2022年2月定例会一般質問(3月2日)

◎32番(坂本茂雄君) 県民の会を代表いたしまして、ただいまから質問をさせていただきたいと思います。
 冒頭に、ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議案が、本日の質疑終了後、提出される予定であり、私もロシア軍がウクライナに軍事侵攻していることを強く非難するとともに、一刻も早くロシア軍の撤退、軍事行動の即時中止を求めることの表明をさせていただいた上で、質問に入らせていただきたいと思います。
 さて、この間、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りしますとともに、感染された皆様にお見舞いを申し上げます。
 そして、医療の現場を始め感染症予防と向き合ってこられた皆様、この間、新型コロナウイルス感染症という難題に全力を傾けて対応されてこられた知事始め県職員の皆さん、さらには、コロナ禍のために暮らしそのものに大きな影響を受けながらも、コロナ禍と向き合ってこられた県民の皆様に感謝とおねぎらいを申し上げたいと思います。
 そのような中で、コロナ禍と向き合ってこられた知事の政治姿勢について、お伺いします。
 まず、知事自身が先頭に立った情報発信のあり方について、お聞きします。
 知事は、「県民一丸となって取り組んでいくことができるよう、私自身が先頭に立って県民の皆さまにしっかりと情報発信を行いながら、感染拡大防止対策やワクチン接種などを全力で進めます」と、提案説明で言及されました。
 県議会、新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会での指摘を踏まえた1月31日の記者会見以降、記者会見や県民へのメッセージの中で「過度に恐れることなく正しく恐れ、県民一人一人が感染防止対策を徹底することで、社会経済活動を維持したい」ということを繰り返されていましたが、その後、このフレーズを使用しなくなったと思われます。
 このメッセージに対する県民の受けとめから「過度に恐れることなく正しく恐れる」ということが、「何が正しいことなのか」ということも充分伝わらなければ、逆に、個人的な判断で「正しく恐れている」からと、正常性バイアスを働かせ、自分は大丈夫と「適度に恐れる」ことさえしなかった方がいたのではないかと感じています。
 また、「感染力は強いが、重症化リスクは低い」と言う言葉が、重症にならなければ大丈夫ということで、ここでも「適度に恐れる」ことにつながらなかったなどの懸念があり、情報発信、メッセージの伝え方は非常に難しいものがあるのではないかと思われます。
 そこで、昨年6月定例会で、我が会派の上田周五議員も「トップリーダーの一言は相当重みがあり、勇気づけられ、行動変容にもつながっていくもの」と指摘していますが、「行動変容」につながる情報発信、メッセージを心がけていただきたいと思いますが、どのような伝え方を今後されていくのか、お聞きします。

 次に、「コロナ対策禍」と言われることのないような施策のあり方について、お聞きします。
 金井利之・東京大学大学院教授は、昨年5月発刊された著書「コロナ対策禍の国と自治体−災害行政の迷走と閉塞」の中で、国や行政が講じた新型コロナウイルス感染症対策自体が災いを招いている現状を「コロナ対策禍」と位置づけ、そのメカニズムや災害行政のあり方を論じられています。
 そこでは、行政が対処すべき大きな災厄禍という政策課題である「コロナ禍」に対処してさまざまに講じる対策を「コロナ禍対策」というが、この対策が必ずしも効果を発揮することなく「コロナ禍対策」が、さらなる問題を引き起こすこともあるとする金井先生は、最もまずいのは、コロナ蔓延防止を目指したコロナ禍対策が、かえってコロナの蔓延を促進する逆効果のときであると言われています。
 例えば、感染者を自宅療養させたことによって、家庭内感染を蔓延させることなどでありますが、通常は蔓延防止には一定の効果があったが、別の副次的な悪影響を起こしてしまうことにつながることなどを指摘されています。
 また、感染予防・拡大防止対策と両立することとなっていた経済活動対策の代表でもあった各種Go toキャンペーンなどは、人流拡大につながり、開始、中止、再開、中止の繰り返しで、コロナ禍対策による災いを生じさせたものではなかろうかと思われます。
 このような事例を見るにつけ、コロナ対策禍につながる施策には慎重でなければならないと考えますが、これまでの国の施策、県の施策をどのように評価し、今後の施策にどのように生かすべきと考えられるのか、お聞きします。

 次に、県内の平時の保健・医療体制のあり方について、お聞きします。
 知事が提案説明でも「今回の第6波では、家庭内に加え、医療機関や高齢者施設、さらには学校、保育所など日常のあらゆる場面で感染の広がりが見られた」と述べられましたように、これまで以上に、医療機関や高齢者施設や障害者施設でもクラスターが発生し、医療提供体制はぎりぎりの状態となり、一般の診療や救急体制などにも影響を及ぼすこととなりました。
 入院病床を最大303床確保するほか、宿泊療養施設についても計418室を確保し、臨時医療施設32床が確保されていましたが、第6波においては、自宅療養・自宅待機が2,000人を超える日もありました。
 全国的にも、厳しい状況の中、全日本自治団体労働組合、自治労が実施した全国の保健所、病院職場に働く組合員の昨年1年間の調査結果では、職員の皆さんの厳しい実態が明らかになっています。
 保健所では約23%が「過労死ライン」とされる月80時間を超える時間外労働をしており、メンタルヘルスの不調を訴える職員は、コロナに関する対応を行っている職員の約37%が、昨年中に「うつ的症状」があったと自覚しているほか、80時間以上の時間外労働をした職員の半数が「うつ的症状あり」と回答しています。
 また、病院職場では、コロナ感染拡大後に時間外勤務がふえた職員が35.2%、医療従事者であるということで差別・偏見を受けたと感じた職員が22.7%、コロナ対応をされた職員で「うつ的症状があった」と答えた方が25.8%になっています。これらの結果も、これまでの保健医療体制の脆弱性のあらわれではないかと思われます。
 今後も、これまでのような感染拡大の波を繰り返しながら終息に向かうとしても、ウイズ・アフターコロナの保健・医療体制がビフォーコロナの保健・医療体制の縮小方向に戻ることを懸念せざるを得ません。
 そこでお聞きしますが、令和2年度に、県下で15医療機関366床の病床転換・ダウンサイジングが行われていましたが、そのうち194床が補助金を活用して行っています。この傾向が継続することがあってはならないと思いますが、この縮小傾向をさらに促すような取り組みを継続するのか、お聞きします。
 また、新型コロナ流行にさかのぼること10年前、厚生労働省の新型インフルエンザ対策総括会議は「国立感染症研究所、検疫所、保健所の組織や人員の大幅強化の必要性」を盛り込んだ報告書を政府に提出していましたが、1992年に全国で852カ所に設置されていた保健所は2019年に472カ所と45%も減少しており、機能不全が生じたのは当然であろうかと思います。
 そのような中で、本県における福祉保健所の体制拡充は、今後、図られるのか。
 また、政府に対しては「地方自治体の保健所や地方衛生研究所を含めた感染症対策に関わる危機管理を専門に担う組織や人員体制の大幅な強化、人材の育成を進める」との報告書の具体化を求める考えはないか、あわせてお聞きします。

 次に、憲法における緊急事態条項創設のあり方について、お聞きします。
 知事は、令和2年6月及び12月定例会で、「コロナ禍または南海トラフ地震などの極めて重大な緊急事態の発生を想定した場合、私権の制限やそれに伴う補償などの規定をあらかじめ法律に定めておくために、緊急事態に対する法制の根拠となるような規定を憲法上に設けておく」との考え方を示されてきましたし、けさほども、同趣旨の答弁をされています。
 私は、2015年9月定例会で初めてこの課題を取り上げて以降、4回にわたって、南海トラフ地震を始めとした巨大災害対応をだしに緊急事態条項改憲は必要ないとの立場で質問してきました。
 災害対応との関係で言えば、これまでも述べてきたように、今の災害対策基本法で、災害時の緊急事態での対応は可能であります。
 また、自民党案の条文イメージにある「緊急事態により、国会による法律の制定を待ついとまがないときは、内閣は政令を制定できる」としていることについては、今回のコロナ対応に至っては、国会による法律制定を待ついとまがなかったどころか、コロナ問題が山積していた令和2年6月18日に国会を閉会してしまい、その後開かれた国会も野党の要請にもかかわらず会期延長はされず、憲法53条に基づいて総議員の4分の1で臨時国会が要求されても、憲法に違反して内閣は招集を決定せず、放置しており、コロナ対応における法律の制定を待ついとまがなかったことはありません。
 また、憲法上ロックダウンが認められていないので、緊急事態条項を設けるべきとの声もありますが、災害対策基本法63条では、市町村長は災害が発生し、または発生しようとしている場合、人の生命身体の危険を防止するための警戒区域を設定して、立ち入り制限禁止または区域からの退去命令ができるとしています。
 さらに、「私権の制限やそれに伴う補償等の規定をあらかじめ法律に定めておくための法制の根拠とするような規定を憲法に設けては」と知事は言われますが、憲法29条3項の「私有財産は正当な補償のもとにこれを公共のために用いることができる」という規定の趣旨による損失補償制度をあらかじめ創設しておくことは可能であると思われます。
 要は、そのような法整備や制度化を事前にしておく意思が内閣にあるかどうかであります。
 今の新型コロナ特措法の中でも、コロナ対応で可能なことは多々あり、また必要があれば新たに改正することに憲法上の支障はなくて、問題は、政府が法律に従った対応を十分にされたのか、コロナ対応について十分な事前の準備をされたのか、または、準備がなくても第1波の経験からその後予想した準備がなされなかったのか、国会を常時開催して法の審議をしなかったことなどが問題ではないでしょうか。
 その意味からも、緊急事態条項は憲法には必要ないし、むしろ乱用の危険があるので創設すべきではないと考えますが、知事の御所見をお伺いします。

 次は、第5期南海トラフ地震対策行動計画(案)についてであります。
 県は、2011年の東日本大震災以降、第2期高知県南海トラフ地震対策行動計画を策定し、以降、3年ごとに更新してきました。
 しかし、9年間かけても達成できない課題の中で、「命を守る」「命をつなぐ」対策の中にも達成のめどがついていないものもあります。
 また、繰り返される災害の学ぶべき教訓は、時間とともに変わっていますので、それにも対応したものでなければなりません。
 そして、災害対応こそが、SDGsの目標の原点の「誰1人取り残さない」ことの実践でなければなりませんし、平時においても安心で安全な地域共生社会づくりでなければならないと思っています。
 そのような視点で、今回更新されようとしている第5期南海トラフ地震対策行動計画(案)における課題について、順次、質問させていただきます。

