのように思います。
 ただ、問題はそういう電源の分散配置をすることでいざというときの、日々の需要と供給をしっかりコントロールできるような技術、もしくは体制というのが整っているかどうかということだろうと思いますね。それは言うまでもないことだと思いますが。あの映画の中でも出てきておりますけれども、IoTなどを使ってうまくトータルを制御できるような技術というのも開発していかなければならないでしょうし、何よりも、先ほど来申し上げておりますが、現在電源を分散配置したものを集約するようなシステムというのはできてないと。まだ送電網の脆弱性とか、そういう大きな課題があるわけであります。大きく目指していく方向としては大変よく理解できるところでありますけれども、現段階においてはと言いますか、当面の間において、あの姿そのものをすぐ実現できるという状況にはないんだろうと思います。現状においてやむを得ないということを、私は伊方3号基については申し上げさせていただいているということでありまして、ああいう方向性ということについて、ほかの代替選択肢もあるかもしれませんから、よく議論もしないといけないかもしれませんが、ああいう分散配置型の電力構成ということについて、これは大いに研究をしていく価値のある方向性だろうと、そういうふうにあの映画を見て思わさせていただいたと、そういうことです。

◎31番(坂本茂雄君) 次の質問も、今の議論とほぼ重なってくる部分だろうかとは思うんですけども、先ほど来言われているように、知事は電力の安定供給のために伊方原発3号炉の再稼働はやむを得ないというふうにこの間されて来たというふうに思います。しかし、裏を返せば、伊方3号基を稼働させれば電力は安定供給できるかというと、それはそうでもないというふうに私は思うわけで。例えば、原発は一般的に約13カ月稼働したら後二、三カ月は定期検査のために停止しておるという状況があるわけで、実は、明日からもこの伊方3号基定期検査に入っていきます。で、来年の1月22日まで約111日間停止するという状況があるわけですね。ですから、その間に、もし先ほど来お話しております老朽火力が故障したら、じゃあどうなのかとかいうような問題も出てくる。ということになれば、その伊方の2号基も動かしておけば、それはその定期検査をずらすことによって対応できるということになるのかもしれませんけれども、今の、じゃあ、伊方3号基の運転だけで安定した電力供給ということが保証されるかというと、そういう事故の場合を考えたらそうではないというふうなことになりはしないかというふうに思うんですけれども、そういった意味では、伊方3号基の再稼働だけでは原発を稼働すれば電力不足は生じないという理屈がちょっと破綻するのではないかというふうに私は感じたりするんですけども、知事はどうお考えでしょうか。

◎知事 一言で言えば、伊方3号基が稼働しておればその電力不足が生じる可能性、リスクというのは大いに減ずるということなのだろうと。そういうふうに思います。もちろん定期点検に入らないといけません。入らないほうが危険なのでありまして、しっかり入ってもらってしっかり点検してもらいたいわけです。その定期点検に入った期間というのは確かに稼働してませんから、電力不足が生じる可能性というのは、リスクは高まる。これは現実の問題だろうとそういうふうに思います。
 ただ、そういうことであるからこそ、そうならないようにするための対策というのもまた打たれているということであって、第一に稼働している間に主要な火力発電所の点検をしっかり行って、他がダウンしないように準備をすると。それが第一。そして、もう1つは、この定期点検を行う時期というのを電力のピークが来るような時期には行わないように今回は時期が設定できているわけでありますけれども、そういうふうな努力をすると。この2点によってそのリスクを減ずるように努力していると、そういう対応じゃないかと、そういうふうに思います。

