2018年12月定例会一般質問(12月11日)

◎32番(坂本茂雄君) お許しをいただきましたので、県民の会を代表いたしまして、順次質問をさせていただきます。
 まず、知事の政治姿勢について、お伺いいたします。
 1年前ともなると、お尋ねしたくなるのが、来年11月に知事選挙を控えた知事の去就でございます。尾ア知事の4期目挑戦はあるのか、それとも国政のレベルで活躍を期そうとされているのか、県民は関心を持って見つめられています。
 しかし、知事は、多分、現在は「一生懸命日々の仕事に専心するという状況」とか「これまでも6月議会の時期にお示ししてきた」とおっしゃられると思いますが、来年は天皇の退位そして即位があり、参院選もこれありと、これまでの年とは違うということがあります。
 その意味でも、国政に活躍の場を求めるのか、来年12月以降も引き続き高知県政のリーダーとしての任務を果たしたいとの意欲をお持ちなのか、あるいは、第3の道を模索されているのかお尋ねします。
 次に、その前提として、知事が4期目に挑戦するということになれば、期数に関心も高まります。
 かつて、橋本高知県元知事は、多選については「何期何年務めるかといった一般論ではなく、本人のやる気や意欲、さらには改革の志や新鮮な気持ちを持ち続けていけるかどうかが、最も大切なことだと思う」と答弁されたことがありました。
 しかし、私は「何期何年務めるかといった一般論」にも重要な意味合いがあるとの視点で、平成15年9月定例会で、次のように指摘させていただきました。
 「知事が長期間在任していることに伴い、強大な権力を同一人物が長期間にわたって独占することには、幾ら政党の推薦を受けない無党派知事であっても変わりはありません。そして、知事の個人的つながりが県庁内外に扶植され、人事が偏向し、行政が側近政治化し、県政が私物化される危険を伴います。さらに、職員の士気も沈滞して清新な県政が期待しがたくなり、暗黙のうちにプラスイメージは知事に、マイナスイメージは副知事やその他の職員にというような役割分担が決められてしまいます。知事というものは、どうすれば知事の顔が輝き、どうすれば渋い顔をするのか、そういうことを心得た人々に囲まれて仕事をしているのです。
 また、知事は、日常が選挙運動になります。大きな権限を持ちながら、自治体の顔としてあらゆる場面に登場します。毎月、毎年膨大に作成される、さんSUN高知や県発行のパンフレットには、ほとんど顔写真と名前が入って配られます。このことからしても、選挙の公正という観点から見るならば、現職と新人のハンディというのはとてつもなく大きいものがございます。その結果、なかなか候補者が出てこない。そして、住民も選挙に関心を持たなくなってしまう。投票率は下がり、さらに進むと無投票という事態が起こってしまいます。これも多選の弊害の一つではなかろうかと思います。
 多選を戒めてきた例として、細川元熊本県知事は、権不十年ということで2期で知事の職を辞しました。そして、北川元三重県知事が、「熟慮の上に決心した。権力の座のあり方を考えた。どんなに立派な人物でも功罪がある。民主主義は権力者を交代させるのが条件だ」と述べ、2期で引退されました」ということなどを述べてさせていただいております。
 真摯に県政に向き合われている尾ア知事だからこそ、期数を重ねたとしても「多選」との批判などにさらされることはないとは思いますが、県知事における在任期間が4期16年間というのは、いわゆる「多選」と言われる期間だと考えられるのか。また、その際、多選によって生じる「弊害」には、どのようなものがあると考えられているか、お尋ねします。
 さらに、2期連続の無投票当選を重ねられた知事に対して、高知県知事として続投を望まれる県民の皆さんが、多くいらっしゃることは周知の事実であります。
 しかし、知事自身も前回の無投票当選の際に、「前回が無投票だったので、今回は県民の多くの声を聞かなければならないと思っていた」と述べられていましたが、県民が1票を投じる機会がないまま、県政トップが再び決まることとなり、尾ア知事に対してどれだけの信任を与えたかは見えないままでした。
 こういったことが長く続くと、知事自身がそう思わなくても、県政のことは知事に任しておけばとの県民の無関心や無批判が根づいてしまうことを懸念します。
 3期連続で無投票としないためにも、尾ア県政12年間の総括と今後の高知県政のリーダー像について県民が熟慮できる期間を設けるためにも、知事選挙に向けた去就を早期に決断すべきではないかと考えますが、お聞きします。
 次に、県庁における障害者の適正雇用について、お尋ねします。
 開会翌日の7日に、この間の一連の「障害者雇用に係る不適切な対応」を巡っての処分が下されました。
 障害者雇用で不適切計上が判明した38県のうち11月24日時点では、本県を含む7県が処分方向でした。本県の「障害者雇用に係る不適切な対応に係る措置」とした知事以下の処分は、「意図的ではない」にしても、「組織的な対応に問題」がある一方、「意図的に法的な不正のケースではないことから」過去の知事の減給処分に相当しないとのことでしたが、障害者の方の就業の機会を失わせたこと、県民や民間事業者に対して範を示せなかったことを重く受けとめるなら、さらに重い処分が適当ではなかったかとの声もあります。どのように判断したのか、明確に説明すべきだと考えますが、知事にお尋ねします。
 また、今後の処分のあり方として「意図的でない」信用失墜行為に対する処分の前例となるのかあわせて知事にお伺いします。
 さて、早速実施される障害者を対象とした県職員採用試験特別公募については、9月定例会で示されたことに沿った対応をされて、受験対象者に知的障害者、精神障害者を加えられたことは評価するものです。
 しかし、来年4月1日の採用日までに、9月定例会で示した「採用に当たり、クリアすべき課題」への対応は間に合うのかどうか、知事にお伺いします。
 この採用予定人数だけでは、法定雇用率の達成は困難だと考えますが、達成するためには、これまでにも示してきた非常勤職員障害者枠なども含めた雇用で、法定雇用率の達成を目指されると思いますが、全体の達成目途について、総務部長にお伺います。
 次に、室戸沖での米軍機墜落について、お伺いします。
 今月6日未明、本県室戸岬沖約100キロの上空で、米海兵隊岩国基地所属の空中給油機と戦闘攻撃機が訓練中に接触し、海上に墜落するという極めて危険な事故が発生したことによって、県民の不安と怒りを増幅させています。
 県内や周辺海域での米軍機の墜落事故は、1994年の大川村の早明浦ダム湖に米海軍の空母艦載機が墜落した事件、99年の夜須町沖のFA18の墜落、16年12月の高知県沖でもFA18墜落に次いで、4回目となりました。
 今回の事故は、夜間の空中給油訓練中の事故とみられる極めて危険性の高い訓練が行われていたと言われており、事故の程度を示す4分類のうち最も重大な「クラスA」に認定されています。本県上空には「オレンジルート」と呼ばれる訓練経路があり、土佐清水市沖約70キロには米軍演習場「リマ海域・空域」もあり、原子力空母ロナルド・レーガンの艦載機約60機が移駐し、所属機は約120機に倍増し軍事拠点化した岩国基地の訓練場所となる「岩国臨時留保空域」が四国沖などに設定されています。否が応でも、四国沖での訓練は増え、事故の可能性は高まっています。そんな中での今回の事故は「起こるべくして起きた」事故とも言われています。
 知事は、「高知県周辺での事故は4回目となる。県民の不安は増大しており、遺憾といわざるを得ない」として、防衛省や外務省に対し、原因究明や再発防止を米軍に求めるよう、今月7日に文書で要請されましたが、本会議質問戦中は無理かもしれませんが、本県の本気度を示すために、休会中にでも直ちに、訓練の中止もあわせて、直接申し入れるべきではないかと思いますが、その意思はないのかお聞きします。
 また、原因究明や再発防止を求める上でも、県危機管理部に「訓練が適切な内容だったのかどうか」もわからないと言わしめているのは、情報が遮断されているという状況を許している日米地位協定に原因があるとしか思えません。
 本来は、この日米地位協定の抜本改定しかないと思われますが、ついては、全国知事会で今年7月に取りまとめた「米軍基地負担に関する提言」で示した改定内容の実現を目指す行動を展開し、訓練の事前通知と当該自治体の承認を最低でも認めさせるよう、改定させるべきではないかと考えますが、知事にお伺いします。
 続きまして、自治体戦略2040構想研究会報告について、お伺いします。
 わが国はすでに、2008年から人口縮減期に入ったと言われ、2040年ごろには、団塊ジュニア世代が65歳以上となるなど、人口縮減時代の自治体のあり方が問われようとしています。
 そのような中で、今年7月、総務省に置かれた自治体戦略2040構想研究会が出した第2次報告には、いくつかの懸念すべき課題が見受けられ、この内容について議論を始めた第32次地方制度調査会の第1回総会でも、批判的な指摘がされた点もあると聞いています。
 私なども、「圏域単位での行政のスタンダード化」の項に「個々の市町村が行政のフルセット主義とほかの市町村との勝者なき競争から脱却し、圏域単位での行政をスタンダードにし、戦略的に圏域内の都市機能などを守り抜かなければならない」としていることに対して、市町村行政はフルセット主義であるべきと「平成の大合併」を推進し、「他の市町村との勝者なき競争」に市町村が駆り立てられたのは「地方消滅」「自治体消滅」といった脅し文句の国策であった「地方創生」政策であったと思われるのですが、報告が指摘する「行政のフルセット主義と他の市町村との勝者なき競争」は、あたかも自治体側の責任であったかのような書き方に違和感を覚えております。
 「自治体戦略2040構想は、2040年ごろにかけて迫り来るわが国の内政上の危機を明らかにし、共通認識とした上で、危機を乗り越えるために必要となる新たな施策の開発とその施策の機能を最大限発揮できるような自治体行政の書きかえを構想するもの」であるとの前提で、今後の検討の基本的方向性が定められていますが、この方向性で進む自治体が「多様な地域で、多様に生き、暮らしていくための場としての地域・自治体」を維持していくことになると考えられるか、知事にお尋ねします。
 さらに「圏域マネジメントと二層制の柔軟化」にある、圏域が主体となって行政のスタンダード化を進めていくことは、全国的に国が主導して、市町村の権限の一部を圏域に担わせようとするものであり、自治体が自主的権限によって、自らの事務を処理するという団体自治の観点から問題があるのではないか。また、住民による選挙で直接選ばれた首長及び議員からなる議会もない圏域に対し、国が直接財源措置を行うことは、住民の意思を尊重する住民自治の観点からも問題があると思われるのですが、このような懸念が払拭されるような地制調や全国知事会での議論がされるべきだと考えますが、知事にお伺いします。
 続いて、南海トラフ地震対策の加速化について、お伺いします。
 今年を振り返る際に、よく言われるのが、いろんな形態の自然災害に次から次へと見舞われ、改めて災害大国日本という国に、我々は生きているということを実感させられた年であったということです。それだけに、さまざまな災害に備えて、自然現象としての災いを防ぐことはできなくても、社会現象としての災害を減らすことに注力しなければならないとの思いをあらたにしたところです。