 知事は、提案説明で、南海トラフ地震対策行動計画に関して、「数値目標を設定した上で定量的に評価を行うなど、進捗状況の可視化を通じて取り組みの成果を県民の皆さまにわかりやすくお伝えするとともに、PDCAサイクルを一層徹底します」と述べられていましたが、進捗状況の可視化などだけでなく、要配慮者などの命を守る課題については達成予定を明示した上で、加速化を図るとともに内容の拡充を図ることこそが必要であると考えますが、知事のお考えをお聞きします。

 続いて「県・市町村有建築物の耐震化の推進」の項について、お尋ねします。
 この項では「教職員住宅の集約・耐震化」について取り組まれようとしていますが、その取り組みも大変重要ではあると思います。
 しかし、学校校舎や庁舎が高台を始めとした、津波浸水想定区域外へと移転している中で、職場への参集体制の面からも、県職員、警察職員住宅も含めて津波浸水想定区域内に存在していることが大きな課題であると思います。
 現在、津波浸水想定区域内に、どれだけの県職員・教職員・警察職員の住宅があるのか、総務部長、教育長、警察本部長にそれぞれお聞きします。
 本来は、そこからの移転が優先されるべきではないかと考えますが、その方向性をどう考えられているのか、また地域からも移転の課題が注視されている土佐清水市の職員住宅の移転検討は、どのようになっているのか、あわせてお聞きします。

 津波からの避難対策の促進についての項について、お伺いします。
 要配慮者が迅速に避難できるための支援体制づくりとして、「名簿提供の同意者をふやすための取り組みへの支援」も「市町村における個別避難計画の策定への支援」の取り組みも、これまで行われてまいりましたが、第4期計画の進捗状況は、同意取得率見込みが70%、計画作成率見込みが30%であります。
 これを第5期でそれぞれ80%までに高めることとしていますが、達成目標100%の達成予定が示されていません。
 昨年も福祉人材を活用するなど、その多様性に配慮して一人一人の状況に応じた個別避難計画を策定することを求めてきましたが、達成予定を明示して取り組むべきではないのか、子ども・福祉政策部長にお聞きします。

 次に、これも要配慮者の課題ではありますが、「高台移転に向けた取り組み」についての「社会福祉施設等の高台移転等の検討及び補助の実施」の項について、お伺いします。
 現在、津波浸水想定区域にある高齢者101施設、障害者43施設、児童7施設に対して、1年間で1〜2施設ほどしか移転が進んでいない中で、今後どのようにして対象施設への働きかけ及び支援を行っていくつもりなのかと思わざるを得ません。
 現在の「高知県老人福祉施設等整備事業費補助金制度」や「高知県介護基盤整備等事業費補助金」があっても、これだけの進捗状況ということは、これらの制度を拡充するか、新たな制度創設を国に働きかけるなどして、高台移転を加速化し、達成予定を定めるべきではないか、子ども・福祉政策部長にお聞きします。

 次は、応急対策活動の整備の項における「高知市の長期浸水域での迅速な救助救出対策の検討」における、日数の短縮についてであります。
 令和2年3月に作成された高知市救助救出計画について、エリア1の地区では、この計画についての意見交換会が行われ、そこでも多様な意見が出されていましたが、それらへの対応が図られていません。
 これから、令和7年度には、10日に向けた日数の短縮を行うとのことですが、エリア2、3、4の地区でも救助救出計画の説明、意見交換を行い、計画に対する市民の声を反映し、より実効性を伴うものに補強すべきではないかと考えますが、危機管理部長にお尋ねします。

 続いて、避難体制づくりの促進についてであります。
 「指定避難所の収容能力の拡大」については、県全体では必要数約21.7万人分を確保されているとのことですが、市町村単位では避難所が不足している11市町村において避難所を確保するとの目標の達成年度が示されていませんが、取り組みを加速化すべきではないか、危機管理部長にお聞きします。
 また、平成25年ごろから取り組まれてきたはずの課題である、広域避難における「広域避難施設の確保」について、今回の第5期行動計画には、広域避難候補施設の選定をこれから行うとありますが、本来はこれまでに行われていなければならないもので、なぜ今ごろなのかと思えてなりません。
 「広域避難施設の確保」に向けた取り組みの本気度について、あわせてお聞きします。

 次に、「多様な避難者への対応の充実」を図る取り組みの中で、「車中泊等の避難所外避難者への対応の検討」を目標に掲げていますが、「車中泊避難」のあり方について、危機管理部長にお尋ねします。
 コロナ禍での自然災害との複合災害に対する避難所の見直しが議論される中、「在宅避難」を始め、車中泊や知人・民間施設への避難など「分散避難」の議論がされ始め、今まで取り組まれたことのなかった「車中泊避難訓練」についても2020年6月に、日高村で開催された際に、私は参加させていただきました。
 また、最近では、いの町でも車中泊避難訓練が開催されており、その対応と支援の必要性が各自治体からも求められてくるようになりました。
 これまでは、車中泊避難ではエコノミークラス症候群などの危険性が言われる中、決して推奨されていませんでしたが、現在のように分散避難が検討される中では、避難行動意識調査でも約38%の方が車中泊避難を選択しているような傾向から、エコノミークラス症候群の予防を周知し、支援を行うことによって、その選択に応えるような訓練が必要になってくると思われます。
 これからは、いわゆる分散避難の選択肢としてだけではなく、臨時情報が発せられたときには、事前避難対象地域にお住まいの方々は、車で避難し、車中泊避難をされる方が、圧倒的にふえるものと思われますが、お聞きします。
 災害対応の基本は多様な選択肢であり、車中泊避難を選択せざるを得ない状況を想定した取り組みはこれから当然必要であり、これまでリスクとされてきたエコノミークラス症候群は水分補給や適度な運動など個人で予防可能な課題でもあり、避難生活における車中泊避難希望者の増加などに対して、自治体による支援が必須となってくると思われます。
 「車中泊避難」により想定されるリスクを回避するため、避難訓練における「車中泊避難」の活用に対して支援を行うなど事前啓発を進めるべきと考えますが、あわせてお聞きします。
 また、「避難所外避難者」としての車中泊避難者は、災害対策基本法第条86の7「やむを得ない理由により避難所に滞在することができない被災者」に該当し、生活環境の整備に必要な措置が講ぜられるべきものと考えますが、どうかお聞きします。

 次に「要配慮者の避難対策の促進」について、お聞きします。
 これまでも、2018年以来、「避難場所及び一般の避難所に福祉避難所的機能を持たせること」について質問をしてきましたが、「一般の避難所における要配慮者スペースの整備への支援」の課題について、コロナ禍対応による避難所の感染症対応としてきたものを、今後は、一般避難所における要配慮者スペースの確保、資機材整備を全市町村で実施するとの取り組みにシフトさせようとしているのではないかと思います。
 その際に、補助金などによる支援の対象となるスペース確保・資機材とは、感染症対応だけではないと思いますが、対象範囲はどのようなものか、危機管理部長にお聞きします。
 また、ここでも達成予定が示されていませんが、めどを示して取り組みの加速化を図るべきではないか、あわせてお聞きします。

 次に、「在宅人工呼吸器使用者及び酸素療法者への支援体制整備」について、お聞きします。
 これまでも酸素療法者数の把握と医療機器取扱業者などとの連絡会の実施を重ねてこられていますが、今後も年1回から2回実施するということだけでよいのか、健康政策部長にお聞きします。
 実態把握をしてからということなのでしょうが、まさにこの問題は、避難所の電源問題なども含めて、命をつなぐ大きな課題です。実態把握を早急にした上で、それに対応できる体制を整えておくべき課題であり、在宅人工呼吸器使用者にとっては、最優先すべき課題として、取り組まれるべきものです。
 そうでありながら、達成予定が令和6年度以降となっているということは、それ以前に災害が起きたときには、命を諦めてくださいということなのかと言わざるを得ませんが、令和6年度以降の達成でよいのか、あわせてお聞きします。

 被災者の生活支援体制の整備についてお聞きします。
 一昨年9月定例会で提起をさせていただいて、第4期行動計画、3年目に取り上げていただいた「個別の被災者の被災状況や生活状況に応じた支援体制の検討」いわゆる「高知県版災害ケースマネジメント」の取り組みが、第5期計画で進められることとなっています。
 そのことについて、昨年7月県主催の「令和3年度高知県トップセミナー」で、「災害ケースマネジメント」について講演いただいた日本弁護士連合会災害復興支援委員会前委員長・津久井進弁護士が、読売新聞の取材に答えて、「南海トラフ地震に備える高知が導入することで、全国への波及効果も大きい」とコメントされています。そこまで評価されている今回の取り組みです。
 市町村における個別支援体制の構築においては、これまでの被災地での教訓を踏まえて、被災者が誰一人取り残されることのないよう、被災者が主人公の仕組みとなるような支援体制とするための決意を、危機管理部長にお聞きします。

 応急仮設住宅の供給については、令和元年9月定例会で、私の質問に「限られた建設用地を有効に活用するため、2階建てや3階建ての場合の問題点や改善策などについて検討を進める一方、必要となる仮設住宅戸数を少なくするため、住宅の倒壊を防ぐ耐震化の促進にも取り組んでいる」と答弁され、私が提言したトレーラーハウス型応急仮設住宅についても取り入れられ、いち早く日本ムービングハウス協会とハウス設置で協定を結び、南海トラフ地震が起きた際に、同協会から応急仮設住宅として5,000戸を供給してもらうなどの取り組みがされてきました。
 しかし、この間、「応急仮設住宅の実効性のある供給体制の確認・維持」を取り組む項目の中で、L2地震の際の必要戸数7.7万戸に対して、供給可能戸数は建設型2.3万戸と借上げ型0.8万戸を合わせて3.1万戸の実績と、今後の達成予定すら明らかにできない現状をどう考えているか、そして、今後の取り組みについて、土木部長にお聞きします。