◎31番(坂本茂雄君) いずれにしましても、原発の稼働していることによっていろんな意味での危機感を近隣県民は感じている、日々感じながら生活をしている。そして、そこで起きてはならない事故が起きたら、一体何年間そのことによる被害をこうむらなければならないのか。そのことが3.11東日本大震災以降の福島原発事故などによって私たちは学んできたことだろうと思います。そのことに学び続けるとしたら、あらゆるエネルギー政策で、どうやって県民が安全安心な暮らしを維持していけるのか。そのためのエネルギー政策に転換していく。そういうことは必要であるだろうというふうに思いますし、本来ならば、次に質問を考えておりましたけれども、避難行動計画についてもでもですね、これはほんとに今の行動計画で安心できるのかどうか。この今の避難行動計画で、県民に対して安心を与えることができるのかどうかいうようなことも常に精査をしていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。
 時間の関係で次に移らさせていただきますが、都市計画道路はりまや町一宮線についてお伺いをします。都市計画道路はりまや町一宮線については、この間、初日の弘田議員や吉良議員の質問でも県の考え方が示されております。この間、県がとりましたパブリックコメントの中にも、「人口減少、高齢化、車保有台数の停滞、減少は必至であり、車優先のまちづくりは転換点に立っているとの共通の認識が必要だ。しかし、それが欠落した計画になっているのではないか」というふうに指摘されたりもしています。2015年の野村総合研究所が国内の乗用車保有台数についてマーケットトランスレーターを用いて2030年までの将来推計を行った結果、乗用車保有台数は、高知県は17%の減少率で3番目に多くなっています。そのような中で、平成20年2月定例会でも指摘した韓国ソウル市内を流れるチョンゲチョンの流れを復元したこと、我が国でも2020年以降数千億円をかけて首都高速道路が日本橋周辺では川の上空を通過しており、周辺景観に与える影響を改善するため地下化されようとしているなど、交通の便利さだけを求められてきたことが見直されようとしている今、多額の経費をかけて希少動植物の生息成育環境の後退や、歴史文化資源を損なうことになりかねない街中の水辺空間を失うようなことになってはならないというふうに思っています。
 そこで、工事再開に伴う費用についてお聞きします。はりまや町一宮線の総事業費は、平成17年当時109億500万円ということでありましたが、これまで76.3%を執行しており、はりまや工区に充てられる予定の残事業費は25億8,300万、これで収まるのか。あるいは、それだけ事業費を充てることが費用対効果の面からもどうなのか、不安視する県民は多くおられます。東日本大震災以降の資材費、人件費高騰、さらには今回石積を復元することに伴う人材確保と費用見積もりなど、第2回協議会で新たに示された県案でどのくらいを見積もっているのか、土木部長にお尋ねします。

◎土木部長 はりまや町一宮線はりまや工区につきましては、平成12年度に都市計画事業として国の認可を受け事業に着手をしております。その後、平成17年度に無電柱化の工事ですとか、用地買収の遅れを理由に資金計画や事業期間について変更認可を受けております。全体事業費として109億500万円を計上しておりますけども、これは変更認可の際に算出したものでございまして、その後工事の中断がありましたため事業費の見直しには至っておりません。御指摘にありました25億8,300万円につきましては、この平成17年度に算出した事業費から平成28年度までに執行した費用を単純に差し引いたものでございます。残りの工区を完成させるための残事業費を見積もったものではございません。
 また、御指摘のありましたとおり、人件費、資材費につきましても、平成17年度当時の費用と比較すると上昇しております。例えば、人件費につきましては約33%。それから、資材費につきましては、例えば、鉄筋を例にとりますと約12%の上昇となっております。
 第2回のまちづくり協議会でお示ししました新たな道路計画案は、あくまで計画段階のものであり、現在工事費の算出は行っておりませんが、今後稀少動植物や歴史に詳しい専門家の意見などを踏まえて工法を検討し、概算の工事費を算出していく予定としております。なお、この新たな道路計画案につきましては、道路幅員を縮小することによりまして、桟橋部分の面積が少なくなりますので、この工事費が減額になるものと考えております。一方で水辺の拡大のために横堀公園を切り込むなどの工事費の増額も考えられます。概算工事費の算出に当たりましては、人件費や資材費等の物価変動に加え、これら構造の見直しについても反映を行ってまいりたいと考えております。このほかにも御指摘のございました石積の復元に当たりましては、江戸時代の堀り割りの風景を取り入れてはどうかとの御意見もちょうだいしておるところから、歴史に詳しい専門家の指導を受けながら工費や、費用等について検討してまいります。