 私は、初登壇以来、今日で32回目となる質問機会ですが、今回も今まで同様、南海地震対策について取り上げさせていただきます。
 それは、さまざまな要因によって、働いている場所、住んでいる家、住んでいる地理的要件・位置も違う中で、災害は確実に社会の脆弱点、弱いところを大きく襲ってまいります。だからこそ災害対策を講じることで、ソフト面でもハード面でも、その脆弱性を事前に克服することで、日常の生活改善にもつながるとの思いですし、災害格差を拡大させるという社会の脆弱点を克服する取り組みは、震災への備えの最たるものとして今後も取りくみ続けることが必要だと思っているからです。
 そこで、第3期南海トラフ地震対策行動計画を総括する中で、もう一段ステップアップする第4期行動計画づくりの中で加速化を図られるべき重点課題などについて、順次質問をさせていただきます。
 まずは、復興に向けた取り組みについてであります。中でも、災害後に必ず取り組まなければならない復興ならば、災害復興を事前に予測して取り組むということで、事前復興についてお伺いしたいと思います。この発想は、1980年代から取り入れられ、1995年の阪神淡路大震災を踏まえて、広く使われるようになりました。
 高知県議会では、平成16年7月に、私が述べた、当時、「消防研究所の室崎益輝理事長が指摘する、被災したつもりで地震の前に投資し、安全な町をつくるという事前復興の重要さという考え方も、南海地震対策推進条例に盛り込んでいく必要があろうと考えます」との発言が、「事前復興」との言葉が議事録に載った最初であろうかと思います。東日本大震災以降の平成24年定例会からは、広く事前復興との言葉が議場でも多く使われ始めました。
 全国でも、事前復興の取り組みが広がり、11月26日付朝日新聞「災害大国」特集では、「事前復興計画を地域の力に」ということで、1面全てを使った特集が組まれていました。そこには、私たちの住む高知市下知地区で策定し、高知市の地域防災計画に位置づけられた下知地区防災計画の「事前復興計画」が紹介されていました。
 そのように、全国で「事前復興」が取り組み始められる中、全国知事会でも2015年に「平成28年度国の施策並びに予算に関する提案・要望(災害対策・国民保護関係)」において、超大型災害を想定した事前復興制度の創設として、「地域においては、生命、財産、地域産業など住民の日々の暮らしを守る観点から、震災前の円滑な高台移転や区分所有物件の修理・再建等、地域の実情に応じた事前復興が可能となるよう法整備や制度設計を行うこと」と、準備して待つ事前復興から、実践する事前復興への取り組みを要望しています。
 まさに、今こそ、「事前復興」をはじめとした「復興」の取り組みを加速化するべきときだと思いますが、まず、第4期行動計画の重点課題(案)に「復興」の項目が、なぜないのか、知事にお尋ねします。
 第3期行動計画参考資料にある「南海トラフ地震対策の全体イメージ」にも「復興まちづくり」は「震災に備えることは、速やかな復興につながる」ことと「復興をイメージすることで事前の備えの重要性が明確になる」ことが強く関連づけられており、それは、事前と事後を一体的に考えるということの大切さを強調しているものだと思います。まさに、重要な柱でありながら、その取り組みが加速化されていないことが、残念でなりません。
 復興のまちづくり計画を事前に議論しておくことや、その計画のうち可能なものから前倒し実施することによって、事前の備えや速やかな復興にもつながるものであるということについて、どのようにお考えか、あわせて知事にお聞きします。
 下知地区防災計画の中で、事前復興計画を策定することとしたのは、東日本大震災の被災地の復興状況の遅れがもたらす課題に学んだことから、「南海トラフ地震で甚大な被害が想定され、被災後には必ずや復興計画の立案が必要となる地区である。しかも、他地域への移転など人口流出も懸念されていることから、被災後早期に魅力あるまちづくりを行うため」に、「事前復興計画」を立案することとしました。
 中山間地であれ、沿岸部であれ、被災後に復興のまちづくりをしなければならないのであれば、被災後の混乱した大変な状況の中で、議論を行うことの困難さを考えて、平常時から議論しておくことで、被災後にできるだけ早期に着手できること。そして、可能なものから前倒実践できれば、備えの強化にもなるし、日頃の地域の共助力の向上にもつながるものであることから、復興のまちづくり計画について各自治体がモデル地区を指定してでも、事前に取り組んでいくことは考えられないか、危機管理部長にお尋ねします。
 また、土木部が2016年度から取り組んでこられた「震災復興まちづくり訓練」は、1年間に4自治体ずつ、訓練研修を行ってきて、対象となる20自治体の完了は2年後となっています。なぜ、年間4自治体でなければならないのか、市町を対象とした「震災復興まちづくり訓練」を早急に完了させ、次の段階として、市町が主体となる地域住民を巻き込んだ訓練に着手すべきだと考えますが、土木部長にお伺いします。
 次に、重点課題に取り上げられている要配慮者支援対策の拡充・加速化についてお伺いいたします。
 9月定例会でも質問させていただきましたが、今年の西日本豪雨災害で改めて顕在化したのは、避難行動要支援者対策の脆弱性であり、取り組みの加速化が求められていることであったと思います。これまでにも当事者やそのご家族、そして、支援について実践・研究されている方などと検討すればするほど、さまざまな課題が明らかになってくることがあります。それらを個別計画の策定ということの中で、共助の取り組みとして、避難行動要支援者の支援対策を講じていければと思っているところです。
 ただし、津波浸水地域で津波避難行動をとる場合に、車椅子利用者が津波避難ビルの避難階段の前で、たじろぐという垂直避難の困難性にぶつかることがしばしばです。スロープがあればよいのですが、既存ビルの場合、あるいは外づけ階段を設置して津波避難ビルとして指定されているものでは、余計に困難性が伴います。
 今年、ある地域で、身体障害者通所授産施設の前のビルに、地域住民のニーズから外づけ階段を設置し、屋上まで避難可能な施設として改修され、津波避難ビルにも指定されましたが、通所施設の利用者にとっては避難場所として選択しがたい困難に直面しています。当然地域では、スロープ設置を要望しましたが、スロープ設置に必要な敷地確保の困難性などから、あきらめざるを得ませんでした。その施設の職員が介助しようにも、車いす利用者数に比較して職員が少なかったり、また、日中に近隣に住まわれている住民の支援をいただくにも、高齢者が多くを占めるような地域であれば、マンパワーによる避難支援行動がとりづらい面にも遭遇します。
 このような問題を多くの津波避難タワーや津波避難ビルで抱えていないかとの思いで、まずお尋ねします。
 津波避難タワーも111カ所が完成し、津波避難空間の確保は着実に進んでいるとのことですが、津波避難タワーや公的施設の津波避難ビルの中で、スロープが取りつけられたものがどれだけあるのか、危機管理部長にお伺いします。
 そして、避難行動要支援者の方たちの避難行動を支援するためにも、スロープのない津波避難ビルや津波避難タワーの階段に、取りつけ可能な車椅子用のスロープを設置すべきと考えますが、危機管理部長にお尋ねします。
 また、民間津波避難ビルでも、設置を必要とする津波避難ビルから申し出があつた場合は、設置の支援の仕組みが必要と考えるのですが、あわせて危機管理部長にお伺いします。
 なお、本県発信の防災産業も成長しつつある中、例えば、多少傾斜がきつくても設置できたりするスロープであったり、階段を登れる車椅子など、現場にある命を守る・つなぐニーズに対して耳を傾け、さらなる製品開発に努めることへの支援を、商工労働部長に要請させていただきたいと思います。
 次に、避難行動要支援者対策における個別計画策定について、検討している中で感じている課題について、質問させていただきます。
 個別計画は、基本的に居住地域における計画策定であって、通所施設利用者などの場合は、日中の施設にいる際の利用者の避難行動を支援するための対応策も必要と考えられます。とりわけ、その施設利用者が施設以外の避難場所に避難しなければならない場合など、さまざまなケースが想定されますが、通所施設利用者の避難行動を支援するための対策についてはどのように取り組まれているか、地域福祉部長にお尋ねします。
 また、通所施設などの要配慮者の特性を踏まえた対応策が居住地域における個別計画の策定にも活用されるようになると、個別計画の策定の迅速化も図られるのではないか、あわせて、地域福祉部長にお尋ねします。
 高知市の長期浸水域における住民避難対策の推進について、お伺いします。
 今年3月末に明らかにされた、高知市長期浸水域における津波からの住民避難シミュレーション結果の概要では、江ノ口・下知、潮江、高須の3地区で、「水平避難の可能範囲」「避難経路の渋滞・混雑」「現状の避難ビル配置における避難困難地域の明確化」「津波避難ビルの収容者数と避難者数」などの課題が示されていますが、例えば、下知地区では、まさに日ごろから懸念される地域が、現状の避難ビル配置における住宅地域内での避難困難エリアとして明確にされています。避難ビルの少ない地域での避難距離の長さや、1つのビルに避難者が集中し避難完了時間の長さから、さらなる追加指定や避難路の整備が必要と考えられること、また、研究対象区域内における、津波避難ビルの収容総数は約12万人であり、解析結果から、津波避難ビル避難者数は約9万1,000人、避難困難者数は約8,000人、合計約10万人となり、収容総数以内であり、収容総数は確保されているが、最寄りの避難ビルに避」した場合、避難者数に偏りが生じると共に収容可能数の格差により、多数の避難ビルにおいて、その収容力を超えて避難者が集中するという解析結果となっています。
 避難ビルへの避難者数の超過・偏りについての対応は、「避難ビル等の追加指定や整備」または「避難ビルへの分散型避難」が考えられるとのことですが、今後は、より地域と行政が一緒になって検討を深めていくことの必要性に迫られているということが、明らかになったのではないかと思います。
 そこで、お尋ねしますが、「津波避難ビル不足・偏在課題」については、「避難ビル等の追加指定や整備」または「避難ビルへの分散型避難」を検討してもなお、津波避難ビルが不足する場合、「第3期 南海トラフ地震対策行動計画の総括」の「津波対策」の項にある「評価及び課題」として「今後、新たな避難空間の必要性が認められれば、整備を行う」ことが、長期浸水域においても避難空間の整備を行うことになるのか、危機管理部長にお伺いします。
 毎年度末の南海トラフ地震高知市長期浸水対策連絡会で、南海トラフ地震で想定される長期浸水に対し、「長期浸水の早期解消」と「迅速な救助・救出」などのための事前対策を推進することを目的とした「長期浸水対策項目進捗確認シート」に基づく各機関の進捗確認と救助救出に関する検討結果の報告が行われていますが、平成22年2月定例会で長期浸水対策のスケジュールを議会質問で取り上げてから、8年がたちましたが、そろそろ課題も煮詰まってきたと思いますので、その課題解決の取り組みの目途が見えてきてもいいように思っています。