 昨年も「事前復興まちづくり計画策定指針検討会」のあり方を始め、事前復興について質問をさせていただきましたが、改めて、南海トラフ地震における事前復興のあり方について、お聞きします。
 この間、事前復興について、継続的に学び合っている高知市下知地区の皆さんとともに、3.11東日本大震災後に甚大な津波被害想定が出された徳島県美波町の由岐地区の「事前復興」に学ばせていただきました。
 由岐地区では、甚大な被害想定から事前に避難しようとする「震災前過疎」の防止を「事前復興まちづくり」の最重要課題とし、土地利用計画とあわせて高台開発の具体化にも取り組まれてきた先進的で住民主体による事前復興まちづくり計画の立案をされています。
 地区の事前復興まちづくりの未来像は、「個人の幸福だけでなく、地域全体で幸福を感じながら、次世代にわたって幸福に住み続けられるまち由岐」というものでした。
 それを事前に具体化していくための取り組みで、「事前復興まちづくり計画が地域で認知され、高台住宅地の開発につながるイメージを共有し、施策や土地利用の素案をまとめた事前復興まちづくり計画を立案し、町計画にも提言し、現在は、地区別事前復興まちづくり計画を策定し、日和佐地区でこども園などの高台移転構想が進行中」との成果を上げられていました。
 「高知県事前復興まちづくり計画策定指針」も、市町村が速やかに復興まちづくりに着手するためには、発災後の土地利用や公共施設の配置などの基本的な考え方を事前に取りまとめ、事前復興まちづくり計画を策定しておくための参考となるように取りまとめようとされています。
 昨年の2月定例会で、「指針の策定後には、沿岸19市町村の皆様と事前の計画策定の必要性や検討すべき項目・手順などについて勉強会を開催するとともに、計画を策定する際には、市町村のニーズに応じた技術的な支援などを行っていく」と答弁されましたが、第3回検討会でしっかりと「市町村における事前復興まちづくり計画策定の進め方」を検討していただきたいと思います。
 しかし、第5期行動計画との関係で言えば、まずは勉強会、策定着手、策定の目途は令和9年度となっていますが、昨年も、高知県震災復興都市計画指針に基づく訓練のように何年もかけてやるなどということの繰り返しであってはならないと指摘しました。
 けさの朝日新聞にもありましたが、「復興事前準備」について、全国約4割の自治体が策定作業に未着手ということで、国土交通省は、新年度以降、策定を促す新たな指針づくりを進めるとのことです。第5期行動計画に予定している取り組みを加速化すべきではないかと思いますが、危機管理部長にお聞きします。

 そして、行動計画にある令和4年度からの市町村における最初の勉強会から、住民に事前復興の仕組みについての理解を深めていただくために、参加を求めるとともに、計画づくりまで継続的に御参加いただき、住民主体の「事前復興まちづくり計画」の策定を進めていくべきだと考えますが、お聞きします。

 さらに、昨年2月定例会での答弁では、「高台への移転の取り組みが実現できるよう、国に対して、新たな制度の創設や既存の制度の拡充につきまして、引き続き、全国知事会などを通じて政策提言を行っていく。また、県としても、具体的な支援について、さらに検討していく」とのことでしたが、高台移転に限らず、事前復興まちづくり計画で出される多様な事前復興のまちづくりへの支援も強化すべきだと考えますが、この項は知事にお聞きします。

 次に、特別支援学校の防災・減災体制の拡充について、教育長にお尋ねします。
 昨春、コロナ禍のため途中で中止となりましたが、総務委員会の出先機関調査で特別支援学校を訪問・調査させていただいた際に、防災・減災体制について聞かせていただきました。
 学校内での取り組みは一定なされているようですが、生徒が在宅中に被災した場合の対応など地域の方との連携や避難行動要支援者個別避難計画を策定することなどについての取り組みには、課題もあるとの感じがいたしました。
 南海トラフ地震を始めとした次の災害が来るときに、在校中であれば、生徒たちの命を守ることが最優先で取り組めると思いますが、スクールバスでの送迎中、在宅中に被災した場合の避難支援や避難生活において、障害特性が理解された支援が受けられれば、子供たちはより健やかに被災生活を送れるのだということを前提にした取り組みが必要となります。
 特別支援学校の防災・減災を考えるときに、障害を持たれている当事者の方から「助けてください」とお伝えすることで、周りの支援者の方たちもそれに気づいて、「助けるよ」という力を掘り起こすことにもつながるのではないか。そのためにも特別支援学校という強みを生かして、地域と一緒に弱みを補完し合う形がつくれたらよいのではないかと思います。
 そこで、順次、教育長にお尋ねします。

 まず、災害時の危機管理マニュアルの対応についてです。
 特別支援学校の危機管理マニュアルの中で、「在校中」「登下校中」「スクールバス」「勤務時間外」「寄宿舎」「保護者への引き渡し」と場面ごとに地震発生時の基本的対応が定められています。
 在校中や寄宿舎では、それなりに教職員の皆さんの目が届くことから、一定の安否確認が可能かと思われますが、登下校中のスクールバスとなると、臨機な対応が求められるだけに事前の備えが必須であると思います。
 分校も含めた13校の県立特別支援学校の危機管理マニュアルの中で、さまざまな場面における対応をどのように定められていくのか、お聞きします。
 その際、中村特別支援学校では、スクールバスのルート上のハザードについて、高知大学・岡村眞名誉教授のアドバイスもいただいて、明記されているようですが、これから取り組まれる学校でもルートが広域複数市町村に及ぶことからも、スクールバスの対応について、各市町村の危機管理部局とも連携をとり、県教委及び防災専門家による調整なども行い、作成されることが必要ではないか、あわせてお伺いします。

 次に、地域防災との連携について、お伺いします。
 マニュアルの中に出てくる場面は、在校中と通学途中までであり、在宅中における発災時の生徒の安否確認を始め、その後の避難生活も含め、教育のみならず医療と福祉の継続という、より丁寧な災害への対応とそのための準備が必要となるのではないかと思います。
 現在、避難行動要支援者対策として要配慮者の個別避難計画の策定が各自治体で進められていますが、この策定に当たって、大変でしょうが、生徒さんたちの障害特性を理解されている特別支援学校も、それぞれの生徒さんの個別避難計画策定に関わってあげていただきたいと願います。
 そこで、お聞きしますが、在校生の在宅時における発災時の対応について、どのような取り組みがされているか、また、在校生の個別避難計画の策定状況の把握はされているのか、あわせてお聞きします。

 特別支援教育の現場で作成が義務づけられている「個別の教育支援計画」は、教育のみならず、福祉、医療、労働などのさまざまな側面からの取り組みに活用されることが必要であるとされていますが、自治体の個別避難計画作成に向け、個別の教育支援計画を活用するなど、地域と連携した協力の必要性について、お聞きします。

 次に、特別支援学校と特別支援学級の災害時連携について、お伺いします。
 市町村立の小中学校における特別支援学級の児童生徒及び担当教諭の災害時対応については、被災した学校に在籍する児童生徒が災害発生後も速やかに特別支援教育を受けられるよう県内全ての特別支援学校と特別支援学級における災害時連携を具体的に推進する必要があると考えますが、お聞きします。

 この項の最後に、教職員も、児童生徒とともに命と尊厳を守られる対象とした取り組みについて、お伺いします。
 特別支援学校の現場においては、教職員が身を挺して児童生徒の身体と命を守る体制を敷いているマニュアルが少なくないのではと考えますが、これは、正常性バイアスによる教職員は災害時にあっても無事であるに違いないとの思い込みがベースとなっており、教職員自身の災害対策が具体的に進まない原因の1つと考えられているとの指摘があります。
 そのためにも、教職員の皆さんも、児童生徒とともに命と尊厳を守られる対象とされるべきであって、「教職員は自らの安全確保を図りつつ、児童生徒と施設の安全・安心を守る」として、教職員の命と尊厳の保障についても、危機管理マニュアルにおいて早急に具体化されてこそ、児童生徒の命が守られると考えますが、どのように位置づけ、取り組まれるのか、お聞きします。

 次に、障害児虐待と県の向き合い方について、お伺いします。
 高知市議会令和3年12月定例会、12月10日の個人質問で取り上げられた重症心身障害児が利用した施設での虐待の疑いがあった事例との関わりで、県としての障害児虐待と向き合う姿勢について、お尋ねします。
 この事例は、令和2年6月日帰りショートスティを利用していた重症心身障害児が、施設から帰宅後に性器下部の出血・裂傷を母親が発見したことに始まります。
 その後、医療機関を受診し、医療機関の虐待予防チームが支援し、小児科・産婦人科が診察した結果、第三者による加害行為が疑われたことから、県を始め関係機関に虐待通報し、施設内虐待が疑われるとして、県障害福祉課から高知市へ「障害福祉施設従事者等による障害者虐待」の通報がされたものです。
 以降、警察、高知市のそれぞれによる調査がなされましたが、「障害福祉施設従事者による障害者虐待の認定や加害者の特定には至らなかった」との経緯があります。
 その後も、高知市と保護者との話し合いは重ねられたものの、高知市は厚生労働省の示す「市町村・都道府県における障害者虐待の防止と対応の手引き」に準じることなく、高知市独自の調査を実施し、同年11月に本事例の調査は終結されています。
 そこで、子ども・福祉生活部長にお尋ねします。

 当事者の両親から県へも「虐待通報に係る申し入れ」がされていますが、県は、両親から「県及び市による共同での調査の実施」を求められたことについて、高知市から「共同調査の要請があれば協力をする」と回答されています。
 これは、高知市から要請がなければ協力してはいけなかったということなのか。
 また、県は事案発生の通報を受け、高知市に通報して以降、高知市との連携協議などは行われなかったのか、あわせてお聞きします。

 この際に、「県及び市の法律上の権限による監査(立ち入り調査)を行う」ことを求められ、県は「事実確認は高知市が実施するものであり、県は必要に応じて支援する立場」であり、「当該施設を対象に実施した最近の指導監査の結果から、現時点において県として監査を実施する必要性はない」と判断されていますが、ここでいう「最近の指導監査」とは、いつ行われたものだったのか。また、重度障害があることから自ら虐待を訴えることができない障害児の性的虐待の疑いのある事例が起きても、その重症度・緊急度を鑑みた監査の必要性はなかったのか、あわせてお聞きします。
 そして、このような重要な事案でありながらも、支援の必要性を高知市に打診することなどの必要性はなかったと考えられているのか、お聞きします。