◎31番(坂本茂雄君) 今後工事再開する際に、どれだけの費用が必要になるか。このことは当然県民の方は関心持たれることだろうというふうに思います。そういった意味では、できるだけ早急にまちづくり協議会の中でも試算を示されて議論に付す。あるいは、パブリックコメントを求める際にも、こういったものを資料提供してパブリックコメントをもらう。そういうふうなことを早急に行っていただきたいということを要請しておきたいと思います。
 つきまして、弘田議員の質問に対する答弁でも、今年度内の判断というふうに言われておりました。パブリックコメントでもさまざまな意見が出されており、なおかつ傾聴に値する意見も多くあるように、私は思いました。それに丁寧に答えていく姿勢で臨むとすれば、まちづくり協議会の検討について、今年度内と区切るのではなく、環境保護だけではなく、これまでにも出されてきた歴史的視点も踏まえたまちづくりの観点などから、継続的検討を行うことが必要だと考えますが、今年度中にどうしても結論を出さなければならないのか、知事にお伺いします。

◎知事 判断するための材料がまずそろったかという観点と、判断をするに当たっていつまでも引き延ばしてもいいのかという観点と両方考えていかないといけないとだろうと、そういうふうに思っています。
 判断するための材料はどうかという観点からいけば、まず、これまでの間この自然環境の変化などのデータ、これがどうだったか。これ一定蓄積をされてきたのではないかと思っています。また、まちづくりの方向性はどうかということについて、高知市からも具体的な提案も出るようになってまいりました。一定判断するための材料がそろってきているということではないかと思います。ただ、もちろんさまざまな、これからも多くの皆様方の御意見をしっかり傾聴させていただきたいと、そのように思っているところです。
 で、今度いつまでも引き延ばしてよいのかという観点からいけば、工事を中断して6年が経過をしています。この間、渋滞や通学児童、高齢者の安全が損なわれている状況というのが継続をしているわけです。既に、台数が4車線化の要件を超える、それだけの台数が日々あそこを通行しているという状況でありまして、正直いつまでも引き延ばすことは安全確保という観点からも、日々の利便性確保という観点からも好ましくないと、そういうことを考えているところです。そういう観点からいけば、一定材料もそろってきているということと、そして、いつまでも引き延ばせるような状況ではない、安全確保のためには決断をしなければならない、そういう、いつまでもその決断を引き延ばせる状況にはないということと両方鑑みれば、私は、今年度内には決断を出さしていただきたいと、そのように考えているとこです。

◎31番(坂本茂雄君) もし、議論がいろいろ錯綜してなかなか結論が出にくいという場合、もし、今年度中に結論が出せなかった場合、何らかのペナルティというようなものがあるんでしょうか。

◎知事 法的にペナルティということがあるわけではありません。そうではありませんけれども、ただ、先ほど来申し上げた既にかなり危険な状況であるということを鑑みれば、やはりいつまでも決断を先延ばしするということはできないのではないかということであります。

◎31番(坂本茂雄君) ぜひ、私もパブリックコメントずっと読まさせていただきましたが、非常に傾聴に値する意見多くありました。ぜひ、そういったことに答えていけるような議論を丁寧にしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 続きまして、部落差別解消推進法に基づく具体的施策についてお伺いします。
 「部落差別の解消の推進に関する法律」が昨年12月に成立しましたが、これは部落差別の存在を国が認め差別の解消を推進しなければならないと明記した画期的な法律と言えます。この法律制定の背景には、インターネット上における差別煽動や、部落所在地の暴露、鳥取ループによる「全国部落調査」復刻版出版事件、差別投書事件など確信犯的で悪質な差別事件に対する政治の不作為への世論の突き上げ、人種差別撤廃委員会を始めとした国際人権機関からの度重なる指摘などがありました。そのような背景を受けて制定されたこの法律は部落差別解消に向け差別をする加害者側も含めた国民一人一人の理解を深めるように努めることを法の第2条に規定するとともに、国及び地方公共団体に対して、「部落差別の解消に関する施策」の実施を第3条に規定されています。
 これらの条項を踏まえて、お聞きしますが、部落差別解消推進法の趣旨も踏まえた周知徹底のあり方と部落差別のない、人権が尊重される社会の実現に向けて、どのように取り組んでいかれるつもりか、知事にお伺いします。