 2013年9月予算委員会で、長期浸水域内で、避難所への避難者そのものを低減させる対策の一環として、在宅避難者支援にシフトしていくことの提案について、知事は「避難所として使えるための2つの条件として、耐震の度合いと生活物資の調達が可能かということの懸念が残るので、長期浸水域外において、十分な避難所の量を確保できるようにする」と答弁をされました。
 長期浸水域内の避難者が、浸水域外に避難した際の避難所確保の見通しと、長期浸水域外への救出対策の進捗状況について、お伺いします。
 また、こうした対策を第4期行動計画期間中において、いつまでに仕上げるのか、あわせて危機管理部長にお伺いします。
 次に、津波火災対策についてです。
 面前にあるタナスカ地区と中の島地区という石油基地に対して、159件の津波火災が発生した東日本大震災での映像を思い浮かべる浦戸湾沿岸域のエリアがあり、想定されるリスクの解消を求める声が高まっています。
 今年度の瓦れきの漂流や石油などの拡散の状況をイメージするためのシミュレーション結果から「緊急遮断弁の設置などによる石油施設等の耐災化」「防護柵の設置」「周辺地域の安全確保」の3つの視点で、重点対策を絞り込んでおられます。
 決算審査報告でも触れられたように、「浦戸湾沿岸域における石油基地の耐災化」の指摘で、津波火災などの被害軽減対策が求められていましたが、一体その被害軽減対策がどこまで進捗しているのか危機管理部長にお尋ねします。
 また、周辺地域の安全確保の面からも、周辺住民にこうした対策の進捗状況を随時、明らかにされるべきと考えるがどうか、あわせて危機管理部長にお聞きします。
 もう一つの重要視点から絞り込まれた重点対策として、漂流瓦れきが石油・ガス施設等に衝突しないよう防護柵の設置検討、概略設計を行うとしていますが、タナスカ地区だけではなく中の島地区も含めたものなのか。そして、その効果などについて、危機管理部長にお聞きします。
 これまでに、2014年2月定例会では、津波火災が津波避難ビル周辺に押し寄せた際の消火という点でお尋ねしました。そして、2015年9月定例会では、消防庁消防研究センターでは、水陸両用の小型消防車両に関する研究を行っており、救助用の車両をベースに消火機能を持つ車両で、延焼をおくらせることの可能性などについて検討したいとか、専門家の調査研究の状況や国の取り組みの動向などについては、今後もしっかり情報収集に努めていくとの答弁がされていました。
 そこで、最悪の津波火災が発生し、津波避難ビルなど避難場所周辺に押し迫った際の消火方法について、現在の検討状況を危機管理部長にお伺いします。
 南海トラフ地震対策の加速化の項も最後に、液状化対策について、お伺いします。
 東日本大震災の際に、千葉県浦安市で顕在化した液状化被害でありましたが、今回の北海道地震でも、札幌市清田区で液状化現象による民家の傾斜、沈下などが大きく取り上げられました。
 これからの地震では、地域間の違いはあっても、リスクの高い場所の多い地盤では、被害をもたらすものとして今まで以上の意識的な備えが必要ではなかろうかと思います。
 私も、かつて調査をさせていただいた千葉県浦安市で、液状化被害の対応に当たった当時の松崎秀樹・前市長が、先日来高し、「液状化は高知でも起こる」として、全国の被害家屋のうち、3分の1に当たる約8,700棟の住宅が浦安市に集中していたことやマンホールや100トン級の耐震性貯水槽が地上にせり上がり、住宅が土砂に埋もれたこと。下水道管が壊滅的な被害を受けたためトイレ使用できなくなったこと。ガスが11日後で、上水道が27日後、最後に下水道が36日後というライフラインの復旧状況などを話され、改めて液状化被害の深刻さを確認できたところでした。
 そこで、お尋ねしますが、唯一の避難路が液状化によって避難困難となることが想定される場所などでの対策・対応など、改めて研究する必要があるのではないかと考えますが、危機管理部長にお聞きします。
 液状化による被害が、直後の在宅での避難生活にどのような影響を及ぼすのか、わかるよう周知することや、事前に備えることも必要であるが、その周知と啓発は十分か、危機管理部長にお聞きします。
 また、液状化が想定される地域で、既に住宅の傾斜や沈下が起こっていないか。そのような家屋では、揺れにも弱くなるので、事前に沈下修正の必要な家屋では、対策が必要であることや、災害前の対応と災害後の対応のいずれにも備えるため、これまでの取り組みの不十分さを踏まえて、曳家技術の継承・養成を行うべきであると考えています。
 昨年6月定例会で上田貢太郎議員の質問に、土木部長はさまざまな地震対策の入り口である住宅の耐震化を強力に進めているところであり、その取り組みの中で、こうしたインセンティブがあるという情報も提供し、曳家技術の周知や耐震改修とあわせた沈下、傾きの修正の推奨に努めていくと答えられましたが、具体的にどのような取り組みがされてきたのか、土木部長にお伺いします。
 また、曳家技術は、災害前後のいずれにも対応できることから、その必要性が期待されると思いますが、今後の曳家技術の継承・養成について、どのようなことができるのか、あわせて土木部長にお伺いします。
 次に、出入国管理法改正に伴う本県外国人材の動向と多文化共生社会について、お尋ねいたします。
 外国人労働者の受け入れ拡大を図るための出入国管理法改正案は、多くの不明点と疑念、疑問を残し、生煮えのまま法案が政府与党の強引な国会運営で成立させられました。
 自民党の平沢勝栄・衆院法務委員会理事は「この問題は議論したら切りがないんです」と強弁していましたが、自民党自らが、課題山積・疑問だらけの法案であることを認めた発言であったと言わざるを得ません。高度な専門職に限定していた従来の施策を転換し、来年4月から、人材確保が困難な単純労働分野にも初めて、外国人労働者を受け入れるもので、技能水準に応じて「特定技能1号」「特定技能2号」という新たな在留資格を設け、介護職や建設業など14業種を対象に就労を促すものです。歴史的な政策転換でありながら、理念がはっきりせず、受け入れ後の将来像も示されないままに、強行成立させたもので、なぜ今なのかという疑問は、多くの国民に残ったままの法改正だったと言えます。
 午前中の依光議員の質疑で触れられましたので、できるだけ重複を避けてお尋ねしたいと思います。
 この法改正によって、対象となる単純労働分野をどのように定めるのか、外国人材受け入れの前提となるはずの、「どの分野がどの程度人手不足であるのか」を判断する方法や、受け入れる人材に求める「相当程度の知識や経験」をどう定めるのかなどといった、この制度の内容の多くが法案設立後に法務省令などで定めることとして、何ら明らかにされないままであり、県民からは、一体県内にどのような影響が出るのか、ぜひ明らかにしてほしいとの声が届けられています。
 そこで、お尋ねしますが、初年度に最大4万7,550人、5年間で最大34万5,150人を受け入れ、5年間の最大受け入れ数は介護業が6万人で最多、外食業は5万3,000人、建設業は4万人などと見込まれていますが、本県において不足する労働力に対して、外国人材に頼らざるを得ない人数は、どれだけが見込まれているのか、商工労働部長にお尋ねします。
 また、見込まれる外国人材を本県で受け入れることによって、本県の雇用状況にどのような影響を及ぼす可能性があると考えられているか、商工労働部長にお聞きします。
 さらに、「特定技能1号」は、その5割程度を外国人技能実習制度からの移行で見込むとされていますが、今回の法案審議の中で改めて明らかになったのは、現在の技能実習生の違法な低賃金や長時間労働の実態でありました。失踪した外国人技能実習生2,870人に対する昨年の法務省調査の元資料である聴取票を野党が分析した結果、67.6%の1,939人が最低賃金割れだったことや、過労死ラインとされる月80時間以上の時間外労働をしていた実習生が全体の1割、292人にのぼるなど、法務省発表の実態とかけ離れていたことが明らかになっています。
 また、平成29年に技能実習生の実習実施者に対して行った監督指導や送検等の状況から、労働基準関係法令違反が認められた実習実施者は、監督指導を実施した5,966事業場のうち4,226事業場、70.8%であり、主な違反事項は、「労働時間、26.2%」「使用する機械に対して講ずべき措置などの安全基準、19.7%」「割増賃金の支払、15.8%」の順に多く、重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは、34件となっています。
 そこで、「外国人技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況」などから明らかになる県内の実態と、その是正がどのように図られるべきかということについて、商工労働部長にお聞きします。
 少子高齢化に伴う人手不足が深刻化するなか、受け入れの必要性自体は多くの国民が理解するところだと思います。しかし、本来、法改正が図られようがそうでなかろうが、今まで以上に増加すると思われる外国人を地域社会の仲間として受け入れ、文化や言葉の違いを超え、同じ社会でともに生きていく地域づくりとそのための準備が、求められるのではないでしょうか。
 そこで、共に暮らしていくために、本県における教育、医療、社会保障、法的アクセス、相談窓口などの生活支援策は十分と考えられているか、文化生活スポーツ部長にお聞きします。
 また、県を初め、各自治体は担当部署の設置や指針、計画の策定がそれらを踏まえた対応として考えられるべきではないか、さらに、それらを盛り込んだ本県の条例を制定することなどについて、検討する考えはないか、あわせて、文化生活スポーツ部長にお聞きします。
 最後に、子どもたちのネット依存脱却の問題について、お尋ねします。
 インターネットへの病的な依存が疑われる中高生が推計で93万人にのぼることが、厚生労働省研究班の調査で明らかになっていますが、5年前の51万人からほぼ倍増するという深刻な事態になっています。ネット依存は、インターネットやオンラインゲーム、会員制交流サイト、SNSなどに没頭し、やめられなくなる状態を言い、特に多いゲームへの依存は、世界保健機関、WHOが今年6月、「ゲーム障害」として新たな疾病に加えられたばかりです。
 6月定例会でも西森雅和議員が、このような状況に対して、知事の認識と教育長に対する取り組みについて、質問されています。知事からは、「スマートフォンなどへの依存対策は、国においてもその必要性を認識しており、具体的な対応の検討の動向を注視していく。学校やPTA単位でのインターネット利用のルールづくりなど、保護者を初め県民にインターネットの適正な利用を周知していく」。また、教育長からは、保護者に対しては、スマートフォンなどの使用時間と学力との相関関係について説明したリーフレットの作成配布、また、幡多地域や香美市、香南市などのように、家庭でスマートフォンなどを使用する時間帯を決めるといったルールづくりに、学校や家庭、地域が連携して取り組む事例などを紹介し、今後も、市町村教育委員会などと一体となって、進めていく考え方が示されていました。