 施設側は、この件が起こって以降、保護者との面会を拒否していますので、施設において、例えば、モニターの増設や同性介助の徹底などの対応改善についての情報は両親に伝えられていないと聞いていますが、そのような現状について、県としてどのように考えられるか、お聞きします。

 当該児童及び家族はその後、当該施設を再利用できなくなっていますが、社会資源の乏しい本県において、重症心身障害児が利用できる機関は数少なく、限られています。そのような中で1つでも社会資源が利用できない状況になったことは、当該児童及び家族の生活に多大な影響を及ぼしています。
 このような状況を踏まえて、県としてこの事案に関して、「障害児の権利擁護」の視点から、施設の再発防止システム・施設整備などについて助言・指導をすることに加え、当事者・家族の心身ともの深い傷からの快復と日常生活の負担解消のために何をしなければならないと考えるのか、この項は知事にお伺いします。

 最後に、免許返納問題への支援を通じた移動貧困社会からの脱却と中山間地における移動手段の確保について、お伺いします。
 この間、全国でも高齢者の引き起こす自動車事故が大々的に取り上げられる中、運転免許の返納者数は増加傾向にあります。
 しかし、免許返納問題が喚起策だけでは進まないのは、長年、車に頼ってきた当事者の運転免許返納後の移動手段や生活、心身への影響があまり考えられずに、私たち日本人が車に頼った暮らしを続けてきた結果と言えるのではないでしょうか。
 この問題は、免許を返納する本人のみならず、その家族にも多くの葛藤を引き起こしており、車以外の移動手段を持たない状況になってしまった地域での免許返納問題は、もはや個人や家族で対処できる範囲を超えているものと思われます。
 これらの課題がよほど丁寧に議論され、対策が講じられなければ、交通事故の減少にはつながったものの、高齢者の引きこもりや老いを加速させることにもつながりかねないことを考えておかなければならないと思います。
 そうならないために、今の移動貧困社会からどう脱却するかについて、順次、お尋ねします。

 まず、県内の運転免許自主返納者が、令和2年には2,910名に上っていますが、返納後の課題を考えるためにも、返納後に利用する移動手段はどのようなものと把握し、それらの活用状況は十分と考えられているのか、警察本部長にお聞きします。

 また、免許返納者が抱える課題として、県内にはどのようなものがあると考えられるか、警察本部長にお聞きします。

 県内において、免許返納者が返納後に困らないために、移動の選択肢を整備しておく必要があると考えますが、選択肢としては、公共交通の確保はもとより、例えば、自転車やシニアカーなどを始めとするスローモビリティなど、自分で移動できる移動手段の種類をふやすとともに、安全に通行できるように既存の道路を生かした道路整備も求められてくるのではないかと思います。
 さらに、今回の集落実態調査でも、公共交通機関の課題があるとする集落代表者は6割に上り、住民のアンケートでは、「日常的に使う移動手段として、8割近くの住民が自家用車を活用し、このうち5割の住民が今後10年以内に利用できなくなる不安がある」と答えられています。
 このことを踏まえて、県民が年を重ねても、どこでも1人で移動できる地域社会を築いていく必要性について、どう考えられるか、この項は知事にお伺いいたしまして、私の第1問とさせていただきます。

◎知事(M田省司君) 坂本議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策に関しまして、今後どのような情報発信を心がけるのかと、お尋ねがございました。
 新型コロナウイルスに関しましては、これまで、動画やSNSの活用あるいはホームページへの掲載など多様な手段を用いまして、県からの情報発信をいたしております。また、県の対策本部会議でございますとか、記者発表の場におきまして、県の方針や県民の皆様へのメッセージを、私自らマスメディアを通じて発信をしてまいったところであります。
 その際には、国の対処方針や県内の実際の発生事例などをもとにいたしまして、避けるべきリスクの高い場面や行動などについて、具体的にわかりやすく丁寧な説明となるように心がけてまいりました。特に、御質問がありましたように、人々の行動変容を促していくということを考えますと、県民の皆さんに、いわば、我がこととして捉えていただけるようにメッセージを発していくということが大事だと考えておりますので、メッセージを受け取る方々の立場や思いを想像いたしまして、ここに想像力を働かせて、それに寄り添ったものとなるということが肝要だというふうに考えております。
 今後も、こうした点に留意をしながら、県民の皆さんと心を1つにして、コロナ禍を乗り越えていけますように、正確でかつわかりやすいメッセージの発信に努力をしてまいりたいと思います。

 続きまして、コロナ禍におきますこれまでの施策の評価と今後の施策のあり方について、お尋ねがございました。
 コロナ禍におきます県政運営に当たりましては、これまで、感染の拡大防止対策と経済対策の両立という難しいかじ取りが求められてまいったところであります。
 このうち、感染の拡大期には、何よりも県民の皆さんの命と健康を守るということを優先し、県民生活や社会経済活動への一定の制約もお願いをしてまいったところであります。
 一方で、感染が落ち着いております間には、思い切った財政出動のもとで、需要の喚起策、回復策を講じまして、ダメージを受けた県経済の早期回復を図るというほうに軸足を置いてまいったところであります。
 具体的には、国の施策に呼応いたしまして、Go to イート事業あるいは高知観光のトク割キャンペーンの事業などを展開するといったほか、観光に関しましては県独自でのリカバリーキャンペーンなども展開をしてまいったところでございます。
 このように、感染の状況そして社会経済の状況を見極めながら、時宜にかなった施策がタイムリーに実行できるように努めてまいったところでございます。
 こうした中、昨年11月、国のほうで、今後の対策の全体像が示されました。この中では、感染拡大時にも行動制限の緩和を可能とするような、ワクチン検査パッケージの制度の導入といった方針が示されたわけでございまして、これは、感染対策と日常生活の両立を目指すという意味で、新しい取り組みということで注目をされたところでございます。
 残念ながら、オミクロン株によりますブレークスルー感染が多く発生するといったこともございまして、このワクチン検査パッケージを活用して行動制限を緩和していく、感染拡大期でも緩和をしていくという取り組みは、目立った進捗が見られないわけでございますが、方向性としては、この方向性は間違っていない、正しいものであるというふうに考えているところでございます。
 今後につきましては、感染対策と日常生活の両立を目指すということを旨としながらも、ウイルスの特徴あるいは感染状況に応じまして、アクセルとブレーキを適宜、踏み分けながら、臨機応変に策を講じてまいる考えでおります。

 次に、いわゆる平時におけます県の保健医療体制のあり方に関連いたしまして、病床転換、ダウンサイジングを促す取り組みを継続するのかどうかというお尋ねがございました。
 本県では、地域医療構想に基づきまして、各地域におきまして、医師会などの関係機関と協議をいたしまして、合意を図りながら、医療機関の自主的な病床転換あるいはダウンサイジングへの支援を行ってまいっております。
 これまでに、この流れに沿いまして、介護療養病床の9割以上が介護医療院へ転換をされたということがございました。そういう意味で、病床数は形としては減ったということになっておりますが、実質的に、いわば介護の機能を果たしていた部分につきまして、介護医療院転換するというような中身であったということでございます。
 こういったものに加えまして、病床稼働率の低下あるいは今後の医療需要の動向などから医療機関自らが継続不要であると判断した病床、あるいは、休床病床の廃止などによりまして、御指摘ありましたダウンサイジングが図られているというところでございます。
 今後も、適正な医療体制を確保するという観点に立ちまして、医療機関の意向も尊重しながら、このような取り組みを継続して支援していくと、こういった必要性はあるものというふうに考えております。
 しかしながら、県内の地域を見渡しますと、高知市及び周辺の地域以外におきましては、病床の確保を含めまして医療体制の維持強化がむしろ必要だと考える地域があるところでございます。特に、郡部でございますが、郡部におきまして後継者問題が課題であるというふうな認識をいたしておりまして、次年度には具体的な支援策の基礎とするための、こうした郡部におきます後継者問題に関わります実態把握のための調査を行いたいというふうに考えております。
 県といたしましては、当面、地域の合意が得られました医療機関の自主的な取り組みの支援、これは継続をしながら、今後の国の動向あるいは地域の声も参考にいたしまして、必要に応じまして、支援の追加あるいは見直しを行ってまいるという考えでございます。

 次に、福祉保健所の体制拡充、人員体制の強化についてのお尋ねがございました。
 福祉保健所の体制の拡充につきましては、国の令和3年度地方財政対策の中で、保健所の恒久的な人員体制の強化の方針が示されております。
 具体的には、保健所の感染症対応業務に従事いたします保健師を、令和4年度までに令和2年度の1.5倍となるように地方財政措置を講ずるという方針が明らかにされたところでございます。
 こうした国の対応方針を踏まえまして、本県におきましては、今年度、福祉保健所での感染症対応業務に従事いたします保健師の数を、令和2年度比で1.35倍に増員いたしました。令和4年度につきましても、保健師の新規採用あるいは再任用などによりまして、目標といたします1.5倍の達成に必要な人員を確保し、さらなる体制強化を図ってまいりたいというふうに考えております。
 そして、政府におきましては、コロナ終息後に、今回の経験を踏まえ、緊急時におきます対応能力確保のための平時の保健医療体制のあり方について、再び検討されるということが想定されるわけでございます。県といたしましても、地方自治体が必要といたします体制を確保するための支援策につきまして、全国知事会などを通じまして、政府に引き続き提言を行ってまいる考えであります。