◎知事 昨年12月に施行されました「部落差別の解消の推進に関する法律」では、部落差別は現在もなお存在するとともに、部落差別は許されないものであるとの認識のもとに、これを解消することが重要であることなどが規定されており、県が取り組みを行ってきている同和問題の解決に大きく寄与するものと考えております。
 このため、この法律を県民に広く周知することは同和問題の解決に向けて大変重要であると考え、これまで県のホームページへの掲載や、部落差別をなくする運動強調旬間における啓発事業、人権啓発広報紙、さらには、人権に関する研修会などにおいても周知を行ってきているところでありますが、今後もさまざまな機会を捉えて周知を行っていきたいと考えております。
 同和問題の解決に向けまして、現在平成26年3月に人権施策の進捗管理にPDCAサイクルを取り入れ抜本強化をいたしました高知県人権施策基本方針に基づいて、同和問題の正しい理解と認識を深める教育や、正しい知識の普及、啓発、相談などについて関係機関や市町村などとも連携してしっかりと取り組みを進めてきているところであります。さらに、今後この法律に基づく国の具体的な施策の内容や国と地方公共団体との役割分担などが明らかになりました段階で、県の施策等に必要な見直しを行い、差別のない、差別が受け入れられない人権尊重の社会の実現に向けて一層の取り組みを行ってまいりたいと考えているとこであります。

◎31番(坂本茂雄君) ぜひ、基本方針に沿った丁寧な取り組みをお願いしておきたいというふうに思います。
 次に、法5条には、地方公共団体は、その地域の実情に応じ部落差別を解消するため必要な教育及び啓発を行うよう勤めるものと規定されています。昨年、学校に対して行われた「人権教育に関するアンケート」では、学校側は7割程度が同和問題についての学習をやっているということに対して、受けた側の生徒で学習したと答えているのが2から3割にとどまっているというのが結果として出されています。学校教育における部落問題学修、同和問題教育の現状把握とともにどのように取り組むのか、教育長にお伺いします。

◎教育長 学校教育におきます同和問題学習の取り組みの把握につきましては、各学校では人権教育に関する指導計画書と実践報告書を作成してもらっておりまして、その提出を求めまして、他の人権課題とあわせ同和問題についての学習状況を把握しておりまして、取り組みが十分でない場合は教育事務所とも連携しながら指導しております。
 お話にありましたように、昨年度実施しました「人権に関するアンケート」の結果からは、多くの学校で同和問題の学習に取り組んでいるものの、子どもたちに知識として十分には定着できていない状況が見られております。この点については課題として受けとめております。
 今後の取り組みにつきましては、部落差別解消推進法の制定、施行を受けまして、まずは研修や連絡会などのさまざまな機会を捉え、法について積極的に周知をしていきたいと思います。その上で、教員や市町村の担当者の同和問題についての知識理解や教育実践力の向上に取り組んでまいりたいと考えております。

◎31番(坂本茂雄君) ぜひ、教える側の先生方自体がもう一度意識を持っていく。そんな丁寧な取り組みをしていただきたいというふうに思います。
 続きまして、この項の最後に、この法律制定の最も大きな背景になったと言われていますネット上の部落差別情報の掲載に対しまして、その現状把握と対応策について県が市町村と連携してモニタリングを行うべきと考えますが、文化生活スポーツ部長にお伺いします。

◎文化生活スポーツ部長 インターネット上の差別情報については、職員によるネット検索のほか、県の人権相談窓口に寄せられました情報や、市町村からの情報によってその収集把握に努めております。把握した情報は法務省の人権擁護機関であります高知地方法務局と協議を行い、インターネット上から削除する必要がある場合はプロバイダに削除要請を行ってきております。県内におけるインターネットを利用した同和問題に対する差別事象は県で把握している件数として、過去5年間では合計で9件と多く発生しているという状況にはございませんが、先ほど議員からお話がありましたように全国で悪質な事例も見受けられます。
 このため、今後、県での取り組みは当然ではございますが、同和問題の解決に向けて差別情報の把握、県への情報提供について、市町村に一層の連携協力を要請してまいります。