 子どもの「ネット依存」の影響が学校現場に及び、オンラインゲームにのめり込み、授業中に居眠りをしたり、成績が下がったりする中で、教員らは対応に悩むという状況が突きつけられています。
 事態が深刻化し続ける中で、学校や家庭での具体的で効果的な予防・対応・支援策を講じていく必要があると考えますが、教育長にお尋ねいたします。
 また、県内の退職教員の方が立ち上げられた「こうちねっと見守り会議」では、昔遊びや体験活動を行うことにより、ネットやゲームから離れようとする取り組み、デジタル・ダイエット・キャンプに取り組まれています。
 昨年1月、第4回「子どものネット利用問題に関する研修会」の二日目の研修カリキュラムとして取り入れられており、参加者の方からは「先生からは、ゲームをしないで、スマホを触らないで、と一言も言われなかった。でも、このプログラムの間、開催地の越知町野老山での4時間、ほとんどの人がスマホを利用しなかった。これが『デジタル・ダイエット・キャンプ、親子関係の再構築』だと感じた」との感想が寄せられています。
 これは、単なる「ネットやゲーム断ち」ではなく、親子関係の再構築を中心に置いた「レ・クリエイト=再創造」の取り組みであると言えます。この「デジタル・ダイエット・キャンプ」は、自然の中で遊ぶことでゲームやスマホのほかにもおもしろいことがたくさんあることに気がついて、子どもたちの依存状態が明らかに改善してきたという実績を既に上げられています
 高知県には、どこよりも豊かな自然があるということを生かして、親子で、地域活動で、居心地のいい空間を作り上げていくためのデジタル・ダイエット・キャンプによる取り組みを、県内全域に広く導入・支援できないか、お伺いをしまして、私の第1問とさせていただきます。
◎知事(尾ア正直君) 坂本議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、私の今後について、その方向性や知事としての去就、さらには、その去就の早期判断についてのお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。
 11年前に知事に就任させていただいて以来、私は県政浮揚に向けて全力で取り組んでまいりました。この間、県政浮揚を成し遂げたいとの一念でさまざまな挑戦を続けてまいりました。この気持ちは、今も変わることのない私の強い思いであります。現在、平成31年度の予算編成及び産業振興計画などのバージョンアップなどについて、日々職員との協議を重ねているところであり、例えば、先々に至るまで経済の拡大傾向等をより確実なものにしていくためには何をするべきか、今必死で考えを巡らせている状況にあります。こうしたことから、私としては、去就云々にとらわれず、今はこの点に専念したいと考えているところです。
 さらに、去就を表明する時期についてもお尋ねがございました。この新たな政策、予算に関する議会での御審議の間や、最終的に議会でお認めいただくことができた政策が新年度において円滑にスタートし、定着できるまでの間、少なくともこの間は去就に触れることなく県政に専念する必要があるものと考えております。そうして、その一連の政策等を見ていただくことを通じて、尾ア県政の総括を賜ることになるものと考えるところであります。
 次に、多選についての認識や弊害についてのお尋ねがございました。議員からも具体的に多数の指摘がありましたように、私としても多選の弊害は確かにあるものと思っております。多選により、長年首長の座にあることを通じて、首長に権限が集中するあまり、首長に対して問題提起したり、批判的見解を述べることが困難になりがちなどといった問題が生じ、県政が硬直化したり、さらには民意から離れていったりするといった問題が生じ得るものと私も考えています。
 ただ、こうした弊害を生じさせる、いわゆる多選というものはどれくらいの任期を重ねたかではなく、任期中に実際にこうしたさまざまな問題が起こるか否かによるものでもあろうかと考えます。私としては、これまでの間、それらの防止のため、例えば、庁内においては、特に悪い情報ほど早く、私もしくは副知事に上げてくるようにと言うことを常々言ってまいりました。いずれにいたしましても、そうした多選の弊害と言われるものを肝に銘じながら、日々県政運営に当たることが肝要ではないかと考えているところでございます。
 次に、障害者雇用に関する今回の処分について、どのように判断したのか、また、今後の意図的でない信用失墜行為に対する処分の前例となるのかとのお尋ねがありました。本県の障害者雇用に係る長年にわたる不適切な対応については、対象となる職員の数を意図的に水増ししようとしたものでは決してありませんが、これにより、法定雇用率を達成していると誤認し、その分障害者の方々の就業の機会を失わせる結果となってしまいました。このことは、明確な基準を策定して庁内に徹底することにより防ぐことができたものであり、この点において、県として組織的な対応に問題があったと考えております。
 このため、明確な基準を策定し、徹底すべき立場にあった私以下担当課の課長までを対象として処分を行いました。処分を決定するに当たっては、法令の規定、本県における過去の事例や他県の状況、さらには選択する処分が他の公務員や社会に与える影響なども考慮し、適切かつ妥当なものとなるよう総合的に判断を行ったところです。
 具体的には、まず、懲戒処分に相当するか否かについて検討いたしました。法律では、法令違反があった場合などに懲戒処分とすることができるとされており、今回の事案について関係法令の規定に照らし、整理を行いました。
 例えば、障害者雇用促進法第37条の障害者の雇い入れに努めなければならないとの規定に関しては、法定雇用率を達成していると誤認している中にあっても、障害者枠試験による新規雇用を毎年度継続して行うなど、障害者雇用の拡大に努めており、規定に違反しているとまでは言えないと考えられます。
 また、地方公務員法第33条の信用失墜行為の禁止に関しては、汚職や飲酒運転などの行為を行った場合に該当するものであります。今回のような意図しない不作為にまでこれを適用し、懲戒処分とすることは社会通念上著しく重い処分となり、裁量権の乱用となりかねないと考えられます。
 さらに、本県の過去の事例に照らしても、モード・アバンスセ事件や飲酒運転など明らかな法令違反の場合や、悪質なセクシャルハラスメントなど意図的な不適切行為がなされた場合に懲戒処分としているところであり、これらとのバランスを勘案しても懲戒処分とすべき程度には至らないものと判断を致しました。その上で、懲戒処分に至らない非違行為として、措置相当とし、過去の事例も勘案して、文書注意が妥当であると判断いたしたところであります。
 さらに、県庁組織全体を統括する最終的な責任者である私については、特別職であり、法令上は処分を定めた規定がございませんが、本件について最終的に責任を負う者として、責任の所在を明らかにするため処分を行うことといたしました。
 過去、県知事が処分として給与の減額を行った例は、モード・アバンセ事件や高知商銀事件など、職員が意図的に法的な不正を行い、懲戒処分となった場合で、職員を文書注意処分とする今回はこれには当たらないものですが、職員より一段重い処分が必要であるとの観点から厳重文書注意とすることとしたものであります。
 また、今後意図的でない信用失墜行為があった場合には、個別具体に法令の規定や、今回の事案も含め前例などを踏まえ、総合的に判断する必要があります。何よりも重要なことは、他の行政分野も含めて同様の事案を起こさないよう適切な行政運営に努めていくことであり、そうなるよう今後、身を引きしめて対応を図ってまいりたいと考える次第でございます。
 次に、障害者を対象とした県職員採用試験特別募集の採用に当たり、クリアすべき課題への対応が間に合うのかとのお尋ねがございました。
 本県の障害者を対象とした正職員の採用試験は、一定の配慮のもと、幅広い分野で行政事務全般に従事する職員を採用しようとするもので、これまでは、身体障害者の方のみを対象としてまいりました。今回の特別募集は、これを障害の種別に関係なく門戸を広げるものであり、採用された職員に対しては、個々の障害の状況に応じたサポート体制の整備が必要となります。
 具体的には、本人と個別に面談を行い、それぞれの障害の特性を考慮しながら、配属所属や業務の要望等を丁寧に聞き取り、対応をしてまいります。また、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構へも相談にお伺いし、障害者への支援方法などについて御意見をいただき、今後の御協力をお願いしたところであり、こうした対応により、今回適切なサポートを行ってまいります。
 また、今後さらに障害者雇用を進めていくためには、一定の業務に限定した採用や、知的障害者、精神障害者の方の採用枠を設定することも検討していくことが必要であると考えております。その場合には、先ほど申し上げたサポート体制の整備のほか、従事していただきたい業務の洗い出し、キャリアプランなどの課題があり、他県の状況調査などを行いながら、引き続き検討をしているところです。
 現在、国においても障害者雇用の推進に向けた方策が検討されており、その動向を注視しつつ、さらなる具体の方策について、関係機関とも協議しながら、実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、室戸沖での米軍機墜落について、防衛省や外務省に対し、原因究明や再発防止を米軍に求めるよう、今月7日に文書で要請したが、訓練の中止もあわせて直接申し入れるべきではないかとのお尋ねがありました。
 今回の事故に関しましては、海兵隊司令部は、定期訓練を行っていたと発表しており、防衛省からも空中給油は定期訓練の一環であるとの情報提供がありました。通常の空中給油訓練自体は、日米安全保障体制の中において重要であり、必要であると認識しております。しかしながら、米軍の運用に当たっては、周辺住民などの安全確保が大前提であり、事故はあってはならないものであります。本県では、2年前にも土佐湾沖で戦闘機の墜落事故が発生しておりますが、その際は、事故原因が全く不明であり、機体自体に構造的な不具合があるのではないかという不安の度合が非常に高いものでありました。このため、情報提供や原因究明、再発防止とともに、本県上空が含まれるオレンジルートでの低空飛行訓練を速やかに中止すべき旨を申し入れるために、事故発生の翌々日に私自身が直接出向き、防衛大臣らと面談させていただきました。
 一方、今回の事故につきましては、空中接触が原因であると伺っており、原因が全くわからない前回とは、そういった面から申し入れにかかる対応や内容も違ったものになっており、現時点では訓練の中止までは求めておりません。そして、まずは、書面によって申し入れを行うこととしたところであります。
 ただし、今後、事故の状況や原因などの詳細がわかれば、内容に応じて必要な対応を検討していかなければならないと考えるところであります。
 次に、全国知事会が取りまとめた米軍基地負担に関する提言で示した日米地位協定の改定内容の実現を目指す行動を展開し、訓練の事前通知と当該自治体の承認は最低でも認めさせるよう改定を求めるべきではないかとのお尋ねがありました。