 次に、憲法上の緊急事態条項のあり方についてのお尋ねがございました。
 新型コロナへの対応のみならず、南海トラフ地震など極めて重大な緊急事態を想定した場合に、私権の制限あるいは補償の規定などをあらかじめ法律に定めておくことが必要であるというふうに考えております。
 午前中にも御答弁をいたしたところでございますけれども、こういった必要があるというふうに考えているわけでございますが、ただいま議員から御意見がございましたように、こうした法律に私権の制限を定めること自体は、現行憲法下でも緊急事態条項の有無に関わらず、公共の福祉のためという目的に沿う限り可能であるというふうに考えております。
 ただ、こうした万一に備えた法整備ということが制度的に可能であるということと、現実にそうした法制の整備が進むかどうかというところは別問題という部分があるというのは、議員、御指摘のとおりではないかと思います。
 このため、私としては、いわば、国民全体の意思として、こうした種類の立法が必要であるという旨を憲法上明らかにするということがやはり望ましいのではないかというふうに考えております。言いかえますと、こうした必要とされる緊急事態に対応する法制の根拠となるような規定を憲法上も明確に設けておくということによりまして、立法府であります国会に対して、そうした法制の整備を行うようにと促しておくということが望ましいものと考えております。
 加えまして、緊急事態が発生いたしましたときには、何よりも迅速な対応が求められるということが想定されますので、行政府と立法府の間におきます緊急時の立法のあり方のルールを憲法上設けておく必要があるのでないかと、そういった観点からの議論も必要なのではないかというふうに考えているところであります。
 いずれにいたしましても、緊急事態に即応できるような体制をあらかじめ整備をしておくということは大変大事だと思いますので、そうした方向に向けて憲法改正という手法も含めまして、国政の場におきまして活発な議論が求められるものではないかというふうに考えております。

 次に、南海トラフ地震対策行動計画の取り組みの加速化と内容の拡充について、お尋ねがございました。
 第5期の南海トラフ地震対策行動計画、現段階、案でございますが、におきましては、これまでの取り組みの成果や課題を分析いたしまして、総括をいたしました上で、アドバイザーからの意見なども踏まえながら、策定の作業を進めてまいりました。いわゆる命を守る対策を始めといたしまして、計画に位置づけているそれぞれの取り組みにつきましては、議員から御紹介もいただきましたように、可能な限り数値目標を設定いたした上で、最終的な達成予定年度を明示するということを原則に計画を策定してきております。
 しかしながら、例えば、社会福祉施設の高台移転といったようなケースのように、事業者の意向あるいは財政状況、こういった制約がございまして、最終的な達成予定年度を県の計画の中で一方的に設定することが難しい、そういった性格の取り組みもあるということは御理解をいただきたいと存じます。
 こうした取り組みに関しましては、国に対して、既存の制度の拡充あるいは新たな制度の創設につきまして、政策提言も行いまして、速やかな実現に向けた環境整備を県としても図ってまいりたいと考えております。
 南海トラフ地震対策は、これまで東日本大震災を教訓といたしまして、対策の抜本強化を図るための見直しを行ってまいりました。また、要配慮者支援対策などの命を守る対策につきまして、新たに見えてきた課題に対しましては、これを重点課題と位置づけまして、目標達成に向けて取り組みの加速化を図ってまいったところでございます。
 今後とも、引き続き、PDCAサイクルによります取り組みの検証と見直しを行いまして、命を守る、命をつなぐ、生活を立ち上げる、こうした対策が着実に進むようにしっかりと取り組んでまいります。

 次に、事前復興のまちづくりへの支援について、お尋ねがございました。
 南海トラフ地震によります発災後、市町村が速やかに復興まちづくりに着手できますように、高知県事前復興まちづくり計画策定指針を今年度内に取りまとめることといたしております。
 この指針におきましては、復興のおくれによります人口減少あるいは地域の衰退といった東日本大震災におきます教訓を生かしまして、地域の実情に応じまして、早期の生活再建あるいは生業の再生が可能となりますように、復興パターンを例示するということといたしております。
 さらには、東日本大震災を受けました国の復興方針や復興事業の検証なども踏まえまして、高台移転また課題点や地盤のかさ上げあるいは堤防、道路などの盛土構造物によります、いわゆる多重防御など、多様な復興まちづくりの手法もメニューとして示すという考えでございます。
 今後は、市町村と地域が一体となりまして、計画の策定に取り組めますように支援をいたしますとともに、この具体的なまちづくりの方向性が見えてきました段階で、これに対します財政的な支援について具体的に検討してまいりたいと考えております。
 また、国に対しましても、新たな制度の創設あるいは既存制度の拡充につきまして、引き続き、全国知事会あるいは南海トラフ関係の10県知事会議などを通じまして、政策提言を行ってまいる考えであります。

 次に、障害児虐待の疑いの事案に関連いたしまして、障害児の権利擁護の視点から何をしなければならないと考えるのかというお尋ねがございました。
 重症心身障害のある児童や御家族は、日々の生活の中で大変な御苦労、御負担を感じておられることと思います。そうした中、利用された施設で虐待が疑われる事案が起きてしまうということは、児童はもとよりでありますが、御家族の心身も深く傷ついてしまわれるものというふうに思っております。
 お尋ねがございました障害児の権利擁護の観点から申しますと、御家族と施設が信頼関係を構築するということ、そして、相談支援事業所、市町村などの関係機関と連携をしながら安心して施設を利用できる環境整備をしていくと、このことが重要だというふうに考えているところでございます。
 県といたしましては、具体的には、施設の従事者などの権利擁護に対する理解が促進されるような取り組みを行う、さらには、判断が難しい事例につきましては、市町村や施設の従事者などが司法、福祉の専門職の支援が受けられるような相談体制を強化すると、こういった対応を図ってまいりたいと考えております。
 こうしたことによりまして、障害のある児童や御家族を含めまして、地域で暮らす全ての方々が尊厳のある、また、本人らしく生活ができる、社会全体で支え合えます共生社会の実現が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。

 最後に、年を重ねても1人で移動できる地域社会を築いていく必要性について、お尋ねがございました。
 運転に不安を感じます高齢の方にとりまして、過疎高齢化が進む中で免許返納後の移動手段の確保は、御指摘ありましたように、大変に切実な問題であるというふうに受けとめております。
 例えば、買い物や通院、訪問などの外出が制約をされ、健康面での影響が懸念されますとともに、御家族にこの移動を頼るケースになりますと、御家族の生活や仕事への影響ということも考えられるわけでございます。誰しも年齢を重ねますと免許の返納問題に直面するということだと考えます。住みなれた地域で安心して暮らし続けるためにも、移動手段の確保など、社会全体で高齢者の生活を支えていくということが必要であると考えております。
 また、議員からお話がございましたように、今年度実施いたしました集落実態調査におきましては、地域の公共交通機関につきまして、利便性などに課題があるとの御意見もいただいております。
 このため、公共交通の利便性の確保という観点から、例えば、コミュニティバス、デマンド型の乗合タクシーなどといった、地域の実情に応じたよりきめ細かな移動手段を整備していくということが重要であると考えております。
 県といたしましては、引き続き、各市町村が移動手段を協議いたします公共交通会議に参画いたしまして、実証運行、車両導入などの補助事業によりまして、各市町村の取り組みを積極的に支援してまいります。
 また、あったかふれあいセンターによります移動の支援、社会福祉法人が自主的に移動支援サービスを実施している事例など、公共交通を補完する取り組みも広がっているところであります。
 引き続き、地域の支え合いの中で、移動手段の確保が拡大していきますように、市町村とともに支援をしてまいりたいと考えております。今後も、移動手段の確保の取り組みを、市町村や関係者、県民の皆さんとともに着実に進めまして、高齢者の方々が免許返納後も生活の質を維持できる社会を目指してまいりたいと考えております。
 私からは、以上であります。

◎総務部長(コ重覚君) 津波浸水想定区域にある知事部局の職員住宅の数とその移転の方向性、また、土佐清水市の職員住宅の移転の検討状況について、お尋ねがございました。
 現在、知事部局が所管している職員住宅は59棟、608戸あり、そのうち最大クラスの地震及び津波が発生した際の津波浸水想定区域内には22棟221戸の住宅がございます。
 その移転の方向性に関しましては、高知県職員住宅長寿命化計画におきまして、全ての住宅が津波浸水想定区域内に立地する須崎市、宿毛市、土佐清水市の住宅は、廃止も含めて移転を検討することとしております。
 お尋ねにございました土佐清水市の職員住宅は、入居率が高く、利用ニーズが高いことから、同じ区域内にある教職員住宅と合同での高台移転を検討しており、現在、候補地の選定を行っているところです。
 引き続き、教育委員会と連携し、移転に向けた検討を進めてまいります。

◎教育長(伊藤博明君) まず、津波浸水想定区域にある教職員住宅の数と移転の方向性及び土佐清水市の教職員住宅の高台移転について、お尋ねがございました。
 令和4年2月現在、津波浸水想定区域の教職員住宅は8市町村に25棟126戸あり、棟数については全体の約24%、戸数については全体の約28%を占めております。また、当該区域にある住宅の入居率は57.9%となっております。このうち、土佐清水市の教職員住宅につきましては、7棟13戸あり、入居率は46.2%となっております。
 教職員住宅の整備につきましては、令和元年度から令和5年度を計画期間とする整備実施計画を策定しております。この中で、整備の基本的な考え方としまして、今後の教職員数の動向や入居状況、周辺地域の住環境を考慮しながら、必要な戸数を確保した上で、老朽度に応じて計画的に修繕等を行うことによりまして、住宅の長期使用可能年数を確保、維持管理することとしております。
 ただし、津波浸水予想地域外へ移転する県立学校が管理する教職員住宅につきましては、学校の移転にあわせて津波浸水予想地域外に新たに建設することとしており、土佐清水市の教職員住宅については、清水高等学校の高台移転にあわせて移転の検討を行っているところです。
 なお、土佐清水市の教職員住宅の高台移転の取り組みつきましては、先ほど総務部長が答弁したとおり、県職員住宅と合同で移転を検討しているところですので、引き続き、知事部局と連携して取り組んでまいります。