◎31番(坂本茂雄君) ありがとうございました。よろしくお願いしておきたいと思います。
 続きまして、化学物質過敏症への対応についてお伺いします。化学物質過敏症は、極微量の科学物質に接しただけで体調不良をきたす病気です。1度発症すると多種類の化学物質に繰り返し反応するようになり、日常生活に著しい困難が生じるようになります。中には全く外出ができなかったり、逆に自宅にいることさえできない患者さんもいます。2009年には病名登録がされ、健康保険が適用されるようになりました。しかし、どうして発症するのか、どうしたら治るのかについては、まだ解明されていません。患者は全国に推定100万人以上とされており、現代社会では誰でも発症し得る病気であると言われています。化学物質過敏症の症状は、動悸、不整脈、頭痛、目まい、鼻血、手足の震えやけいれん、吐き気、呼吸困難、関節の痛みや腫れ、何日も寝込む場合もあります。問題は一たびある科学物質で過敏症を発症してしまいますと、その後、ほかのさまざまな化学物質によっても症状が出てしまうケースが多いので深刻であり、県内でも少なからず診断された方もいらっしゃいますし、潜在的に苦しまれている方も多くいらっしゃいます。
 そういった方たちにとってのセーフティネットが必要だと考えますが、化学物質過敏症で相談したい方の相談対応、実質的には患者会対応になっている現状がある中で、県はホームページを立ち上げるだけでなくて、相談者に丁寧に寄り添う一元的なワンストップの窓口を設けるべきではないかと考えますが、健康政策部長にお伺いします。

◎健康政策部長 患者さんの皆さんは日常生活を送る上でも大変な御苦労があることとお察しをしています。寄せられる相談内容は病気の治療や原因物質、生活環境など多岐にわたりますが、まずは健康対策課が窓口となり十分に内容をお聞きし相談内容に応じて専門医療機関や関係機関等へつなげていくなど、患者の皆さんに寄り添った丁寧な対応を心がけてまいります。

◎31番(坂本茂雄君) ぜひ、各福祉保健所などでも、それぞれの郡部の方が相談にも来れるような形も、今後は検討していただけたらというふうに思います。
 続きまして、この疾病に苦しむ児童生徒のことについてお伺いします。児童生徒の場合は最悪学校に通うことすら困難で、就学の機会を奪われることもあります。化学物質過敏症の子どもについて先進的な取り組みをしている新潟県のある自治体では、2006年度に患者児童生徒のための学級を小中学校にそれぞれ1学級配置しています。2005年のその自治体の全児童生徒を対象にした調査で、化学物質過敏症に近い症状の生徒が小学校で9.5%が在籍していたということからこのような取り組みが始まっています。本県では患者会のほうで把握している児童に配慮された教育環境が確保されているのは一部の学校に過ぎないとお伺いしております。文部科学省もこれらの生徒に対して個別的対応の基本的な考え方を示し、学校及び教育委員会、保護者がよく協議して配慮するべき事項を明確にすることが大切であるというふうに指摘されております。
 本県において在籍児童生徒の状況把握がどのようにされているか、教育長にお伺いします。

◎教育長 県教育委委員会で把握しております、いわゆる化学物質過敏症と診断を受けている児童生徒は特別支援学級の中の病弱学級に在籍している小学生で5名、中学生2名でございます。いわゆる化学物質過敏症につきましては、その原因となる物質や量、症状などが多種多様で、中にはほかのアレルギーなども重複しているケースもございますので、基本的には医師の診断のもと、保護者、学校、教育委員会が連携をとりながら1人1人の症状に応じて個別に対応しております。具体的な対応例としては、例えば、冷暖房を完備した上で空気清浄器を設置するといったような対応などをしております。

◎31番(坂本茂雄君) 今後はどのような取り組みをされていくのか、教育長にお伺いします。

◎教育長 化学物質過敏症の児童生徒の支援は、学校全体が組織的に、また、環境整備が必要なときは教育委員会とも連携して取り組むことが求められます。ただ、この化学物質過敏症については、関係者の十分な理解や認識が進んでいないことから、まずは教職員が疾患について知識を深めることが重要であり、健康管理の中核を担う養護教員に対して研修などを行い、それを学校全体で共有をはかってまいりたいと思います。
 また、学校の組織的な対応として、保護者からの健康相談や、担任による日々の健康観察などを通じ、この化学物質過敏症等が疑われる児童生徒を早期に発見し適切に医療機関へとつなぐことを周知徹底してまいります。そういったことで診断を受けた児童生徒に対しては、学校と教育委員会が連携しながら環境を整え、適切に個別対応を行っていけるよう取り組んでまいります。

◎31番(坂本茂雄君) 最後になりましたが、危機管理部長に災害時にこういった方たちが避難の場所へ来る、守った命をどうやってつないでいくかという配慮がされるか、お聞きします。

◎危機管理部長 個別具体に検討しなければならないと考えており、幅広い理解も欠かせませんので、避難所運営マニュアルづくり、そういう中で理解を広げていきたいと思っております。