 この提言につきましては、日米安全保障体制は、国民の生命や財産、領土、領海等を守るために重要であることを前提とした上で、全都道府県の総意として、日米地位協定を抜本的に見直すことなどを提言しております。特に、米軍機による低空飛行訓練などについては、地域住民の不安が払拭されるよう、訓練ルートや訓練が行われる時期について、速やかな事前情報提供を必ず行い、十分な配慮を行うことを求めております。全国知事会においては、既に本年8月、会長である埼玉県知事と沖縄県ほか3県が、外務省及び防衛省に対し要請活動を行うとともに、在日米大使館においても提言内容を説明されております。米軍の運用に当たっては、周辺住民などの安全確保が大前提であり、事故はあってはならないものであります。本県及び本県沖の海上では、今回の事故を含め、4度もの米軍機の墜落事故が発生しており、県民や漁業者の皆様は不安感を抱えて生活されております。このため、県民の皆様の不安が払拭されるよう、まずは、事前の情報提供や配慮を求めるこの提言の実現に向けて、今後とも全国知事会の一員として継続的に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、政府におかれましては、国民の生命財産や領土領海等を守る立場から、日米地位協定について、日米政府間でしっかり協議をしていただきたいと考えるところであります。
 次に、自治体戦略2040構想研究会の報告書で示された基本的な方向性についてお尋ねがありました。全国に先駆けて人口減少や高齢化が進んでいる本県におきましては、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県を実現するため、地産外商による雇用の創出や集落活動センターの推進による中山間地域の振興などの取り組みを市町村とともに進めてきております。こうした中、総務省の研究会においては、2040年ごろにかけて全国的に深刻化する人口減少や少子高齢化に伴って生じる各分野の課題を整理するとともに、そうした課題に対応していくために自治体行政がどうあるべきかについて議論がなされてまいりました。今年の7月に取りまとめられた報告書では、スマート自治体への転換や公共私による暮らしの維持、圏域マネジメントと二層制の柔軟化といった今後の自治体行政の方向性が示されたところです。この中には、行政が個人や地域の共同体の活動を活性化していくためのプラットホームビルダーになっていくことや、県による市町村の補完支援などの内容が盛り込まれており、本県の取り組みと方向性を同じくする取り組みもあるのではないかと考えております。
 現在、国においては、研究会の検討結果を踏まえて、地方制度調査会で議論が進められているところであり、どのような制度が設けられるのかは明らかではありませんが、本県の取り組みの後押しとなるものとなるよう期待をしているところであります。
 次に、自治体戦略2040構想研究会の報告書で示された圏域の仕組みについて、団体自治や住民自治の観点からの懸念が払拭されるように議論が進められるべきではないかとのお尋ねがありました。
 私としても、この圏域に関する仕組みの制度化に当たっては、都道府県及び市町村との役割分担や、各地方自治体の自主性、自立性の確保に留意する必要があるものと考えております。地方制度調査会での議論の中では、地方自治体からのヒアリングも行われていることから、地方の意見も取り入れ、地方の実情や多様性を踏まえた形で議論が進められていくものと考えております。
 県としましては、今後の具体的な制度の検討に当たって、地方の意見が適切に反映され、よりよいものとなっていくよう、今後も引き続き国における議論を注視するとともに、必要な場合には全国知事会とも連携して、提言を行うなどの対応をとってまいりたいと考えております。
 最後に、南海トラフ地震対策の加速化についてお答えをいたします。
 第4期計画の重点課題(案)に復興の項目がない理由について、また、復興のまちづくり計画を事前に議論することや、可能なものから前倒し実施することに関して、どのように考えるのか、とのお尋ねがありました。
 南海トラフ地震対策行動計画では、261の取り組みを、命を守る、命をつなぐ、生活を立ち上げるの3つのステージに区分して整理し、対策を総合的、計画的に推進をしています。このうち、生活を立ち上げるの項目は、復旧復興対策に関わるものであり、これまでも、そして、これからも当然に復興対策も含めて対策を進めてきているところであり、今後進めていくところであります。
 ただ、これまでの取り組みの中での重点課題について御説明しますと、まず、第3期計画では、揺れや津波から命を守るための住宅の耐震化や津波避難空間の整備、多数の避難者のための避難所の確保、前方展開型による医療救護体制の確立などの命を守る、命をつなぐ対策を重点課題として位置づけて取り組んでまいりました。第4期計画においても、住宅の耐震化や津波避難経路の安全性の確保、避難所の確保や医療救護体制の強化など、命を守る、命をつなぐ対策について、命に直結するものとして、引き続き重点課題として取り組みたいと考えているところです。また、過去の地震で亡くなられた方の多くが高齢者などの要配慮者であることから、要配慮者支援対策も新たに重点課題に加えたいと考えています。
 他方で、先程述べましたように、復興につきましても、これまで一定の対策を講じてまいりました。例えば、震災復興都市計画指針や災害公営住宅建設計画を策定したほか、事業者のBCPの策定支援を行うなどの取り組みを実施してきたところであります。第4期では、第3期以上に、復興期の対策について取り組みを前に進めたいと考えており、県の復興組織体制の構築や応急期対策として策定した市町村ごとの機能配置計画と復興対策との接続、さらには事業者や産業のBCPの実効性を高める取り組みなどについて検討を重ねたいと考えているところです。
 地域の復興のまちづくりにつきましては、事前に市町村や地元の皆様で議論し、地域の合意形成など可能なものについては、前倒しして実施しておくことで、早期の復興につながるものと考えます。また、こうした議論をしていく中で、住宅の耐震化や火災対策によって被災後の復旧費用が少なくなることや、避難生活の短縮につながることなど、事前の備えに対する理解が深まり、対策が進む効果もあると考えております。第4期対策の中におきまして、先ほど申し上げたような諸事項とともに検討を重ねていく必要があると考えているところです。
 私からは、以上でございます。
◎総務部長(君塚明宏君) 障害者枠非常勤職員の雇用なども含めた法定雇用率の達成の目途について、お尋ねがありました。
 9月定例会でも御説明いたしましたとおり、平成30年6月1日時点の障害者雇用率を前提とすると、法定雇用率を達成するためには、少なくとも15名分の障害者の方の雇用が必要な状況であります。正職員につきましては、既に実施しました採用試験の合格者2名と、今回の特別募集による合格予定者2名の合計4名を見込んでいるところでございます。平成31年度中に法定雇用率を達成するためには、非常勤職員の採用により対応することが必要となりますことから、非常勤職員の採用拡大に向けて全庁に対し、障害者の方に担っていただきたい業務の内容や業務量の把握をするための調査を実施したところでありまして、この調査結果を踏まえ、今年度中に募集を開始する予定としております。
 この募集に対しまして、何人応募していただけるか、また、何人程度採用できるかということは現時点では確定的ではありませんが、引き続き正職員及び非常勤職員を対象とした採用の拡大を図ることによりまして、法定雇用率をできるだけ早期に達成できるよう、努力してまいります。
◎危機管理部長(酒井浩一君) まず、復興のまちづくり計画について、各自治体がモデル地域を指定してでも事前に取り組んでいくことは考えられないか、とのお尋ねがありました。
 市町村や住民の皆様が、御自分の地域の復興のまちづくりについて事前に議論しておくことは、早期の復興を実現することにつながるものと考えています。こうした取り組みは、復興に向けた計画を事前につくっておく必要性が地域全体で認識されていることが必要と考えています。そのため、まずは、他県の先進事例を紹介することなどにより、少しでも多くの方に計画の必要性を認識していただくとともに、地域において計画を作成しようとする先進的な取り組みに対しましては、地域本部による協力や地域防災対策総合補助金により市町村を人的、財政的に支援してまいりたいと考えています。
 次に、津波避難タワーや公的施設の津波避難ビルのうち、スロープが取り付けられているところはどれだけあるのか、とのお尋ねがありました。
 現在、完成している111基の避難タワーのうち91基、津波避難ビルに指定されている131の公的施設のうち2施設にスロープが設置されています。
 次に、スロープのない津波避難ビルなどの階段に車いす用のスロープを設置することについて、また、そのための支援の仕組みについて、お尋ねがありました。
 車いすを利用されている方が安全に避難していただくために、県の津波避難タワー設計の手引きでは、スロープを必要とする方の人数やスペースの有無など、地域の状況を考慮した上でスロープの設置を検討するよう示しております。現在、多くのタワーでは、スロープが設置されていますが、スロープのないタワーにつきましては、車いすを利用されている方の避難方法について検討しておく必要があると考えています。
 一方、既存の建物を指定している津波避難ビルは、車いすの利用者の避難を想定したスロープは設置されていません。他県の福祉施設では、車いすの利用者が階段を利用するためのスロープが簡易的に設置できるように準備している事例もあると聞いておりますが、この場合、勾配がきつくなり過ぎ、車椅子の利用者が自分で移動できず介助者が必要になるなどの課題もあると思われます。
 今後、タワーも含めて、車いすを利用される方が安全に避難できる方法について、市町村や自主防災組織など避難を支援することとなる方々とともに研究してまいりたいと考えております。
 また、ご質問のありましたスロープを設置する支援につきましては、市町村が設置するものを、地域防災対策総合補助金の対象としております。
 次に、津波避難ビルが不足する場合、長期浸水域においても、新たな避難空間の整備を行うことになるのか、とのお尋ねがありました。
 これまで、地域地域で作成された津波避難計画に基づき、高台の避難場所やタワーの整備、避難ビルの指定などにより、避難空間の整備を進めてまいりました。こうした取り組みは、長期浸水域においても同様に進めており、避難ビルの指定、避難場所の整備によって、避難空間の確保が進められております。長期浸水地域における避難ビルの偏在や不足といった課題に対しては、高知市は、ビルの新規指定により、新たな避難空間の確保を進めておりますが、十分な確保ができない場合には、ビル以外の新たな避難空間を整備する必要があると考えておりますし、緊急防災・減災事業債を活用していただくこともできます。
 次に、避難所確保の見通しと長期浸水域外への救出対策の進捗状況、また、それらをいつまでに仕上げるのか、とのお尋ねがありました。