 次に、県立特別支援学校の危機管理マニュアルの中で、さまざまな場面における対応をどのように定めていくのか、また、その際のスクールバスの対応について、市町村との連携や防災専門家との調整が必要でないかとのお尋ねがございました。
 学校の危機管理マニュアルは、災害の発生時に児童生徒等の安全を守るため、対応すべき事項をまとめたものであり、県立特別支援学校では、各学校の実情に応じてさまざまな場面を想定しつつ、本校と分校の13校の全てで作成をしております。
 しかしながら、各校のマニュアルをチェックする中で、例えば、「在校中」の場合において、授業中における対応はマニュアルに記載されておりますが、休み時間中の記載がない、あるいは、理科室や体育館など普通教室とは違う場所での記載が不十分といった改善すべき点が見られました。
 このため、本年度の防災教育研修会におきまして、マニュアルの改善をテーマとした研修を開催し、「在校中」そして「登校中」「スクールバス乗車時」などさまざまな場面での震災対応について不十分な点がないか、ほかに想定しておく場面はないかといった確認を行い、現在、各学校で見直しを進めているところです。
 また、スクールバスの対応につきましては、議員からお話のありました中村特別支援学校では、防災の有識者に就任いただいております高知県学校防災アドバイザーの助言をもとに、スクールバスのルート上の危険箇所をマニュアルに反映させ、発災時の適切な避難行動につなげるようにしております。
 スクールバスを運行している県立特別支援学校は、ほかに5校ありますことから、今後、中村特別支援学校の取り組みを参考に、他の学校のマニュアルについても、学校防災アドバイザーの助言をいただきながら改善してまいりたいと考えております。
 あわせて、改善しましたマニュアルに基づいて、市町村の防災担当部局とも連携をして、スクールバス乗車時の避難訓練等を実施し、その結果を検証しながら、より実効性のあるものとしてまいります。
 次に、在校生の在宅時における発生時の対応や、個別避難計画の策定状況の把握について、また、計画作成に向けた特別支援学校と自治体の連携について、お尋ねがございました。関連いたしますので、あわせてお答えをいたします。
 県立特別支援学校では、幼児児童生徒が在宅時に被災した場合においても、災害から自分の身を守ることができるよう防災教育の充実に努めております。
 現在、特別支援学校13校中6校では、個々の障害特性に応じて「避難場所の確認」「避難経路の確認」「避難場所での過ごし方」などについて学習しており、その成果を家庭で保護者とともに確認していただき、災害に備えるようにしております。特に、中村特別支援学校では、学習の成果を記録としてまとめ、災害時に各家庭で活用できるようにしております。今後、このような取り組みを全ての県立特別支援学校に展開してまいります。
 個別避難計画では、災害対策基本法に基づき、市町村に作成の努力義務が課せられております。これを学校として一律に把握することはしておりませんが、安否確認のための災害時の連絡方法などについては、各学校でも把握をしております。
 議員御指摘の個別の教育支援計画や、防災教育の一環として、幼児児童生徒が保護者とともに確認した避難経路等の情報につきましては、個別避難計画の作成の参考となりますので、保護者等に対して防災教育等の取り組み成果が個別避難計画に有効に活用できることなどについて、情報提供を行ってまいりたいと考えております。

 次に、災害時の特別支援学級の児童生徒の教育について、特別支援学校と特別支援学級の連携を推進する必要があるのではないかとのお尋ねがございました。
 災害時において子供たちの学びをとめず、早期に学校教育が再開できるよう、全ての県立学校で学校再開計画を策定しており、市町村立学校に対しても、危機管理マニュアルにおいて学校再開に向けた対応を定めるよう促しております。
 また、被災した児童生徒の受け入れに関しては学校間で調整することとなりますが、災害規模や児童生徒の障害の程度、避難場所などによってさまざまなケースが想定され、あらかじめ個別の受け入れ先の学校等を指定して連携を図ることは難しいと考えております。
 学校の再開に当たっては、通学している施設で再開が困難の場合は、近隣の他の学校や市町村等の施設を活用することとしており、特別支援学級の児童生徒も含めて、再開した学校に通うことになります。
 また、居住地から離れて避難することで、それまで通学していた学校に通えない場合、避難先の最寄りの小中学校等が受け入れることになります。その際、特別支援学級の児童生徒が最寄りの学校では障害に適した教育を受けることが難しく、通学可能な特別支援学校が近くにある場合には、そこでの受け入れについて柔軟に対応するなど、被災した児童生徒の学びを守るため、可能な限り弾力的な対応を行っていきたいと考えております。
 加えまして、避難等によって学校を移った場合にも、その学校で児童生徒の情報が円滑に利用できるよう、県内で統一して導入しました校務支援システムの学校再開時の活用について、あらかじめ周知を図ってまいります。
 最後に、教職員の命と尊厳の保障について、危機管理マニュアルにどのように位置づけて取り組むのかとのお尋ねがございました。
 本県では、「自分の命は自分で守る力」の育成を防災教育の目標として掲げており、このことは、児童生徒はもとより、教職員自身も身につけておくべき基本的な資質能力となります。
 しかしながら、特別支援学校にはさまざまな障害特性の児童生徒が在籍しており、自分一人では安全を守ることが難しい面がございます。こうした支援の必要な特別支援学校の児童生徒の命を守るためには、教職員自身が自らの安全を確保し、支援のできる体制にあることが重要であり、そのためには、防災に関するさらなる知識の習得や、それを生かすための訓練も必要となります。
 このため、現在、進めております各学校の危機管理マニュアルの見直しの中で、児童生徒の安全確保の内容に加え、教職員自身の安全確保につながる、例えば、職員室にある物の落下・転倒防止対策や素早く身を守るための場所の把握など、日ごろの安全点検や身を守る行動のポイント等についても、具体的に明記したいと考えております。
 また、研修や避難訓練等を通じて、教職員に対し、子供たちを守るために自らを守るという意識を一層啓発するとともに、具体的な安全確保行動などを確認しながら、発災時の対応力を高めてまいります。

◎警察本部長(熊坂隆君) 最初に、津波浸水想定区域にある警察職員住宅の数や、その移転の方向性、また、土佐清水市の職員住宅の移転の検討状況について、お尋ねがございました。
 現在、県警察が管理している職員住宅は68棟741戸あり、最大クラスの地震が発生した際の津波浸水想定区域には34棟390戸が所在しております。
 津波浸水想定区域にある職員住宅の移転の方向性については、県警察として職員住宅が津波浸水想定区域に所在するリスクについて十分承知しておりますが、一方で、昼夜を問わず発生する事件・事故等への対応から、警察署等に勤務する警察官が居住地から非常参集しやすいかどうかということも職員住宅の立地に関して重要な要件と考えております。
 特に、当直体制が十分に確保できない小・中規模警察署等においては、有事の際、直ちに幹部職員が非常参集できるよう警察署等の敷地内や近隣に職員住宅を設けることを基本としているところでございます。
 したがいまして、津波浸水想定区域に警察署等がある場合に、職員住宅を津波浸水想定区域外へ移転させることは、有事の際の対応も十分考慮する必要があり、容易ではないと考えております。
 そのような状況にはありますが、津波浸水想定区域にある警察署等を津波浸水想定区域外へ移転させることが可能な場合には、職員住宅の移転もあわせて検討しているところであり、現在、高台等への移転新築事業を進めております宿毛警察署及び室戸警察署につきましても、一定戸数の職員住宅の移転を計画しております。
 なお、土佐清水市内には、中村警察署、清水警察庁舎勤務員に貸与している職員住宅2棟17戸がありますが、宿毛警察署、室戸警察署と同様、警察署分庁舎の庁舎移転が可能であれば、庁舎とあわせて職員住宅の整備を検討してまいりたいと考えております。

 次に、免許返納後の移動手段の把握やそれらの活用状況について、お尋ねがございました。
 返納後の交通手段として、自治体や公共交通機関の方々の協力をいただき、タクシー料金の割引制度や路線バスの運賃割引等を実施されており、免許を返納された方の中には、これらの制度を御利用いただいている方もいると承知しております。
 活用状況につきましては、個々具体的には把握しておりませんが、代替手段がなく、御家族の方に送迎してもらう方もいるものと承知しており、移動手段の確保が十分ではないというふうにも考えております。
 今後も、自治体や関係団体の方々と連携しながら、対応してまいりたいと考えております。

 さらに、免許返納者が抱える課題にはどのようなものがあると考えられるか、とのお尋ねがございました。
 免許返納に関する課題としましては、免許返納後の交通手段、特に、中山間地域において代替交通手段が少ないため、生活する上で運転免許を返納することができない方がいるということが挙げられます。
 一方で、御家族等が運転に不安を感じ、免許返納を勧めても、御本人にその意志がなければ、強制的に免許証を返納させることができないため、御家族が苦しい思いをしているというケースもございます。
 県警察としましては、個別のケースにより事情が異なることから、御本人、御家族からの相談に丁寧に対応し、それぞれのケースに最適な解決策を御本人や御家族とともに考えて対応しております。

◎子ども・福祉政策部長(山路和君) まず、要配慮者の迅速な避難に向けた取り組みについて、目標値だけでなく、その達成予定の年度を示して取り組むべきではないか、とのお尋ねがございました。
 令和3年の災害対策基本法の改正により、自ら避難することが困難な高齢者や障害者など、避難行動要支援者の個別避難計画の作成が、市町村の努力義務とされました。また、国の指針において、計画作成の優先度が高いと市町村が判断した方につきましては、概ね5年程度で計画の作成に取り込むことが示されたところです。
 このため、市町村において計画作成の優先度が高い方の判断を行っておりますが、今年1月の国の調査では、県内の11市町村で計画作成の対象者が確定していない状況となっております。
 お話のように、現時点では、全市町村で対象者を確定できていない状況を踏まえ、南海トラフ地震対策第5期行動計画(案)において、同意取得率と計画作成率の目標である100%の達成予定が空白となっております。
 今後、11の市町村で優先度の高い方が確定し、改めて各市町村と協議するなど地域の実情を十分に把握した上で、達成予定の年度を確定していきたいと考えております。

 次に、社会福祉施設等の高台移転の取り組みについて、お尋ねがございました。
 県では、社会福祉施設等の高台移転を促進するため、県の補助制度や国の優遇融資制度の活用を促すとともに、市町村と連携して移転適地の確保などの支援を行っているところです。
 L2の津波浸水予測区域内にある入居型の社会福祉施設は155施設となっております。
 そのうち、建物の高さや構造、浸水の深さを踏まえて、施設内での避難が可能と思われる施設は85施設、近隣の他の施設等への避難が可能と思われる施設は22施設、浸水の深さや津波到達の予測時間から現状では避難することが難しいと思われる施設は48施設となっております。
 避難することが難しいと思われる48施設につきましては、高台への移転など早急な対応が必要ですが、一方で、身近な地域でのサービス確保といったことも考慮した対策を検討する必要があります。施設の運営状況はさまざまであり、高台移転後の事業展開を見通すことが難しいため、結論に至らない事業者も多くあります。
 このため、県としましては、津波から命を守ることと身近な地域でのサービス確保が両立できるよう、高台への移転だけではなく、建物の高層化も含めた対策について、各施設の運営法人との協議を丁寧に行い、高台移転等の方向性について一定の結論が出るよう取り組んでまいります。
 また、避難が可能と思われる施設につきましても、避難計画の策定や見直し、避難器具の整備など、施設入所者の安全の確保に向けて、きめ細かく支援してまいります。

 次に、障害児虐待の疑いのあった施設への高知市との共同調査について、お尋ねがございました。
 障害児虐待の疑いのある事案に対する県と市町村の共同調査につきましては、市町村が共同で調査を行うべきと判断し、県への申し入れに基づき実施することとされております。
 今回の事案につきましては、令和2年8月の県と高知市との協議の場において、県から共同調査の実施を打診しましたが、高知市からは必要な調査は既に実施しており、共同調査は行わないとの回答があり、共同調査の実施に至らなかったものです。
 高知市とは、県が通報を受理して以降、引き続き必要な情報提供を行うとともに、電話等による助言や書面による情報共有、協議の場を持つなど連携して対応してきたところです。

 次に、県の指導監査と高知市への支援の必要性について、お尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えいたします。
 この事案のあった施設に対する県の直近の指導監査につきましては、令和元年10月1日に通常の実地指導を行っております。
 県が、障害者総合支援法に基づき指導監査を実施するには、障害者虐待防止法に基づき市町村から虐待の事実の報告を受けた場合、県が定める指導・監査要綱に基づき定期的に行う場合、施設の運営面に違反等が疑われる場合がございます。
 この事案につきましては、高知市からは、調査の結果、「施設において虐待があったとの判断には至らず、運営面においても指導すべき点は認められなかった」との報告を受けております。
 これまでの県の指導監査において、運営面での違反等は認められていなかったこと、高知市等から虐待の事実の報告を受けていなかったことから、この時点で、県単独で指導監査を行う必要はないと判断したものです。
 なお、高知市には、令和2年8月の協議の場で、障害者総合支援法に基づく調査と、その際の共同調査についても打診をしていましたが、実施には至らなかったものです。

 最後に、施設の対応について、お尋ねがございました。
 施設側では、虐待防止委員会を複数回開催し、職員への個別聞き取りを行いましたが、虐待の事実は確認できていないとお聞きしております。また、この事案の対応策も協議され、可能な範囲で同性での介助と、2人介助に取り組んでいくとの対応策をお聞きしております。
 しかしながら、そのような施設側の対応が、御両親に伝わっていないことは残念なことだと考えております。
 利用者と施設が信頼関係を築き、安心して施設が利用できるよう、県としましても、各施設への助言や適切な支援を行ってまいります。
 また、令和4年度からは、全ての障害福祉サービス事業者に、虐待防止委員会の設置や職員の研修の実施が義務化されますので、県が実施する職員研修への参加を促し、虐待防止につなげてまいります。

◎危機管理部長(浦田敏郎君) まず、高知市の長期浸水域での救助救出計画に市民の声を反映し、補強すべきではないかとのお尋ねがございました。
 高知市の救助救出計画は、孤立する日数の短縮や救助救出の方法の明確化などの住民の要請を受けて、県・市・応急救助機関の救助救出方法を示したものです。
 今後、日数の短縮に要する必要となるボートの確保や、浦戸湾内の堤防と排水機場の整備の進捗による止水排水の効果を、反映できるよう検討を進めることとしております。
 高知市では、住民への周知の取り組みとして、一定期間、長期浸水域内にとどまっていただく必要のある病院や社会福祉施設に対して、説明会や動画配信による研修会を実施しています。
 また、市民に対しては、まずは、長期浸水自体の認知度を向上させるための継続的な広報に取り組んでおり、今後は地域の方々との訓練の実施についても検討し、訓練を通じて市民の声を反映していくと伺っております。
 県としましても、高知市と連携し長期浸水連絡会の場などを通じて、計画の実効性の確保に向けて取り組んでまいります。
 次に、避難所確保の加速化と広域避難施設の確保に向けた取り組みについて、お尋ねがございました。
 避難所確保につきましては、学校の教室利用や集会所の耐震化など、これまでの取り組みにより、最大クラスの南海トラフ地震で想定される避難者数21万7,000人を超える21万9,000人分の避難所を確保しています。
 しかしながら、市町村別に見ると、11の市や町で避難所が不足しており、これらのほとんどの市や町では、さまざまな取り組みを実施した上でも、単独での避難所の確保が困難な状況となっておりますので、全体の達成年度をお示しできておりません。
 このため、県内4つの圏域ごとに、広域避難の取り組みを行っているところです。
 具体的には、市町村間やバス事業者との協定の締結、広域避難計画の策定、広域避難候補施設のリスト化を行い、各圏域において訓練により実効性を高める取り組みを行っています。
 安芸、須崎、幡多の3圏域内では、広域避難により避難所を確保することができますが、避難者が多い中央圏域では、なお避難所が不足する状況となっています。
 この課題を解消するため、広域避難用として、収容数に余裕がある避難所のスペースを活用することや、新たな施設を指定することが必要となります。昨年度から、高知市の避難先となる近隣市町村や施設管理者との具体的な協議を進め、可能な限り、中央圏域内での避難ができるよう取り組みを進めているところです。
 第5期行動計画では、こうした取り組みを継続しつつ、広域避難施設の確保を推進し、最終の達成年度である令和9年度の前倒しに向けて取り組んでまいります。

 次に、車中泊避難について、利用の広がりや、リスクを回避するための事前啓発、生活環境の整備に必要な支援について、お尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えいたします。
 大規模な地震が発生した場合に、避難所へ車で避難することは、渋滞により避難路を塞いでしまうなど、他の避難者への影響が考えられるため推奨していません。
 一方、風水害に加え、南海トラフ地震発生の可能性の高まりを知らせる臨時情報が発表された場合には、車で避難される方が多いことが想定されます。こうした車で避難された方々は、避難所での感染症の心配やプライバシーの確保、ペットの同伴などの理由で、やむを得ず車中泊をされることが考えられます。
 県では、車中泊をされる方々が、避難所へ避難した方々と同様の支援が受けられるよう、避難者名簿に登録していただくことや、食料、物資、情報を適切に提供することなどについて、避難所運営の手引きに記載の上、市町村に周知しております。
 また、今後、車中泊は増加することも想定して、エコノミークラス症候群の予防について、避難所の受付時に注意喚起のチラシを配布するなどの啓発の取り組みを進めてまいります。
 一部の市町村では、車中泊で避難をされる方を想定した訓練を既に実施をしており、このような訓練や学習会に対して補助金による支援を継続してまいります。

 次に、要配慮者の避難対策について、補助金の対象と取り組みの加速化について、お尋ねがございました。
 県では、一般の避難所における要配慮者への対応のため、マニュアル作成の手引きやチェックリストの作成、説明会の開催など、市町村への支援を実施しております。
 市町村からは、マニュアル作成に当たって、「要配慮者への対応を地域住民で行うことや、個人個人で状態が異なる要配慮者を支援することについて不安がある」といった住民の声があると聞いております。
 このため、本年度さらなる支援として、一般の避難所での要配慮者対応の理解を深め、不安の解消につながる動画を作成することとしています。
 こうしたマニュアルの作成費用や、要配慮者のスペース確保のためのパーティション、段ボールベッドなどの資機材整備については、県の補助金により支援していますが、計画的に資機材整備を進めていくためには、まずは、マニュアルの作成が必要となります。
 今後は、手引きや動画の活用によってマニュアルの作成が進む中で、必要な資機材の種類や量を把握した上で、資機材整備の達成に年度を明示してまいります。

 次に、災害ケースマネジメントの取り組みについて、お尋ねがございました。
 県では、災害ケースマネジメントの取り組みとして、被災者が速やかに生活を再建するため、個別の避難者の被災状況や生活状況に応じた支援体制の検討を行動計画に位置づけ、今年度から取り組みを進めております。
 これまで、東日本大震災や鳥取県中部地震において災害ケースマネジメントを導入、実施した先進事例を調査したほか、市町村に理解を深めていただくために、市町村長等を対象とするトップセミナーに専門家をお招きして、被災者支援のあり方や課題、法制度等について講演していただきました。
 令和4年度は、まずは県において、市町村や社会福祉協議会、弁護士、税理士などの関係者と協議を行いながら、市町村が支援体制を構築するに当たり参考となる手引きの作成に取り組むこととしております。その上で、市町村にはこの手引きを活用していただき、地域の実情を踏まえて具体的な被災者支援のあり方について検討していただきたいと考えております。
 県としましては、継続して技術的な支援を行うなど、令和7年度までに全市町村における個別支援体制の構築が完了することを目指して取り組んでまいります。

 最後に、事前復興まちづくり計画の策定の加速化と、住民の勉強会への参加について、お尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えいたします。
 昨年度から策定を進めている「高知県事前復興まちづくり計画策定指針」につきましては、今月の第3回検討会において、市町村における計画策定の進め方を議論していただいた上で、本年度内に取りまとめることとしております。
 来年度以降、この指針に基づいて市町村が策定する事前復興まちづくり計画は、居住場所や働く場所、地域コミュニティの維持など、住民の皆様に密接に関わる事項を定めることとなりますので、住民の皆様に納得をしていただけるように、話し合いを重ね、丁寧に検討を進めていただきたいというふうに考えております。
 そのためには、計画づくりの旗振り役となる市町村職員が、住民の皆様からの疑問や意見に適切に対応できるよう、計画を事前に策定する必要性や策定手順、さまざまな制度などについて、予め理解を深めておく必要があります。
 このため、来年度は沿岸市町村の職員との勉強会に取り組むこととしております。
 第5期行動計画では、まずは、沿岸全ての市町村で計画策定に着手していただくことを目標としておりますが、取り組みが進捗し、住民の皆様と協議を始める市町村に対しては、県としても、技術的、財政的支援を行っていきたいというふうに考えております。