 高知市においては、最大クラスの南海トラフ地震発生時に、長期浸水域内の方々も含め、約11万6,000人の避難者が想定される中、82の避難所で、約6万8,000人分のスペースを確保しましたが、残り約4万8,000人分が不足しております。そのため、現在、高知市を含む中央圏域では、みずからの市町村外へ広域的に避難する方の受け入れ先や、バスの搬送手順、受入手続を定めた広域避難計画の策定に取り組んでおり、年度内に完了する見込みです。
 しかしながら、広域的な避難をしても、なお、高知市の不足分を補えないことが想定されています。
 今後も、引き続き、避難所の確保に向けて、学校の教室利用や集会所、民間施設の活用に加え、圏域を越えた広域避難について検討を行うなど、あらゆる手段を使って、できるだけ早期に必要な避難所が確保できるよう、高知市と連携して取り組んでまいります。
 一方、長期浸水域からの住民の救出につきましては、現在高知市において、津波避難シミュレーションの結果明らかとなった、浸水域外への避難が可能な人数を踏まえ、エリアごとの要救出者数をもとに、救助・救出計画の策定が進められております。本年度内には、救助機関の活動拠点、救出者の優先順位など基本的な考え方が取りまとめられ、来年度には救出を進めるルートや救出後の移動先なども含め、より具体的な計画が取りまとめられることとなっております。
 今後とも、県と高知市が密接に連携しながら、長期浸水対策に取り組んでまいります。
 次に、石油基地の耐災化対策など、津波火災の被害軽減対策の進捗状況と住民への周知について、お尋ねがありました。
 浦戸湾沿岸のタナスカ及び中の島地区における石油基地の耐災化につきましては、南海トラフ地震による揺れと津波に備えて、各事業者が既にさまざまな対策を講じていただいていると承知しております。
 例えば、これらの地区における石油タンクは、事業者が行った耐震診断では基準を満たしていることが確認されておりますし、それに加え、県が行った耐震調査においても、L2クラスの地震の揺れに対してタンク本体は耐震性を有していることも確認しております。また、地震発生時にタンクに附属する配管を緊急的に遮断する弁は、地区内の石油タンク50基のうち、36基のタンクに設置済みであり、これをタンクの容量の割合で見ると、設置率は約93%となっております。また、地盤の液状化で地表面に変形が生じることに備え、柔軟性のあるフレキシブル配管や継ぎ手を両地区の全てのタンクに設置するとともに、非常用発電機を高いところへ配置がえすることも各事業者で講じていると伺っています。そのほかにも、ワイヤーロープによるタンクの固定やドラム缶の屋内保管、消火ポンプ室への防水扉の設置などの対策を行っている事業者もあると承知しております。
 県では、今後のさらなる耐災化対策の進捗に向けて、事業者を支援するため、補助事業の拡充に向け、国へ政策提言を継続的に実施しているところです。
 こうした事業者によるさまざまな耐災化対策の進捗状況につきましては、行政による取り組みもあわせて、高知市とともに住民の皆様に丁寧に説明させていただきたいと考えております。
 次に、防護柵の設置検討や効果について、お尋ねがありました。南海トラフ地震の津波によって、浦戸湾内周辺で漂流する瓦れきや油の拡散の状況を定量的に把握するためにシミュレーションを実施し、この結果を10月に開催した学識経験者らによる石油基地等地震・津波対策検討会で報告するとともに、今後の対応、対策案を提示して検討を行ったところです。このシミュレーションから、タナスカ及び中の島地区の石油基地に向けて、瓦れきや車両などが漂流して、タンクに衝突する可能性があることなどがわかりました。このため、両地区における対策として、三重防護への護岸のかさ上げにあわせて、石油基地周辺に防護柵を設置して漂流物を捕捉し、タンクへの衝突を防ぐための検討を進めることといたしました。
 防護柵につきましては、押し波によって瓦れきや車両などが基地へ流入することを防いだり、引き波によってガスボンベなど、基地内の危険物が海域へ流出するのを防止する効果があります。あわせて、津波や瓦れきの衝突エネルギーを吸収し、威力を減衰させる効果も考えられます。
 既に、本県でも、国土交通省が、須崎港において、木材が流出することを防ぐために設置している事例や、須崎市が野見漁港において、船舶などの漂流物から避難所や診療所を守るために設置している事例があります。
 今後は、防護柵を設置するための調査や、概略設計を進めたいと考えており、国土交通省や高知市、事業者とも連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、津波火災における消火方法の検討状況について、お尋ねがありました。
 まず、消防庁消防研究センターにおいて開発された水陸両用車の消防車両が平成28年度に高知市に配備され、現在訓練を重ねているとお伺いしております。
 次に、専門家の調査研究や国の取り組みにつきましては、現在のところ、本県に参考となるような事例は見当たりませんが、引き続き情報収集に努めてまいりたいと考えております。
 一方、浦戸湾内で瓦れきなどが拡散するシミュレーションの結果から、瓦れきが集まりやすく、火災発生の危険度が高い地域を想定することができました。まずは、こうした地域への対応を優先するべきだと考えますが、津波火災におきましても、初期消火と延焼防止が重要となることから、皿ヶ峰に設置したカメラで浦戸湾全体を見渡し、出火のもととなる瓦れきなどの実際の動きを確認することとしています。
 今後は、シミュレーションの結果やこのカメラを活用した消火や避難誘導などの津波火災対策を高知市と連携し、人命を最優先として進めていきたいと考えています。
 次に、液状化が想定される場所での対策や対応などを、改めて研究することについて、お尋ねがありました。
 液状化は避難路だけでなく、公園や学校の運動場など、広い範囲で発生することから、それらの全てを地盤改良などのハード対策で対応することは費用の面からも難しいのが現状です。また、液状化が発生した場合、道路に段差が生じたり、噴出した土砂が堆積することで、通行が困難になるなど、通常よりも避難に時間を要するようになることが想定されます。
 こうした状況に対し、どのような対応が考えられるのか、有識者にも意見をお伺いしながら、検討を進めたいと考えております。
 最後に、液状化による被害が直後の在宅での避難生活に及ぼす影響や事前に備えることについての周知と啓発は十分か、とのお尋ねがありました。
 液状化が発生すると、住宅が傾いたり、水道や下水道などに損傷が生じるほか、道路の通行が困難になるなど、多くの被害が想定され、自宅で避難生活を送ることが難しくなることが想定されます。県では、液状化の可能性を判定したハザードマップを作成し、ホームページで公開するなどして、周知を図っております。
 また、液状化によって生じる被害については、地域地域での防災学習会や自主防災組織のリーダーの育成研修などの場で、被災した状況の写真をご覧いただくなどの啓発を行っております。
 今後は、液状化による被害や事前の備えについても広報誌や啓発冊子に掲載するなど、幅広く県民の皆様に知っていただけるよう取り組んでまいります。
◎土木部長(村田重雄君) まず、南海トラフ地震対策の復興に向けた取り組みについて、市町を対象とした震災復興まちづくり訓練を早急に完了させ、次の段階として市町が主体となる地域住民を巻き込んだ訓練に着手すべきではないか、とのお尋ねがありました。
 震災復興まちづくり訓練は、市町村の復興のまちづくり計画の中に、面的な基盤整備を位置づける場合に備え、都市計画に不慣れな市町村に対して、都市計画の手続や土地区画整備事業等の基盤整備の手法について習熟していただくなど、職員の対応力の向上を目的に実施しています。
 具体的には、全体訓練と地区別訓練の2つの訓練に取り組んでおります。全体訓練は平成27年から実施しており、県内全市町村の職員を対象に、架空の被災地域で都市計画の手続等の行動手順を机上で訓練するものです。一方、地区別訓練は、都市計画区域を有する20市町を対象にそれぞれの市町において最大クラスの地震・津波による被災を想定し、まず被災直後の現地調査を行い、次に1次2次の建築制限を経て、現位置か高台移転による復興かの都市計画決定の手続を踏まえ、基盤整備のたたき台を作成する一連の模擬訓練を行うもので、平成28年から毎年4市町で行っており、平成32年度で全20市町が訓練を完了する予定です。この訓練の加速化につきましては、主体となります市町と協議を行い、前倒しの検討を行いたいと考えます。
 また、訓練の次の段階として、地域の住民の方々に参加いただく復興のまちづくり計画を策定する際には、地域本部による協力や地域防災対策総合補助金の活用による支援に加え、都市計画の視点からの技術的支援を行ってまいりたいと思います。
 次に、液状化対策について、曳家技術の周知や、耐震改修と合わせた沈下、傾きの修正の推奨にどのように取り組んできたのか。また、今後の曳家技術の継承、養成について、どのようなことができるのか、とのお尋ねがございました。
 曳家技術については、地盤が弱い場合に発生する建物の沈下や傾きを修正するための有効な技術の1つであると認識しています。現在、南海トラフ地震対策の命を守る取り組みの最重要課題の1つとして、住宅の耐震化を積極的に進めており、その啓発の際には、耐震改修にあわせて建物の沈下や傾きを修正する場合などにも、市町村の支援制度を活用できる場合があること、さらに、住宅金融支援機構が扱っている低金利の融資についても情報を発信しています。また、事業者等を対象とした震災復旧技術に関する勉強会で、曳家技術の周知も図っており、加えて、耐震診断の結果基礎が沈下するなどして建物に傾きがあることが判明した場合は、耐震改修にあわせて基礎の補強、傾きの修正を行う工事の提案を行うよう技術者にアドバイスをしているところです。
 県としましては、引き続き、曳家技術の周知や住宅の耐震改修とあわせた沈下、傾きの修正を推奨することにより、曳家技術が発揮される選択肢を広げ、技術の継承に寄与してまいりたいと考えております。

◎地域福祉部長(門田純一君) 通所施設利用者の避難行動を支援するための対応策と、居住地域における個別計画策定への活用について、お尋ねがございました。
 県におきましては、東日本大震災の教訓を踏まえ、高知県社会福祉施設防災対策指針を作成するとともに、各施設の現状や防災対策を正確に把握していただくツールとなる安全対策シートや、施設みずからがその立地条件などの現状を正確に把握するためのチェックリストを作成するなど、各施設において効果のある防災対策を検討できるよう支援をしてまいりました。
 この指針は、介護が必要な高齢者や障害のある人などといった配慮を要する利用者の特性を踏まえるものとなっており、県内の通所施設においてはこの指針に基づき防災対策マニュアルの整備や、避難訓練の実施などが行われているところです。通所施設などの防災対策マニュアルは専門的な視点から要配慮者の特性を踏まえて策定されているものであり、これを地域で策定する個別計画の参考とすることは、議員のお話にもありましたように、より有効な個別計画の策定につながるものと考えています。また、一部の地域では、ケアマネージャーや相談支援専門員などの専門職と連携し、専門的な視点も加えた個別計画の策定に取り組んでいるところもあると承知をしております。こうした取り組みでは、避難行動要支援者と地域との関係が希薄な場合であっても、要支援者との信頼関係を築いている専門職が地域とのつなぎ役となり、円滑な個別計画の策定につながっているケースもあるというふうにお伺いをしております。