◎健康政策部長(家保英隆君) 在宅人工呼吸器使用者及び酸素療法者への支援体制整備について、お尋ねがございました。
 これまで、平成28年に作成しました「南海トラフ地震時重点継続要医療者支援マニュアル」に則り、医療機器取扱業者などから得られた在宅の人工呼吸器装着者や酸素療法者の実数や市町村への情報提供に同意された方の情報を、年1回、市町村のほうに提供いたしておりました。
 ただ、年1回程度の市町村への情報提供では、市町村が対象者支援に生かすことが十分できず、市町村の災害時個別支援計画の作成の加速化につながりませんでした。
 このため、今年1月からは、毎月、医療機器取扱業者などから得た新たな同意者情報の収集を行い、その都度、市町村に情報提供を行うよう支援マニュアルを見直し、実施いたしております。
 あわせて、市町村ごとの不同意の方を含む人数についても、年2回、市町村に提供し、市町村と支援体制整備に係る進捗管理を行うことといたしました。
 また、以前より医療機器取扱業者とは、定例の連絡会以外に電話や面談による情報共有を実施いたしております。
 今後も、関係機関との研修会の実施や災害時個別支援計画の協働作成など、市町村や関係業者との連携体制をさらに強化してまいります。
 こうした取り組みによりまして、市町村おける災害時個別支援計画の策定を支援し、達成予定を令和6年度以降と言わず、少しでも早く非常用電源確保や酸素供給体制などの具体的な支援体制の整備を進めていきたいと考えております。

◎土木部長(森田徹雄君) 応急仮設住宅の現状と今後の取り組みについて、お尋ねがございました。
 応急仮設住宅の用地の確保につきましては、発災後の救護物資の集積場所や災害廃棄物の仮置き場などについて、公有地への配置を事前に定める「応急期 機能配置計画」の中で調整し、検討をしてきたところでございます。
 この調整によりまして、現在、仮設住宅の供給可能戸数は、建設型と賃貸形を合わせ、県内で約3万1,000戸となってございます。
 しかしながら、平成25年に県が推計いたしましたL2クラスの南海トラフ地震が発生した場合、仮設住宅の必要戸数は、約7万7,000戸とされており、現状では供給戸数が大幅に不足する、大変厳しい状況であると考えてございます。
 特に、多くの仮設住宅が必要となる高知市におきましては、これまでも建設候補地を募集するなど、民有地を活用する取り組みを進めてまいりましたが、現時点では抜本的な解決には至っておりません。
 このため、仮設住宅の建設について協定を締結しております一般社団法人プレハブ建築協会と、限られた用地を効率的に活用できる2階建て以上の仮設住宅の活用について協議を継続しているところでございます。
 また、高知市で不足する分を周辺の市町村に補っていただくような広域的な調整につきましても支援していきたいと考えてございます。
 引き続き、関係機関と連携しながら供給可能戸数の確保に向けまして取り組んでまいります。

◎32番(坂本茂雄君) それぞれに御答弁いただきました。ありがとうございました。
 幾つか再質問をさせていただきたいと思います。
 まず、最初に、知事の情報の発信の仕方ということで、御答弁の中でも、やはり、いわゆる情報を受ける、受け手の側の、県民であったり、その情報の内容によっては事業者であったりとかすると思うんですけれども、そういった方々に、受け手の側の捉え方をきちんと想定して情報発信していく、このことが大変重要だろうというふうに私も思います。
 先日も、ちょっとそういった行動変容のためのヘルスコミュニケーションというような本を読んでいたら、やはり、その中には幾つか人を動かす、言えば行動変容につながるような伝え方というのが紹介されているんですけれども、私はその中で、やはり、受け手の側の関心事をどう捉えて伝えていくかということが大事であるという、その1つがものすごく印象に残りました。
 そういった意味では、ぜひ、そういったところを丁寧に掘り起こしながら、受け手の側が、先ほど知事が言われた、我がこととして捉えられる、そして、それが行動変容につながる、そういった情報発信の仕方を心がけていただきたいというふうに思います。
 ただ、それと関連して思うのは、先ほどから、いわゆる南海トラフ地震の第5期の行動計画、私、相当な数で質問をさせていただきました。そういった中で、この災害対応というのも、実は、いわゆる自助共助の部分の住民の側にとっては、ただ単にそういった災害リスクとか、そういったことについて知っちゅうとよく言われますよね。そら、そんなことは知っちゅうと。
 けど、知っちょっても備えてない場合があるわけです。その知っちゅうを備えちゅうに変えていくことが、まさに、これは災害における行動変容をどうやって促していくのかということで、高知大学の先生なんかに私たちはよく言われます。
 そういった意味では、そういったことも含めて、じゃあ、この南海トラフ地震の第5期行動計画が、ほんとに公助の側も備えちゅうというところにまで至っているのかというふうに、私は疑問を感じてなりません。
 ほんとに、幾つか指摘しましたけども、何年も前から同じような質問をせざるを得ない。そういうことに対して、やはり住民の側は諦めすら生じてくるわけです。それを住民に諦めを生じさせないために公助は何をしていくのか。その決意が、やっぱり、私はこの行動計画の中で示されなければならないというふうに思っています。場合によっては、要配慮者対策の課題なんかは、命を守る、命をつなぐということさえ諦めさせるような、そんな計画であってはならないというふうに思います。
 その意味でも、もう一度、私は知事に、第5期の南海トラフ地震対策行動計画の案を策定するに当たっての前提として、先ほど知事にお答えいただいた、その部分の決意をもう一度お聞かせいただきたいというふうに思います。

 それと、障害児の虐待の件で御答弁がありました。高知市とはいろんな形で連携をされてきたというふうなお話があったんですけども、言えば、打診をしたりとかも、あるいは連携もしてきた。それでも、言えば、そのことに対して、じゃあ協力願いたいということがなければ、県は何もできないのかいうことについて、もう一度だけお聞かせいただきたいと思います。それは部長にお願いします。

 それと、この点について、知事が、やはりこういった事例について、御家族の思いにどう応えていくのかというふうなことで幾つか述べていただきましたけれども、具体的に、じゃあ、この事例について、今後、県としてどういうふうに臨んでいくかということについても、もう一度をお聞かせいただきたいなというふうに思っています。それが第2問目です。

 それと、もう一つ。免許返納問題の関係で、いわゆる中山間地における移動手段の確保。これは本当に重要な問題だろうというふうに思います。特に、中山間地以外のところと比較したときに、道路交通網がより脆弱な面があろうかと思います。そういった場合の移動手段をどういうふうに確保していくのかということについて、先ほどいろんな形での地域での話し合いというのを大事にしながら取り組んでいきたいということでしたが、ぜひ、中山間地での先ほど言われたような課題の具体化に向けた取り組みをお願いしたいというふうに、これは要請をさせていただきたいと思います。
 再質問は、以上です。

◎知事(M田省司君) 坂本議員からの再質問にお答えを申し上げます。
 まず、南海トラフ地震に関します、特に、要配慮者対策など命を守る対策についての実現へ向けた決意をということでございました。
 お話がございましたように、今回、要配慮者対策に関しまして御質問にお答え、部長からいたしましたような中で、市町村の中で少なからぬ市町村が、まだ要配慮者の特定、お一人お一人の特定まで至っていないというような状況にあるということございます。
 そうしたところから、達成予定の年度がまだ設定できないという状況でございますが、ある意味こうした3カ年の第5期の行動計画を通じまして、ある意味そういった実態にあるということも包み隠さず、これをお示ししながら、それは県民の皆さんとも市町村も含めて危機感を共有して、これを何とか手を打っていただかないといけないと。そうした形で、このPDCAを働かしていくということが大事ではないかというふうに思っております。
 今回、質疑を通じまして、そういった、ある意味、例えば、仮設住宅の用地なども含めまして厳しい状況が明らかになっているということでございますから、そうした状況につきましてしっかりと発信すべきところは発信をしまして、市町村の皆さんあるいは県民の皆さんへ呼びかけまして、これはしっかりと県としても対応いたしまして、この命を守る対策を進捗させていくということにつきまして、対応してまいりたいというふうに考えております。
 また、この障害児虐待の疑いがあった事案についてということでございます。
 この点に関しましては、この障害児向けのサービスの実施主体が高知市であるということがございますから、そうした中で、市との役割分担を行ってきた中で、お話のように市との関係について十分に意思疎通ができていたのかというような話があったかというふうに思います。
 この個別の事案に関しては、私も、今回の質疑を通じまして知り得た以上の細部にわたる情報は必ずしも今持ちあわせておりませんので、あまりこの場で確定的なことは申し上げられませんけれども、ただ、それでも、今回、質疑の中で、施設の側も今回の事案を踏まえていろんな改善を、同姓介助であったり、2人体制で介助したりというような形で体制の改善は考えておられると。そうしたところが利用者の方とのコミュニケーションが必ずしも十分できてなくて伝わっていないというふうな状況も、今回、私自身知りましたので、どういった形で市との意思疎通あるいはこの利用者の方との意思疎通図っていくかというのはまた部の方に細部の検討を委ねたいと思いますが、こうした中で、県として知り得た情報で、この利用者の方に関しましてお伝えをするということが今後の関係者間のコミュニケーションにとって望ましい方向になるということであれば、県として何ができるかというのを担当部のほうで考えさせたいというふうに思っております。
 以上です。

◎子ども・福祉政策部長(山路和君) 協力がなければ対応ができなかったのかというお話がございました。
 基本的に、高知市また当事者の方、当該の施設につきましては、この事案を通じてではなく、それ以外の部分で県としても大きく関わりを持っておりますし、そういった方々に対して通常の支援というのもさせていただいております。
 ただ、1点、この虐待の疑いのあった事案のそういった確認の部分につきましては法的な責任の役割分担がございますので、県のほうから共同調査等の打診もさせていただいた上で、また、お話がありましたように、警察のほうも実際、事情聴取もされておるというふうなことで、虐待の事実が確認をされておれば法に基づいた対応ということになりますけれども、それの疑いがあるという段階で県としましては、打診に対しまして市のほうの回答に基づいて対応したということでございます。

◎32番(坂本茂雄君) もう時間がありませんので改めてお聞きしませんけれども、やはり、このコロナ対策の問題、さらには南海トラフ地震対策の問題、そして、この障害児虐待の問題など含めて、まさにこれは知事がどうやってこの県民に共感するか、そして、それを施策に生かすかということだろうと思います。ぜひ、今後とも知事はそういった県民への共感を寄せながら、さまざまな施策の展開をお願いしたいというふうに思います。
 最後に、この3月末で退職される県職員の皆様、ほんとに長い間お疲れさまでした。今後ともお元気でそれぞれの分野で御活躍いただくことを祈念いたしまして、私の一切の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。