 このため、第4期南海トラフ地震対策行動計画を策定する中で、こうしたことも参考にしながら、個別計画策定の加速化の方策について検討をしてまいります。
◎商工労働部長(近藤雅宏君) まず、本県において不足する労働力に対して、外国人材に頼らざるを得ない人数の見込みについて、お尋ねがございました。
 本県においては、有効求人倍率が36カ月連続で1倍を超え、平成30年10月には過去最高の1.32倍になるなど、雇用情勢が改善する一方で、各産業分野で人手不足が深刻化しています。特に顕著でありますのは、介護業、建設業、製造業などであり、有効求人数に対する有効求職者数がそれぞれ600人から700人以上不足をしております。また、求人票等には現れない農業や水産業等の1次産業分野でも人手不足の声が多く聞かれます。特に、介護業や製造業においては、新たな外国人材に対しても一定のニーズがあることをお聞きをしています。
 今般の出入国管理法の改正では、新たな在留資格が創設をされ、一定の日本語能力や技能を持つ外国人材は特定技能1号として、さらに熟練した技能を有する外国人材は特定技能2号として日本に在留し就労することが可能となります。これらの在留資格の取得については、日本語及び技能の水準について受け入れ分野の所管省庁が定める試験に合格することが必要ですが、技能実習生のうち3年間の実習を終えた技能実習2号終了者は特定技能1号にかかる試験が免除となることから、2号終了生のうち相当数が特定技能1号に移行するのではないかと考えられます。
 本県には、平成29年10月現在で1,405名の技能実習生が在留をしており、今後毎年400名から500名が技能実習2号を終了することが見込まれます。しかしながら、特定技能1号は14業種に絞られていること、また、特定技能にかかる資格試験の詳細や外国人受け入れ企業に義務づけられる支援計画の内容等を規定する省令の内容が現時点で不明であり、介護や製造業など外国人材についてニーズのある業界においても受け入れに向けた具体的な動きは現時点で確認できておりません。2号修了生を含め新たな在留資格による外国人材を県内企業等がどれだけ受け入れするのか、現時点で想定することは難しい状況となっています。
 次に、外国人材を受け入れることによる雇用状況への影響の可能性について、お尋ねがございました。
 外国人材の受け入れの拡大が雇用状況に与える影響として、国内の労働者の賃金水準の低下を懸念する声や、人手不足が解消され労働力が余るようになった場合、外国人材に仕事を奪われ日本人の雇用が不安定になるのではないかといった不安の声があります。賃金水準の低下については、今後整備をされる特定技能にかかる雇用契約の基準を定める省令において、報酬は同一業務に従事する日本人等と同等以上であることが規定をされることとなっており、また、日本人の雇用が不安定になるという不安に対しては、改正法に必要とされる人材が確保されたと所管省庁が判断をしたときは、一時的に外国人材の受け入れを停止する措置をとることが盛り込まれており、さらに、今後各省庁で作成する分野別運用方針において外国人材の受け入れ上限を規定することが予定されているところです。
 県といたしましても、今後の省令等の整備状況や規定されたことがどのように運用され、実行されていくのかを注視していくとともに、外国人材への報酬の支払いや雇用管理が適性に行われますよう労働局等、国の機関との情報共有や連携した取り組みを行いながら、受け入れ期間や登録支援機関等への支援を行ってまいりたいと考えております。
 最後に、県内の技能実習生の違法な労働状況の実態の把握と、その是正がどのように図られるべきかとのお尋ねがございました。
 議員のお話にありましたように、平成30年6月に厚生労働省が公表いたしました、外国人材技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況によりますと、全国の労働基準監督機関において平成29年は監督指導の対象となった5,966件の実習実施者のうち、その70.8%に当たる4,226件が労働関係法令違反となっています。その主な内容は、労働時間に関すること、安全基準に関すること、賃金等に関することとなっています。労働局の資料によりますと、高知県においては、平成28年の数字で、監督指導の対象となった13件の実習実施者のうち、69.2%に当たる9件で労働時間や安全基準、賃金等に関する違反がございました。これは、県内の実習実施者総数の約3%となっています。このような違法な労働状況の是正については、技能実習制度においては、法務省、厚生労働省が所管をする外国人技能実習機構が実習実施者などを管理監督していく中心的役割を担うこととなっています。本年1月に設置をされました外国人技能実習機構は、実習実施者等に対して定期的に実地検査を実施し、認定を受けた技能実習計画とは異なる内容の作業が実施されていないか、賃金の未払い等の労働関係法令違反はないかなどを確認するとともに、悪質な場合には改善命令や認定の取り消し等を行うなど、厳正な対処をすることとなっています。
 一方で、都道府県は、法的な権限は与えられておりませんが、外国人技能実習機構や国の機関等と、地域協議会を通じて相互の連携や情報の共有化を図り、技能実習制度が円滑に行われますよう連携して取り組んでいるところです。
 具体的には、県内の実習実施者などの関係者に対して、外国人雇用に関する制度の説明冊子の配布や、四国地区協議会で得た情報を提供するなどの取り組みを実施しております。また、本県独自に技能実習生の受け入れの際の課題等を共有する技能実習制度に関する連絡協議会を設置いたしまして、法令違反や失踪の実態、また、生活関連の課題などを共有し、各機関の役割に応じて対策を検討しているところであります。
 県では、中小企業団体中央会と連携をいたしまして、技能実習者や管理団体などを個別に訪問し、ヒヤリングを行うということを始めたところでございます。引き続き、こうした取り組みを通じて関係機関との連携を図ることで、県内の技能実習生の違法な労働状況の是正に努めてまいりたいと考えています。
◎文化生活スポーツ部長(門田登志和君) 出入国管理改正に伴い、外国人を地域社会の仲間として受け入れ、ともに暮らしていくための生活支援策は十分であるか、また、それに関する指針、計画、条例の制定などを検討する考えがないかとのお尋ねがございました。
 県内に住む外国人が暮らしやすい高知県をつくるためには、在住外国人への支援と県民の方々の異文化理解の向上が必要であると考えております。県では、これまで高知県国際交流協会を中心に、生活や人権相談窓口の開設、日本語教室の開催、情報誌やメルマガによる生活災害情報の提供や外国人をサポートするボランティア人材の育成と確保などに取り組んでまいりました。加えて、学校や地域などにおける異文化講座や、国際交流イベントの開催といった県民と在住外国人とが交流する場を設けることなどにより、多文化共生の地域社会づくりに取り組んできております。
 こうした中、出入国管理及び難民認定法が改正され、今後より多くの外国人が県内で生活することが考えられます。このため、今後これまでの取り組みに加え、医療、保健、福祉サービスの提供や住宅への入居支援、教育の充実、雇用の安定といった外国人に関する施策の充実が必要になってくるものと考えています。年内には、国において外国人材の受け入れ、共生のための総合的対応策が取りまとめられることになっておりますので、今後とも国の動向を注視し、市町村や関係機関、関係する部局などとも連携協力しながら、県として必要な対策などを検討し、外国人が暮らしやすい多文化共生の地域社会づくりに向けて取り組んでまいりたいと考えています。
◎教育長(伊藤博明君) まず、子どもたちのネット依存脱却について、学校、家庭における具体的で効果的な予防、対応、援策が必要ではないかとのお尋ねがございました。
 ネット依存については、まだ医学的に明確な定義はありませんが、一般的にはネット利用の時間や方法が自分でコントロールできず、ネットに接続できない状態になるといらいらして不安になったり、それが原因で日常生活に支障をきたしたりする状態であるとされており、オンラインゲームや動画、ソーシャルメディアなどのサービスで依存傾向が高いと言われております。
 ネット依存への対策としましては、まず予防が重要であり、学校においては、授業などを通してネット依存について理解すること、自分自身のネットの利用状況を把握し、適切なネットの利用時間、方法を自ら認識すること、規則正しい基本的な生活習慣を身につけさせることなど、ネット依存についての児童生徒の理解を深め生活習慣を身につけさせる予防的な取り組みを進めてまいります。
 また、ネットへの依存のおそれがあると判断される場合には、できるだけ早い時期から医師や臨床心理士などによるカウンセリングが必要であると考えられますことから、学校と家庭が連携して、医療機関などへつなげる取り組みを進めてまいります。加えて、児童生徒がこうしたネット利用を行うのは、学校以外の場所となりますので、対応に当たっては家庭や地域の協力が不可欠であり、ネット依存への理解を深めていただくよう、これまで同様リーフレットなども活用しながら啓発を行っていくことも必要であると考えています。
 県教育委員会としましては、今後とも、世界保健機構や国などの動向を注視し、専門的な研究に基づく予防策や対応策、支援策が明らかになれば、それらも取り入れながら、学校、家庭、地域と連携した取り組みを進めてまいります。
 次に、ネットを断ち、親子での触れ合いを目指したデジタル・ダイエット・キャンプによる取り組みの導入と支援について、お尋ねがございました。
 デジタル・ダイエット・キャンプとは、その期間中はスマートフォンや携帯電話などのデジタル機器の使用を控え、親子での触れ合いを深めることを目的としたキャンプであるとお聞きしております。現在、県教育委員会では、デジタル・ダイエット・キャンプと称した取り組みは実施しておりませんが、県立青少年教育施設では、親子の触れ合いや自然体験を目的とした事業を実施しています。その中で、日帰りやテント宿泊による野外炊飯や川遊びなど、さまざまな体験活動を親子で実施し、活動中はおのずとデジタル機器の使用は控えるようになっており、自然体験や親子で活動することの楽しさを実感させる取り組みを進めております。
 今後も、親子の触れ合う時間をふやせるような体験プログラムや、子どもたちの興味を引く魅力的な体験プログラムを拡充し、ネットを介さずに人と人とが触れ合うことの大事さを体感できるようさまざまな体験活動を提供してまいります。また、民間の方々で実施されているデジタル・ダイエット・キャンプにつきましては、その効果やニーズ等について情報収集も行い、その中で、県による実施や民間の方々への支援などについても検討していきたいと考えております。
◎32番(坂本茂雄君) ありがとうございました。知事は、多分そのような御答弁になるのかなというふうに思いましたが、やはり、県民の方は注視されておりますので、ぜひ、できるだけ早い時期に去就を明らかにされることのほうがよろしかろうということで、お尋ねをしたところでした。
 実際は、それこそ来年度の予算編成に向けたさまざまな取り組み等があろうかと思いますし、先ほど私の場合では、南海トラフ地震対策の加速化について意見を述べさせていただいたように、県民の方それぞれが関心があるさまざまな県政課題があるわけで。その県政課題がどのように進められていくかによって、また知事に対するこれまでの3期12年間の評価にもつながってくるだろうというふうに思います。
 そういったことも含めて、ただ1つ、先ほど知事みずからが言われました、やはり、多選の弊害というのは確かにあるとすれば、それをそういったことを指摘されないように尽力されながら真摯に取り組まれていくという、その決意を、また、実践に移していただきたいというふうなことだけは御要請をさせていただきたいと思います。
 それで、障害者雇用の関係で、総務部長にお伺いしたいと思うんですけれども、法定雇用率達成の目途の関係で、非常勤の障害者の皆さんに担っていただけるような業務の洗い出しということを言われてました。で、その洗い出しをされたことで、どれだけ、実際、公募がどれぐらいあるかというのは別にして、どれだけの職種、人数が洗い出せたのかというのがわかれば教えていただきたいというふうに思います。
 それと、米軍機の墜落の事故の関係ですが、その空中給油については定期訓練の1つあり、それについては中止を求めるということにはならないという必要性を感じているということなんですが、この空中給油というこの訓練が定期訓練ではあるにしても、非常に危険性を伴うという訓練であるというのは事実ではないのかなというふうに思います。で、ちょっと私も今すぐには過去に空中給油訓練でどれだけの事故が発生したかとかいうのをにわかに数字は持っておりませんけども、ぜひ、そういったことも調査をされた上で、その空中給油訓練が定期訓練として認めざるを得ないというようなことなのか、危険性を伴う訓練なのかというようなことは、ぜひ、もう少し精査していただいて、さらには、知事会の提言については、実施に向けて、実現に向けて取り組んでいきたいという、先ほど決意も述べていただいたと思うんですけれども、ぜひ、それの中でも盛り込んでいただけたらというふうに思いますが、その辺のところをもう少しお考えを聞かせていただけたらというふうに思います。
 それと、事前復興の取り組みですけれども、事前復興で議論することの必要性は感じているということは御回答いただけたというふうに思います。で、命に直結する課題を優先してきたと、これまでですね。いうふうなことですけども、ただ、いわゆるこの復興計画があるか否かによって、じゃあ、その復興をなし遂げるために身近な人を失わないということが我々はその取り組みをする中で学んできたことです。ということは、それは復興計画を議論するということは備え、命を守ることにも通ずるものだというふうに感じておりますので、ぜひ、その命を守る、命をつなぐ、そして、生活を立ち上げる。これはもうほんとに強く関連したものであるということでの、今後さまざまな取り組みへの御支援をよろしくお願いしたいと思います。
 もし、そういったことに関して御意見があればお聞かせいただきたいというふうに思います。
 それと、危機管理部長にお尋ねしますが、スロープのない津波避難ビルなどに対して、民間津波避難ビルへのスロープ設置の支援の仕組みについて、市町村が設置するものについては総合防災補助金でというふうなお話でしたが、それは、民間の津波避難ビルであっても、その必要性を認めて、例えば、市町村が設置しましょうと。例えば、それが大きなスロープではなくてでもですね、簡易な、場合によっては階段に取りつけれるようなものがあると。これなら。ここの津波避難ビルには効果的やないかとかいうふうに判断して、市町村がそれを設置しましょうというふうになったら、それは総合防災補助金で対応してもらっていいということなのかどうか。その点について、お聞かせください。
 で、津波火災対策の消火方法についてですけれども、延焼する可能性が高い地域が明らかになったということなんですけど、これ今の段階で公表できるのかどうかわかりませんが、そういったところに対する今後の対応についてより強めていただくということで、どういう支援策などがそういった地域に対して考えれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 で、最後に商工労働部長にお聞きいたしますけど、やはり国のこの法案の議論の段階でも明らかになったと思うんですけれども、やはり、余りにも実態が把握できてない中での法案審議だったと。だから、例えば、34万5,000人という受け入れをしていく中での根拠が明確でない。それで、高知県にしても今の答弁でいけば、いわゆる、今技能実習生として、おいでる方の中でこの約1,400人が順次3年以上になっていく中で1号に切りかえられていくんではないかというような推測でしかなくて、具体的にどの業種でどれだけの人が必要なのかというようなことなどについて決して明らかになっていないということが、今の答弁でも、私は明らかなのではないかなというふうに実は思いました。それと、技能実習生の違法な雇用の状態についても先ほど御報告があったとおりですし、さらには、国のほうで問題になりました技能実習生の失踪した方に対する徴収票。これ今インターネットに出てますんで、見てみますと、ほんとに大変な実態です。もう時間給が300円を切るじゃあいうのは幾つもありますね。労働時間が週90時間とか、そんなのがあります。そういうことを含めて、ぜひ実態をとにかく把握して改善をしていただくいうことをお願いしておきたいと思います。
 以上で終わります。

◎知事(尾ア正直君) まず、多選の弊害について、おっしゃるとおりだと思いますので、肝に命じていきたいとそのように思います。私も長いこと。23歳のときから公務員組織におりますので、公務員組織において、いわゆる上司というのはどういう存在で、その上司の動きによって部下がどう右往左往するかっていうことはずっと経験もしてまいりました。若い部下としてさまざまに経験もしてきましたし、つらい思いもたくさんしてきましたので、厳しい仕事を乗り越えていかなければなりませんけれども、他方で、私の動きによってどういうことになるか想像も及んでないところもありますでしょうが、少しは想像できるつもりであります。ぜひ、多選の弊害ということに、今後もこれをしっかりと旨として仕事をさせていただきたいとそのように考える次第でございます。
 米軍機の空中給油についてでありますけれども、やはり、空中給油を行っていかなければ一定継戦能力を確保できない。これは当たり前のことだろうと。そういう意味において、空中給油訓練をするということは、ある意味当たり前の訓練ってことなのではないかと私は思っておりますが、ただ、今回の事故の対応によっては、場合によっては極めてアクロバティックな訓練をしていたのかもしれませんし、どういうことなのか。そこはやはり原因を見きわめさせていただいて、必要とあらば追加的な対応もさせていただかなければないのかなとそのように考えております。
 3番目。この事前復興についての御義論については、議員のおっしゃることに私も賛成であります。ある意味、発災直後の対策を考えていく状況から、だんだん応急期の対策をなどを考えていくにつけ、復興時点においてどうするかということを視野に入れて対策を講じていくということが極めて大事だと、そういうふうに思っています。先ほどの御答弁でも申し上げましたが、今、市町村ごとに応急期の機能配置計画というのをつくっていますが、これは応急期において応急救助機関はどこにしてもらうかとか、例えば、仮設住宅はどこに置くかとか、そういうことなどについて、応急期における町の機能をどう配置していくかということを考えるものでありますが、これはすなわち後の復興後のまちづくりにも直結していくものだろうと、そういうふうに考えているところです。
 今後、この応急期の機能配置計画、全ての市町村でおおむね策定終わっておりますけれども、これをベースとしていきながら、復興後のまちづくりはどうしていくかということの議論につなげていきたいと、そういうふうに思っています。そういう意味では先ほど申し上げたように復興期の議論と応急期の機能配置計画の議論を接続させるということを申し上げたということであります。そして、そういうグランドデザインができているからこそ、あらかじめ、例えば、新築の建物はどんどんそっちのほうに移っていくなどという形で、あらかじめ事前の防災につながるまちづくりがされて多くの人の命が守られるということになるんだろうというふうに考えています。3期計画からその点意識し始めていましたけれども、4期計画、その点をより突っ込んで前向きに、その点についてよりつっこんで対策を講じていきたいと、そういうふうに考える次第です。
◎総務部長(君塚明宏君) 非常勤の担っていただきたい業務の洗い出しの状況でございます。一定程度出てまいりましたけれども、今その中身につきましては、この分類分けですとか重複の調整をやっておりまして、ちょっと今現在ですと、まだ何人役になるかっていうところまでの数字は精査できていないところでございます。これ精査して、必要な人数を募集していくということを考えております。
 以上です。
◎危機管理部長(酒井浩一君) まず、スロープの設置でございますが、今の制度上でも市町村が避難ビルを指定し、そこへ整備するいうのはできますけど、先ほど答弁させていただきましたように、私見たスロープは非常に急ですので、実際にそれを使って運用ができるか。そういう実効性がないかぎりは補助が出せませんし、決してスロープだけが方法ではなくて、車いすを簡易に担ぐような方法も今検討されておりますので、やはりそういった車いすの方がどうやって安全に避難をするかっていうのは、まだまだ研究の段階だとは思っております。
 次に、消火方法についてございますが、実際に消火するのは消防という専門の機関になりますので、住民の皆さんが一番不安に思ってらっしゃるのは、一体初期消火とか延焼防止どういうふうになるんだろうかと思っておりますので、具体化、どういうふうに消火するというのが具体化しましたら、それ自体を住民の皆様にきっちりとお知らせすることが一番だと思っております。
◎商工労働部長(近藤雅宏君) 要請ということでございますけれども、外国人技能実習生並びに今般の法改正に伴う新しい在留資格の件につきまして、まだ実態も含めてわかっていないことも多くあったのは事実だろうとは思います。そういう意味で、今後受け入れの上限を決める省令でありますとか、共生のための総合的対策でありますとか、こういったものをしっかり国のほうから示していただくということがまず重要だろうと思っています。その上で県ができることは、関係機関と連携してしっかり取り組んでいきたいと考えています。
 そして、技能実習生の件につきましても、今の実態御報告したとおりですけれども、これについて関係機関と連携してやっていくことはもちろん、今後新しい在留資格に移る方については、今のところ新しい制度の概要がわからないこともあって明確につかむことはできていませんけれども、一定ニーズがあることは把握しておりますので、出てくると思います。そういったことについても、しっかり関係機関と連携して、できることは対応していきたいと考えております。